日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「明日から『お盆休み』です」。「『夏休み』でも、学生の顔が学校にあるのは、うれしいことです」。

2009-08-12 11:12:34 | 日本語の授業
 今日は、昨日に引き続き、のんびりとした朝を迎えています。お昼ご飯を買うために、ルートを少々変えて出勤しました。この道は、いつもの道に比べて、かなり道幅が広いのです。で、楽勝のはずだったのですが、そうは問屋が卸しませんでしたね。道が凸凹なのです。と言って、穴が空いているというのではなく、四角のコンクリートの板が、50㎝幅で並べられているような按配で、その境ごとにガクンガクンと突き当たって、自転車が跳ねるのです。前に通った時には、緊張していたから、気がつかなかったのでしょう。今度通る時は、向かい道の方にします。危なくってかないません。

 けれども、そこを通っている時に、「秋」を見つけました。オレンジ色の「コスモス(秋桜)」が咲いていたのです。大輪の「ヒマワリ(向日葵)」も、大振りな茄子紺の「アサガオ(朝顔)」も近くに咲いていましたから、夏は夏なのですけれども、まさに「目にはさやかに見えねども」、秋は秘やかに近づいていたですね。

 そう言えば、今朝は7時に家を出たのに、風は「秋の風」でした。涼しかったのです。台風「一過」のせいでしょうか、昨日も帰りの風は「秋風」でしたし、虫の音も「秋」を感じさせるものでした。(実は、昨日、また、自転車がおかしくなって、自転車屋さんに行ったのです。直ぐに見てもらえたのですが、空気を入れる時は、そのまま空気入れを突っ込めばいいのであって、一回一回ねじを捻って緩める必要がないのだということを教わりました…というか、叱られたのです。「そういう噂があるようですが、そんなことはしなくていいのです」と。)

 こんなことを書いていると、平穏無事で何事もなく、「休み」は過ぎていくように思われますが、昨日「一波乱」ありました。大学院を目指している学生が、書類提出日を間違えていたのです。彼の場合、6月にも、一度、「大学院の先生にメールを送っておかねば」ということを言ったことがあるのですが、その時も「試験は2月です。どうしてこんなに早くから考えますか」などと言われ、思わず、その「のんびり屋さん振り」に絶句したことがあったのですが、昨日の場合は、笑って済ませるわけにはいきませんでした。

 「休み」になってから初めて来た昨日(彼のクラスは8月10日から「休み」です。昨日は12日でしたから、まあ、文句を言うほどでもなかったのですが…休んだのは二日だけでしたから)、大学院の事を話していて、ついでに確認くらいのつもりで、大学院のホームページを見てみると、なんと8月24日が書類の提出日になっているではありませんか。

 それからが大騒ぎ。、若いE先生が、直ぐにいろいろなことを調べてくれました。そして、大学院の方にも連絡を入れてくれたりしたのですが、まず何よりも、問題になったのは、書類の一部をまだ国から送っていないということでした。聞けば、一週間ぐらいで届くということでしたので、直ぐに連絡して送ってもらように言いました。ただし、間に合わなかったら、「北海道でも九州でも、京都でも、どこにでも行く。東京近辺だけとは考えるな」ということになったのですが、彼は固まっています。私立は早かったのです、締め切りが。

 と、大騒ぎをしているうちに、「今日、学校の様子を見たい」と、中国人の方からの電話です。で、私は、すぐに駅へ走ったのですが、待ち合わせ場所の確認などで右往左往して、会えたのは、かなり時間が経ってからのこと。

 汗を拭き拭き、三人で、学校へ戻ってみると、まだ彼は固まったままでした。「…んん。まだいたのか…。固まっているよりも先にすることがあるだろう」と思ってみても、彼の心は、そううまく働かないようです。

 まず、今晩、やるべき事を書かせ、(こういう場合、聞いているだけではだめで、必ず書いておかねばなりません。まだ、心の大部分を「どうしよう」が占めているのですから)まず、それをしておくこと。後のことはまた後でするしかないと言い聞かせ、帰そうとしますが、まだ、ぼんやりしています。ちゃんと帰れるのか知らんと不安になってきます。

 まあ、その間、私は、日本語を学びたいという女の子(高校一年生終了後、来日)とお母さんに、ここでの勉強の仕方などの説明をしていたのですが、自習室から出て来る学生(昨日は、併せて12人ほどが勉強に来ました)や、高校の教科書を返しに来る学生などの相手もしたりで、行ったり来たりしていました。けれども、こんな学生達との遣り取りが二人の気持ちを和らげることになったのかもしれません。駅であった時よりも、女の子は随分話すようになりました(やはり、女の子の方が男の子に比べておしゃべりですね。中国人でも、男の子が「アー」とか「オー」とか言っている間に、女の子なら10言くらい話せます)。

 とは言え、この、17歳の女の子、Bさんと、お母さんは、最初、「日本の日本語学校とは、一体どういうものであるか」また、「日本語教師とは、どう対すればいいのか」などと、不安に思っていたのでしょう。中国語で話しかけたものですから、親にしてみれば、「中国人の教師がいる、安心だ」くらいに思ったのかもしれません。もっとも、それは、「とてつもない」勘違いであると、気づかせるのに、それほど時間はかかりませんでしたけれど。

 授業の時は、すべて日本語でやるし、予習・復習・宿題もあるということ。それに始業時間に遅れないようにすること。また、午前の授業が終わった後は、自習室で、「Aクラス(来年の三月卒業予定)」の学生達と自習すればいいことなどを話したのですが、彼女が一番気になっていたのは、「7月生」たちに、追いつけるかどうかということのようでした。まだ「初級Ⅰ」の「八課」だから、問題ないと言っても、教科書を見て、「こんなに厚い」と訴えます。そして、「判らなかったら、また来年、一からやるからいい」などと言います。

 親御さんの方も、よく判らないのでしょう。それでもいいかなんて顔をして見ていますから、「とんでもない」と一喝。「何を考えている。中国人なら誰でも追いつける」と彼女に言います。

 夏休みの間は、お母さんも仕事があるそうで、「(彼女が)一人で家にいてもしょうがないだろうから(一人で自習する分には構わないから)、学校に来なさい。まだ、正規の学生というわけではないから教えられないけれど」と言っても、やはり、まだ不安のようです。

 最後に、お母さんが、「来週から、ここで教えてもらえないか。一週間でもいいから、少し勉強しておいたら、『7月生』のクラスに入っても、それほど困らないだろうから」と言いましたので、来週の月曜日から、この学校の学生になることになりました。で、その前に、この数日を利用して、「ひらがな」と「カタカナ」だけは覚えてくるように宿題を出しておきました。

 勉強で「負けたくない」という気持ちがあるのは、いいことです。中国でも、頑張っていなければ、そうは思わないでしょうから。で、来週の月曜日から、私が彼女の面倒を一週間みることにしました。とは言いましても、午前中か午後だけです。あとは、一人で出来る作業をさせます。他の学生がおもしろがって手を出さなければ…ですけれど。

 と、ここまで書いたところで、学生が一人、自習室から出てきました。「今から、アルバイトに行きます。先生、また明日」と言うではありませんか。
 もう、全く。あれほど皆に念を押していたのに…。

 「明日から、『お盆休み』です。先生は来ません。学校も休みです」と言うと、「ええっ!いつ決めましたか」。「とっくに。休みの前にも言いました。掲示もしてあります。忘れているのは、君だけです」。

 「……。もう、来ない。勉強しない」と拗ねまくりで帰って行きました。まあ、月曜日に来たときに、「いい子、いい子」してあげましょう。

 しかしながら、今、私が気がつかなかったら、明日、一人、学校に来て、しょんぼりしていたことでしょう。本当に、しっかりしているのかしていないのか、判らないお嬢さんです。

日々是好日
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