日本語学校からこんにちは ~水野外語学院日本語科~

TOKYOベイエリア,市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「五月晴れ」。「初めての教室で」。「『人を育てる』ということは」。

2009-04-15 07:22:23 | 日本語の授業
 今朝は、少々早めながら、「五月晴れ」とでも言いたくなるような、すばらしいお天気です。
 昨日、午前中は、お日様が差し、「あれ、また天気予報が狂ったかな」と思わせたのですが、昼過ぎ頃から、ポツリ、ポツリと、雨が降り始めました。夜の間中、降っていたようでしたから、久しぶりの重たい雨で、草木は充実したのでしょう。今朝は、雨水を含んだ緑が、生き返ったように潤んで見えます。

 さて、昨日は、大方の新入生にとって、初めての授業でした。しかも、昼頃に二名(全然日本語が分からないというタイ人とインド人)、在校生が友達を連れてきたり、市役所から紹介されて来たりで、教員室は、相変わらずのてんやわんやです。
 在校生が来ては、
「先生、教科書のお金…」
「先生、学費…」
と言いに来るのですが、この様を見て、
「また、後で来ます」
と、教室と職員室を行ったり来たり。それでも、慣れているのでしょう。ちゃんとみんな、帰りまでに払ってくれました。

 また、早めに来日していた学生達から、
「先生、私のスリッパがありません」。
で、大急ぎで、「Dクラス(『初級Ⅰ』第一課から)」へ直行です。すると、在日生が連れてきたタイ人青年の足に彼のスリッパが…。

 「それは、私のです」と、「Cクラス(『初級』第二十三課)」の学生(彼も一週間ほど前に来たばかりです)が、言うのですが、全く日本語が分からない青年は、首をひねるばかり。直ぐに彼を連れてきた在日生が、事情を説明すると、申し訳なさに消え入りたげな表情を浮かべ、大きな身体を折るようにして、タイ式の謝意を必死になって表していました。
 この青年、大きいし、太っているし、耳に大きな輪っかまでつけているしで、見かけは強面で悪かったのですが、謝る時は、赤子のような表情になっていました。

 新しい人達が来ると、三ヶ月前と同じことが繰り返されます。教室をきれいに使う。ゴミは持って帰る。ゴミを捨てる時は、分別する。使ったものは元に戻す。帰る時は椅子をたたむ。また、トイレの使い方など、一から説明していかねばなりません。

 そのたびに思うのですが、在校生達は、この期間に、そういうことができるようになっているのです。多分、こういうところに来ていない在日の人達は、日本人と暮らしていない限りは、何年、何十年、日本にいようと、相変わらず、自分の国の尾っぽを引きずっていることでしょう。自分の国とは異なった環境にいながら、自分の国にいた時と同じような行動をとっていれば、日本人とはなかなか馴染めないでしょう。

 私たちにしても、「日本で、どうにかやっていこう」、あるいは「やっていかねばならない」と思い定め、ここにやって来る人でない限りは、そういう指導は行えません。お金がかかることですし、ここは、本来、日本の大学や大学院へ進みたいという外国人を対象に作られた学校なのですから。日本語の勉強、そして、「留学生試験」や「大学入試」、「大学院に進むための指導」などだけでも、大変なのです。が、「地域の手助けも、出来る範囲で行うべきだ」という考え方から、在日の方達にも、来てもらっています。中には、勉強しているうちに欲が出て、大学院へ進みたいという人もいます。また、学生達にとっても、そういう本気で勉強したいという人がいることは励みにもなるのです。その上、いろいろな国の人とも友達になれるのですから。

 もう少し経って、五月になると、今度は「横浜散策」に出かけます。在日の方の中には、弟や子供を連れてきたり、中には親戚まで連れてきたりするので、人数が一挙に増えることもあります。みんながみんな、日本語が上手というわけではありませんが、それなりに楽しく、ひいては、日本で暮らす術を伝えることにも繋がります。
 ただ、人数が増えると、引率していく方は大変なのですが、そこは、古株の先輩達が、先生方のお手伝いを引き受けてくれます。自分たちが、前に私たちの指導を受けたように、
「日本では、そういうことはしてはいけないのだ」
と押さえたり、
「歩く時はこちら側を」
などと言ったり、切符の買い方を教えたりしてくれます。

 そういう時、本当に、「『人を育てる』と言うことは、自分たちを『助けてくれる人』を育てているのだ」ということに、改めて気づかされます。
「人を育てるのは、自分のため、学校(機関・会社・地域)のため、ひいては、社会のため」というのは、古くからの日本の哲学ではなかったでしょうか。「商い」の道においても、「学問」の道においても、また、単なる「人付き合い」の道においても。

日々是好日
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