雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

適所はどこか ・ 小さな小さな物語 ( 1023 )

2018-05-11 17:09:33 | 小さな小さな物語 第十八部
衆議院選挙が終わり、米大統領の来日という大行事が無事に終わり、政治的な日程としては大きな山を越えた感じがします。
間もなく臨時国会が開かれ、激しい論戦が予想されるそうですが、どんな課題が焦点になるのか知らないのですが、どんな問題が注目を浴びるとしても、その結果は大体想像できそうな気がします。
今回は、内閣に変化がなく、国会の要職もほとんど変化がありませんが、大臣などはこれからが国会デビューといった状態でしょうから、答弁などを通じて、これまでと同様に、質問にしろ答弁にしろ、見ていて恥ずかしくなるような場面が見られるのではないでしょうか。

今回は、大臣再任にあたってあまり報道がなされませんでしたが、看板通りの仕事をしてくれるよう期待したいと思います。
ただ、当初就任した時点でも、どうしてこの人がこの役職に就いたのかと首をひねるような人もいたようです。それは、何も第三者が無責任に発言しているばかりでなく、ご本人自ら発言されている人もいるらしいのですから、私たちはどう考えればいいのでしょうか。
そう考えれば、「適材適所」などと簡単に口にしますが、なかなか難しいことのようです。

「適材適所」という言葉は、日本の寺社や家屋の建築において、材木をいかに有効に配するかということから生まれた言葉のようです。わが国の木材資源は多様で、檜・杉・松・栗・桐など実に種類が多く、それぞれの材質の特長を生かすことが重要であり、古くは、生えている木の形をそのまま適所に配するといった手法も多く用いられていました。
現在では、「適材適所」といえば、人材をそれぞれ適した場所や業務に配置することとして使われることが殆どです。それぞれの人が、最も得意としている分野に配置するということは、一見、合理的で素晴らしいことのように思われますが、本当はどうでしょうか。
ある人物の適所というものが、そうそう簡単に見極めることなど出来るのでしょうか。

首相が大臣を任命するにあたっては、「適材適所」という考え方も有効なのでしょうが、実はこの手法には、人材の育成という面で窮屈さを感じさせる面があるように思うのです。
特に、まだ成長過程にある子供や青年にとっては、片寄った人材を育ててしまう可能性が懸念されるのではないでしょうか。人間の得意分野などという物は、そうそう簡単に見極められるものではなく、相当の試行錯誤が必要なのではないでしょうか。保護者にも指導者にも、さらに本人にさえ気が付かなかった才能が眠っていたという事例は、決して少なくないはずです。
この考え方が正しいのであれば、国会においても、立派な人材を育てるためには、もたもたしている大臣に対して、適材適所云々などという非難は控えめにして、しばらくの間は、成長過程にあるものと考えて、温かく見守る必要があるのではないでしょうか。

( 2017.11.09 )

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