日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

夏休みの一時帰国…。できれば、せずに頑張った方がいいのだけれども…なあ。

2018-07-11 08:23:03 | 日本語学校

晴れ。

昨夜も、熱帯夜だったそうな。窓を閉めれば、蒸し風呂。如何にうまく冷房を使っていくか…毎年のことながら…。

「世を捨てて 友だち 多くなりにけり  月雪花に 山ほととぎす」 
                             花道のつらね

今の世で言うと、この「世」は、何に相当するのでしょうか。とはいえ、忙しない世の習わしから離れてみると、この歌のような心は確かに、だれにも存在する。この気持ちが勝るか、世間と相変わらず交わりたいと思う心が勝るか。煎じ詰めれば、単に、ただ、それだけのことなのでしょうけれども。

相手が必要な人。つまり、比べたがったり、独占したがったり、支配したがったりする人。また、親切にしたがったり、感謝されたがったり、称賛されたがったりする人…。多分、そういう人は何らかの社会に属していた方がいい。

そうでなければ、どちらを自分が欲するか、これはそれを望む心の軽重次第。もちろん、どういう道を選ぼうとも、後悔というのは必ずあるのでしょうけれども。

さて、学校です。

夏休みの間に、大学の卒業試験を受けるため、一時帰国するという学生がいます。「日本に来て、日本語の勉強に明け暮れ、それで、合格するのかい」と、こちらの方が不安になっているのですが、本人はいたって暢気。「大丈夫です。合格出来ます」「そうか、そっちの国では、そんなもんかい」ということで、親からの帰国願いが出された時点で、「はい、どうぞ」ということに。

その他、結婚している女子学生(日本留学が決まってからの結婚です。彼等の国ではよくあることらしい。日本では、普通、留学を決めたら、結婚は延期か、止めになったりするものなのですが…。二人で行く場合は別ですけれども)が、帰りたいと…。

「そうですか。帰りますか。もう戻ってこないのですか」。そう、聞くと、びっくりして、「戻ってきます。専門学校へ行きます」と言う。「大丈夫かなあ」。これは毎年繰り返されることで、こちらも慣れてはいるのですが。

だいたい、国に帰ると、お金がなくなり(旅費、お土産等)、日本語は忘れ…(短くて3週間、長い時には休み中ずっとですから。時々、帰りの飛行機のチケットが取れなかったなどの理由?で、新学期に遅れてくる人もいます)で、にっちもさっちも行かなくなるものなのですが、それが、どうも判らない…らしい。

国に帰れば、金があるので、チヤホヤされるのでしょうが、戻ってくれば、同じこと。それに耐えられるのかな。

2011年の東日本大震災の際、この学校の学生も、大半が帰国しました。飛行機のチケットが成田では買えずに、新幹線で関西に行き、そこから帰国した学生もいました。そのころは中国人学生が多かったのですが、残った人はごくわずかでした。

帰国した学生のうち、一人だけ、「親が帰れと言うから帰るけれども、すぐに戻る」と言って帰ったのですが、彼女の場合は、戻るためのお金がなくなった…で、日本に戻ることができずじまいに。その他の学生達は、長くて1か月、すぐに戻ってきた学生もいました。

聞くと、「何もない…中国では、何も出来ない」。高校を卒業しただけの学生には、仕事もない…。あったとしても、日本のようにアルバイトで働いて、お金を貯めることなどできはしない…そう言っていました。

「日本は忙しかったけれども(彼女の場合は、アルバイトも勉強もよくしていました)、やることがあったし、自分にできることがあった。そして学費を貯めて、大学進学し、会社に入るという夢を現実のものにできると思えた。でも、中国にはなにもない…」。帰って、それが判ったのでしょう。親が特別金があるとか、力があるというのなら、別でしょうが、普通の家庭の人でしたから。

おそらく、現在の中国でもそうでしょう。大都市の大卒であっても、仕事にあぶれていると聞きます。まず何よりも、「人縁」。それがなければ、何もできない…。

帰国するという学生も、「ちょっとの間だけだから」という気持ちなのでしょう。もし、これがずっとであったら、…それでも帰国するでしょうか。

夏休みで決まるのだけれどもなあ…。勉強にしても、貯金にしても。

そのように、いくら言っても、イメージがわかないらしいのです。たぶん、彼等には判っいても、国にいる人達の方が、理解できないのかもしれません。彼等がアルバイトで得た金は、彼等だけのもの…とは、ならないのでしょう。

それに、アルバイトを28時間くらいしかしていなくても、彼等か、そういう人達にしてみれば、かなりの金を貯めている…と映るのかもしれません。使うなら、国でとなるのでしょう。

お金の使い方を間違えている…と思うのは、日本人という恵まれた立場にあるから言えることなのでしょうけれども、目先のことでなく、半年後、一年後、そして10年後を考えたら、今、一時帰国をするというのは、かなりのリスクがあるような気がするのですけれどもねえ。

日々是好日
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