日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「コツコツと勉強する者の…強さ」。

2012-02-27 14:04:46 | 日本語の授業
 「ジンチョウゲ(沈丁花)」が、足踏みを続けています。蕾に紅さが目立つようになってから数週間、ずっとそのままの姿…のような気がします。冷たい風に身を竦ませて、縮こまっているような風情なのです。

 今朝もそうです。今朝も寒い。おまけに風まで吹いています。冷たい風です。春は一進一退で、今日は二歩も三歩も退いたような感じさえします。暖かいと背中が伸びて、寒いと縮こまる。きっと「ジンチョウゲ」の蕾もそうなのでしょう。

 さて、先週は、最後の駆け込みと言ったらいいのか、三人、どうにか、大学に合格できたようです。喜びもひとしおでしょうが、さてこれからが大変です。この学校のように、近くに、いつも、だれかがいてくれるというわけではありません。自分一人でやっていかなければならないことばかりです。

 そうは言いましても、三人のうちの二人は同じ大学の同じ学部を受け、合格できています。この二人はこれからも助け合っていくことができるでしょう。

 一人は、人なつっこく、おしゃべりが好きで、どんどん友達を作っていけることでしょうし、もう一人は、少々口が重いものの、コンピュータが好きで、何事によらず、考え考えポツポツと話し始める方。面接や作文書きの練習のときでも、互いに連絡を取り合い、助け合ってきたわけですし、試験の時も時間を待ち合わせ、一緒に行ったのです。

 試験が終わって連絡をくれたときも、二人が「かわりばんこ」に、「こんなことを聞かれた、こんな問題が出た」と楽しそうに教えてくれたのです。 

 とはいえ、こうやって、どうにか自分の考えを話せるようになった頃、みな学校を出て次の世界へと羽ばたいていくのです。どうも、いつも感じることなのですが、この時期に。大学にいいとこ取りされているような、そんな気がしてきます。

 学生たちは、来日したときには、だいたい二十歳前後(大学や短大などを出ている人以外)、大人であり、また子どもでありといった、どっちつかずの顔をしています。

 この時に、どういう人の影響を受けるかで、それからの日本での生活が決まってくると言えます。目的もなく日本へ来た学生のうち、小才のきいたのは、アルバイトの工場などで彼らよりも先に日本に来ていた同国人(日本語がわかりませんから、頼りになるのはどうしても先に来ていた同国人なのです)から、話を聞いたりして、「なんだ、一生懸命勉強しなくても、適当に日本で生活できるじゃないか」となったりしがちなのです。

 結局は、コツコツと毎日の勉強をしていったもののほうが、大学に合格できたり、専門学校へ行くにしても、本人の希望する専門を勉強できたりするのですが、そういう(適当にうまくやろうとしている)学生に限って、コツコツ勉強している者を小馬鹿にしたりするのです。自分はそうまでしなくても、やつらよりも(日本語が)うまいと。

 こういう学生は聞いたり話したりは適当にできます(初級程度では、器用さでなんとかごまかせるところもあるのです)から、それで自分は(まじめに勉強している者達よりも)できると勘違いしてしまうのです。

 ただ、中級、上級へと進んでいくにつれ、大半の者は自分の勘違いに気づくものなのですが、気づいたときにはもう遅いのです。どこからわからなくなっているのかさえ、言えないでしょうし、かといって、いまさらコツコツやるのは…でしょうし。

 おそらく、彼らの国では、適当にパッとやってどうにかなっていたのでしょう。もしかしたら、コツコツした経験なんて全くなかったのかもしれません。「頑張る力」というのは、どうも一朝一夕に養えるものではないようです。

日々是好日
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