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第19回テレビ朝日新人シナリオ大賞テレビドラマ部門「あの頃の僕を探してくれ」 第六回(全七回)

2019-03-10 09:46:09 | テレ朝落選作「あの頃の僕を探してくれ」

「第六回」

 

〇喫茶店

  江藤と小林正雄(60)が向かい合って座っている。

  江藤、正雄にスマホの画像を見せている。

  画像には亜希が映っている。

江藤「可愛いでしょ」

正雄「……」

江藤「うちの会社に入社した大塚亜希さん」

正雄、江藤を見る。

江藤「社長の同級生です。勿論、社長の一存で雇われました」

正雄「あいつ! コネとかツテとかでは雇わないって言ってたくせに!」

江藤「僕が社長なら、ご子息を雇うんですがね。従弟を雇わず、同級生の女を雇うなんて、社長は一体何を考えてるのか?」

正雄「あいつは俺の息子をはなから雇う気なんてないんだ!」

江藤「(苦笑いして)もしかして、嫌われてるのかな?」

正雄「……」

  正雄、凄い形相。

  江藤、たじろぎ、

江藤「冗談ですよ」

 

〇タワーマンションの外観(夜)

 

〇同・玄関前

  学が帰ってくる。

  待ち伏せしていた正雄が学の前に現れる。

正雄「学君」

  正雄、低姿勢で学に接する。

学「おじさん。どうしたんですか?」

正雄「あの、例の話なんだが」

学「大輔のことですか?」

正雄「んん」

学「大輔からは、何も連絡、来てませんよ」

正雄「いや、俺が勝手に進めてることなんだが」

学「……」

正雄「大輔を学君のところで雇ってほしいんだ」

学「でも、大輔は今も司法試験を目指しているんですよね」

  正雄、学の言葉を遮るように、

正雄「あいつは受からん! もう十年もやって受からないんだ! 見てられないんだよ、俺は! 大輔を楽にしてやりたいんだ!」

学「それはわかるんですけど、肝心の大輔から何の連絡もないんです。おじさん。大輔にうちで働く気があるなら連絡しろって言ってください」

  正雄、学に強く訴える。

正雄「それが言えないんだよ! 学君と同い年の大輔にもプライドがある。意地がある。だから親の俺がやってやらないとあいつも動けないんだ!」

学「おじさんの言うこともわかります。でも、やはり本人が働く意思を示してくれないと、どうにも出来ないんです」

  正雄、キレ気味に、

正雄「だから言ってるだろ! そんなことは出来ないって!」

  マンションに帰ってきた若い女性が驚いた顔をして正雄を見る。

  学、正雄の腕を掴み、

学「おじさん。もう一度、大輔に言ってください。僕は待ってますから」

  学、正雄をなだめる様に言う。

  正雄、項垂れている。

学「お願いします」

  学、玄関に入っていく。

  正雄、項垂れ、震えている。

 

〇オフィスビルの外観

 

〇同・オフィスフロア

  社員が社員証を機械にかざしてドアを解除して入ってくる。

  その後ろからどさくさに正雄が入る。

  社員は怪訝そうな顔をするが、見て見ぬふりをする。

  正雄、フロアを見渡し人を探す。

  すると郵便物をもって出しに行こうとする亜希が入り口にやってくる。

  正雄、亜希に歩み寄り、真顔で、

正雄「あんたか! 学の同級生でここに入ったっていう女は!」

亜希「……」

  亜希、面食らった顔。

  社員一同、正雄と亜希を見る。

  正雄、亜希に八つ当たり、

正雄「どうしてだ! どうしてお前はここで働けるんだ!」

亜希「え!?」

正雄「なんでお前が雇われて、俺の息子が雇われないんだ!」

  応接室から学が顔を出す。

  正雄、亜希の胸倉を掴み上げている。

  亜希の持っていた封筒が床に落ちる。

  亜希、怯える。

  学、慌てて正雄と亜希の間に割って入り、

学「おじさん! やめてください!」

正雄、学に食って掛かり、

正雄「どうしてその女を雇って、うちの大輔を雇わないんだ!」

学「おじさん!」

  学、正雄を連れて、入り口からオフィスフロアを出ていく。

  ざわつく社員。

  亜希、不安な顔をし、床に落とした封筒を拾い始める。

 

 

             つづく

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