○と●が繰り返される日々の中、
男はどこかで希望を拾い上げるときに、
両手いっぱいに抱えていた夢を落としてしまった。
要を失った心は乱れ、
重心を欠いたそれは、
草木の葉を揺らすか揺らさない程度の風にさえ煽られている。
転がり続ける意志は、
白い蝶に誘われ、
花畑に辿り着いた。
そこには白か黒の花しか咲いていない。
それは、
男がいつからか咲き乱れる花を白か黒かでしか見分けなくなったから。
どこからどこまでが現実なのかわからず、
自分が生きているのかどうかも曖昧で、
亡霊のようなため息を漏らす。
そうして、凋落の季節が始まった。