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第30回ヤンシナ二次通過作「万華鏡~小野寺家の恋愛模様~」 第七回(全八回)

2019-03-01 08:01:58 | 第30回ヤンシナ二次通過作「万華鏡~小野寺家の恋愛模様~」

「第七回」

 

〇小野寺家の外観(夜)

 

〇同・ダイニングリビング

  テーブルに正志と紗世が並んで座り、向かいに拓馬といづみが並んで座っている。

  そして、四人を見るかのようになぎさが立っている。

  弓美はソファにいる。

  正志、紗世、拓馬、いづみの脳裏に弓美の言葉(映像)が過る。

 

〇弓美の言葉(映像)

弓美「全員で強く説き伏せるぐらいな気持ちでいってください!」

  弓美が拳をふって鼓舞している。

 

〇元に戻る・ダイニングリビング

  拓馬が口火を切る。

拓馬「みんな呼んでおいて、どうするつもり?」

なぎさ「どうもこうもない! これ以上、私の家が潰されないようにみんなを呼んだの!」

拓馬「呼んでどうする? 君が認めようと認めまいと僕は紗世さんが好きだ!」

  拓馬、身を乗り出して、紗世の手を取る。

  そして、テーブルの上で恋人つなぎのように指と指を絡ませて握る。

なぎさ、驚き動揺し、

なぎさ「な、なんてことするの! パパが隣にいるのよ! (正志を見て)パパ!」

正志「……」

  正志、言葉に詰まる。

なぎさ「パパいいの!? こんなクソガキにママをとられて!」

正志「いや、そうだなぁ、これも全て織り込み済みだから」

なぎさ「パパ!」

いづみ「なぎさ。私たちもデキてるから」

  いづみ、右手を正志に差し出す。

  すると、正志は両手でいづみの手を握る。

  いづみも左手を出し、両手で握り合う。

  テーブルの上に握り合う手がある。

  なぎさ、苦悶の表情を浮かべ、叫ぶ。

なぎさ「なんなのよ! 気持ち悪い!」

  なぎさ、テーブルの上で握られている手をムキになって解く。

  なぎさ、いづみを見て、

なぎさ「いづみもいづみよ! 一体パパのどこが好きなの?」

いづみ「顔かな」

なぎさ「顔? ただのおじさんよ。私のパパよ」

  いづみ、頭をふり、

いづみ「包容力と責任感が顔に出てるの。責任ある立場で生きている。それが顔に出ているのよ。この表情は責任感のある大人の男にしか現れないわ。それが凄くたまらないの」

なぎさ「はぁ!? 責任感!? ずっと私に隠れて、いづみと付き合って、どこが責任感があるのよ!」

いづみ「それはそれ。恋は恋よ。なぎさにとってはパパでも、私にとっては恋心をくすぐる素敵な男性なの」

なぎさ「はぁ!?」

正志「なぎさ。人生は一生に一度しかないんだ」

  なぎさ、その言葉を聞いて辟易する。

なぎさ「またそれ!? 一生に一度って言えばなんでも許されると思ってるの!?」

正志「人を愛することに偏見をもってもらいたくないだけだ」

なぎさ「人を愛するって、ただの不倫じゃない!」

正志「不倫ではない。ママも私もお互いの意志を尊重している」

なぎさ「それでもパパとママがやっていることは不倫なのよ!」

正志「不倫じゃない!」

紗世「なぎさちゃん。人を愛する心に鍵はかけられないのよ。たとえ、それが好奇の目にさらされても。それが愛なのよ」

なぎさ「何言ってんの!? 全然わからないんだけど」

正志「わからなくてもいい。ただ、ありのままのパパとママを受け入れてほしい」

紗世「なぎさちゃん」

正志「それが出来るのが大人なんだよ」

なぎさ、四人の視線を感じる。

なぎさ「出来ないよ。出来ないし、出来たくもない! そんなの受け入れたくないよ!」

  紗世、懇願するように、

紗世「なぎさちゃん、わかって」

なぎさ「嫌だ! 絶対嫌だ!」

  正志、真顔で語気を強めて叱責する。

正志「なぎさ! いつまでも子供のように拗ねるんじゃない!」

  なぎさ、半べそかいて、

なぎさ「子供だもん」

  なぎさ、泣きながら立ち尽くす。

紗世「なぎさちゃん」

  なぎさ、泣きながら、

なぎさ「私がこんなに言ってるのに、別れるっていう選択肢はないの?」

正志「私たちの間では、もう成立していることなんだ」

なぎさ「私は成立してない!」

拓馬「じゃ、決を採りますか?」

なぎさ「そんなのやる前から決まってる!」

拓馬「でも、決ならなぎさも納得できるんじゃないのか?」

なぎさ「……」

拓馬「じゃ、夫婦とか年齢とか世間のしがらみとか関係なく好きな人が好きな人と付き合うことに賛成な人は挙手を」

  拓馬、正志、紗世、いづみが挙手する。

  なぎさ、苦虫を噛みしめたような表情をする。

拓馬「じゃ、反対な人」

  なぎさ、一人挙手する。

拓馬「なぎさちゃん一人だね」

  なぎさ、ソファの弓美を見て、

なぎさ「先生は?」

弓美「え? いや、私は部外者だから」

なぎさ「そんなことない! 第三者から見て先生はどう思うの?」

弓美「私? 私は」

  弓美、立ち上がってゆっくり手を挙げる。

なぎさ「ほら、先生は反対だって」

弓美「いや、私は世間のしがらみとか関係なく好きな人が好きな人と付き合うことが良いと思う」

  なぎさ、呆然と立ち尽くす。

  涙も止まる。

拓馬「ほら見ろ! みんなそうなんだよ」

なぎさ「そんな……。先生!?」

正志「なぎさにも世間のしがらみなんか気にせず、好きになった人を好きになってほしい」

  みんながなぎさを見る。

  なぎさ、ショックで俯いている。

なぎさ「じゃ、私が誰を好きになっても文句言ったりしない?」

正志「しないよ」

  なぎさ、紗世に向かって、

なぎさ「私もパパみたいに年の離れた人を好きになってもいいの?」

紗世「いいわよ」

なぎさ「じゃ、ママが苦手だって言ってた、うちの担任の青髭みたいな男を好きになってもいいの?」

紗世「そうね……。まぁ、仕方ないわ。ママはなぎさちゃんが好きになった人を信じるわ」

なぎさ「じゃ、じゃ、もしそうなっても絶対口出ししないって言えるの?」

紗世「言えるわ」

  なぎさ、動揺し、眉をひそめ、

なぎさ「ほんとに!?」

紗世「ほんと」

なぎさ「……」

正志「なぎさの好きにしなさい」

  なぎさ、顔を歪め、苦虫を噛みしめた表情をして、

なぎさ「じゃ、絶対口出ししないでよね!」

正志「ああ、口出ししないよ」

  なぎさ、顔を歪めて、

なぎさ「パパのバカ!」

紗世「なぎさちゃん!」

  なぎさ、足早にダイニングリビングから出ていこうとする。

なぎさ、弓美に肩を掴まれる。

弓美、なぎさを見ている。

なぎさの後ろ姿。

なぎさは弓美を振り払い、玄関に向かう。

なぎさ、家から出ていくドアの音が聞こえる。

    ×    ×    ×

  正志、紗世、弓美の三人しかいない。

正志と紗世、弓美を前にして、

正志「先生。全部、先生の言う通り動きましたが、ほんとにこれでよかったのでしょうか?」

弓美「これでいいんです」

正志・紗世「……」

弓美「何もせずに今の状態を続けていたら、互いにストレスが溜まる一方です。ならいっそ話し合って、腹にたまっているモノを出した方がいい」

正志・紗世「……」

弓美「それになぎさちゃんも考えるでしょう。考えさせることが必要なんです。考えれば、どうすればいいか自分で答えを出します。それを認めてあげれば全て丸く収まります」

  正志、感服し、

正志「先生に相談して良かった」

  紗世、正志の隣で何度も頷きながら

紗世「ほんとにありがとうございます」

弓美「いえ、まだ終わってません。勝負はこれからです」

  弓美、微笑む。

 

〇万華鏡の中の幾何学模様

  回転し幾何学模様が出る。

 

           つづく

 

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