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西武鉄道 3000系電車

2011-02-25 20:58:13 | 電車図鑑・私鉄電車(関東)
老朽化した旧型車両の置き換えのため、池袋線用の新車として登場したものである。
昭和58年~62年にかけて8両編成×9本=72両が製造された。
製造を担当したメーカーは東急車輛と西武所沢工場である。
編成の組み方は第1編成の3001編成を凡例に池袋線飯能側(西武新宿線西武新宿側)から
順に以下の通り。

クハ3001(奇数)+モハ3101(奇)+モハ3102(偶数)+モハ3201(奇)+モハ3202(偶)+※
※+モハ3301(奇)+モハ3302(偶)+クハ3002(偶数)

形式上はクハ3001形とモハ3101形の2形式だけであるが、中間車のモハ3101形は
搭載機器や連結位置の違いで車番を分けている。
このうち、主制御装置・パンタ付きのモハが全て奇数車で3101、3201、3301、
コンプレッサー、電動発電機など補助機器付のモハが全て偶数車で3101と3301である。
モハ3201の偶数車は補助機器の搭載が無く、床下は最低限の機器しかないため、
あたかも「サハ」の様にしか見えないが電動機を積んでおり、しっかりモーター音は
聞こえる。

車体は鋼鉄製で新101系・301系に準拠したデザインを採用している。
違いは正面の窓周りが一体化して黒く(黒に近いこげ茶)塗りつぶされたことで、
新101系のような「パンダ」顔というより「タヌキ」顔になっている。
行き先表示・種別表示は電動の字幕式で、西武鉄道では初めて車体側面でも
種別・行き先表示幕を設置した。
塗装は西武イエローで窓周りをベージュで塗っていた(高性能車を示す)が、
後に旧型車の引退したことと、保守作業の簡易化のため、イエローのみ一色に
塗り替えられた。
ドアはステンレス製無塗装となっており、正面のステンレス飾りと併せ、
外観上のアクセントとなっている。

車内はロングシートで背もたれと座布団の間にFRP形成物を挟んだ独自のものを
採用している。
袖仕切りはパイプ式で、ドア側の座布団を保護するため、斜めに傾斜している。
窓は2連2段式のユニット窓で、上下段上昇であるが、側面方向幕下の上段だけ、
下降式となっている。
ドアは片側3箇所で全て両引き戸である。
既に新宿線で4ドアの2000系が運用中であったが、本形式は池袋線への投入が
前提であったため、敢えて3ドアとなった。
これは本形式製造当時の池袋線は池袋~所沢間でまとまった乗降があるのが、
その両端の駅だけで現在のように練馬や秋津での乗り継ぎ需要が少なかったため、
むしろ始発となる駅からの着席サービスを優先させたためである。

主制御装置は界磁チョッパ制御を採用し、ブレーキは回生ブレーキ併用電気指令式
空気ブレーキである。
これらの機器は新宿線で導入されていた2000系電車と同じであるが、ブレーキの
シークエンスなどに違いがある。
運転台は他の車両と操作を同じにするため、ツーハンドルである。
台車は西武鉄道標準の軸箱支持をペデスタル式としたダイレクトマウント式
空気バネ台車、駆動方式を中空軸平行カルダン駆動である。

登場以来、池袋線専属であったが、平成4年より4編成を新宿線に転属させている。
この際、新宿線移籍車は方向幕の交換を行っている。
池袋線所属車も平成9年に実施している。
平成16年からは正面下部へのスカートを設置し、平成19年までに全車で改造を
終えている。
また、平成20年より方向幕の再交換を実施し、種別・行き先ともローマ字併記のものに
変更され、種別のものは各種別の色も変更されている。

運用については、池袋線と新宿線の8連の専用ダイヤで運行されている。
これは本形式が他の形式と連結する機能を有していないためである。
池袋線では主に池袋~豊島園・保谷・清瀬・所沢・小手指・西武球場前方面への
各駅停車と、一部の優等列車、新宿線では西武新宿から同線系統の各駅停車や
優等列車に就いている。
この他、臨時列車として西武秩父線への乗り入れることがある。
西武秩父線は連続して急勾配が続くため、本形式のような回生ブレーキ車の乗り入れは
原則、制限されていたが、平成19年に吾野と正丸にある変電所で環境配慮型蓄電装置が
導入され、回生ブレーキの常用が可能になったことから、同区間での運用も
可能になった。

その後、平成22年に3005編成と3007編成がモハ3201形のユニットを抜き取って
6両編成に組み替えて国分寺線に転じた。
抜き取られた車両は本形式で初めて廃車となり、解体されている。
6連車の編成の組み方は以下の通りである(3005編成を例とする)。

クハ3005+モハ3105+モハ3106+モハ3305+モハ3306+クハ3006

現時点で2本のみの組み換えであるが、他の編成の今後の進退については不明である。



○スカート付きになった編成。これは字幕変更前。
 現在は全てこのスタイルになっている。


○車内。背もたれと座面が独立した独自の座席が特徴。


○運転台。西武ではオーソドックスなレイアウト。


○新宿線所属の3013編成。一時期ヤクルトの広告電車になっていた。方向幕交換済み。
 この編成は通常塗装に戻されたが、3015編成と3017編成が東京富士大学の
 広告塗装になっている(平成21年~23年まで3015編成。平成23年以降は3017編成が
 担当)。



○平成21年5月より運行を始めた「銀河鉄道999」装飾車。
 上が池袋側でメーテル、下が飯能側で車掌さんがそれぞれ描かれている。
 側面にも999のキャラクター(メーテル、星野鉄郎、車掌)が描かれている。
 これは練馬区の町おこしのため、同区に住まう松本零士がデザインしたもの。
 なお、大泉学園駅の名誉駅長も「999」の車掌である。


○埼玉西武ライオンズの応援装飾塗装になった3015編成。
 反対側のヘッドサインは、小さいヘッドマーク形になっている。


○恋ヶ窪駅を発車する国分寺線に転属した3005編成。中間車のモハ3205+モハ3206を
 引き抜いて6連になった。


○6連になったクハ3005号の運転台。車号がオレンジ色になり、速度計の横に
 「6」と書かれたステッカーを貼った。


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