みゆみゆの徒然日記

日本の伝統芸能から映画や本などの感想、
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『のぼうの城』

2010年10月26日 | 本・マンガ
和田竜/著

 野村萬斎主演で映画化されるということで興味を持って以来ずっと読もうと思っていました。(その前からも話題の作品でしたしね。)そして最近文庫化されたのを購入して読みました。正直に申しまして、不勉強なので、この小説の舞台である忍城が石田三成の水攻めに耐えた城という史実を知らず・・・ですが、それが故に真っ白な状態で読むことができました。映画化ということも関係しているのでしょうけれど、芸能人のコメントなどによる持ち上げ方が多少大げさかなというところはありましたが、読みやすい時代小説で、重厚さよりもエンターテイメント性重視という感じかな。途中、ちょっとだらけてしまいましたが(自分が)後半がとても面白くて一気に読み終えてしまいました。でも上下巻に分けなくてもいいような・・・。

 水攻めなど度派手な戦略の合戦モノなのかなと思いきや、戦そのものよりも(もちろんこちらも面白いのですが)、主人公である長親や周りの家臣たち、敵である石田三成のキャラがとても魅力的でした。『のぼうの城』の“のぼう”とは何だろうと思ったのですが、「でくのぼう」の略。大きくて、無表情で、農作業が好きなのだけれど、わざとしているのかというくらいに役に立たない・・・。でも領民たちだけでなく、甲斐姫までもが惹きつけられる不思議なキャラの持ち主。そして物語も終盤になると、読んでいる私もどんどんその魅力にはまってしまいました。
 この原作の“のぼう様”の描写を読む限りではとてもじゃないけれど、この対極のキャラクターであろう野村萬斎は思い浮かばない。まず身軽、頭もキレる、器用、そして何よりも背が高くない(失礼!)など、のぼう様とは程遠い(爆)性格的なものは表現はなんとなく似合いそうな感じはするけれど何で萬斎なんだろう?と思ったのですが・・・・なるほど!!!!田楽シーンがあるからなんですね!三番叟的な動きなのかな?映画化の際はこのシーンもいろいろな意味で重要になるので、楽しみです。そして、イメージが違いすぎる萬斎のぼう様はどうなるのか?の方が気になります。