肝臓病と共に生きる人たちを応援します

肝臓友の会との関わりで成長した肝臓専門医のブログです。2017.2.12より新規開始しました。

インターフェロン情報

2009年03月08日 | 学会研究会報告新聞記事など
先日インターフェロンの勉強をしてきました。

○ガイドラインの改訂点 72週までがくわった
再治療は、AFPの改善が加わった。
HCVウイルス遺伝子変異(coreとかNS5Aなど)、リアルタイムPCR(タックマン法など)を参考にと言うのが入ってきた。

72週間の基準。
12週後に前置の100分の1に低下するが陽性、36週までに陰性化すること。都道府県によって違う。緩いところもあるので。
東京は厳しくなっている。記載を要求するようになった。追加の申請用紙を書くことにした。

○再治療 カイザー試験 併用療法で治らなかった人ペグレベ、ペガコペ含む
ペガコペで72週してみたところ
対照群は若い、8割がgenotype 1 タックマンで評価
24週で92%消えているが、72週では下がる(ブレイクスルーと中止) 50%にSVR
再治療が効いていることを示している。

12週で陰性化した場合の予測 43%が陰性化していたがそのごSVRが93%
12週で陰性化しない場合は、SVRは18%

○IDEAL Study
ペグレベとペガコペの比較をしていた。
平均年齢47才若い SVRはさがないといわれている。
ペガコペは再燃率が多い、しかし、それは、ウイルス陰性化が多いので再燃が多いと読める。良く効いているから多いとも言えるのでは

○医師主導式 MISTスタデイ 無作為 イタリア
ペガコペとペグレベ比較
年齢は57才日本と似てる 肝硬変が20%入っている、貧血はレベトールが多かった、量が多かったためかも(添付文書通り)
ペガコペの方が効果があるという

○日本で組んだ試験 途中経過
122例ペグリバの前治療はのぞいた
ペガコペ60例
ペグレベ61例
延長投与も認めた試験、タックマン法でしらべた、4週、8週、24週時点では、ペガコペがウイルス陰性化が良かった

○タンパク合成阻害薬について
Telaprevir(テラプレビル)はどうか
12週服用してどうなのかっていう試験 RVRはテラプレビルが入った方がいい SVRはリバビリンを後
につけた方が効果がいい。
皮疹が多い、リバビリンも抜きたくなるが、しかし抜くと効果が下がる
24週使うと
テラプレビルとペガシス
12週つかってペガコペ
再燃例に絞ると まだデータが出そろっていないので治療後12週のSVRでは72%
前回がウイルス消えていないと効かないという傾向かもしれない

なぜ効かないのか ウイルスが消えない場合の機序
HCVの蛋白合成酵素がIFNの発動のしくみをブロックしていることから効果が出るのだろうと

反応がない人は、IFNの発動の仕組みが弱いのではと

○Alinia ニタゾキサナイドnitazoxanide アメリカで治験が行われている。
インターフェロンαの燐酸化の誘導でIFN活性が増強される。
単独でも17%がSVR 飲み薬だけでということになりびっくりと
先にAliniaだけのませて、ペガシスコペガスを併用、既治療と未治療でしている。貧血も少なくなっている。
他の副作用がないということが期待されるところ
3例1型がいたが、すべてSVRとなっていた。

STELTH3試験が始まっている0903月時点
Alinia4週後併用

○サイクロフィリンとCsAが注目されている
シクロスポリンがサイクロフィリンの働きをブロックすることが効くとウイルスにとっては アミノ酸配列の折りたたみをきちんと起こすことが大切
これを異常な折りたたみを起こすことが、宿主側の効果を引き出すので、ウイルスに関係なく効いてくれるのではないかと

サイクロフィリン阻害薬 DEBIO-025 
29日でウイルスがどのくらい減るか
600mg入るとウイルスが4ログ(1万分の1)以上低下する
1000mg入ると黄疸が出やすくなる。原因はよくわかっていない。代謝の問題か至適量を模索している

ペガシス
好中球はコペガス併用の方が下がりやすい
血小板は単独の方が下がる(中止基準もちがうので一概には言えないかなと)

○ペガコペタックマンで測定した場合 高齢者は24週すぎるとウイルスの陰性化が多い

ペガシスがペグイントロンより副作用が少なく患者さんが楽であるということが、コンセンサスが得られているのを実感しました。自分が感じていることを他の先生も感じているのだなと思いました。

第20回 北海道門脈圧亢進症研究会 in 札幌 行いました

2009年03月08日 | 学会研究会報告新聞記事など
全国でも門脈圧亢進症研究会という形は、珍しいとのことで、私も関わってきて、あちこちにあると勘違いしていた部分があるのですが、北海道は熱心な地区といえると聞いて、ちょっとうれしくなりました。

食道や胃の静脈瘤の治療については、教科書的にある程度完成してきているので、もうシンポがないと思われがちですが、手術する医師の手技の完成に要する時間は症例数が多い場合でも3年以上を要するという息の長い鍛錬が必要です。治療に悩まれる場合は是非、経験豊富な北海道門脈圧亢進症研究会の先生方に是非相談して頂ければ相談に応じてくれると思いますので、技術の向上を目指してこれからも頑張って行きたいと思います。

12題の演題の発表と活発な質疑応答がなされ、とても有意義な会で有ったと思います。
内容も、食道胃静脈瘤から、十二指腸や大腸の静脈瘤、腹水の治療としての腹腔静脈シャントの報告、部分的脾動脈塞栓術の日常の経験からの疑問など、出来上がった手技としての報告のみならず、現在、悩んでいる手技について、出席の先生方から様々な質問や意見がなされ、私自身とても勉強になりました。

高瀬先生の特別講演では、内視鏡的塞栓術開発と現在の治療方針ということで、講演をして頂きました。胃静脈瘤に対するEVLでのチャレンジがわかりやすく、非常に悩んだ患者さんから、学んだことをが今の治療方針につながっていると話していました。安易にEVLですべて大丈夫と言えないのが、きちんと血行動態を把握して可能な医師がすべき手技と示していたのがとても勉強になりました。ヒスタクリルの危険性が除外できないので、EVLの可能性を追求してるという感じもしました。
食道静脈瘤の塞栓術の開発の経緯の話は、いろんな苦労があったことが伝わってきました。こういった新しい治療法がでるときには、かならず、既存の治療をしている考え方がの人たちが批判するのは当然であり、しっかりと言い治療であるならデータを出していけば日の目を見ると、患者さんの協力も不思議な縁であることも話されていたのが印象的でした。

来年は、2010年3月6日土、同じ会場を予定してます。参加のほどよろしくお願いいたします。