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第19回テレビ朝日新人シナリオ大賞テレビドラマ部門「あの頃の僕を探してくれ」 第三回(全七回)

2019-03-06 08:07:21 | テレ朝落選作「あの頃の僕を探してくれ」

「第三回」

 

〇亜希の実家(夜)

  二階建ての一軒家。

  ドアが開く音。

 

〇同・台所

  時計は十時を回ったところ。

  亜希、洗い物をしている。

  そこへ、美咲(14)が制服姿で帰ってくる。

美咲「ただいま」

亜希「随分遅いのね。遅いと補導されるわよ」

美咲「そんなことないよ。塾に行ってる子なんてこんなもんよ」

亜希「美咲はいってないでしょ。ごはんは?」

美咲「友達と食べたから」

美咲「そう」

  亜希、お米を研ぎ始める。

  亜希、どこか楽しそう。

  美咲、亜希の後姿を見て、

美咲「ママ、会社楽しい?」

亜希「なんで?」

美咲「楽しそうに見えるから」

亜希「楽しいわよ」

美咲「ママ?」

亜希「んん」

美咲「ママの友達の社長って、もしかして昔の彼氏?」

  亜希、振り返って、冷静に穏やかな口調であしらうように、

亜希「違うわよ、そんなわけないでしょ。ただの同級生よ」

美咲「でも、あっちはそう思ってないかもしれないよ」

亜希「どうしてそうおもうの?」

美咲「女の直感」

亜希「中学生のくせに?」

美咲「中学でも女よ」

 

〇オフィスフロア

  社員がデスクワークしている。

 

〇同・応接室

  学と牛島純子(28)がいる。

純子「それとこれが、例のものです」

純子、報告書の入った封筒を学に渡す。

学「悪い。私的なことまで頼んで」

純子「構いません。なんか楽しかったです」

学「どうして?」

純子「社長にも可愛い一面があるんだな、と思って」

学「そうかな」

  純子、微笑みながら、

純子「良い方向に進むといいですね。では」

  純子、応接室を出ていく。

  学、封筒から報告書を出して見る。

 

〇同・オフィスフロア

  学、封筒をもって応接室を出る。

すると、コピー機でコピーを取ろうとしている亜希の後姿が見える。

学(N)「大塚亜希。本名、中島亜希。三十四歳。十九歳のとき四歳年上の会社員、中島浩司と結婚。同年、美咲を出産。一年前、夫の浩司は会社からリストラされる。その後、二人は別居。亜希は娘の美咲を連れて実家に戻り、年金暮らしの両親と美咲の四人で暮らす。浩司は、ガールバーで働く南由衣、二十一歳と同居している」

  学、コピーをしている亜希を見ている。

  亜希、コピーが終わる。

  学、自分の席に行く。

 

〇ファミレスの外観(夕方)

  奥のテーブルに美咲と父、中島浩司(38)が座っている。

  浩司、唐揚げを食べながらビールを飲み、

浩司「一緒に暮らしたいと思ってるよ」

美咲「思ってるだけで何もしてないでしょ!いい加減仕事見つけた?」

浩司「なかなか、俺の才能を生かす仕事がなくてね」

美咲、呆れ、そして言い放つ。

美咲「ママはお仕事見つけたよ」

浩司「(驚き)ほ~、何かいいバイトでも見つかったのか?」

美咲「違うわ。正社員よ、正社員。ちゃんと就職したのよ」

浩司「そりゃ凄いな! 働いたことのないあいつがよく就職なんか出来たもんだ」

美咲「ママの中学の同級生が社長なのよ。それで就職出来たの」

浩司「ほ~。社長の同級生がいたのか。なら俺もその同級生の夫ということで雇ってもらおうかな」

美咲「雇うわけないじゃない!」

浩司「雇ってもらえば、また一緒に暮らすことが出来るぞ」

美咲「ちゃんと自分で探しなよ! これ以上、ママを困らせないで! こうやって会ってることだってママに内緒で会ってるんだからね!」

  美咲、浩司を突っぱねる。

浩司「随分、嫌われてるんだな~ 俺だってべつに好きでこうなったわけじゃない。人生っていうのは波があるんだ。いいときもあれば、悪いときもある。俺は今、その谷間にいるんだ」

美咲「じゃぁ、いつ、いい波が来るの?」

浩司「さぁ、いつだろ」

  浩司、ビールを飲む。

  美咲、呆れ気味に、

美咲「自分から動かないといい波なんて来ないよ」

浩司、感心して、

浩司「美咲、随分大人になったな」

美咲「パパが子供なのよ」

浩司、卑屈に笑い、

浩司「たまにしか会わないんだから、もう少し楽しい会話がしたいな。美咲に会うことが唯一の楽しみなんだから」

美咲「パパがちゃんと仕事についたら楽しく会えるようになるよ」

  浩司、微笑みながらビールを飲む。

 

            つづく

 

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