日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「アルバイトをしながら、学校に通うのは大変…。」

2014-02-26 08:47:01 | 日本語の授業
 暖かい朝です。今にも桜が咲き出しそうな、そんな感じの朝です。のんびりとした、おおどかな気分…になってきます。

 と、書き始めたところで、玄関で靴音がしてきました。…アルバイトが終わってから来ていた学生は、もう大学が決まったから来るはずもなし…と思いながら待っていると…彼女でした。

 ビザの更新の手続きで来たと言います。上の自習室へやり、他の教員が来るまで待たせておきます。

 早く来て、早く帰りたいのは判るけれども、私も朝が一番仕事が出来るのです。もちろん、早く来てしまえば、いろいろな雑用もしてしまいますが、まあ、そんなことは本来なら、若い人たちが来てからすればいいことなのかもしれません。多分、これはどこの会社でも学校でも同じでしょうが。

 彼女はおとなしく、上へ行きます。タウンワークの雑誌を持っていましたから、それを見ながら待つつもりなのかもしれません。

 日本語学校に二年ほどもいますと、ある程度真面目にやってきた学生たちは、「非漢字圏」出身であっても、こういう雑誌が読めるようになっています。友人・知人を頼り、探してもらうのではなく、自力で探し、電話し、面接まで出来るようになっているのです。

 ただ、こうは言いましても、時々、勉強する気のない者が紛れ込んできます。それでも、最初から、そういう気分をプンプンさせている者は稀で、三ヶ月ほどは、しおらしい様をしているものなのですが。

 とはいえ、そういう態度を取っているうちに、日本では、日本語が出来なければ、仕事が探せないということに気づき、急に勉強を始める人も出てきます。そして、それが、ある程度、日本語が使えるようになりますと、面白くなったか、あるいは世界が広がることに気づいたかして、そのまま懸命に勉強を続けたりすることもあるのですから、(こういう人であっても)侮れません。

 もっとも、留学生の多くは、最初は、日本語を勉強して、大学に入りたいという希望を持って来てはいるのです。ただ、異国で、アルバイトをしながら、勉強するというのに、耐えられないのです、つらくて。だんだん、学校が付け足しのようになってしまうのです。

 これを責めるのはたやすいことです。しかし、彼等の大半は、母国では親に「おんぶに抱っこ」で、育って来た人達です。自分で掃除や洗濯、食事作りなどをやりながら、勉強するのだって大変なのでしょう。それなのに、アルバイトまでしているのですから。

 日本での給料は、たとえ、アルバイトであっても、彼らの国の基準から言えば、かなり高額になります。親の給料の数ヶ月分であったり、ゆうに越えていたりするという場合だって少なくないのです。

 親から見れば、そんなにとっているのだから…と、なるのでしょうが、彼我では、生活費が全く違うのですから、一概に多い少ないを判断することはできないのですが、それを説明できないのでしょう。

 もしかしたら、言っても判らないと思っているのかもしれません。彼等自身、母国にいる時に、人から(彼等の留学経験、乃至アルバイトのことを)聞いて「えっ、そんなにもらえるのか。それなら何でもすぐにできる」くらいに考えて、一石二鳥(外国に行ける。しかも、日本語を学べば、大学にも行けるはず)を狙っていたのかもしれませんし。

 正確な情報というのは、なかなか伝えにくいものです。

 ベトナムの日本語学校に行くたびに、口を酸っぱくして(日本での生活の苦しさ、その中で勉強していかねばならないことの大変さなど)言っていますし、また、在日の経験のある人がそれを通訳してくれたり、語ったりしてくれるのですが、如何せん、そういう人は往々にして、国費留学生であったり、かなり恵まれた環境にあった人であったりして、本当に伝わっているのかなと(懸命に通訳してくれている人の顔や、留学希望者の表情などを見ながら)どこか一つ、はっきりしないこともあるのです。

日々是好日
コメント
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