宮元皮膚科クリニックのブログ

毎日の診療の中で気づいたことや気になることを書いています。
皮膚病や肌のトラブルのさまざまなアドバイスをいたします。

乾燥のおそろしさ

2016年12月25日 09時58分06秒 | アレルギー
昨日は、年内最後の土曜日の診療でした。
年齢も性別も様々に大勢の患者さんが来院され、あたかも行楽地の賑わいでした

そんななか、診療しながらつくづく感じたことがありました。

それは。

暖房の過剰な使用が深刻になっているということです

夏から秋まではかなり調子が良かったアトピー性皮膚炎の方も、学校や塾や会社のエアコンががんがんきいていて、一日中暖かい室内にいるため、全身の皮膚がからからに乾いてしまい、どこもかしこもかゆみと湿疹がおこっているのです

日頃の診療の中で、気づくことがあります。
それは。
「暖房をかけていませんか?。」
とお聞きすると
「いえ、それほど暖房はつけません。」
とお答えになる方が、けっこう多いということです。

このところ、寒い日が続いていましたから、これはちょっと不思議です。
そこで
「では、部屋は寒いですね。室内で重ね着をされていますか?。」
とお聞きすると、それはしていないのです。
ん??ん??
それで、もう一回しつこくお聞きすると
「床暖房はつけています。」
「ホットカーペットはついています。」
「ファンヒーターだけです。」
などとおっしゃる方々の多いこと。
暖房とは、エアコンを強くつけることという理解なのでしょうか。
床暖房やホットカーペット、ファンヒーターといったものは、暖房ではないと思われている方が、少なくないことに驚きます

エアコンはもちろん、床暖房やホットカーペット、ファンヒーターといった、部屋全体をあたためる暖房が近年主流となっているのですが、実はこの生活には恐ろしい落とし穴があると、強く感じています

とくに、大人の感覚で部屋を暖めると、身体の小さな方から先に全身が乾きます。
つまり、大人の感覚で部屋を暖めると、赤ちゃんや子供がまず影響を受けるのです。

湿度の低い室内に長時間過ごすと、全身の皮膚および、鼻と目の粘膜、のどから気道が乾きます。
それが続くと、おそろしい影響があるのです。

アトピー性皮膚炎になりやすくなります
花粉症になりやすくなります
インフルエンザにかかりやすくなります
大切な成長期に、発汗の機能が正しく発育しにくい可能性があります

昔の子供は、室内の気温がそれほどは暖かくなく、こたつに入りはんてんを着たり、タイツや毛糸のパンツなどをはいていました。
室内でもたくさん着ているので、外にすぐに出て遊び回り、汗もかきました。
でも、最近の子供は室内が暖かくされているため、薄着で裸足で生活します。
薄着なので、たくさん着て外に出ることはおっくうになり、冬は室内でじっと動かずに過ごすことも多くなりました。
お正月など、真冬に屋外で子供が遊んでいる姿を見なくなってから久しいです。

こうした生活が当たり前になり、その結果、子供たちはアレルギー体質になっていきます

いったん、アトピー性皮膚炎や花粉症になったら、ほぼ一生体質改善は難しくなります。
また。
この体質はさらに、食物アレルギーを起こしやすくなります。
最近、野菜や果物のアレルギーも増加しています。
もはや、他人事ではありません。

私は、このブログで、様々な皮膚病のことを書いてきました。
でも、最近、つくづく思うことは、増加し続けるアレルギー疾患は、実は、予防できるのではないかというこです。

年内の診療もあと三日です。

あと三日間、しつこく暖房の注意をし続けるつもりです




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