日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「休み中の昨日、会った学生、七人」。

2013-08-20 09:49:30 | 日本語の授業
 暑い…確かに暑いことは暑い…けれども、朝夕には虫の声が聞かれるようになりました。早朝も、以前なら、「朝早くから、蝉の声かよ…」とため息をついていたものでしたが、今は、虫の声ですからね…秋は、ノロノロと…けれども、確実に(そう願いたい)近づいている…のかもしれません。

 ところで、私事ですが、先週は、父の初盆に故郷に帰っていました。金曜日に戻ってきたのですが、その時、不思議なことに(不思議でも何でもないのですが、人間の体感では)…こりゃあ、駅から歩ける…でした。変は変ですけれども…。

 九州では、昼に歩くなんて…ことをした場合、もう直ぐに、「真夏の犬さん」状態になってしまいます。向こうでも雨は全然降らなかったのですが、水は地下水からのもので、渇水になるということはありえない…で、ふんだんに庭に水を撒くこともできました。でも、ただ、ただ、ひたすら暑い。

 九州へ帰るまでは、ここ(行徳)が暑い、暑い、暑くてどうにかなりそうと思っていました。けれども、(故郷から)戻ってくると、同じように35度でありながら、陽射しの強さが違うのでしょう、楽勝でした。ありゃ、これならいける…、(九州では、駅からタクシーで帰るかと考えていましたのに)で、歩いてしまいました。

 狭い日本、なれど広い日本。暑さでもかなり違いがあります。

 さて、というわけで、昨日から学校に戻っては来たものの、そして昨日もブログを書き始めてはみたものの、ネタが浮かばない…。夏休みというのは、学校に学生がいないということなのです。学生がいない学校で事務的なことはできても、それ以外のことは…浮かびません。現場が消えているのですから…。

 で、昨日したのは、学生が夏休みの宿題として持って来たノート一冊あまりの宿題を見たこと…だけ。

 もっとも、もちろんそれだけではありませんでしたけれども。

 朝、9時に、約束通り、今年の七月生が、言われた宿題をすべてノートに書いてもってきました。うん、うん、いい子です。そして、見た後(必ず、問題があるはずですから)のこととして、水曜日にもう一度来るように言ってから帰しました。

 大学に行くことが目的で来ている人は、そうではない人と、アルバイトにしても、勉強にしても、考え方が違っていて当然です。それが、往々にして同じクラスにいるものですから、同じようにやってしまい、1年経った頃には、目的を失わずに頑張って勉強してきた人との間にはかなりの差が出てしまう…ものなのです。

 「漢字圏」の学生の場合、それでも大学に入れる(選ばなければ)のですが、「非漢字圏」の学生達は、そうはいきません。いくらペラペラ話せていても(つまり、生活日本語です)、いざ、時事問題に絡んだことや、中学レベルの教科書の内容に関する問題に対しては、真っ白けということにもなりかねないのです。「英語でなら、答えられます」と言われても、質問は日本語でされますからね(その点、「漢字圏」の学生は、漢字を見ればわかりますから、強いですね)。

 それで、最近のように「非漢字圏」の学生が増えてき、しかも大学に行きたいということになりますと、こちらでも、今までのようにのんびりと構えているわけにはいかなくなってきました。今までは、とにかく、1年で「N1」レベルまでして、あとは、新聞やニュースなどを教材としてやっていけばいいと、それほど「教材の吟味」や、「教授法」などについて考えなくてもよかったのです。もちろん、漢字に関しては教材も作り、単語でも彼らの国の言葉に訳してみたりと、目に見える形ではしていたのですが。

 いうまでもないことですが、これまでにも「非漢字圏」の学生でも優秀な人はいました。けれども、彼らにしても、漢字に時間をとられてしまうのです、どうしても。ですから、1年ほどで「N1」レベルというのは、まったくもって、無理な話…でした。これは、来日後、「イロハ」からやった場合ですけれども。

 というわけで、「非漢字圏」の学生で、大学を目指し、しかも勉強の習慣がついている人には、(必要以上に)厳しく対していかなければならないのです。「漢字圏」の場合、かなりアルバイトをしている学生でも、「学校を休まない。言われたことは無理をしてでもやって来」れば、ある程度の大学に入ることができました。けれども、「非漢字圏」の学生の場合、それは無理なのです。「うちにいる時も、漢字を書く」という作業が必要になるのです。それができるかどうかで、明暗を分けてしまいます。

 おかしいとお思いになるかもしれませんが、学生の大半がそれができない。断定はできませんが、十人中八人か九人はできないでしょう。アルバイトで疲れるということもあるでしょうが、これまで、うちでそんなに勉強なんてしたことがないんじゃないかなと思われる人の方が圧倒的に多かったのです。それでいて、そういう人は、自分はできると思い込んでいて、それを公言するのです。こちらは、自分ができていないということをわからせるように努力してみるのですが、徒労に終わることも少なくないのです。


 「(休まない、宿題をする…だけでなく)漢字を覚える、そして忘れない」ということができる学生(漢字は見ているだけでは覚えられません。書かなければなりません。しかも、200字や300字ほどになりますと、覚える片端から忘れてしまいますから、常に手を動かしておかなければなりません。読み方も読まなければ直ぐに忘れてしまいますから、毎日何かを読んでおかなければなりません)は、私たちの方でも、すぐに「大学だな」ということになります。

 学生の方も漫然と学校に来ていないように、教師の方でも、ことある毎に、対象を(しつこく)見ているものなのです。小さな学校ですから、「(誰それさんの)様子が、最近、変わってきた」というのは、直ぐに教師の間の話題になります。それが「学ぶ方」へ変わってきたのなら、直ぐにそれ向けのやり方に変えます。そうでなければ、原因を確かめます。

 とはいいましても、最初から、そう(大学が目的)ではない学生もいることですから、彼らには、少なくとも「生活日本語」は、マスターできるようにさせておかなければなりません。つまり、「わからないクラス」にいるのではなく、「わかるクラス」にクラス替えするということなのです。もちろん、本人の同意を得た上でですが。

 さて、昨日来た、彼以外の学生のことです。

 昨日は、午前中にもう一人、スリランカの学生が、8月分の寮費を持ってやってきました。それから寮でお世話になっている動産屋さんからの電話がありました。ガスを直しに業者さんが来るということでしたので、直ぐにその部屋の学生に連絡をします。

 気の毒に、たたき起こされたのでしょう、寝ぼけ眼の声が響いてきます。ともかく一人はその部屋にいるとのこと(彼はアルバイトで出てしまう)。ただいるのは七月生で、彼は「ひらがな」も、まだ満足に書けないのですよね…本人は、ひらがなは大丈夫、でもカタカナは…と言うのですけれども。

 というわけで、午後、ガス屋さんから連絡があった時に走って行きます(自転車です)。部屋にいてくれた学生は銀行からカードが送られてきた時にいなかったということで、カードをまだ手に入れていません。休み前に銀行の方に連絡して、銀行で保管してもらうようにして置いたので、ガスの修理が終わった後で、一緒に銀行へ行くということを何とか伝えようとしますが、「在留カード」と言うと、ニコニコしながら「パスポート」を出してきます。うーむ、でも、大丈夫。全部持って行けばいいから…。

 焦っていたのですが、ガスの修理はなかなか終わりません。結局、不動産屋さんと相談してから決めるということで、その場は終わりました。その途中、七月生にいろいろなことを話しかけても、通じません。ニコニコして「はい」と言うだけです。

 その時、隣の部屋から、一人、ベトナムの学生が出てきました。これからアルバイトへ行くと言います。良かった、早速、通訳してもらいます。そして「行ってらっしゃい」と送り出し、しばらくするとまた一人、その部屋からベトナム人学生が、出てきました。同じように、アルバイトへ行くと言います。そこで、また、送り出し、さてガスの話が終わって、銀行へ行こうという時に、また一人、今日はアルバイトがないというベトナム人学生が洗濯をすると出てきました。

 七月生は自転車を持っていません。そこで彼に自転車を借りて、銀行へ行きます。銀行の方も何とかうまくいき、帰ってから食事です。

 そして3時15分ほどに、タイの中学生がやって来ました。高校入試のために頑張って(夏休みは無しで)勉強しようという男の子です。私が国語を担当し、後の数学は別の教師が教えます。

 終わったのは5時過ぎです。彼も頑張りましたが、私たちも頑張った…かな。…暑いのは応えます。何だか疲れたね…で、一日は終わりました。

 でも、学生が来てくれたので、その時だけ、元気になれました。やっぱり学校は学生がいませんと…、辛いですね。

日々是好日
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