ダメでもともと!

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第19回テレビ朝日新人シナリオ大賞オリジナル配信ドラマ部門「初恋島」 第五回(全七回)

2019-03-16 08:40:08 | テレ朝落選作「初恋島」

「第五回」

 

〇老師の館の外観(夜)

 

〇同・部屋

  後ろ手に縛られたひとみ、萌絵がいる。

  そこへ祐介が現れる。

萌絵「まさかあなたに裏切られるとは思わなかったわ! あなたは私たちを裏切ったのよ!」

祐介「俺は丈治のようにはいかないんだ! 初恋の人をずっと思い続けるなんて俺には出来ない! 初恋婚だからってもう恋はしないなんておかしい! 他の人を好きになってはいけないなんておかしい! それを不実というのはおかしい! 生きていれば人を好きになるのは至極当然のことだ!」

萌絵「だから、裏切ったの?」

祐介「裏切ったんじゃない。自分を解放したんだ!」

萌絵、眉をひそめる。

ひとみ「……」

祐介「初恋というたった一つの恋しかしらないから、その自分の理想を相手に求める。それが俺にとってはプレッシャーなんだ! 苦痛なんだよ!」

  祐介、ひとみを見る。

ひとみ「……」

  祐介、ひとみに問うように、

祐介「君の夫はどうなんだ?」

ひとみ「え!?」

祐介「考えたことはないのか?」

ひとみ「……」

祐介「働いているんだろ? いろんな人と接してるんだろ? 自分以外の人を愛さないと言い切れるか?」

ひとみ「……」

祐介「君だって夫以外の人を好きにならないと言い切れるのか?」

ひとみ「……」

  ひとみ、言葉を発しようとするも出てこない。

祐介「もしお互い、自由恋愛に理解ある寛容な心を持っていたら、初恋をプレッシャーに感じることなく互いに幸せになれると思わないか? 今よりもっと相手を好きになれと思わないか?」

ひとみ「……」

  男が入ってきて、祐介に言う。

男「老師様が呼んでいます」

  祐介、頷く。

 

〇同・二階

  二階に通路沿いに小部屋が四つ並んでいる。

  その通路入り口に老師とひとみが並んで立っている。

老師「この島の秘密を知ってしまった以上、このまま帰すわけにはいかない」

ひとみ「どうするの?」

老師「生きて帰れるチャンスをあげます。今から四つの部屋に男がいる。その中から一夜を過ごす男を選びなさい」

  ひとみ、いい加減疲れ気味に、

ひとみ「どうしても」

老師「それがこの島の掟です」

  老師とひとみ、一つ目の部屋の前まで歩く。

  ドアに小窓がある。

老師「マジックミラーになっていて、向こうからは何も見えない」

  ひとみ、小窓を覗く。

  中には良樹が椅子に座っている。

  ひとみ、良樹の言葉が脳裏に浮かぶ。

 

〇脳裏に浮かぶ良樹の言葉

良樹「理想が強いと相手も自分の理想に乗せたがる」

 

〇(元に戻る)二階

  ひとみ、目をつぶって首を振る。

老師「じゃ、二人目だ」

  老師とひとみ、二つ目の部屋の前まで行く。

  ひとみ、小窓を覗く。

  祐介が椅子に座っている。

  ひとみ、祐介の言葉が脳裏に浮かぶ。

 

〇脳裏に浮かぶ祐介の言葉

祐介「生きていれば他の人も好きになる。初恋のプレシャーに耐えられないんだ!」

 

〇(元に戻る)二階

  ひとみ、何か承服できず首を振る。

老師「三人目だ」

  老師とひとみ、三つ目の部屋の前まで行く。

  ひとみ、小窓を覗く。

  尚登が椅子に座っている。

ひとみ「尚登!」

  思わず声を発してしまうが尚登には聞こえていない。

老師「私は鬼じゃない。たとえ掟があるにしても、そこに自主性がなければ意味がない」

ひとみ「じゃ、尚登を選ぶわ! それでいいでしょ!」

老師「まぁ、待ちなさい。もう一つ部屋がある。それを見てからでもいいでしょう」

ひとみ「……」

  老師とひとみ、四つ目の部屋の前まで行く。

  ひとみ、小窓を覗く。

  丈治が、目隠しをされ、後ろ手を縛られながら椅子に座っている。

ひとみ「!」

  ひとみ、丈治の言葉が脳裏に浮かぶ。

 

〇脳裏に浮かぶ丈治の言葉

丈治「初恋をないがしろに不義を正当化することが許せないんだ!」

 

〇(元に戻る)二階

ひとみ、老師を見て、

ひとみ「彼をどうするの?」

老師「彼は見せしめだ。この島の掟に背き続けるとどうなるのか」

ひとみ「……」

老師「この件が終わったら、彼は魚のエサだ。漁を生業にしているこの島で、海に落ちて行方不明になったといえば容易にかたが付く」

  老師、笑う。

ひとみ「……」

老師「だが、もし、君が一夜を過ごす相手に彼を選ぶのなら話は別だ。彼は掟に従ったものとし、今回は見逃してやってもいい」

ひとみ「脅しですか?」

老師「二人が生きのびるチャンスだ」

ひとみ「……」

老師「どうする?」

  老師、にやりと笑う。

 

〇海原(夜)

  月の明かりに水面が所々輝いている。

 

            つづく

 

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