はと@杭州便り

中国杭州で仕事&子育てしているはとぽっぽのページです。

教師の職も金次第

2013-01-31 17:06:16 | その他
春節まであと2週間を切り、学校は冬休み。期末試験を終えたばかりのイーファンが我が家へやってきた。

杭州でのイーファンは
お母さん(二姐)の美味しい手料理をいっぱい食べ(いつもは祖母の作ってくれるおかず一品とご飯だけ)、
溜まりまくった疲れを癒すためにお風呂に入り(いつもは週に一度くらいしか風呂に入れない)、そして思う存分朝寝坊をして(いつもは朝5時代に起きて登校しなければならない)、ユキとも遊んでくれ、そして時には家事も手伝ってくれている。

相変わらず勉強は頑張っているようで、前学期は学年40位台だったのが、今学期は20位台後半まで上がってきたと話してくれた。
でも、期末試験の一日目。担任の先生がイーファンのところへきて、小さな声で
「今学期、あなたは『三好学生』に選ばないから。」と言われたそうで、落ち込んでいる。
担任の先生は一年生の時からの持ち上がりで、成績の良いイーファンのことを何かと気にかけて励ましてくれている先生なのだ。
前学期も『三好学生』に選んでくれたし、今学期は前学期よりももっと頑張って順位も20位近く上げたから、先生はきっと選んでくれるんじゃないか、と思っていた矢先のことだった。
選ばれなかった理由は聞かなくてもわかると言う。
同じクラスの友達が先日、イーファンにこう言ったそうだ。
「週末、お父さんとお母さんと一緒に先生の自宅を訪ねて、お父さんは先生に4000元(約6万円)渡していたの。先生、すっごく嬉しそうに受取ってたわ。先生はお金が大好きなのよ。」

その子は成績は大したことないのに、『三好学生』に選ばれたらしい。
二姐は「先生にとってみれば、成績の良い子を無視することもできないけど、いつもお金を包んでくる保護者も無視できない。わざわざイーファンにこっそり『今学期は選ばないから』と言ったのは、今学期は成績じゃなくてお金を包んできた保護者を優先するから、ということだったんだよ。」と言う。

『三好学生』というのは毛沢東時代からある制度?で、「知育、徳育、体育」の3つに優れた学生を表彰するというもの。イーファンの学校では毎学期5人ほどが選ばれているらしい。
しかしその選ぶ基準ははっきりせず、担任の先生の一存で決まる。
更に問題なのが、公立高校の推薦枠。学年約600人のうち、学費の安い地元の公立高校への推薦枠はわずか50人足らず。その推薦を受けるには最低でも一度はこの「三好学生」に選ばれなければならないという決まりがあるそうなのだ。そのため親は必死になって、あの手この手で自分の子を先生に頼んでこの「三好学生」に選んでもらおうとするらしい。
「先生だってきっと大変なんだよ。お金を受取って何もしないわけにもいかないから。うちは何もしていないから、仕方がないよ。しっかり勉強していい成績を取るように頑張りなさい。」
という二姐の言葉を、うつむいて聞いているイーファンが可哀相でならない。

習近平は最近「反腐敗」を政策の要に掲げ、学校でも「反腐敗」に関する教育が始まっているらしいが、その「反腐敗」を教える教師は、一体どの面下げて子供たちに教えているのかと思うと吐き気がする。こんな大人たちに教えられた子供たちは、やっぱり今の大人たちと同じ社会しか作れないだろう。

ユキの幼稚園でも先生に賄賂を贈るのは当然のようで、今年受け持ちになった先生の一人は以前は二姐が送り迎えのときに挨拶しても返事もしてくれなかったのに、先日相方が蘭州出張でちょっとした土産を買って先生方へ贈ったところ、その次の日はニコニコしながら二姐に挨拶したらしい。露骨過ぎて笑ってしまうが、これが中国の現実。
こんなことは間違っていると思いながら、幼稚園における先生の幼児虐待事件が後を絶たないニュースを見たりすると、ついユキは大丈夫だろうかと不安になって、何か渡した方がいいのではと思ってしまう自分がいる。

とにもかくにも、中国の教育事情を知れば知るほど、もう吐き気とため息しか出てこないのだった。

※去年の朝日新聞の記事・中国ルポ「教師の職も金次第」
http://www.mytownclub.com/sns/index.php?guest=true&command=getarticle&asid=2821000&aid=39386001003

これ読んで、もっと吐き気がしました。
私が中国人なら、絶対教師なんかなりたくないです。

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5 コメント

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Unknown (Rikorin)
2013-02-06 17:38:37
イーファンの気持ちを考えると
なんだか切なくなります。

中国のこういう不条理なところに
いつも、怒っても仕方ないけど
怒ってしまうんですよね。。。

きっとこういった先生は
この包まれたお金を拒否することも
考えないんでしょうね。残念ですね。

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Unknown (はとぽっぽ)
2013-02-08 14:14:35
>Rikorinさま

その後担任の先生からイーファンに、期末試験の結果学年11位だったと電話がありました。先生はとても嬉しそうで、電話の最後に「あなたを三好学生に選んであげたかったわ」と言ったそうです。

担任の先生は特別悪い先生ではなく、進学クラスを任されている実績のある熱心な先生で、イーファンのことも日頃から色々気遣ってくれて、中国ではむしろ良い先生なんだと思います。

でも先生が目をかけて下さるのはイーファンの成績が良いからで、それが進学実績となって自分の評価につながるからでは、と思うと、何だか先生の人間性が信じられないんですよ。現に成績の悪い子の親は保護者会に行っても口も聞いてもらえなかったり、暗に退学を勧められたりしてるみたいです。中学生に退学を勧めるってどうよ!?と思うんですが。

ちなみに賄賂を受取るのはこの社会ではもう当たり前すぎて、罪悪感なんかこれっぽっちもないんじゃないかと思います。
収賄で告発された役人が、なぜ賄賂を受取ったのかと聞かれて、「そんなこと考えたこともなかった。受取らない奴は精神病を疑われるよ。」と答えたらしいです。こういう体質はどんどんひどくなっている気がします。
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青島では、、、 (Aoshima)
2013-11-04 13:33:46

大変ですね。

青島では、そこまでひどいばかりではないようで、知り合いのお母さんたちが、公立に転向させたところ、お金を上げないといけないかと思いこんでいたら、必ずしもお金はあげなくていいような状況があったりとかもあるようです。

もちろん、「自分が青島に育っていたとき、そういう慣習がいやだったから、子供は私立に行かせる!」といっているお母さんもいて、そういう大前提が、こちらにも、あるのは間違いないようです。

ただ、ぜんぜん関係ない人がはとぽっぽさんの貴重なレポートを読んで、中国のあらゆる学校がこれ一色と思われるのもさびしいので、こういう現実を前提に、少しだけ、コメント、いなかから、添えさせていただきますm_m
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Unknown (はとぽっぽ)
2013-11-04 17:53:01
>Aoshimaさん

コメント有難うございます!チンタオ、大都会じゃないですか~!(笑)チンタオが田舎なら、杭州だってど田舎です(;;)

先生にプレゼントやお金を渡したりというのは、さすがに皆さん露骨にはやってないと思うんですよ。表向きは学校のHPにも「先生へのプレゼントは一切お断りしています」と書いてあったりします。でも、先生の自宅にこっそり送ったり持っていったりする人もいて。だからどのくらいの人がやっているのかと言うのは、どれだけ調査を行っても正確な数字は出てこないと思います。

勿論、入学から卒業まで一度も先生に何も渡さない人もたくさんいると思います。

相方親戚の中学教師の話では、「成績が学年10位以内の超トップクラス(ワイロを送る必要もない)か、下位クラス(平均点以下でワイロを送っても先生もどうしようもない)の生徒の親は何もしなくていい」んだそうです。
問題はその間の層ですね。先生の裁量で内申点がちょっと上がったり、三好学生に選ばれたりすると、どこかの高校の推薦枠に入れてもらったりできるとなると、親は必死になってあの手この手でプレゼントやお金を渡そうとするんだそうです。

公立か私立か、都市か田舎かによっても差があるとは思いますが、もう中国全体にこういう文化(?)が有るのは間違いないと思います。
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中国中に、、、 (Aoshima)
2013-11-11 22:53:08
コメントバック嬉しいですヾ(@⌒ー⌒@)ノ

チンタオ、私は好きですよー でもそれほど親日じゃない土地柄ですが、、、汗

上位と下位は必要ないが、、、なるほどですね。後、中学以降、海外教育を前提としているリッチな家庭も、先生には媚を売らなくて、堂々としていますね!

中国語が全然できないので、こちらで、いろいろ教えてもらい、助かります!今後もよろしくです( ´ ▽ ` )ノ





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