はと@杭州便り

中国杭州で仕事&子育てしているはとぽっぽのページです。

家政婦的見証

2014-04-01 15:51:54 | 中国人相方&親戚
私とユキが日本生活を満喫していた頃、
二姐は一旦紹興に戻った後、すぐに福州の義弟の家へ行っていた。

二姐も杭州に来て約5年が経つが、いつも私とユキが日本に帰るときくらいしか紹興にゆっくり帰れない。
下の娘イーファンは6月に高校受験を控えているし、病気で入院している実家の父親のことも気がかりな様子。
私としてはこの機会に二姐も紹興で2ヶ月ゆっくりしてくれば、と思っていたのだが、
福州にいる義母が持病の腰痛を悪化させて、寝たり起きたりの生活になってしまった。
義妹の母親が手伝いに行く話もあったのだが都合がつかず、そこで二姐に白羽の矢が。
春節を挟んで約1か月、福州の義弟の家に住み込みで手伝いに来てほしいと言われてしまった。

後で知ったのだが、義母は二姐の給料が1月、2月分も支払うことになっているのを知って、
「だったらタダで給料出すより、福州に来てもらったら。」と考えたらしい。
私としてはこれまで5年間働いてもらったお礼の気持ちもあって、有給休暇として紹興でゆっくり
してほしかったのだけど、二姐に関することは相方と義父母で決めてしまうので口出しすることもできず…。

実は去年の秋ごろから、福州では義母と義妹の仲がしっくりいかなくなっていて、
一度は義妹が怒って家を飛び出した(次の日にはちゃんと帰ってきたのだが)という事件もあり、
私も気にはなっていたものの、何となく以前のように家族で福州に遊びに行きづらくなっている。
相方は静観を決め込みたいようだったが、義母にしてみればグチをこぼせる相手も他にないのか、
一時は毎日のように相方に電話して義妹のことを色々言うので、相方もほとほと困っていた。

私から見れば、結婚以来10年以上狭いマンションで嫁姑が同居を続けてきて、問題が起きないはずがないと思うのだが、
相方は男だからか何もわかっておらず、「なんで結婚して10年以上たって、今更揉めてるんだ?」とか言うので、
「…いや、10年以上経って色々積もり積もってるから揉めるんだろーが!」と言ってやった。
同じ嫁の立場としては、むしろ10年経つまで大きな波風なく同居を続けてこられた義妹の方に、感服している。
しかし義母もまたこの件で色々ショックを受けているようで、元気がなく憔悴している様子。
色々伝え聞くけど、一体福州の家はどうなってるんだろう?と心配していたところへ、
二姐が一か月あちらに行って、色々な情報を持ち帰ってきてくれた。

まさに実録:「家政婦は見た!」である。

義弟は福州で店を経営しているのだが、最初は夫婦2人で始めた店も今や従業員13人、会社として登記もきちんとしている。
店の外、去年からは郊外に大きな倉庫も借りていて、毎日家と店と倉庫を行ったりきたり。
店は基本的に定休日がなく、春節以外は年中無休である。
義妹も毎日店に出て、主に経理関係のことをすべて一人で仕切っている。特に義弟はパソコンがからきしなので、店の在庫管理システムや経理関連のことは義妹に任せっきりなのだ。
二人目を出産した時もわずか2ヶ月で復帰した義妹、正直彼女がいないと店が回らないくらい無くてはならない大切な人なのだが、
家に帰ると彼女の権限は果てしなく0に等しいらしい。

共働きが普通の中国ではちょっと昔までどの家でもそうだったと思うが、
父母は外へ働きに出て、家事と育児は祖父母がする、という分業体制である。
分業と言うと聞こえはいいが、実質は嫁というのは外でいくら稼いできても、それを自由に使う権限は舅姑が握っている、ということではないか。
一人目を出産したとき、義妹はまだ21歳で、当時店もまだ立ち上げたばかりでお金もなく、子供のことは全部舅姑に任せて働くのに必死だったと思う。
しかし二人目を出産したときには、店もある程度軌道に乗り、家も車も買ってそれなりに貯蓄もあり、二人目と言うことで子育ての経験値もそれなりにアップし、義妹は義妹なりに「こういう風に子育てしたい」という主観を持って当然だと思う。

しかし義父母は古い世代の人間で、とにかく節約が身にしみついている人たちなので、
例えば今日は特別な日だから、外で外食しようとしても「そんなお金もったいない。家で食べなさい。」と言われ、
子供たちが外でお菓子や食べ物をほしがっても「家にあるもので十分」と買ってもらえず、
たまに自分へのご褒美にいい服や靴を買って身に着けようと思っても「店や倉庫にそんないい服着ていく必要ないでしょ」と言われてしまう。
家で使っている食器類は10年以上前に田舎から持ってきた、あちこち欠けた汚い食器。
食器くらい新しいものに変えようと義妹が買ってくると、次の日には全部どこかへ片づけられてしまい、食卓にはやはりあちこち欠けた汚い食器が並ぶのである。
タオル類も、もう元が何色だったかわからないくらい汚れてあちこちほつれたタオルをずっと使っていて、
田舎出身の二姐ですら「杭州の家で使ってる雑巾でもこれよりずっとマシだ。」と思ったらしい。

家事だけでなく育児もそんな感じで、
義妹がコネを使って子供を市内のいい幼稚園に入れようとしても、「そんな贅沢必要ない」と言われ、
子供にマシな服を買ってやりたくても、「どうせすぐ大きくなるんだから、安いので十分」と言われ、
何か楽器やダンスなどお稽古事の一つでもさせてやりたいと思っても「そんなの何の役に立つわけでなし」と言われてしまう。
正直、これで今まで大きな衝突がなかった方が奇跡としか思えない。

いつも会う義妹は、結構おしゃれに気を使っていて、化粧品もなかなかいいのを使っているのに、
子供たち2人はすっかりサイズの合わなくなったシワシワの服を窮屈そうに着ている。
以前ハンちゃんが義父母と何日か杭州に遊びに来てくれたときは、その破れた安物の靴下と汚れた下着にびっくりして、
出過ぎたことかも知れないと思いつつ、「ちょうどユキのを買うついでだったので~。」と嘘をついて
義母に新しい靴下と下着を渡したこともあった。
義弟の家はマンションだって2軒も持ってるし、正直うちなんかよりよっぽど金持ちなのに、
家事と子育てに関する権限は全部義父母が握っているため、そのお金が生活や育児の向上には何一つつながってないのである。

私とユキが不在だった間、義父母がハンちゃんを連れて2週間、杭州の家に来ていた(二姐はその時福州にいた)。
私は過去の経験からとりあえずテフロン加工のフライパンと、自分たちの箸と茶碗と歯ブラシとタオルを全部隠し、
(義父母はテフロン加工のフライパンをステンレスたわしでゴシゴシ洗い、食器から歯ブラシに至るまで他人のものと共有してしまうのである)新品の箸と歯ブラシとタオルを用意しておいた。
ハンちゃんには申し訳ないと思いつつも、ユキのおもちゃで今使っているものや、日本からわざわざ持ってきたもの、高価なものを全部段ボールに入れて隠し、代わりにもう壊れてもいいものや、小さい頃遊んで今はあまり遊ばなくなったものを出しておいたのだが、それでもハンちゃんは大喜びだったらしい。
福州の家ではおもちゃらしいおもちゃもないのである。

義父母はユキのおもちゃの多さに驚き(実は半分は隠してある、とは口が裂けても言えない)、電子ピアノに驚き、
何よりユキの本の多さに驚いたらしい。
後で聞いた話だが、義父は「一度にこんなにたくさんの本なんか読めないだろう。本は高いのに勿体ない。古紙回収に出してしまえばいいのに。」と不愉快そうに言っていたらしい。
多いといっても中くらいの本棚一つ分で、私の実家にある本の数分の一の量なのだが、
福州の家には子供の本はおろか、大人の本だって一冊も見たことがないから、そう言われても仕方ないのか…。

義父母の家事と育児のやり方に不満を持っていても発言権のない義妹は、主婦や母親の役割を捨てて働くしかないのだろうか。
今のところ時々揉めたり、また仲直りしたり、を繰り返しつつ同居を続けているようなのだが、
正直、同居してるのが私だったらとっくに、義妹の足元にも及ばない悪い嫁になっているだろうな、と思う。
義父母も決して悪気があるのではなく、むしろ良かれと思ってやっているのに何故こう反発されなくてはいけないのか、と
思っているのだと思うが、悪気がない分問題は更に深刻な気がする。

同じような家庭は中国にゴマンとあるだろう。
中国版「渡る世間は鬼ばかり」か…?

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4 コメント

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すごいなぁ (Rikorin)
2014-04-03 14:13:37
はとぽっぽさん。
隠すものも鋭い。笑

中国はこのようなのがゴマンと
あると思いますね~。
子供の頃の本を読んだり
いろいろ習う事ってすばらしい
ことで、贅沢だとは思いませんけどね。
義妹。。。すごい忍耐の持ち主かも。笑
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Unknown (はとぽっぽ)
2014-04-03 18:08:07
>Ricolinさん

嫁が不在の間に義父母が泊まりに来て、勝手に家中のものを使って去っていく、というシチュエーション…日本ではちょっとあり得ないかも。これに耐えられれば、中国人の嫁になれる!と個人的には思ってます(爆)

過去色々やられたので、日本人嫁も学習しました。
そうそう、味噌汁の椀と万能包丁も隠しました。油ギトギトの料理を味噌汁の椀に盛られた日には…。万能包丁は刃こぼれするので、あのごつい中華包丁でないと。
うっかりと食器拭き用の布巾を隠すのを忘れ、何を拭いたんだがドロドロにされてしまったので(多分床か?掃除用の雑巾と台ふきんと食器拭き布巾の区別がない人たちなので)、こちらに帰ってきて布巾類を全部捨てて新しいのに替えました。まだまだ修行が足りなかったか…、くうっ。

義妹も同じ田舎出身なので、衛生面については恐らく許容範囲広いと思いますし、彼女自身も祖父母に育てられたので、家事と子育ては祖父母がするものだという考え方にあまり抵抗はないはずなんですが…。
それでも二姐から話を聞くと、何事も義父母に遠慮して思い通りにできない様子がよくわかります。
義妹はきっと私のことを羨ましいと思ってるだろうな、と思うと、心苦しいです。

正直、あの義妹だから10年も大きな波風なくやってこられたのだと思います。同じ嫁の立場上、表立って庇ってあげることができないのが辛いですが。

それにしても男性陣は嫁姑問題を何一つわかっちゃいなくて、呆れてしまいます。
相方には「渡鬼」を見て、ちょっとは学習してほしいです。


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Unknown (のぶ in 上海)
2014-04-11 12:00:55
このトピックを初めて見たときからいろいろ思うところはあったのだけど・・・・・
一番、ショックだったのは、不在時に
「だったらタダで給料出すより、福州に来てもらったら。」
ということで福州まで二姐に仕事させたこと。
お金出しているのは、はとぽっぽさんと相方さんなのに・・・・・
ポーポーさんが権限が自分にあると思っていて、コントロールしているんでしょうね。
福州のこともそう。お金出している人の意思が反映されていないのは・・・・・
うーーーーーん、私だったら無理やわ・・・・・・。

ふたりのお嫁さんも二姐さんもできた人です。

息子の相方さん、あんなに優秀なのに、両親が杭州の家の本をそんな風に受け止めているなんてかなり意外でした。
相方さん、いろんな意味で家に頼らず、ものすごく頑張ったんですね。。。。
そんな相方さんなのに、外国に接して違う価値観を知っているはずなのに、後のお見合いの件では旧世代と同調しているのがおかしくもあり、不思議でもあります。
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Unknown (はとぽっぽ)
2014-04-11 17:19:57
>のぶさん

もともと二姐に杭州に来てくれるように説得してくれたのが義母だったんです。二姐の姑にあたる義母の姉がイーファンの面倒を見ることも含めて、話をつけてくれたのは相方ではなく義母だったので…。

ちなみに義弟の結婚相手に義妹を紹介したのも義母なんです。なので義母の権限は結構大きいんですよ。
義妹のことを「すごくできた嫁だ」と褒める二姐も、姑のことで苦労が絶えないのにちゃんと嫁としての務めを果たしていて、本当に我慢強いというか、よくできた人です。
嫁の覚悟も忍耐もないガイジン嫁は、ダメダメですが。。。

相方も大学は出てますが、本は全然読まない人です。読書の習慣自体がない。小学校もまともに行ってない二姐の方が毎日熱心に新聞を読み、ユキにも色々読み聞かせをしてくれます。

ミンミンの亡くなった父親は相方の従兄だったので、彼女のことになると急にオヤジのように常識的なことしか言わない相方が笑えます。相方なりに彼女の幸せを願ってそう言っているんだと思うんですが。
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