雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

確かな息吹 ・ 小さな小さな物語 ( 482 )

2013-08-17 10:48:23 | 小さな小さな物語 第九部
わが家の庭は、可哀そうなほどに放ったかされています。
菜園と呼ぶには少々おこがましいのですが、野菜を植えるために一画を仕切っています。今の状態を申し上げますと、青ネギが少々、ワケギはすっかり枯れてしまっているのですが、球根は生きているはずなのでぼつぼつ芽吹いてくるのではないかと思っていますが、さて、どうでしょうか。
先日、一畝をつぶしてブルーベリーを三本植えました。さんざん石灰を加えてきた畑なので、その畝だけはピートモスを大分加えたのですが、さて、ブルーベリーが喜んでくれる程度の酸性度になったのでしょうか。
その他の畝には、カブ、シュンギク、ホウレンソウ、コマツナ、フユナ(?)などが昨年から放ったらかしにされています。大きくもなりませんが、雪や霜に襲われても枯れもしないで健在です。さすがに青虫などはいませんから、それなりに元気です。

その点、通路にあたっている部分や、花壇の周囲ばかりでなく本来きれいな花が咲いているはずの場所までも、雑草がしっかりと伸びてきています。さすがだと思います。そして、もう一つ、ノースポールの苗が、通路を中心に数えきれないほどの数が大分大きくなってきていて、小さな花をつけ始めています。二年ほど前から、植木鉢から飛んだ種から芽を出すようになったのですが、このまま自然に任せているとどうなるのか、試してみようと思っています。

花らしい花がほとんどない花壇ですが、もっともわが家の花壇は私がそう呼んでいるだけで、きれいに整理されているものではなく、この一画にはこの花を、この一画にはこの木をといった具合で、よく言えば自然体、よく言ってくれない場合は乱雑、といった状態です。
その花壇ですが、至る所から球根が芽を出しています。スイセンは早くから伸びていますが、どれが何だかよく分からないままに、緑色の芽が雑草の合い間からしっかりと自分の場所を確保しているようです。雑草も逞しいですが、そうそう簡単には負けないぞと言わんばかりで、何だか嬉しくなってしまいます。

それにしても、今年は当地でも雪や霜柱が多く、結構厳しい冬が続いているのですが、球根たちは何を頼りに芽吹いているのでしょうか。
いくら寒くても、地中の中には春を教える合図があるのでしょうか。あるいは、延々と受け継いできた体内時計のようなものの指示に従っているのでしょうか。よく分からないのですが、少なくとも、めったに世話もしない私のためでないことだけは確かなようです。
いつか立春も過ぎて、寒い寒いと言いながらも、私たちの周囲には春の息吹が確かな足取りで近付いてきているようです。
あれも気に入らないし、これも面白くないと思うことも多いのですが、球根の艶やかな新芽を見つめながら深呼吸でもして、前を向いて行くことにします。

( 2013.02.12 )

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