ダメでもともと!

面白いドラマを書いて、「一声」かけていただく。だめでもともと。

第19回テレビ朝日新人シナリオ大賞テレビドラマ部門「あの頃の僕を探してくれ」 第七回(全七回)

2019-03-11 07:52:23 | テレ朝落選作「あの頃の僕を探してくれ」

「最終回」

 

〇レストランの外観(夜)

 

〇同・店内

  食事も終わり、テーブルにはデザートと珈琲がある。

  亜希、デザートに手を付けず、神妙な面持ちで、

亜希「深見君」

  学、顔を上げて亜希を見る。

学「……」

亜希「私、やめた方がいいと思うの。そしてもう会わない方が良いと思うの」

学、動揺し、間髪入れずに、

学「なんで!? どうして!? そんな、大塚さんがやめる必要なんてないよ!」

亜希「でも、私、関係ない深見君に迷惑をかけてる。これ以上迷惑かけたくないわ」

  学、焦りながら、

学「そんなことない! 大塚さんがいるだけで俺は助かってる! 迷惑だなんてそんなこと言わないでくれ! お願いだからこのまま傍にいてください! いいでしょ!?」

亜希「でも」

学「俺は迷惑だなんて全く思ってないし、大塚さんを困らせるてることは俺が必ず解決するから! だから、このままいてください! やめるなんて言わないでください!」

亜希「……」

  亜希、伏し目がち。

 

〇小林家の外観(夜)

  正雄の怒号が聞こえる。

正雄の声「いいから連絡しろ!」

 

〇同・居間

  正雄と小林大輔(35)が立って話をしている。

正雄「お前が学に働きたいって言いさえすれば、すべてことが済むんだ!」

  大輔、立ち尽くしている。

正雄「もう司法試験を受けるのはやめろ。お前には受からないよ。もうあきらめろ」

大輔、下唇を噛みしめる。

正雄「いい加減、俺に心配させないでくれ。親の苦労も少しは考えろ。わかったな」

大輔「……」

正雄「いいな。必ず連絡するんだぞ」

  正雄、居間から出ていく。

  大輔、下唇を噛み、微かに震えている。

 

〇ファミレスの外観

 

〇同・ファミレス店内

  学と浩司が向かい合って座っている。

  浩司の前に、いかげそとビールが置いてある。

  浩司、笑みがこぼれる。

浩司「そうですか! お支払い頂けますか!」

学「それで奥さんと正式に離婚していただけますね」

浩司「勿論、私の提案をすべて受け入れて頂けるのですから。いや、よかった。やっぱ話せる人に話すと物事はすんなり進むものですな」

  浩司、笑い喜び、ビールを飲む。

  学、冷めた表情で浩司を見る。

学(心の声)「汚いな、俺は。彼女の知らないところで勝手に彼女の人生を決めようとしている」

  学、微かに口元が微笑んでいる。

 

〇オフィスビルの外観(夜)

 

〇同・オフィスフロア

  学、カバンにタブレットを入れて席を立つ。

  亜希、学を見る。

 

〇同・地下駐車場

  学、エレベーターを降りて、地下駐車場にやってくる。

学(心の声)「あとは大輔だけだ」

  学、自分の車(セダン)に行き、ドアを開けようとする。

  すると車の陰から人が飛び出してきて学にぶつかってくる。

  学と謎の人がその場で固まる。

  学、手で腹を触るとナイフが刺さっている。

  学、血のついた手を見る。

  そして、その手で謎の人がかぶっている帽子を取る。

  謎の人は大輔。

学「大輔!?」

  大輔、憎悪の眼差しで学を見て、

大輔「どいつもこいつも俺をバカにしやがって!」

学「大輔!?」

  大輔、ナイフを引き抜く。

  そして、ナイフを落とす。

  ナイフが地面に落ちた金属音がする。

  大輔、その場から立ち去る。

 

〇同・学の車の車中

  駐車場に駐車してある学の車の運転席に学は座っている。

  シャツは血に染まっている。

  学、体ごとシートにもたれている。

学「報い、かな……」

  学、微笑み、目を閉じる。

  学、頭の中で学を呼ぶ声が聞こえてくる。

亜希の声「深見君」

  十四歳の亜希の声。

 

〇(回想)中学校の教室内

卒業式を終えたクラス。

学生たちはところどころに固まっている。

学(14)、一人、窓側の自分の席に頬杖をして座っている。

気持ちが沈んでいる。

机には卒業証書の入った筒が置いてある。

そこへ亜希(14)が声をかける。

亜希「深見君」

  学、振り返って亜希を見る。

亜希「どうしたの? なんか元気ないね」

学(心の声)「君と離れるのが辛いんだ」

  学、心を悟られぬように、

学「そんなことないよ」

亜希「うそうそ」

  亜希、微笑みながら、離れていく。

  学、亜希を目で追う。

  学を呼ぶ声が聞こえる。

亜希の声「深見君!」

  三十四歳の亜希の声。

 

〇(元に戻る)学の車の車中

  学、うっすらと目を開ける。

亜希「深見君!」

  学、亜希がぼやけて見える。

亜希、ドアの傍にしゃがみこんでいる。

亜希「深見君! しっかりして」

  学、ピントが合い、亜希が見える。

学「亜希……」

亜希「深見君!」

  学、亜希の手を掴み、小さな声で呟く。

学「亜希。あの頃の僕を探してくれ。ただ君のことだけを考えていれば幸せだったあの頃の僕を」

  学、ゆっくり落ちていくように目を閉じる。

亜希「深見君! 何?」

  学、小さな声で呟く。

学「そして、もし、あの頃に戻ることが出来るのなら、好きだと言えなかった思いを、僕は」

  亜希、両手で学の手を握り返す。

  学、目をつぶっている。

 

〇中学校の教室内

  亜希(14)が教室で女生徒とはしゃいでいる。

  学(14)、亜希の後ろに立ち、

学「大塚さん」

  亜希、学の方を振り向き、無邪気に微笑んで、

亜希「ん? 何?」

  学、モジモジして、

学「いや、あの……」

亜希「ん?」

  学、深呼吸して、意を決して、

学「大塚亜希さん!」

  と大きな声。

  生徒たちが静まり、学と亜希を見る。

亜希「はい」

亜希、真顔。

女生徒が告白を察して口に手を当てる。

立ち尽くす学と亜希。

学の顔。

亜希の顔。

学と亜希から、少し離れて生徒たちが囲っている。

  遠目からの学と亜希の姿。

 

             〈終わり〉

 

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2 コメント

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Unknown (鈴音)
2019-03-15 16:17:24
お久しぶりです。
以前に何度か書き込みさせて頂いていました。

今回更新されていた新作読みました。

先の方がコメントしていた通り、わたしも「よくわからない・・・」というのが率直な意見です。
読んで思ったのは、誰かに(たとえば会社の読み手の方に)徹底的に細かい指摘をしてもらった方が分かりやすくなるのかなあーと感じました。

それと言うのも、みや文明さんご自身が持っている人物の感情やプロットを、現在のシナリオでは読者(視聴者)に伝えきれていないのではと思ったからです。

たとえばラストで大輔が「なんで父親では無く、主人公をさしにくるの?」という疑問が出る可能性が高いと思いますが、そうした指摘に対してみや文明さんが「〜いう理由で」と言語化出来れば、矛盾点も解消しながらリアリティが増すのでは?と思います(たとえば、同年代の成功者への嫉妬、一方的にヒロインの運命を決めてしまおうとする主人公へのアンチテーゼetc・・・などという理由ならば、大輔の言動や前振り段階での書き方も変わってくるかと思います)。

またこれは純粋な疑問なのですが、最後に主人公が「報いかな」と刺されたことを達観するようなシーンがあるのですが、これはどのような意図があったのでしょうか?

「過去に出来なかったこと(告白)の後悔をずっと引きずっていた主人公が、社長になりヒロインを救える立場になった。そして過去の失敗を繰り返さないようにアクションを起こしたが、結局刺されてしまう」というストーリーでは、

ラストの主人公の気持ちは「たとえしぬことになっても、過去の自分のように何も出来なかったのでは無く、思いを伝えることが出来たから満足(悪い夫と別れさせることが出来たからよかった)と安堵した」

という解釈なのかなと勝手に思ったのですが、それだと全体を通してのテーマが上手く伝わるのかなと疑問に感じました。

「出来なかったことへの後悔を引きずる主人公が、同じ失敗を繰り返さないように今度は勇気を出して行動する」というプロット自体は普遍的なテーマなので問題無いと思うのですが、それならばその行動自体をクライマックスに持ってきた方がテーマとしてはスッキリするのかなと思います(例えば元夫からヒロインを救うということをクライマックスに持ってくるならば、ベタですが自分の命と引き換えに元夫からヒロインを守るというような・・・)

仮に私が同じテーマ・プロットでストーリーをまとめるとしたら(かなりストーリーは変わりますが・・・)

「主人公は初恋の同級生と再会するが、その夫は仕事も無く生活は困窮している。そんな夫と一緒にいても幸せにはなれないが、今の経済力のある自分ならばヒロインを振り向かせることが出来るのではと喜ぶ。
ヒロインを自分の会社に雇うなど、ヒロインを夫から引き離し、自分に好意を持ってもらおうとするが(夫は悪い人物だと主人公は思っている)、実はヒロインは夫の子供を妊娠していることが分かる。
そして酷い人物だと思っていたヒロインの夫は実は妻思いのいい亭主で、妊娠をきっかけに就職を志していた。
学歴や経験が理由で中々就職が決まらないヒロインの夫。主人公は過去に告白をためらっていたことをずっと後悔していたこともあり、今もヒロインを諦められずにいるが、妊娠が分かり嬉しそうなヒロインを前に、本当に彼女にとって幸せなことは何かと悟り、ヒロインの夫に仕事を紹介する(ヒロインには主人公のおかげだと分からないように)
喜ぶヒロインを見て、主人公は形こそ違えど、今度は自分のしなければならないことが出来たと安堵する・・・

というようなプロットだと、たとえハッピーエンドでは無いにしろ、比較的スムーズにテーマは伝わるのではと思いました。

長々と失礼しました。
感想、ありがとうございます。 (みや)
2019-03-15 18:57:39
覚えてますよ。
確か漫画の脚本をなさっているとか

これはもともと小説を書いていて、飽きてしまいというかつまらなくて未完で終わったもので、小説では自分の中でストーリーを補填していたのか、映像(シナリオ)にしたとき伝わらなかったという典型的なものかもしれません。
報いは、主人公が、ヒロインやその娘の人生も何もかもヒロインの気持ちなしに決めてしまうというエゴから。

大輔が主人公を刺したのは父にやはりいとこで主人公は成功して、大輔は未だ司法浪人、引き合いに出されていた主人公に刃が向けられた。

ラストはドラマは確かに別物ですね。

感想に関しては、はじめにテレビドラマもみる読書家さんに読んでくれないか?と話したとき「え、私なんて、なんもわからないし」とそこでまず衝撃を受けました。それは「謙遜」
うちの会社に「謙遜する」という行為を、言葉を知っている人がいたことに驚きました。
まぁ、読書家さんにはざっくりで「いい、悪い」しか聞けませんし、何分、合評ではないので、なかなか、きめ細かい感想を言ってくれる人は、いないのが事実ですし、休み時間に聞いたりしているので、相手の時間を思うとそれも出来ないし、そもそも、読んでもらうのも、相手にも都合があるので、かなり余裕の期間を見てもらってはいるのですが、詳細の感想は、ほんともらえないですね。
でも、読んでしまえば、それは読み手のものなので「よかった」「悪かった」だけで十分ですけど。

でも、さすがプロですね。

感想は励みになりますし、作品の供養になります。

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