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♯1091 介護犬aibo

2018年06月13日 | 日記・エッセイ・コラム


 先日、銀座のソニープラザの店頭にディスプレイされていた新型「aibo」(ソニー)に触りながら、担当の方からいろいろと話を伺いました。

 AIを搭載し何かと話題の多いaiboですが、その姿かたちは10年ほど前に売られていた以前の「AIBO」に比べ、青山ケンネルで売っている血統書付の愛玩犬から近所でもらった雑種の子犬に変わったような、穏やかで愛らしい印象です。

 こうして、見かけはとても「普通」になったaiboくん。この約20年のIT技術の発達やネット環境の変化を背景に、どうやらその実力は旧型AIBIをはるかに凌ぐ凄まじいまでの進化を見せているようです。

 実際、新世代aiboは単なる愛玩ロボットにとどまらず、人々の生活のパートナーになり得る存在として期待されています。「目覚まし」や「お知らせ」に始まって、高齢者や病人の見守りや不審者や火災の通報など、生活ツールとしての汎用性やその可能性はこれからどんどん広がっていくと考えてよいでしょう。

 そうした新型aiboに関し、週刊「ダイヤモンド」誌の5月12号に「aiboが〝介護犬〟デビュー」と題する興味深い記事が掲載されていました。

 記事によれば、今年の4月から、ソニーの介護事業子会社である「ソニー・ライフケア」傘下の介護付き有料老人ホームにaiboが入居し、ホーム入居者の介護をサポートする取り組みが始められたということです。

 既存の3か所の老人ホームと今秋新設予定の1施設に導入するほか、昨年4月に買収した「ゆうあいホールディングス」が運営する全国26か所の介護施設でも、aiboが施設内を自由に巡回(放し飼い?)して入居者と触れ合う環境を作ると記事はしています。

 ホームでは、エントランスやロビーなどにaiboが常駐し、各ホームごとにそれぞれ違う名前を付けられたaiboは、入居者の呼びかけに応えたり優しくしてくれる人になついたりする。さらには、音楽を再生しながら自らも入居者とダンスを踊るなど、施設のレクリエーション補助の仕事もこなすということです。

 本格的な効果検証はこれからということですが、既に「車いすから起き上がれなかった高齢者がaiboを見ると笑顔で体を起こすようになった」とか、「自室にこもりがちだった老夫婦がホールに出て来てaiboと遊ぶことが日課となった」などの成果も現れていると記事はしています。

 さて、経済産業省が2016年に行ったコミュニケーション・ロボットの実証実験では、約900人の要介護者のうち34%の人に介護度が下がるなどの効果がみられたということです。ただし、高齢者の中には「ロボット然」とした見た目に拒否反応を起こす人もいるようです。そこで今回、白羽の矢が立ったのがaiboだったということです。

 今回の新型aiboは外見で本物の犬を再現することを目指しただけでなく、顔認証システムやAI技術を使って飼い主の顔を思えて個体ごとに違った成長をするなど、本物の犬により近づける工夫が随所に凝らされています。

 動物と触れ合うアニマルセラピーが高齢者の気力の醸成や認知症の予防などに効果があることは広く知られていますが、介護施設では感染症予防や世話する人手の確保などの問題からなかなか実現しないのが現状です。

 そこでaiboの登場です。aiboはただ「愛想」を振りまくばかりでなく、ネットでホストコンピュータとつながりクラウド上に随時データを蓄積しています。将来的にはaibo通じて介護記録をビッグデータ化したり、分析したりすることも可能になると期待されているところです。

 人間と「会話をする」「遊ぶ」といった何らかの「コミュニケーション」を取ることができるコミュニケーション・ロボットの分野は、AI技術を取り入れることにより今後の飛躍的な進化(成長)が期待されています。

 特にaiboは、疑似的な動きを伴ったり積極的に自分から施設利用者に話しかけたりする点が特徴で、高齢者の脳の活性化や孤独感の解消に大きく貢献すると考えられえています。

 昨年、英国で「孤独担当大臣」が任命されたことが話題にのぼりましたが、社会の高齢化が進む中、現代人にとっての「孤独」や「疎外感」は大きな社会問題となる気配です。

 特に、単身高齢者の急激な増加が予想される日本では、高齢者の精神的な安定の確保は今後益々重要な課題となっていくことでしょう。

 小さなaiboに「救世主」の役を担わせるのはやや酷に過ぎるというものでしょうが、(色々なバージョンに進化・分化した)彼らが高齢者にとって「一家に一台(匹?)」の必需品となる日もそんなに遠くないのではないかと、こうした記事から改めて感じたところです。


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