雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

二重行政 ・ 小さな小さな物語 ( 741 )

2015-09-24 10:48:12 | 小さな小さな物語 第十三部
いわゆる「大阪都構想」を廻る住民投票は、投票率も高く、しかも全く伯仲した結果となりましたが、一応の決着を見たことになります。
私は大阪市民ではありませんので、部外者と言われればその通りなのですが、相当の関心をもって経緯や結果を見守ってきました。
今回の投票結果については、事前の世論調査などをもとに個人的に予測をしていたのですが、これほど接戦になるとは考えていませんでした。
投票結果についての報道機関などの情報を見てみますと、地域による差が歴然としているのは、大都市行政の難しさを示しているように思われました。また、出口調査の分析からは、世代間による意見の差も大きく、今後の課題となることでしょう。

他の街の選択とはいえ、個人的には大変馴染み深い街であり、何だかんだと言われても、大阪市は関西の中心といえる街であることは確かです。テレビ局も、特に関西キー局の報道はかなり熱を帯びており、うがった見方かもしれませんが、キャスター個人や、放送局にも若干の意見が反映されていたような気がします。
それらをもとに考えてみますと、今回の住民投票にはいくつかの違和感を感じる論点がありました。
まず、住民投票が実現した背景には、国政選挙の影響が強く感じることにあります。
次は、確かに「大阪都構想」は、大阪市と大阪府の問題と言えばその通りなのですが、大阪府内の他の市にも少なからぬ影響はあるはずと考えられるので、大阪市民だけの意志で決定させていいことなのかどうか、疑問を感じました。
また、二重行政による問題点、あるいは大阪都実現による経済的損益については、賛成派と反対派がそれぞれの意見を述べあっているだけで、視点がかみ合っておらず、それを判断せよというのは乱暴な気がしました。
さらに、「大阪都構想」の実現の可否を訴えての住民投票でしたが、現市長個人への支持・不支持が争点になっている点もかなりあるような気がしました。

それはともかく、大阪市民の選択は大阪市存続ということで決着しました。
しかし、現状では駄目だという意見が、誤差の範囲と言えば民主主義に失礼に当たるかもしれませんが、ほぼ過半を占めているということは、今後の市政運営に反映させないわけにはいかないでしょうし、さらには、同様の形態となっている、全国の大都市の運営のあり方にも大きな影響を与えていくのではないでしょうか。
特に、昨今、目に余るような地方議会の議員や首長が散見されます。今少し質の向上を図るべく、選挙民である国民は政治に真剣になる必要があるように思うのです。

今回の大阪市の住民投票ばかりでなく、「二重行政」がまるで悪者のような風潮があるのが気になっています。
わが国の政治形態は「二重行政」を基本として成り立っているのです。住民の生活は、市町村の行政下に組み立てられており、さらにそれらをカバーし補填しチェックする形で、府政や県政があるはずです。つまり、二重になるようにしているのです。
住民生活が、一人の優秀な市長の号令のもとに成り立つのであれば、地方議会もいりませんし、それは現行制度よりはるかに効率的で優れているでしょう。しかし、わが国に市町村が幾つあるか調べていませんが、そんな優秀な首長など、どれほどいるのでしょうか。
それに、スタート時点では優れていると思われていたリーダーが、どんどん劣化していく姿は嫌というほど見てきているではありませんか。
無駄が多くても、「二重行政」が私たちの生活を守っているということを忘れるのは、実に危険なのです。
問題なのは、無策な、あるいは利権に結び付いた政治を業とする存在が多すぎることなのであって、「二重行政」から生まれる純粋な無駄は、民主主義政治のコストだと思うのです。

( 2015.05.21 )
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1 コメント

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脱 国民洗脳なら副島隆彦の学問道場 (脱 国民洗脳なら副島隆彦の学問道場)
2015-09-25 08:42:32

日本はアメリカの属国、つまり家来国家である! アメりカの洗脳広告代理店、電通による、テレビ、新聞、週刊誌、ラジオ等の、マスコミを使った偏向報道による、見事な国民洗脳によって、思考が停止状態にある日本人は、自分自身の脳、すなわち思考そのものを点検せよ! さらにネット洗脳システムのツイッターやフェイスブックの利用、まとめサイトには注意が必要である。 我々はハッ、と気付いて、常に注意深く、用心して、警戒し、疑いながら生きれば、騙されることはない。 すべてを疑うべきなのだ!

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