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第29回ヤングシナリオ大賞一次通過作品「顔」 第二回

2017-09-17 13:03:16 | ヤンシナ一次通過作「顔」

第二回

 

 

〇オフイスフロア

  フロア通路に『ノー残業DAY』のボードが三脚に立てかけてある。

  中島舜一(28)は、黒崎のデスクの前で神妙な面持ちで立っている。

  黒崎、険しい顔で、

黒崎「こうした方がいいだろ? 先方もこの方が分かりやすいだろ。違うか?」

  といって、中島に書類を渡す。

中島「はい」

黒崎「言われたことをそのままやるのもいいが、もう少し仕事に付加価値つけろ!」

中島「はい」

  黒崎、恐縮している中島を見て、今度は優しく諭すように、

黒崎「この仕事のチームリーダーはお前なんだからな。そこらへん考えろよ」

中島「はい、わかりました」

  中島は自分のデスクに戻る。

  郁美、そんな二人のやり取りを見ていた。

 

〇同・高層オフィスビルの外観(夕暮れ)

 

〇同・エレベーター内

  エレベーターに、退社した郁美と黒崎が両端に立っていて、真ん中にはサラリーマン二人が談笑している。

  そして、サラリーマン二人は途中の階で降りる。

  郁美と黒崎、二人っきりになる。

郁美「今日は随分、厳しく怒ってましたね」

  黒崎、郁美の方を向いて、

黒崎「怒ってた?」

  郁美、黒崎の方を向いて、

郁美「怒ってました。中島さんに」

黒崎「そうだったかな」

郁美「黒崎さんって厳しい人なんですね」

黒崎「(笑いながら)厳しい人って。そんなことないよ。俺は甘い男だってよく言われてるよ」

郁美「(冷やかすように)ほんとですか?」

黒崎「ほんとだよ。それにこう見えて、けっこう甘党だし。どう、これから甘いモノでも食べに行く?」

郁美「いや、そういう意味じゃなくて!」

黒崎「ガーデンパレスで、今、イチゴフェア、やってんだよね。俺、一度行きたいと思ってたんだ。どぉ、行く?」

郁美「(考えあぐね、唸る)ん~ん、いやぁ~」

黒崎「行かない?」

  郁美、困ったような顔をしながら、

郁美「じゃ、行きます」

黒崎「良かった。服部さんが一緒に行ってくれて」

郁美「……」

黒崎「あのチョコレートタワーっていうの、やってみたかったんだよね」

郁美、クスっと笑う。

  エレベーターが一階フロアにつく。

 

〇同・玄関ロビー

黒崎「こんなおじさんが、一人でイチゴフェアに行ったら可笑しいだろ」

郁美、クスッと笑う。

黒崎「それに一人で行く勇気がない。小心者なんだよ」

  郁美、笑顔で黒崎を見ている。

  郁美と黒崎、仲睦まじそうに歩いている。

  それを遠目から中島が見ている。

中島「……」

 

〇郁美の住むワンルームマンション・バルコニー(夜)

  夜景が見える。

  郁美、手鏡で自分の顔を見ながら、

郁美「黒崎さん、私のことどう思ってるのかな? こんなこと初めてだし、なんか勘違いしちゃう……。勘違いしてもいいのかな……。もし勘違いしてるのなら、そう言われるまで勘違いしようかな……」

  夜景を見る郁美の横顔。

 

〇エレベーター内

出社してきた郁美と中島と三人のサラリーマンがいるが、途中の階で三人のサラリーマンは降りていく。

郁美がエレベーターのボタンを操作している。

その後ろ斜め端に中島がいる。

エレベーターには郁美と中島の二人。

  エレベーターのドアが閉まる。

そして、エレベーターが上がっていく。暫くしてから突然、中島が喋る。

中島「黒崎さん。結婚してるよ」

郁美、振り返って中島を見る。

中島と目が合う。

エレベーターが止まり、ドアが開く。

中島「嘘じゃないよ」

  中島、メモを中指と人差し指にはさんでいるのを見せて、

中島「これ黒崎さんが住むマンションの住所、行って確かめてみな」

  中島は、住所が書いたメモを郁美のジャケットのポケットに差し込んでエレベーターを降りる。

エレベーターのドアが閉まる。

郁美、エレベーターの壁に体ごと寄りかかりながら崩れ落ちる。

 

〇同・オフィスフロア

  郁美、パソコンのキーを打つ手を止めて黒崎を見る。

  黒崎は、電話をしながらパソコンを操作している。

  郁美、中島をチラッと見る。

  中島も書類を見ながらパソコンに向かっている。

  郁美、仕事が手につかない。

 

〇郁美の住むワンルームマンション・バルコニー(夜)

  郁美、手鏡で自分の顔を見ながら、

郁美「なんであの人にあんなこと言われなくちゃいけないのよ! 忠告のつもり? それとも私への嫌がらせ?」

  手鏡に映る郁美の顔。

  手鏡を顔から逸らし、

郁美「ダメだ! 勘違いどころか、もう意識している。私は黒崎さんのことが……」

  郁美は目をつむり、バルコニーの塀に肘をついて、両手を額に当てて、祈るような仕草で、

郁美「確かめよう。悩むのはそれからでいい」

 

 つづく。

 

 

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