松山地区酒米研究会は,同地区の酒造メーカー(株)一ノ蔵と契約を結び,酒造好適品種である「蔵の華」をはじめ,「トヨニシキ」,「やまのしずく」等を栽培しています。研究会では,高品質・高収量の酒米生産技術の確立を促進するため,酒米栽培コンクールを実施しており,この日は最優秀賞の発表ならびに表彰式が行われました。審査では,ほ場管理の状況や出荷米の収量,品質等の項目について総合的に評価され,最優秀賞が選ばれました。また,胴割れ率が最も低かった生産者については,最優秀品質賞が授与されました。清酒醸造では,酒質を劣化させる成分が多く含まれる米の外層を削り取るため,一般の食用米より精米歩合が高くなりますが,胴割れ米は高度精米に耐えられず,砕けてしまいます。そのため,胴割れ率を低く抑えることは,良質な酒米生産において重要な課題です。研究会では,「トヨニシキ」の胴割れ率が高いことが課題となっていたことから,東北大学農学部と協力し,ケイ酸質資材の施用による胴割れ米抑制試験に取り組みました。 胴割れ米は,白未熟粒同様に出穂後登熟初期の高温で多発します。ケイ酸施用は,稲体の受光体勢の改善と水分利用効率の向上を促し,白未熟粒の発生を抑制することから,胴割れ米の発生も抑制することが期待されています。結果,ケイ酸資材の施用によって,胴割れ率は減少する傾向がみられました。こうした試験結果を踏まえ,研究会では昨年12月に東北大学農学部の伊藤准教授を講師に,ケイ酸による土づくりについて研修会を開催しました。研究会では,次年度も東北大学農学部と協力し,ケイ酸質資材施用試験を継続する予定です。普及センターでは,今後も良質な酒米生産を目指す研究会の活動を支援していきます。
美里農業改良普及センター 先進技術班
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