雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

心ときめきするもの

2015-01-30 11:00:54 | 『枕草子』 清少納言さまからの贈り物
          枕草子 第二十六段  心ときめきするもの

心ときめきするもの。
雀の子飼ひ。
ちご遊ばする所の前わたる。
よき薫きものたきて、ひとり臥したる。
   (以下割愛)


心がときめくもの。
すずめの子を飼うの。
乳飲み子を遊ばせている所の前を通るとき。どちらも、胸がどきどきします。
上質のお香をたいて、ひとり横になっているとき、なぜか胸がときめきます。

唐鏡(カラカガミ・輸入物の上等の鏡)が少し曇って来たのを見つけた時。
貴公子が、家の前に牛車を止めて、従者に来意を告げさせたり、何かを尋ねさせたりしているのは、心がときめくものです。
髪を洗い、化粧をし、よく香をたきしめた着物など着ているとき。特別に、見てくれる人もいないような所であっても、心はときめいて快いものなのです。
訪ねてくる恋人を待っている夜などは、雨の音や、風が吹いて戸を揺らす音にも、自然と胸がさわぎます。



最初の二つの例は、例によって少納言さまの遊び心でしょうが、それ以降は、百人一首の絵札に描かれているような女性を連想させてくれます。
特に三つ目の、「よきたきものたきて、ひとりふしたる」は、少納言さまの女性を感じさせる部分だと思うのですが、どのように意訳すれば少納言さまの真意に近付くことができるのでしょうか。

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