日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

箱根1日バス旅行

2017-08-03 10:02:08 | 日本語学校
曇り。

今日から、夏休みです。学校のご近所さんたちはホッとしているかもしれません。もっとも小中高が夏休みに入ってから、子供たちの声がよく聞こえるようになっていましたから、それほ思い過ごしかもしれません。

昨日、皆で「箱根」へ行ってきました。小雨でしたが、彼らにとって一番楽しい?「バス旅行」ということで、楽しめたようです。

昨年の「富士山バス旅行」では、もう雨、雨でした。五合目も雲(霧雨?)の中で、1㍍先の人の顔さえ見えず、さぞかしがっかりしたであろう…もちろん、がっかりしたでしょうが、長距離バスでの旅行は初めてという学生も多く、いい思い出になったようです。

今年の箱根も…行徳の出発は曇り(驚いたことに1名を除き、決めてあった時間、「6時15分」よりも前に来ていたのです…。天気が悪くなりそうなのが本当に可哀想になりました。こんなに楽しみにして、早く来てくれたのかと…)。残念なことに、出発してからも曇り、小雨を繰り返し、大涌谷でも小雨。ロープウェイに無事乗れたのはよかったけれど、下が見えない。それでも、下の景色を注意して見て欲しいという我々の気持ちに関係なく、学生達は自分を、あるいは互いを撮ることに夢中です。

一段落した頃、「先生、何も見えません」。それでも注意していると、黄色い大地がうっすらと見えてきました。煙も見えてきて、初めて「あれは何ですか」となる。事前授業の時に言ったでしょうと言うのはなし。あれとこれとが一つになってはいないので、よく状況が呑み込めていないのです。

到着後は皆、「黒たまご」買いに走り、寿命を7年か14年延ばして来たようです。聞くと、6個食べた学生もいたとか。…化石になってしまいそう…。「(卵を)茹でて食べる」という習慣がない国から来た学生もいたので心配はしていたのですが、食べなかった学生はいなかったようです。

それから桃源台へ行き、海賊船に乗りました。

今年の学生達も、きちんと時間を守ってくれて、本当に旅がスムーズに運びました。遅れてきたり、わけのわからない手間をとらせていたのは、休みの多い学生だけです。

毎日学校に来ていれば、日本人の習慣もわかります、説明しますから。1年目はアルバイト先でのことに関する質問が多いのですが、2年目の今は「卒業後」の指導を適宜入れていますし(日本の会社では、あるいは日本の大学ではめいたことです)、ニュースなどを通して、見聞も少しずつではありましょうが増えているようです。

何せ、まだ今年の12月に「N2」を目指すというような日本語のレベルです。教える教員は大変そうですが、それでも、私たちが授業に行ったときに、他国の大統領の話やら日本の異聞などを学生がチラとすることがあり、成果は着実に上がっているようです。これがあると、進学後も日本人と普通に話すことができます。

ところが、休みが多い学生は、結局、日本語のレベルが来日時と大して変わらないまま(来たときは母国で、ある程度やっているので、いい気になっているのが普通)、終わったしまうので、たまに学校に来たときに、「なぜみんながわかって自分だけがわからないのか」が理解できない。来ていなければわからないのは当たり前のこと。それすらわからないのかと思うのですが。

いくらこちらが指導しても、母国での習慣というのはなかなか変わるものではありません。毎日学校へ来て、教師の指導をその都度受け、そうして、やっとの変化なのですから。

昨日も、「いつも休み」のスリランカ女性が、最後にやって来て、駅で待っていた教員に「弁当を買ってこなかったので、スーパーで買いたい」。一緒についていくと(一人で行かせると、どれだけ時間がかかるかわかりません)、今度はお金がないからカードで下ろしたい。

皆が待っているところの近くにコンビニがあり、そこでお金を下ろし、弁当を買えば済むものを、わざわざ駅のところでやるという。しかも、選ぶのもダラダラ。途中、国の人間とスマホで話し続けている、彼女よりもずっと年上の教員を待たせて。

私なら怒鳴りつけてやりますけれども。もっとも、いつも学校に来ている学生は同じスリランカ人でもそんなことはしません。1年以上経っていれば、自分の立場もわかり、注意されれば、「ああ、そうか」とすぐに合点がいくくらいは出来るようになっています。

こういうスリランカにいたときのままの考え方でいる人は、自分の都合で人を待たせることが如何に迷惑かがわからないのです。しかもこの日は70人近くが彼女のために待っていたことになります。そして着くと、決まっていたバスではなく、もう一つ別のバスの方に乗りたいなどと言い出す始末です。

箱根から戻って、教員たちの反省会でこの話が出たとき、日本人は皆あきれていましたけれども。私はこのとき初めてこの話を聞いたのですが、旅行中、ずっと、いつも通りに平然としていた彼女が不思議でなりませんでした。ごめんなさいくらいは言ったのかしら。

彼女以外は、今年の学生達は、本当によく言うことを聞いてくれました。二年生が私たちの話を聞いたあと、一年生にもわかるように説明してくれていたのも、助かったことでした。

驚かされたのが、バスの中での歌のことです。例年、自分の国の歌を歌いたがり、マイクを離さないというスリランカ人が多いのですが、今年はそういうこともなく、バスでの歌は、1号車では、皆、学校で教えてもらった日本語の歌を皆で一緒に歌ったり、マイクを回して一人ずつ歌ったり、ハモらせたりしていました。2号車では、それのみならず、ユーチューブなどを利用して、自分の好きな曲を流し、それを日本語で歌った人もいたようです。

まさに時代は変わった感があります。来日前は、トヨタ、ホンダくらいしか知らなくとも、来日後は日本の文化に興味を持つようになった人が出てきているのを感じます。それが高卒者ではなく、大卒や短大卒であったりすれば、他の学生への影響も少なからずあり(ネパールもスリランカも、年長者のいうことを聞かねばならぬようですから)、彼らのおかげで、若い人たちも日本の文化に目覚めはじめているのかもしれません。

知っているのが「格好いい」と映れば、彼らはまねをします。

いろいろと考えることの多かった「箱根バス旅行」でした。

最後になりましたが、「キングツアー サクラ観光」のガイドさん、運転手さん、いろいろとありがとうございました。雨の中、バスに戻る学生ごとに傘をさしかけに走ってくださったり、バスの中では日本語がままならぬ学生達に優しく接してくださったり、教員一同感謝しております。

運転手さん、ガイドさん、4名の皆さんとも皆、顔見知りになり、2年目の学生は、ちょこっとあの人知っている、この人も知っていると私にささやきかけたりしていました。彼らにとっては得がたい経験、それを楽しい思い出にしてくださったからこそ、覚えているのでしょう。

この方々なしには出来ない楽しい旅行でした。
ありがとうございました。

日々是好日
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