日本語学校からこんにちは ~水野外語学院日本語科~

そんな虫(ムシ)は、無視(ムシ)しなさい。


曇り。

どんよりとした雲が、空一面に広がっています。今にも雨滴が零れてきそうです。夜まで保ってくれるかな。いつ降り出しても(本降りにはならないそうですが)、おかしくないなどと、天気予報のお兄さんやお姉さんに言われてしまいますと、皆、家を出る時に、「あっ。傘(持っていかなくちゃ)」となるのでしょうね。

空気はムシムシするというよりも、心地よいといった感じですが。

さて、学校です。

昨日の「Aクラス」でのこと。前列に座っていた学生が、「先生、虫」と机の上を這っていた、一ミリほどの小虫を指して言います。バタッと本で潰さないところが、なかなか奥ゆかしい。

私がよく虫の話をしているので、好きかなと思って、虫を見せてくれたらしい。けれども、這っても黒豆どころか、その十分の一にも満たない。よく見つけたものだと却って感心してしまいました。

彼等には、「セミ(蝉)」や「コオロギ(蟋蟀)」、「カマキリ(蟷螂)」、「ダンゴムシ(団子虫)」など、そういう虫のことをいかにも楽しそうに話す日本人が、不思議に映るらしい。

……そう言えば、虫を食べる人達もいた。もしかしたら、この人達(日本人)も虫を探して食べるのかな…。だから好きなのかな…。そこまでは思っていない…かもしれませんが、時々、視線の陰に、「気持ちの悪いモノが好きだな、変人…」という気持ちが見え隠れしている…。

「じゃあ、あなたたち。『チョウ(チョウ)』は?」と問うと、「チョウは別」と言う。

日本人だって、「ゴキブリ」は別ですけれど。反対の意味で。

「小学校で、『キリギリス』を育てた」だの、「『ナメクジ(蛞蝓)』に塩をかけて遊んだ(これはだめですかね)」だの言っても、また、「夏休みにキャンプに行った時、必死になって『クワガタ(鍬形)』や『カブトムシ(甲虫)』を探した。見つけた時の嬉しさと言ったら、こりゃあ、たまらん」だの言っても、チンプンカンプンで、なぜ虫を探す????なぜ嬉しい????。

この子供時分の興奮は、なかなかうまく伝わりません。「虫取り」が、夏休みとセットになっていて、夏休みというと、虫取りのことがすぐに思い出される…というのも、わからないらしい。(夏休みの宿題の)「絵日記」にも、困った時の虫頼みで、ちょくちょく登場してもらうことがありましたっけ。庭の「夏みかん」の木で、よく見つけたのは、「カミキリムシ(紙切り虫)」…これは害虫です。これにはお世話になりました。数日おきでご登場願ったりしたことだってありましたもの。

サッカーが好きな学生に、「贔屓チームが勝った時はうれしいだろうが。それと同じ」と興奮の程度を伝えても、「あれは人間です」で、歯牙にもかけてもらえない。

「もう!」といった時に、ちょうど教科書に「無視」が出てきました。それで、「もう虫(ムシ)は無視(ムシ)しなさい」で、終えてやりましたけれども。

さて、次は「Bクラス」。フランスを中心にして、北にイギリス、東にドイツ、西にスペイン、ポルトガル、そして南にイタリアというのは、どうにかわかってきたらしい。昨日、復習でやった時、スラスラとまではいかなくても、声がいくつか出ていましたから。幾度か繰り返せば、記憶の端っこにでもとどまってくれるでしょう。

どこか一つでも、国名が出てきたら(雑談でもよし、教科書でもよし、問題でもよし)、すぐに対処する。その近隣の国名も時間があれば言っておくというのも大切です。

以前、フィリピンから来た学生に、冗談半分で、「フィリピンはどこですか」…アメリカを指しました。他の国から来た人にも、「イギリスは?」聞くと、…アフリカやロシア、いろいろなところを目で追っていました。もちろん、どこの国でも世界の中心は自国でしょう。だから探すのに時間がかかるのは当然としても、大小だけは認識しておくべきでしょう。

かつて、イギリスの支配下にあった国から来た人が少なからずいるので、彼らからしてみれば、イギリスは当然大きいはずだ…。「(見つけると)えっ?こんなに小さいの?」。これも発見です。

できれば、それなりの景色や物語が付随しているといいのですが。とはいえ、名前と位置だけでも確認は必要だと思っています。

様々な事情から、能力はあっても、国で十分な教育を受けられなかった(日本人から見てです。彼等の国では、いわゆるかなり上の教育を受けてきています。彼等自身もそれを自負しているようです)人達に、いろいろな「ついで」が、あった時に、その機会を逃さず、知識を入れていくのは、ご縁があってこの学校にやってきた彼等に対する、私たちの責任でもあります。

もとより、二年、一年九ヶ月、一年半しかないので(今は、一年三ヶ月の、留学生クラスの開講はちょっと見合わせています。国で十分にやって来ていれば別ですが。来日後「第1課」から始めるのでは、非漢字圏の学生にとっては、時間が足りなくなる恐れがあるからです)、日本語だけでなく、どこまで彼等に必要な知識を入れられるかは、本人のやる気と時間に関係してくるのでしょうが。

日々是好日
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