雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

距離を測る ・ 小さな小さな物語 ( 1505 )

2022-07-25 14:42:51 | 小さな小さな物語 第二十六部

『 宇宙には無数の銀河がありますが、今回はかみのけ座にある渦巻銀河NGC4559を紹介していきます。渦巻銀河とはその名の通り、渦を巻いたように回転する円盤状の銀河のことです。また一般に銀河までの距離の測定は難しい問題なのですが、NGC4559までの距離の推定はおよそ2,000万光年から4,500万光年と大きな幅があり、まだ定まっていません。
遠くにある銀河までの距離はどのように測ればよいでしょう? ( 以下 割愛させていただきました。)』
以上は、毎日新聞 1月27日朝刊の「『はるかな宇宙へ』 県立大西はりま天文台からの便り 」を引用させていただきました。

記事は、このあと測定方法について簡潔に説明して下さっているのですが、残念ながら私には少々難問に過ぎました。
それを承知の上で説明させていただきますと、測定の一つの手法は、渦巻きの回転速度から銀河の明るさを知る経験則である、タリー・フィッシャー関係を用いるものだそうで、多くの研究者が距離の決定に挑み、前記の数字を導き出したそうです。
一方、別の手法で距離を算出したグループもあり、こちらは、銀河に存在する赤色巨星分枝星を用いて距離の推定を行ったそうで、導き出した距離はおよそ2,900万光年だそうで、以外に似た数字だともいえます。

さて、いつも感じることですが、天文学などを研究されている方々は、何ともスケールが大きいものだと驚いてしまいます。例えば、NGC4559銀河までの距離を、2,000万光年から4,500万光年と推定していますが、この差の2,500万光年の差を誤差程度に割り切っているのかと驚いてしまいます。
私たちの日常生活においては、駅までの距離は何キロメートルとか何メートルとか、漠然と意識しています。自分の土地となれば、境界線が10センチメートル変更されるとなれば大騒ぎです。
何かと痛みつけてくれるコロナウイルスとなれば、その大きさは100ナノメートル程度のようですから、防ぐことの難しさが分かります。ところが、人間の分野であっても、半導体などは一桁のナノメートルの世界で技術競争が行われているそうですから、そうそう気楽にスマホをいじってはいけないような気がしてしまいます。

このナノメートルというのは、10億分の1メートルにあたりますが、その小ささを実感するのはなかなか難しいですが、科学技術としては幾つもの分野で実用化が進められていることを考えますと、人間の知能の優秀さというより恐ろしさを感じてしまいます。
一方で、宇宙に目を向ける人々は、光年という距離を測る単位を生み出しています。「1光年=Xナノメートル」とした場合、この「x」には、「1」の後ろに幾つの[0」をつければよいのでしょうか。
ともあれ、私たちは、物体あるいは物体間を測る単位や手法をたくさんも持っていますが、その一方で、自分の心と人の心の間を測る単位や手法は持っているのでしょうか。
「一心同体」「以心伝心」「気が合う」「阿吽の呼吸」「一蓮托生」等々、それらしいことを示す言葉は数多くありますが、いかにも抽象的で、物体間を測るような具体性にはとても及びません。
人の気持ちどころか、自分の心さえ掴みきれないのは、そのためかもしれませんねぇ・・・。

( 2022.01.29 )




 


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