勝つか負けるかは紙一重とよく言われる。秋華賞の結果はまさにそれを象徴しているかのようなレースだった。勝ったエアメサイアは完璧なレース運び。折り合いもついていたし、鞍上の意のままに動けるセンスの良さ。秋になって精神面での成長もうかがえた。ローズSで武豊Jも腹を決めていたのだろう。秋華賞も同じような乗り方となった。今回は決して差し馬に有利な流れではなかったが、あの位置から進んでいたのを見て一瞬ヒヤッとした。ただ、直線で図ったようにラインクラフトを差し切った。母親が達成できなかった悲願を、7年のときを超えて達成した。
ラインクラフトもほぼ完璧なレース内容だった。今回も多少折り合いを欠いていたが、前走ほどではなかった。ただ唯一の誤算は、3角で他馬と接触して行きたがってしまったこと。レースの中でのアクシデントだけに仕方がないが、これで少しスパートが早くなってしまった。これがゴールでのグビ差につながってしまった。4角で差を広げることもライバルを倒すための作戦だったのだろう。あれがなければといってしまえばそれまでだが、勝った馬とは距離適性の差もあった。ラインクラフトは、春にマイル路線を進んだことからも、1600mがベスト。2000mではやや長いという事。内容の濃いレースだった。さて、明日は三冠をかけた戦い。菊花賞の予想は明日。
今週から福島が開幕。秋の福島に久々に3歳未勝利が帰ってきた。それも前半の2週のみで、出走にも条件がある。絶対に負けられない戦いだけに、激しいレースになりそう。
【東京11R:富士S】
◎⑭キネティクス
○⑧ダンスインザモア
▲③マイネルレコルト
△⑬コスモサンビーム
×⑫ウインラディウス
×④アルビレオ
×①ニシノシタン
近年は堅い決着で収まっているが、今年はどの馬も一長一短で難解な一戦。有力な3歳馬馬の出走もあり、見応えは十分ある。ここは一叩きされたキネティクスの初重賞制覇のチャンス。前走はハイペースに乗じたとはいえ、差のない5着と好走。今回は実績のある東京コースに戻るのはプラス。前走は渋った馬場の影響もあり仕方がないが、それを除けばコンスタントに34秒台前半の上がりで駆け抜けている。東京コースに限れば33秒台の上がり。特に2走前の東京新聞杯は、勝ったハットトリックの末脚には屈したものの、直線で一時は後続を突き放そうとした脚は見どころ十分。その時とメンバーのレベルがあまり変わらない今回は、チャンス拡大。
対抗には休み明けになるが、ダンスインザモアを抜擢する。春のクラシック戦線は、この馬には距離が長かったこともあり惨敗。1800mのスプリングSの勝ち方が良かっただけに、1800mまでの馬といえる。またノドの状態も芳しくなく、今回手術を受けて望むだけに、体調面での不安はなくなっている。東京1600mも勝ち鞍があり、距離・コースともに問題はない。そのときは重馬場での勝利だけに、もし馬場が渋れば願ったり。GⅡを勝っているため、3歳で古馬と同じ56キロの斤量を背負うのは苦しい。ただ、この条件に替わったプラスを大きく見たい。
同じ3歳馬のマイネルレコルトはGⅠを勝っているものの、2歳時の成績は斤量に反映されないため、54キロで出走できるのは有利。アドバンテージをもらったようなものである。クラシックでも掲示板を外さなかったことからも、この馬の実力はわかる。前走は体調面の不安から、調整が十分上手く行われなかったのが敗因。今回は調教の動きも迫力が戻りつつある。ただ、馬体の成長が案外に見えたのは気掛かり。2歳時の内容から今を判断すると、早熟との可能性も否定はできない。それだけにGⅠを勝ったときと同じ1600mの今回のレース内容は、真価を問われる一戦。あっさり勝たれても不思議はない。
コスモサンビームも2歳時にGⅠを制覇した実績もつ。長期休養明けを2度叩いて今回が3走目。休み明けの関屋記念は見どころがあったが、前走は直前に降った大雨がマイナスに作用した。そのため度外視できる。今回はNHKマイルCで2着したときと同じ舞台。中山でのGⅠ勝ちはあるが、どちらかといえば左回りの方が走りはスムーズ。今回は別定の56キロに替わり好材料は豊富。日曜追いで仕上げてきただけに、それがどう影響するか。自分自身はあまりよくは思わないが…さて。
ウインラディウスは前走は58キロのハンデもあり、人気を落としていたが、3着と好走した。ただあれくらい走れる能力は持っているが、どうもムラなイメージは拭いきれない。得意の左回り、東京コース替わりはいいが、2度続けて好走しないだけに押さえの評価とした。アルビレオも休み明けの前走を好走。実力はこの中に入っても遜色はない。今回は調教の動きが今一つだけに2走ボケの心配も…。ニシノシタンは同型馬もいるだけに、それらとの兼ね合い一つ。ただ、この枠だけに絶対に行く筈。粘れるか、大負けか今回はどちらかしかない。それでいて押さえの評価もおかしいが、きになる存在なのは確かだけに。
【京都11R:オパールS】
◎⑦カゼニフカレテ
○⑧エイシンニーザン
▲④キーボランチ
△⑩アサカディフィート
×⑤メジロマントル
×②アグネススペシャル
休み明けの馬もいるし、前走で掲示板に載ったのはわずか2頭。連対したのは、今回休み明けとなるキーボランチだけと、かなり低調なメンバー構成となった。それだけにどこから入ってもいいくらい、決め手に欠ける。以前にも買わない主旨のコメントを書いたが、それを反故にしてカゼニフカレテに本命を打つ。前走はこの馬にしては珍しく先行集団からレースを進めた。最後はジリ貧の内容だったが、勝った馬と0秒6差ならそれほど悪くはない。夏に走ったレースでもそれほど負けてはいないし、最後はしっかりと差を詰めている。今回はベストな2000mに戻る。メジロマントルとテイエムテンライの逃げ争いならスローペースになることはなく、差し馬向きの流れとなる公算は高い。低調なメンバーのオープン特別で52キロ。今回は格下でも絶好の条件。ここで来なければ、もう買わな…。
エイシンニーザンは距離適性と、メンバー構成、ハンデ戦ということから明日の菊花賞ではなく、オープン特別のここに回ってきた。春はプリンシパルS勝ちに、ダービー7着の実績。前走は休み明けだけに仕方がない。今回は調教の動きも、併せて一杯に追われ、調子も上向き。逃げ馬を見て進める位置取りができそうなのも案外有利。抜け出すタイミングさえ間違えなければ、差し馬を封じ込める可能性も十分。52キロのハンデも恵まれたように映る。逆転もありえる。
休み明けも充実度だけならキーボランチ。前走オープン特別を勝った内容も良かった。切れる脚は持っていないが、追われてからしぶとい。2000mという距離はこの馬には少し短く、ベストにはあと1~2ハロン距離が欲しい。京都の2000mで唯一2分を切って走った実績もこの中なら光る。あとは休み明け抱だけ。
アサカディフィートは発馬が安定しないだけに、そこが鍵を握る。まともに出れば違うのかもしれないが、出たなりの競馬をするしかない。鉄砲実績はあるものの、今回は調教駆けするこの馬には時計は強調できない。仕上がりもソコソコといった印象。
メジロマントルは同型馬の出方一つ。ハナはこの馬と思うが、ペースが速くなれば苦しくなる。スローで逃げられたときは強いが、ペースが少しでも速くなると脆さを見せる。マイペースに持ち込めれば逃げ切りの可能性も。アグネススペシャルは
8歳馬となるが休み明け1走ごとに、着実に上昇している。今回叩き3走目。53キロのハンデもいいだけに、穴ならこの馬。
【福島11R:西郷特別】
◎⑤ホシノプレゼント
○⑩ソリッドスライダー
▲⑨サンバレンティン
△⑫フェスティブナイト
×④セヴンスバード
×⑧コスモテナシャス
上位混戦のメンバー構成。どの馬から入っていいか迷ったが、2走前にこのクラスを勝っているホシノプレゼントの反撃に期待した。2走前は時計は平凡も、直前に降った大雨のため、良馬場発表でも馬場状態は良くなかった。その辺を考慮すれば内容的には悪くない。前走は案外も、勝った馬が先週の府中牝馬Sで4着したことを見れば相手が悪かったとも取れる。ここ2走に比べると相手関係も若干強力になった。今回も56キロのハンデを背負う、このあたりの克服も好走の鍵となりそう。2000mで2勝を挙げているが、どうも1800mの方がよく思えるだけに距離短縮はプラス。
ソリッドスラーダーはこのクラスに入っても安定して成績を残せている。2走前の五稜郭特別はそこそこのレベルだった。昇級戦であれだけ走れれば、このクラスを勝つのも時間の問題。このクラスを勝っているホシノが56キロで、勝っていないこの馬が57キロのハンデ。見込まれてはいるがこなせる実力は持っている。
サンバレンティンもこのクラスなら実力上位の存在。前走はスローペースをあの位置取りでは着外も仕方がない。上手く先行集団に取り付けてスムーズな競馬ができれば、巻き返しは必至。2走前と同じ競馬が理想的。この馬も富士S出走のコスモサンビームと同じ日曜追いがどう出るか。
フェスティブナイトも前走の内容が強かった。昇級もあれだけの競馬ができれば。福島も未勝利勝ちの実績あり大丈夫。動きも良さそうで、3歳馬の勢いであっさり突破の可能性も十分。速い時計の決着になっても対応できるのはプラス。
セブンスバードは福島巧者だけに、休み明けでも侮れない。調教の本数はやや足りないが、今週の動きは良かっただけに、息の保てそうなデキにはあるか。後方から行くだけに展開の助けは必要。コスモテナシャスは2000mがベストだけに、1ハロン短い。前走も着順ほど負けていないだけに、3走前だけ走れれば。調教の動きはいいだけに、デキ落ちはなさそう。
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