雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

2対8の是非 ・ 小さな小さな物語 ( 1025 )

2018-05-11 17:06:20 | 小さな小さな物語 第十八部
与野党の質問時間の配分をどうするかで、もめているようです。
国会での質疑時間のことですが、野党側はこれまで通りの「与党2・野党8」を主張し、与党側は「与党5・野党5」を要求しているようで、激しく対立しています。
本稿を書いている時点ではまだ決着していないようですが、国会が始まっても質疑が行われないわけにはいかないので、どこかで決着するのでしょうが、この問題はなかなか奥が深く、とりあえずはどこかで決着させるとしても、もっと幅広い議論が必要な気がします。

この質問時間の与野党配分については法的な根拠がないそうで、これまでに何度も変更されているようです。
野党側の言い分としては、議院内閣制の下では、「政府=与党」であるから、法案などの立案される過程で与党の意見は反映されるので、国会においては、政府提案に対しては野党が質問すべきである、というのが大きな根拠としているようです。また、現在の「2対8」という配分は、自民党が野党時代に主張し実現させたもので、今になって変更を申し出るのは横暴すぎる。といった主張が中心のようです。
一方の与党側は、特に若手議員からは、野党議員に対して与党議員の質問機会が圧倒的に少ないため、活躍している(活躍しているらしい?)姿を世間に見てもらう機会が少ない、というのが理由の一つです。中には、国会質問そのものが、議員に等しく機会が与えられるべきと主張していて、現状であれば、7割近くの時間を与党に配分すべきだと主張している人もいるようです。もっとも、野党の厳しい追及を少しでも避けるために有効と考えているはずだ、という解説者もいるようです。

これらの意見のいずれも正しいような気がします。
しかし、現在の「2対8」に近い配分を続ければ、自民党で一期ぐらい議員を勤めても、一度も質問に立てない人はざらでしょうが、数人の議員しかいない党であれば、与えられる時間は短いとしても、何度もチャンスがあるかもしれません。質問に立つことも国会議員の権利の一つだとすれば、不公平であることは確かでしょう。
一方で、過去の与党議員の質問の中には、ヨイショを絵に描いたようなものや、罰当たりな講釈を述べた議員がいたりで、これ以上時間が増えるのは勘弁して欲しい気がします。
かと言って、野党側の質問がどれも立派かと言えば、報道される部分だけでもレベルを疑いたくなるものも少なくないようです。例えば、絶叫や口汚さが強さだとでも勘違いしているらしいものや、入試試験のような質問をしてみたり、ネタ元が週刊誌らしいことが見え見えのものなども度々目にします。
時間配分については、国会討議が重要だと考える議員が増えれば増えるほど、与野党間のつばぜり合いが続くことでしょう。要は、まともで真剣な質疑が展開することが大切なはずです。

私たちの日常においても、配分という問題は重要なことが多く、時には深刻な問題となり、長年の人間関係を壊すことも少なくないようです。
かつて、ある先輩から交渉術について教えを受けたことがあります。「交渉においては、<4対6>や<3対7>の状態を作って、そのうちの6や7を取るような交渉をしてはいけない。もしそれが成功しても、そのような取引や人間関係は長く続かないし、いつかは見破られるし、いつまでも続くようなら、そんな無能な相手とは早く関係を切った方が良い。理想は、10のうち5.2か5.3を手中にするのが巧みな交渉術といえる。ウインウインの関係だとか、五分五分の取引などというが、本気でそんなことを考えている人は、ごくごく少数だ」といった内容でした。
何かを配分することは、まさに先輩の話と一緒で極めて難しいことでしょう。先人の知恵の中には、「黄金分割」という大発見があり、この比率に基づいた様式が最も美しいともされています。ではこの比率とはといえば、大まかな数字はちょっと調べれば分かりますが、正確な数字となれば難解です。
つまり、黄金分割を選んだ場合でも、小数点以下何桁かの所で、取るや取らないのともめるのでしょうね、人間って奴は。

( 2017.11.15 )

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