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第19回テレビ朝日新人シナリオ大賞オリジナル配信ドラマ部門「初恋島」 第二回(全七回)

2019-03-13 07:56:30 | テレ朝落選作「初恋島」

「第二回」

 

〇バンガローの外観(夜)

バンガローに入り口に三段の階段がある。その階段の左右に小さな松明が燃えている。

  老師とひとみ、立ち止まってバンガローを見る。

ひとみ「あれが、儀式の場所、ですか?」

老師「そうです。あのバンガローで儀式が行われます」

  ひとみ、少し不安げ。

老師「初恋婚をいつまでも続く永遠のものにするための儀式です。この島の者はみなそれをやっています。だから、初恋相手と別れることなくいつまでも良好な関係でいられるのです」

ひとみ「はぁ」

老師「この儀式を経験することで、より良い夫婦関係を構築することが出来るようになるでしょう」

  老師、ひとみを連れてバンガローの入り口までくる。

  老師、ひとみから提灯を取って、

老師「さ、中へ入ってください」

ひとみ「え、私一人で入るんですか?」

老師「(微笑みながら)勿論」

ひとみ「一体何をするんですか?」

老師「入ればわかります」

ひとみ「はぁ?」

老師「ささ」

  老師、ひとみをせっつく。

  ひとみ、渋々、バンガローの中へ入る。

老師「では、中でそのときが来るのをお待ちください」

  ひとみ、老師に食い下がり、

ひとみ「待つって何を!?」

老師「儀式の始まりです」

ひとみ「儀式!?」

老師「(微笑みながら)大丈夫。きっとあなたを良き方向へ導いてくれます」

  老師、ドアを閉める。

ひとみ「ちょっと!?」

 

〇同・バンガロー内

  部屋は十畳ぐらいの広さで間接照明の明かり。

  部屋の中心にダブルベッドが置いてある。

  ひとみ、怪訝な表情を浮かべ、

ひとみ「何これ!?」

  ひとみ、ダブルベッドの周りをゆっくり室内を確かめるように一周する。

  そして、ダブルベッドを押して感触を確かめてから、静かに腰かける。

  少し物思いにふけってる。

  そして、小首を傾げながら小声で呟く。

ひとみ「まさかね……」

  するとドアがゆっくり開く。

  ひとみ、ドアを見る。

ひとみ「何!?」

  ひとみ、警戒し、座っていたベッドから立ち上がる。

  白い着物を着た飯塚良樹(28)が入ってくる。

ひとみ「誰!?」

  良樹の姿がはっきり見える。

  良樹、礼儀正しくお辞儀をして、

良樹「はじめまして。私が儀式への導き人です」

ひとみ「導き人!?」

良樹「そうです。ここであなたと一夜を過ごす相手です」

  良樹、右手を差し伸ばす。

  ひとみ、眉間にしわを寄せ、キレ気味に、

ひとみ「はぁ!? 何言ってんの!? 冗談やめてよ!」

良樹「冗談ではありません。真剣です。真剣に今から儀式をするのです」

ひとみ「儀式って?」

良樹「私と交わるのです」

ひとみ「だと思った! こんな狭い部屋にダブルベッドが置いてあるなんておかしいわ!」

  ひとみ、良樹に向かって吐き捨てるように言う。

良樹「仕方ありません。それが儀式ですから」

ひとみ「仕方ないでやられてたまるか! 大体なんでそれが儀式なのよ!?」

  良樹、ひとみに近づく。

  ひとみと良樹の間にダブルベッドがある。

ひとみ、後ずさる。

良樹「初恋は、読んで字のごとく初めて人に恋をするということ。初恋は理想そのもの。それゆえ、その人の人生に絶大なインパクトを残す。初恋は永遠に心に残ると言っても過言ではない。しかし、生きていればやがて他の人を好きになることもある。そのときどうします? たった一つの理想の恋しか知らない。どうしたらいいのかわからない。わからないまま、ただ初恋に縛られ、いつまでも操を立てて我慢してしまう。それがプレッシャーとなり、ストレスになる。果たしてそれでいいのでしょうか?」

良樹、立ち止まって対面にいるひとみを見て、両手をベッドにつく。

  ひとみ、間髪入れずに冷静に冷めた口調で、

ひとみ「いいと思う。相手に操を立てるのは、別に初恋とかそんなの関係ないから」

良樹「あなたは旦那しか男を知らないんじゃないんですか?」

ひとみ「だったら何よ」

良樹「最悪です」

ひとみ「はぁ!?」

良樹「初恋という理想の恋しか知らないから、その理想を自分だけでなく、相手も自分の理想に乗せたがる。思い通りにしたがる。それはエゴです。その理想で固められたエゴを取り除くために儀式がある。儀式をすることでエゴから自分を解き放ち、自由になる。自由に恋をする。自由恋愛のあくなき探求。それがこの初恋島の教えです」

ひとみ「……」

  ひとみ、半ば呆れている。

良樹「だから、あなたは私と交わらなければいけない。あなたは私に抱かれることが意識改革に繋がる。あなたの初恋に対するエゴを取り除くことに繋がる」

  良樹、両手を広げ、ひとみに飛び込んでくるように則す。

  ひとみ、両手で肩を掴み、胸を隠すようなカッコをして、

ひとみ「嫌よ! そんなの出来るわけないでしょ!」

良樹「いや、出来る。それが儀式だと思えば出来る」

ひとみ「儀式を強要してどうするの!」

良樹「儀式だから強要する。この島の住人はみなやってきたことです」

  ひとみ、少し驚くも、

ひとみ「そんなの関係ないわ!」

良樹「関係ないと言われても、儀式には従ってもらいます」

  良樹、ひとみをつかまえようとベッドの周りに動く。

ひとみ「絶対、嫌!」

  ひとみ、ベッドの上に乗って逃げるも、そのとき腰帯を取られ、着物がはだけそうになる。

  良樹、立ち止まって、説き伏せるように、

良樹「今頃、君の夫は俺の妻を抱いている」

ひとみ「!?」

  ひとみ、隙が出来る。

良樹「だから俺がここに来た。俺は君を抱く!」

  ひとみ、隙が出来る。

  良樹、ひとみを捕まえ、四つん這いになって覆いかぶさる。

ひとみ「絶対、嫌よ!」

  ひとみの膝が良樹の股間に入る。

  良樹、悶絶する。

  良樹、悶絶しながら、声を絞り出すように、

良樹「島の掟に従え!」

ひとみ「誰が従うか!」

  良樹、ゆっくり体を起こし、

良樹「この島の秘密を知った以上、ただでは出られんぞ」

ひとみ「……」

  ひとみ、身構える。

  良樹、ひとみを捕まえようとして、足を捕らえる。

  ひとみ、床に倒れる。

  良樹、ひとみの足を取りながらひとみに覆いかぶさろうとする。

すると、ドアが開き、男がひとみに覆いかぶさろうとする良樹を蹴り飛ばす。

  良樹、吹っ飛ぶ。

  ひとみ、床に寝たまま、男を見上げる。

ひとみ「尚登!」

  男は安田丈治(30)

ひとみ「!」

丈治「さ、ここから逃げるんだ!」

  丈治、手を差し伸べる。

  ひとみ、差し出された手を握る。 

 

〇同・バンガローの外観

  ひとみと丈治、バンガローを飛び出していく。

  丈治、懐中電灯で闇を照らす。

 

             つづく

 

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