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遺影写真家

2009年12月05日 | PhotoPiece @ GANREF
管理人の趣味の1つでもあるカメラで、デイサービスにお見えになる方々の誕生日カード用の写真を撮っています。
自宅では見せないその笑顔、介護という仕事を通してこの笑顔につながるようなありがとうを目指しています。

そんななか、先日、能津喜代房さんという“遺影写真家”の新聞記事を目にしました。
皆さんは『遺影』と聞くと、とても暗く、寂しいイメージが浮かんでくると思いますが、『遺影』は、一般的に生前の写真のなかから使えそうな写真を遺族が選びます。
適当な写真が見つからなかった場合は、集合写真などから画像処理で顔の部分だけを切り出し、引き延ばしてから喪服の体に合成し、背景をベタで潰すなどして遺影を作り出します(なのでボケていたり、喪服との違和感が出てくるんですねぇ)。


(能津喜代房さん)

能津さんは、当時有名な広告カメラマンで、業界では素晴らしい地位を確立していた方だそうで、そんな能津さんが広告業界から身を引き、“遺影写真家”として中野に“素顔館”という小さな写真館をオープンさせました。
「ちゃんと(『遺影』を)撮ってあげればよかったなぁ」と感じた能津さんは、すぐに両親のもとへ行き、「遺影を撮らせてほしい」と両親に言ったそうです。

能津さんの遺影写真は、「これって『遺影』に使うの?」と思うぐらい、「遺影」という暗いイメージは全くなく、その人の最も自然な笑顔、かしこまった証明写真のような堅いものではなく、家族が普段から目にしている自然な表情がそこには写っていたのです(カラーの遺影を見たときも驚きましたが、能津さんの撮った『遺影』はこれまでの概念を覆されました)。

実は管理人にも、この記事を見る前にこんな経験がありました。
いつものように利用者様の誕生日カード用の写真を撮り、帰りの送迎時にご家族に誕生日会を開き、カードをプレゼントした旨を伝えると、その写真を見た瞬間、「デイサービスではこんな表情なんですか!?自宅では一度も見たことがありません。出来れば、この写真をもう1枚いただけないでしょうか?」と申し出がありましたと送迎スタッフから聞き、「もしかして『遺影』に使いたいのかなぁ」という思いがよぎりました。
そんなに喜んでくれたならと思いもう1枚用意してご家族にお渡ししました。

はたしてその写真が本当に『遺影』に使われたのかは分かりませんが、それから「その人らしさ」のある誕生日カード用の写真が利用者様達から好評を得ています。
能津さんが地位と名誉ををなげうってでも“遺影写真家”という道を選んだ気持ちも分からなくもないなぁ~と思います。

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