雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

三千年で世界一周 ・ 小さな小さな物語 ( 676 )

2015-03-16 11:17:41 | 小さな小さな物語 第十二部
地球温暖化が問題視され始めてから久しいですが、何か歯止めになるような施策はなされているのでしょうか。
その主因とされる二酸化炭素などの温室効果ガスと呼ばれるものの増加は、若干でも歯止めがかかる目途のようなものは見えてきているのでしょうか。
特にわが国の場合、東北の大地震による福島第一原発の事故以来、二酸化炭素の排出などどうでもよくなったかのように、火力発電が使われ放題になっている感があります。原発は怖い、だから、二酸化炭素の排出量の増加など、全量がわが国の中に留まっているわけではないので、お金が続く間は化石燃料を使い続けようということなのでしょうかねぇ。

温室効果ガスによって地球全体が温暖化していく、ということに対しては反論もあるようです。
ただ、一般的に言われている話を聞くと、安易に二酸化炭素などの排出を無制限に続けていいのかという疑問は感じられます。
例えば、大気中の二酸化炭素の増加により気温が上がると、当然海水温度も上がってきます。そうすると、海水に溶け込んでいる二酸化炭素は温度が上がるほど溶解度が下がりますから、海水からも二酸化炭素が放出されることになり、温室効果は高まり、さらに海水温が上がるという循環を繰り返すことになります。
また、大気温度の上昇により、ツンドラ地域の氷床が溶け始めます。この現象は、すでにシベリアのツンドラ地帯などでは見られるそうですが、それにより地下に閉じ込められていたメタンガスが大気中に放出され始めます。メタンガスは二酸化炭素の二十三倍の温暖効果があるガスだそうですから、ここでの循環も無視できません。

その一方で、こんな話もあります。
ヨーロッパの主要都市の緯度は、わが国の主要都市に比べずいぶん北に位置しています。確かに冬は寒いようですが、私たちが感じる緯度の高さに比べれば温暖な気候に恵まれています。その理由はアフリカ沖からやってくる暖かい海流のお蔭なのです。
実は、温暖効果ガスの無秩序な排出は、この地域の気候に大きな変化を与える可能性があるというのです。
北大西洋深層循環流と呼ばれる、海面下をゆっくりと流れている海流があるそうです。この深層海流は、北海付近で冷やされた冷たい海水は比重が重くなり下に潜って行き、大西洋を南下してアフリカ沖を回ってインド洋で浮上する流れと、太平洋まで潜って行き日本の沖合で浮上するものがあります。表層流となったこの海流は、引き返して行きアフリカ沖を逆に回って強い日光に暖められながら北大西洋に流れ込むので、ヨーロッパや北アメリカは緯度の割には温暖なのです。
この深層から表層へと移りながら地球をほぼ一周する海流は、およそ三千年もかけてひと巡りするそうです。
ところが、地球の温暖化が進むと、北海の海水温が高くなり、深層へ潜り込むことができなくなり、この大海流が途絶、あるいは大きく流れを変える恐れがあるというのです。そうなれば、温暖効果ガスの増加はこの地域を寒冷化させる懸念があるともいえます。

三千年かけて地球を一周するといっても、それなりに科学的な根拠があるのでしょうが、素人の私などには眉唾物にしか思われません。
二酸化炭素の排出を大幅減らすなどとわが国の首相が大見えを切ったのはそれほど前のことではありません。政権が交代したから、原発事故が起こったから、もうそれには触れないようにしようというのが私たちの本音であれば、温暖化温暖化などと大騒ぎするのは勘弁してもらいたいような気がします。
それに、もしかすると、地球が温暖化するより、寒冷化する方がはるかに怖いような気もしますし、その可能性も無視できないのではないでしょうか。

( 2014.10.23 )

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