日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

休み中、学校に来て、補講を受けなければ、上のクラスへ行くことはできません。

2017-08-31 10:37:42 | 日本語学校
時々、小雨。

台風の影響なのでしょうね。急にポツポツと降り始めたと思ったら、あっという間にベランダが水浸しになっていました。でも、それも一時的なこと。すぐに止み、自転車で出てきたのですが、途中、またパラパラと降り出し…。少し焦ったのですが、まあ、濡れても、却って、気持ちがいいくらい。なんということはありませんでした。きょうは一日中、いつ雨が降り出してもおかしくないような天気ということ。気温がグッと下がっています。

とはいえ、途次に見かける草花は、どことなくよそよそしく感じられます。強烈な「陽射し」がないから、色褪せて見えてしまうのでしょう。同じ草花でも、夏のものらしく見えないのです。このまま、秋に入っていくのでしょうか。

さて、学校です。

「4月生」と同じクラスに入れようと思っていた「7月生」が、昨日フラリとやって来ました。友達が来るから一緒についてきたという感じで。

上のクラスに上げる条件というのが、休み中、来られるだけ学校に来て勉強することでした(休み前の約束です)。もちろん、彼女が来れば、足りない部分をこちらがサポートしなければならないので、こちらも忙しくなる。それを覚悟の上で、頑張って来るように言ってあったのですが。

やはりだめでしたね。休み中、一回だけ、木曜日に来て、勉強し、また明日、来ると言ったのに、それからは音無し。何の連絡もなしに、結局は休みが終わろうとしている昨日、友達に付いてきた…これじゃ、無理ですね。訊くと、彼女曰く「アルバイトがあったから」けれども、前に、他の学生に訊いたときに、彼女のアルバイトは2時からだと言っていたので、結局はできなかった…だけなのでしょう。

「漢字は自分で勉強した。もうできる」と言ったけれども、前(一度来たとき)に見たとき、書き順もおかしかったし、どこを見て、何を注意したらいいのかも判っていなかった…、まあ、これは当たり前のことですけれども。

おそらくは軽く考えていただけなのでしょう。国ではそれで十分やれていた、だからそうしただけ。学生達のほとんどは、先進諸国から来ているわけではありませんから、実際のところ、こういう学生は少なくないのです。我流でもやっていけるくらいのことしか、教えてもらっていないのです。教科書以外にも必要なことは教師が付け加えていく、だから授業に出なければ、成績にしても知識にしても、差が広がっていく。その上、出来る学生には、どんどんハードルを高くしていくというような授業も知りませんから、我流で泊まってしまい、伸びていかないのです。せっかくのチャンスだったのに、もう休みは終わります。チャンスが生かせなかったのだから、それなりの進度でやっていくよりほかありません。

特別に見てやってもやらなくても、高を括っていれば、いつかは落ちていくでしょう(国で30課くらいまではやって来たようです)から、こちらが手間暇かけてやってやる必要はないのです。ちょっと残念でしたが、しかたがないことです。本人が来ないのですから。

まあ、彼女の勉強を見てやらなくて済んだ分、休み中、学校に来て勉強している二年生に力を注ぐことができました。

留学生達は、よほどのことが無い限り、ベトナム人の場合では、『みんなの日本語Ⅱ』の、35課か、36課くらいまでは大丈夫なくらい勉強して来ているのです。申請時の約束では、必ず「50課」まで、つまり、『みんなの日本語Ⅱ』までは終了させておくことだったのですが、学生達は申請が通った段階で、そこから先の課はいい加減になってしまうようで、たいてい来日したとき訊くとこう言うのです。

「50課までやりました。でも、大丈夫なのは、35課か36課くらいまでです」なかなか正直でよろしい。ただ、勉強して来てはいるものの、来日後、同程度の試験をしてみると、差は出てきます。400点満点で300を超える学生は半分ほどに過ぎません。300を超えていれば、前の期(7月生なら4月生)の学生達(だいたい、そのときには一冊目が終わっているくらい)のクラスに入れます。至らない学生は、もう一度ということで、第一課からやり直させます。母語でやっていても、できるようにはなっていないわけですから、日本人の教師の説明がそのまま理解できるとは思えません。それで、日本人教師の説明する日本語がわかるように、ヒアリング力をつけるために、そうしているのです。

「母語で教えてもらったとき、判った」という学生でも、始めの頃は、日本人の言葉が聞き取れず、苦労します。例えば4月生はもう4ヶ月ほどを私たちの説明を聞いているわけですから、文法用語もその他の説明も全て日本語で聞くのに慣れているのです(真面目に勉強している人はですが)。しかも、来て1か月、(来日後)初級の12課くらいまでしかやっていない人が、30課からの文法が判ったとしても、口頭練習が出来るとは限りません。たいてい出来ません。

実際、彼女も一度来たとき、口頭練習ができませんでした。ついていけず、反応できなかったのです。説明しても、変化させる部分が2、3あったり、それプラスの新しい文法であったりすると、わからなくなるのです。これも、初めてであれば無理からぬこと。それゆえ、休み中、少しでもついていけるように、できるだけ、学校に来るように言っておいたのです。

夏休みは1か月近くあります。もちろんアルバイトはしなければ干上がってしまいますから、せねばならない。けれども、暮らしているのは、寮。寮は、学校まで自転車で5分くらいの所にあります。午後からのアルバイトであったら、少なくとも、週に二回ほどは来る気であれば来られるはず。一人で勉強したから大丈夫というのは、外国語の勉強の場合、ありえません。だいたい、そういうことができるような訓練も受けていないのです。本を見た、単語を覚えたで終わりのはず。外国語を習得するには(日本に来ているのですから)まずはヒアリングですし、30課に至るまでに、教師が配ったプリントも5枚、10枚ではききません。

(休み中に来たら)説明しながら必要なプリントは渡し、一人でできるところはさせ、出来ないであろう所はこちらが教えるという形でしていくつもりでした。それが出来なかったわけですから、上のクラスに行っても、ポロポロと穴が空いて、結局は「判らない、もう一度」ということになってしまうでしょう。

何事によらず、基本が大切。また約束したことを守るとか、言われたとおりにできるということも、能力の一つです。日本に来ているのに、自分の国でやっていたのと同じようにやればいいと思っているようでは、先が思いやられます。まずはそういう考え方を改めていけるかどうかでしょうね。

本人はもとのクラスに戻るように言われて、ショックだったようですが、これに懲りて、我流というか自分の国でやっていたようにやればいいという考え方を改めてほしいものです。それは通用しませんから。そうすれば、今は無理でも来年の4月、あるいは9月か10月に上のクラスに行けるかもしれません。

努力する学生、やる気のある学生、学習の上で、他の学生の(上のクラスの)迷惑にならない程度に出来る学生、そういう学生にはいつでもチャンスがあるのです。

日々是好日
コメント
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