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『世界共和国へ』 (その46)

2016年12月12日 | O60→70(オーバー70歳)
【220〜221ページ】
19世紀を通じて支配的であったのは、ヘーゲルのような考え方(理性の狡知)です。つまり、「世界史的な国家」たらんとする大国の覇権争いが続いたわけです。その結果が第一次大戦です。しかし、それがカントの平和論を甦らせた。すなわち、カントの理念(自然の狡知)にもとづいて国際連盟が形成されたのです。これは大国アメリカが批准しなかったため無力で、第二次大戦を防ぐことができなかったとはいえ、人類史においては初めての偉大な達成です。しかし、これは世界大戦を通して、つまり「自然の狡知」によって達成されたのです。
第二次大戦後に結成された国際連合は、国際連盟の挫折の反省に立っていますが、やはり無力です。国連はそれを通して有力な諸国家が自己の目的を実現する手段でしかない、という批判があり、また、国連は独自の軍事組織をもたないため、軍事力をもった有力な国家に依拠するほかない、という実情があります。

(ken)昨今は、世界各地で「分裂・抗争」の様相を強めています。第二次世界大戦直後から、長い年月をかけて形成されてきたEUも苦悩を深めており、世界帝国の再出現についても、日々の報道の中でますます現実味を帯びていますね。だからこそ、カントの自然の狡知(統整的理念)に立ち返る必要があるのですね。(つづく)
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