息をするように本を読む

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と、なんだかだらだら日常のことなども

人形館の殺人

2014-02-12 12:19:48 | 著者名 あ行
綾辻行人 著

「館シリーズ」である。
京都を舞台に、過去の記憶と現在の殺戮者に追い詰められる主人公を描く。
古い館であるが、主人公の住まいと隣接した洋館アパートと土蔵があり、
町中でもあるので、あまりおどろおどろしさはない。

館の主は飛龍想一。画家であるがその絵を売ったことはなく、鬱傾向がある。
養母とともに父が残したこの館に転居してきたが、それから不審な出来事が起こる。
一癖あるアパートの住人達。実直な管理人夫婦。
暮らしには困らないものの絵を描くこと以外になにもない想一を時折襲う
幼い日の記憶は、かけらしかないのに悲しみと恐怖に満ちている。
差出人のわからない手紙、嫌がらせが続いたあと、不審火によって母屋は全焼し、
養母は亡くなる。
アパートに引き移った想一は見えない敵にさらに追い詰められていた。

これはシリーズ中でも異色の作品らしい。
つまり評価も好みも分かれるということだろう。
著者の作品はかなり好きなのだが、私にとってはこれはちょっと残念な部類だった。
というのがオチ。
はりめぐらせる伏線と登場人物たちに期待いっぱいでワクワクしていたのに、
これは反則だ~!
意外性がいいとか、たったひとつのトリックにまとめたのがスゴイとか、
そういう意見も分かるけど、でもやっぱりちが~う!

ということで個人的な感想はこんなものなのだが、著者の力量は素晴らしい。
読みごたえはある。

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