ダメでもともと!

面白いドラマを書いて、「一声」かけていただく。だめでもともと。

ヤンシナ落選作「ドブネズミはしたたかに生きている」 第五回 ラストです。

2015-12-17 22:49:59 | ヤンシナ落選作「ドブネズミはしたたかに生


やっと会社から帰って来た。

ほんと、町工場なんて

下町ロケットの佃さんなんてないよ

経営者一族の独裁で、従業員なんて奴隷のようなもの

それが現実なんだよな



第五回(ラスト)


〇同・食堂
  ドアを開けると、社長、佐々木拓也(38)専務、常務が並んで座っている。
  社長、腕を組んでのけぞるように座っている。
蓑山「失礼します」
  蓑山と石嶺、社長たちの正面に座る。
社長「常務から聞いたんだけど、いじめられてるって、どういうことだね」
蓑山「はい。いつも自分の素行について難癖付けてきたり、言葉による色々ないやがらせを原田さんと矢島さんから受けています。パワハラです。でも、そのことよりも、まず社長が原田さんと矢島さんについてどう思っているのか、お聞きしたいのですが」
社長「……」
  社長、腕組みしながら首を傾げる。
  常務と専務、黙って聞いている。
  蓑山、メモを胸ポケットから取り出す。
  そして、メモを見ながら、
蓑山「まず、矢島さんについてお尋ねします」
社長「……」
蓑山「矢島さんは、去年まで管理課で勤めていた岡田さんの体をまさぐっていたことをご存じですか?」
社長「……」
蓑山「管理課の人ならみんな知ってます。岡田さん自身がいってましたから。石嶺課長もそのことで岡田さんに相談を受けたと思います。その矢島さんが定年して嘱託として残っていることに自分はいささか疑問を感じていると同時に、まだこの変質者と一緒に働かなければいけないのか、と絶望しています。その矢島になじられている自分がどうにも納得がいきません」
社長「……」
蓑山「それだけじゃありません。自分入ってくる前のことですが、以前、管理課に鴨居という女性がいたとのことですが、その人にも矢島は飲み会で一緒に乗ったタクシーの中で無理矢理キスしたとか。それって明らかにセクハラですよね?」
社長「……」
蓑山「なんで、そんな男と一緒に働かなくてはいけないんですか? なぜ、再雇用されるんですか?」
社長「本当か?」
蓑山「はい」
  蓑山、石嶺を見る。
石嶺「そうです」
社長「石嶺。矢島を呼んでこい」
    ×    ×    ×
  矢島、石嶺の隣に落ち着き無く小刻みに体を揺らしながら座る。
  顔面は、硬直し、赤みを帯びている。
社長「蓑山がいったことは本当か?」
矢島「いや~(小首を傾げる)」
  蓑山、石嶺を間に挟んで矢島を見て、
蓑山「しらばっくれるんですか? なんなら江成さんに確認しにいってもいいんですよ。江成さんも知ってることですから。いつも仕事中、立ち話してるじゃないですか? 毎日毎日、朝から晩まで俺の悪口やグチこぼしてるじゃないですか?」
矢島「……」
蓑山「ほんと、よくつきませんよね。せっかくだからその不満を社長や常務に言ったらどうです? 俺の悪口でもかまいませんよ」
矢島「……」
蓑山「こんなチャンス、滅多にありませんから? どうです?」
矢島「……」
  矢島、鼻息が荒い。
蓑山「おかしいな。今日はやけに静かですね。
 いつもの威勢はどうしたんですか? こないだの会社の飲み会のように暴れたらどうです?」
矢島「……」
専務「……」
蓑山「酔った勢いで、専務に噛みついたじゃないですか? お前は婿養子のくせに生意気だって、専務の背中をしばいたじゃないですか! あのときの威勢はどこへ言ったんですか?」
矢島「…」
社長「……」
常務「……」
蓑山「ああ、社長も常務も婿養子でしたね。生意気なんですか? 矢島さん?」
矢島「……」
蓑山「ずいぶん大人しいな。恫喝するような声を出さなくていいんですか? よく俺に声を荒げて絡んくるじゃないですか?」
矢島「……」
蓑山「どうした、このセクハラ野郎!」
矢島「……」
蓑山「本性を出せよ! この変質者!」
  矢島、顔を一瞬剃らせてから、立ち上がって奇声をあげて蓑山に飛びかかろうとする。
矢島「この野郎!」
  間にいる石嶺、矢島を押さえる。
 蓑山、椅子から立ち上がり、
蓑山「来いよ、この変質者! 俺がお前を刑務所にたたき込んでやる! かかって来い!」
矢島「このガキ!」
  石嶺、矢島を押さえる。
石嶺「矢島さん!」
  専務も後ろから矢島を押さえる。
蓑山「いい加減、自首しやがれ! そのまま警察に行けよ、このゲス野郎!」
矢島「(大声で)蓑山!」
  蓑山、矢島と睨み合う。
  矢島、石嶺と専務に押さえられて食堂から出される。
  蓑山、溜息をついて、立ち上がったとき倒れたパイプ椅子を直して座る。
  社長と常務は蓑山を見ている。
    ×    ×    ×
  石嶺と専務も椅子に座っている。
  やれやれという顔をしている。
  専務はネクタイを直す。
蓑山「次は原田さんについてですが、原田さんは社内禁煙にもかかわらず、仕事場で休憩時間タバコを吸ってます。それは仕事中もバルコニーに出てタバコを吸ってます。そのことを石嶺課長が注意すると、原田さんにシカトされ、困ったことがあります」
社長、石嶺を見る。
石嶺「はい」
蓑山「それだけじゃありません。パソコンが他の社員の死角になって画面が見えないことをいいことに、仕事中に仕事とは関係ないHPを閲覧してます。仕事とは関係ないことの検索はしょっちゅうやってます。これはみんなの知るところです。それに暖かくなれば、バイク通勤禁止なのにバイクでやってくることは、社長も常務も専務も知っていると思います」
社長、しかめっ面をする。
蓑山「それでも注意されることがないので、春になればバイクで来るつもりです」
社長「(唸る)ん~ん」
蓑山「自分だけの意見では、不公平なので原田さんを呼んで確認した方がいいと思いますが?」
社長「石嶺!」
  石嶺、席を立って、食堂を出て行く。
    ×    ×    ×
  石嶺の隣に、原田が座っている。
  原田も顔を硬直させて口を真一文字にして座っている。
  蓑山、原田を見て、
蓑山「原田さんのことについてはまだまだ話したいことはありますが、とりあえず、その三つをお伝えました」
原田「……」
蓑山「どうでしょう?」
原田「……」
蓑山「どうしたんです? 原田さんも今日はいつになく威勢がないですね」
原田「……」
蓑山「人の言うことを否定するくせに、今日は否定しないんですか?」
原田「……」
蓑山「出来るわけ無いですよね。事実ですから」
原田「……(か細い声で)HPなんか見てないよ」
蓑山「嘘付け! パソコンがみんなの死角になっているのをいいことにHP見てるじゃねぇか! 俺は見たんだ! お前の脇に立ったとき仕事中にHPを見ているのを。しかも、残業中だ! それに、仕事中にお構いなしに、競馬の出走馬をプリントアウトして俺に見せるじゃねぇか! それが仕事か!?」
原田「……」
  社長、相変わらず、背もたれに体をのけぞるように座り、腕組みしている。
蓑山「大体、パソコン画面がみんなに見えないように死角に置く必要があるのか? それになんだあの机。自分の私物ばっかりじゃねぇか! みんなが仕事で使う机だろ? 自分の過ごしやすいように巣作りしてるだけじゃねぇか!」
原田「……」
蓑山「机も何もかも、元に戻せばいいんだよ! みんな真面目に仕事してるんだから」
原田「……」
原田、神妙な面持ち。
体が微かに震えている。
社長「……」
  社長、無愛想な顔をしている。
蓑山「それでよく今まで、蓑山は自分勝手だって言えましたね。自分勝手はどっちです か? え!? 原田さん?」
原田「……」
蓑山「だんまりですか? ほんと今日はずいぶんいい子ですね。普段からこれぐらいいい子だとこっちも仕事の邪魔にならずにすむんですけどね」
原田「……」
  蓑山、原田を睨み、
蓑山「この腰抜けが! お前は姑息な小狡いドブネズミなんだよ! なんとか言ったらどうなんんだ! え! 原田!」
  蓑山、原田を威圧するような声を上げる。
原田「……」
蓑山「また得意のシカトですか? 好きですねぇ~、ほんと、シカトが(苦笑い)」
原田「……」
社長「……」
蓑山「何とか言えよ!」
原田「……」
  原田、とっくに腑抜けになっている。
社長「原田! 俺に恥かかせるな!」
  社長、言葉が怒ってない。
原田、かしこまって俯いている。
蓑山「……」
社長「これからは気をつけろ。わかったな」
社長、子供のケンカを諭すように冗談っぽく、まるで助け船を出すように言う。
原田、頷く。
社長「もう戻っていいぞ」
蓑山M「え!?」
  原田、申し訳なさそうに歩き、社長に深くお辞儀をして黙って食堂を出て行く。
蓑山M「せっかく原田を戒めることが出来るのに、そんな一言で原田を逃がすのか? 会社の秩序と規律をぶち壊して、管理課を自分の住みやすい病巣に変えたドブネズミをこのまま逃がすのか?」
  社長、蓑山を見て、
社長「蓑山くんの言いたいことはわかった。でも、年上にあんな言い方はないだろ。(と微笑み)君にもどうやら問題がありそうだな」
蓑山「……」
  蓑山、呆然とする。
蓑山M「会社の秩序と規律を乱す者をかばうのか?」
社長「どうやら君には、謙虚さが足りないね」
蓑山M「謙虚だと? 奴らに散々いじめられている俺に謙虚さが足りないだと? 俺が悪いっていうのか? 職場に正しい秩序と規律を回復させようとしている俺が……」
社長「もういいな!」
  社長、立ち上がり、気分悪そうな顔をして食堂を出て行く。
  それに続いて、常務と専務も出て行く。
  残された蓑山と石嶺。
  蓑山、打ちのめされている。
蓑山M「社長にとって俺のいうことなど単なるガキの戯言に過ぎないんだ。確かにそうだ。言ってる内容があまりに幼稚すぎる。でもイジメなんてそもそも幼稚なものだ。人をバカにしたり、仲間はずれにしたり、悪口を言ったり……。でも、それでも俺は職場環境を良くしようと。職場に秩序と規律を戻そうとしてるのに、俺の訴えなど、社長にとっては他愛のない事に過ぎなかったってことか?」
  蓑山、首を左右に振る。
  石嶺、蓑山を見ている。
蓑山M「ああ、そうか。社長にとって原田は自分が連れてきた男だ。社員というようり大切な子分だ。自分に尻尾を振ってこびへつらいごまをする可愛い子分だ。その子分が普段、接点のない俺につるし上げられるのを見ていい気になるわけがない」
  蓑山、苦笑いを浮かべる。
石嶺「蓑山さん。今日は早退した方がいいよ。常務にはそれとなく言っておくから」
蓑山「……わかりました。ちょっとしたら、帰ります」
  蓑山、石嶺に会釈する。
  石嶺、食堂を出て行く。
  蓑山、出て行く石嶺を見て、背もたれにもたれかかり、虚空を見る。
蓑山M「……そうか、社長も先代の築いた秩序と規律をぶり壊した人だ。先代の創業者は社員思いだったと聞く。利益を社員に還元し、社員のその後のことも考えていたと。それを今の婿養子の社長が全て替えてしまった。精勤手当も皆勤手当もなくし、ボーナスも半分に減らしてしまったんだ」
  蓑山、吹き出す。
蓑山M「俺は何を社長に期待していたんだ?
 ここはドブネズミの巣窟なんだ」
  蓑山、から笑い。

〇石神井川の風景

〇管理課作業場(次の日)
  みんな、黙々と作業している。
  パソコン机のレイアウトも変わった。
ただ、みな、蓑山をシカトしている。
  異様な空気が漂っている。
  内線電話がなる。
石嶺「はい、石嶺です」
  電話を聞いている。
石嶺「わかりました」
  石嶺、蓑山のところに来て。
石嶺「常務が話があるそうです」
蓑山「……」
  蓑山、作業場を出て行く。
  原田、矢島が蓑山の後ろ姿を睨んでいる。

〇同・食堂
常務、座っている。
蓑山「失礼します」
  蓑山、常務の前に座る。
常務「蓑山くんも居づらいだろ?」
蓑山「……」
常務「どうだ。製造課に行かないか?」
蓑山「……」
常務「君も管理課にいるより製造課に行った方が働きやすいだろ」
蓑山「……社長がそういうのですか?」
常務「君のためを思って」
蓑山M「ああ、これが姑息にごまをすり、蜜月関係にあるものと無い者の差ということか」
  蓑山、思わず、から笑いする。
常務「どうした?」
蓑山「いえ、なんでもありません」
  蓑山、苦笑いを浮かべている。
常務「じゃ、製造に行くな」
蓑山「わかりました。お気遣いありがとうございます」
常務「じゃ、製造の工場長のところに行こう」
  常務と蓑山、食堂を出る。
  誰もいない食堂。

              〈終わり〉


来年こそ、人生変えてやる!

何が何でも!


でも、ドラマってこんな些細なこと、ドラマっぽいことなんてなくても、まぁ、ある程度はカッコつくんだよね。

楽しんでいただけたら、暇つぶしのおともになったら、ほんと、幸いです


うたれ弱くなっているので、お口直しは、こちらの受賞作でお願いします

がんばれ、コメントいただければ幸いです。

自分は、頑固者だから、おそらく変わらないでしょう。

よく言えば、一念岩をも通す、なのかなぁ

ああ、土曜日はお気に入りのインストラクターのボディコンバット受けるぞ!

彼女のコンバットは、俺にとっては、それが今年ラストになるし



コメント (3)

ヤンシナ落選作「ドブネズミはしたたかに生きている」 第四回

2015-12-17 07:44:50 | ヤンシナ落選作「ドブネズミはしたたかに生
ラスト、前

今夜、会社から帰ったらラスト第五回を載せます

って、こんなしょーもないドラマ、見ている人がいるのかなぁ

まぁ、通勤、通学の暇つぶしに読んでいただければ幸いです



第四回


〇駅前(朝)
  朝の出勤時間でサラリーマンやOL、学生が駅から出たり入ったりしている。

〇石神井川の風景

〇開進電機の外観

〇同・一階製造
  社員が一列に並んでラジオ体操をしている。
  ラジオ体操が終わる。
  社員がぞろぞろと出てきて、二列に並ぶ。
  先頭に社長と朝礼当番の社員(57)がいる。
  就業のベルがなり、そして、鳴り終わる。
朝礼当番「おはようございます」  
社長・社員一同「おはようございます」
  朝礼当番が、カセットの再生ボタンを押す。
  社歌が流れる。
  蓑山、何かを決意した固い表情をしている。
  目が鋭い。
  社歌が終わる。
  朝礼当番が社長を見る。
  社長が頷く。
朝礼当番「解散」
蓑山「(大声で手をあげて)ちょっと待ってください!」
  整列している社員、横目で蓑山をチラッと見る。
  原田、矢島は蓑山の後ろに並んでいて、驚いた顔をしている。
社長「ん、どうした」
蓑山「社長。自分は自分の素行の問題でたびたび石嶺課長に呼び出せれております。その素行について社長にお話ししたいことがあります。就業時間後でかまいませんのでお時間作っていただけないでしょうか? ぜひ、お願い致します!」
  蓑山、お辞儀する。
社長「……わかった」
蓑山「ありがとうございます」
  蓑山、またお辞儀をする。
  朝礼当番、社長を見てから、
朝礼当番「解散」
  各自、部署に去っていく。
  原田、矢島、蓑山、深野、石嶺、江成と静かに階段を登って管理課に行く。

〇同・管理課作業場
  各自、作業場の壁の方に並ぶ。
  石嶺と常務がみんなの前に立ち。
常務「おはようございます」
社員一同「おはようございます」
石嶺「本日の予定は、自動車部品中心に梱包します。途中、輸出モノを何点か入れたいと思います」
  常務、蓑山を見て、目が合う。
常務「蓑山くん」
蓑山「あ、全体朝礼で言ったことですが、社長の他に出来れば、常務と専務にも立ち会ってもらえませんか? ほんと就業時間終わりでいいので。ほんと自分の立場というか、イジメというか、ぜひ聞いて欲しいんです」
  原田と矢島、「イジメ」という言葉を聞いて警戒心を持って蓑山を見る。
常務「いじめ」
蓑山「はい」
常務「……わかった。社長には、改めて言っておくよ。ただ何時になるかわからないけど」
蓑山「いや、ほんと、就業時間外でいいので。何時でも待ちますので」
常務「わかった」
石嶺「……」
深野「……」
  矢島、鼻息が荒くなる。
石嶺「では、本日も宜しくお願いします」
社員一同「宜しくお願いします」
  散らばっていく。
  常務が去っていく。
  蓑山と深野、作業台にセロテープやペンを置く。
石嶺と原田、テーブル席で向かい合って、
石嶺「輸出モノ、お願いします」
  原田、頷く。
  原田、平静を装っているもどこかソワソワしている。
  そして、チラッと蓑山を見る。
蓑山、引き出しからマスクを取り出し、マスクをする。
  江成、管理課入り口の指定席に行く。
そこへ矢島がやってきて、立ち話をして、作業場を振り返り、蓑山を見ては話し込んでいる。
  蓑山と深野、指示書を見て、指示書に印鑑を押して、梱包をはじめる。
    ×    ×    ×
  作業場では、蓑山、深野、矢島、原田が作業をしている。
  原田、はかりで部品を袋につめて、はかりではかってテープで留めている。
  誰一人、しゃべらず、異様な空気が流れている。
  時折、矢島が蓑山をチラッと見る。
  蓑山、誰も見ず、黙々と仕事をしている。
  蓑山の目は据わっている。
  内線電話が鳴る。
  石嶺が受話器を取り、
石嶺「はい。石嶺です」
  石嶺、聞いている。
石嶺「わかりました」
  石嶺、受話器を置きながら、
石嶺「蓑山さん」
蓑山「はい」
石嶺「昼食のあと、午後イチで社長と専務、常務が話を聞くって」
蓑山「わかりました」
  原田、矢島、蓑山を見る。
  蓑山、意を決した顔を隠すかのように、唇を噛みしめる。
  鼻から大きく息を吸い、鼻から吐く。
  蓑山の目が自ずと鋭くなる。

〇同・食堂
  男性社員が食堂で仕出し弁当を食べている。
  テレビの音だけがながれ、会話はない。
    ×    ×    ×
  食堂には蓑山と石嶺しかいない。
  石嶺、歯磨きしながらテレビを見ている。
  蓑山、テレビを見ずに、一人紙にメモをしている。
  石嶺、歯磨きしながら蓑山に近づき、
石嶺「何書いてるの?」
蓑山「社長にぶち開けること」
  石嶺、歯磨きしながらテレビの方へ行き、テレビを見る。
  蓑山、ひたすらメモをしている。

〇同・社内
  就業開始のベルが鳴る。

〇同・管理課作業場
  蓑山、矢島、深野の三人は作業台で梱包をしている。
  原田、パソコンを見ているも手が動いてない。
  石嶺、パソコンにキーボードを叩いて入力している。
  会話はない。
  内線電話のベルが鳴る。
石嶺「はい。石嶺です」
  石嶺、聞いている。
石嶺「わかりました」
  石嶺、受話器を置きながら、
石嶺「蓑山さん。社長が今から聞くから食堂に来いって」
蓑山「わかりました。石嶺さんは来ないんですか?」
石嶺「いや、俺は」
蓑山「来てくださいよ。証人として」
石嶺「……」
  蓑山、原田、矢島を見て、挑戦的に、皮肉タップリに、
蓑山「他の皆さんも、おそらく、食堂に呼ばれると思います。その方が公平だと思うので。そのときは宜しくお願いします」
原田・矢島「……」
  蓑山と石嶺、食堂に向かう。
  原田、矢島、蓑山の後ろ姿を見る。


つづく

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ヤンシナ落選作「ドブネズミはしたたかに生きている」 第三回

2015-12-16 21:11:43 | ヤンシナ落選作「ドブネズミはしたたかに生
早く、終わらせたいので


第三回


〇開進電機の外観

〇同・管理課作業場
  蓑山と矢島の二人が作業台で梱包をしている。
  他に人はいない。
  沈黙の中、作業している。

〇同・バルコニー
  原田、タバコを吸っている。

〇同・管理課作業場
  蓑山と矢島の二人だけ。
蓑山「矢島さん。そろそろ定年なんですよね?」
矢島「ああ」
蓑山「どうすんですか?」
矢島「どうするも、嘱託だろ」
蓑山「……」
矢島「……」
蓑山「でも、わかりませんよ」
矢島「何が?」
蓑山、管理課に入ってくる人がいないの
を見て、
蓑山「ここだけの話。矢島さんを面倒くさいという人いるから」
矢島「(怒って)誰が!? お前だろ?」
蓑山「いや、いますよ。たとえば原田さんとか……」
矢島「……」
蓑山「ここだけの話ですけどね」
  深野、ハンカチで手を拭きながらやって来る。
  バルコニーから原田がやってくる。
  沈黙の中、作業している。
  すると、常務もやって来て、矢島のそばに行き耳打ちする。
  常務と矢島、管理課を出て行く。
  それを見送った蓑山、原田、深野、石嶺。
蓑山「あれ、もしかして、定年退職の話かな」
深野「あいつには辞めてもらわないと困りますよ」
原田「そうだね」
蓑山「あいつが辞めて、今度は若い女性が入ってくると会社も良くなりますよ」
原田「若い子は難しいな」
蓑山「いや、若くなくても女性が必要ですよ」
原田「……」
    ×    ×    ×
  矢島が管理課に帰ってくる。
石嶺「なんの話だったんですか?」
矢島「ん、退職金と嘱託雇用のこと」
  蓑山、深野、お互い顔を見合わせ、残念な表情をする。
石嶺「じゃぁ、嘱託で」
矢島「(グチをいうように)今まで通りがんばってくれってさ。給料は下がるのによ!」
石嶺「受けたんですか」
矢島「一応、受けたよ。この年じゃ仕事なんてないからな」
原田「社長に聞かれたんだよ」
矢島「社長に?」
原田「矢島さんは必要かって」
矢島「そうなの」
原田「それで、必要ですって言ったんだよ」
矢島「そうなの」
原田「そうだよ!」
矢島「じゃ、俺の退職金、五万円どうぞどうぞ」
原田「(笑いながら)五万円かよ! もっともらったでしょ」
矢島「まぁ、こんなもんでしょっていう額かな」
原田「そう」
  矢島、手元に置いてある製品を原田に渡しながら、
矢島「まぁ、つまらないものですけど」
原田「(笑いながら)こんなのいらねぇよ!」
  原田と矢島、自分たちの茶番に笑う。
蓑山、吐き気を感じ、顔を歪める。
蓑山M「原田が矢島を切らなかったのは、おそらく俺と何度も衝突してるからだ。また衝突してシカト状態になったとき、一緒に盛り上がる相手として矢島を残したんだ」
  蓑山、悔しさを押し殺して、
蓑山「ちょっと、トイレ行ってきます」

〇同・トイレから通路
  蓑山、トイレから出てきて、ハンカチで手おふきながら管理課へ向かう。
  石嶺が管理課から出てきて、
石嶺「蓑山さん。ちょっと」
蓑山「?」
  そのまま食堂へ。

〇同・食堂
  蓑山と石嶺、向かい合って椅子に腰掛けている。
石嶺「実は又クレームが出て」
蓑山「え!? 今度は何です?」
石嶺「蓑山さん。よくトイレに行くじゃないですか。それがトイレじゃなくて、トイレでメモしてるんじゃないかって」
  蓑山、呆れ顔。
蓑山「それは職場が寒いからトイレが近くなるだけでしょ! それはわかりますよね!? エアコンつけたって全然あったまらないじゃないですか!?」
石嶺「そうだけど……」
蓑山「俺の席は、原田みたい壁に囲まれて、自分専用のヒーターがあるんじゃないんだ! そりゃトイレだって近くなりますよ!」
石嶺「……(苦笑い)」
蓑山「もう、いい加減にしてくださいよ!? 俺は糞まで管理されなければいけないんですか!? それともトイレに行かず、作業場でションベンもらせっていうんですか? 立ちションしろっていうんですか?」
石嶺「いや、それは……」
蓑山「それに、俺にクレームが合ったら、社長、専務、常務、立ち会いでって言ったじゃないですか?」
石嶺「そうだけど、あまりに、ね」
蓑山「そうですよ! 次元が低いんですよ!
 結局、あいつら何かにかこつけて、俺をやりこめたいだけ! ただのイジメですよ! 俺はもう一歩も下がるつもりはないです! それにどうにも出来ないでしょ」
石嶺「まぁ……」
蓑山「いいです。俺がやります。自分に何一つ非がないと思っている傲慢な原田をつるし上げます」
石嶺「どうやって?」
蓑山「原田が一番いやがる方法でやります」
石嶺「……」
蓑山「もう逃がさねぇ。あの薄汚いドブネズミを必ずつるし上げます。石嶺さんにも多少なりと火の粉が降りかかるかもしれませんが、そこはガマンしてください」
石嶺「わかった」
蓑山「絶対、つるす。もうこれ以上、やられるつもりはない。好き勝手はさせない!」
  蓑山、目が殺気立っている。


つづく




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ヤンシナ落選作「ドブネズミはしたたかに生きている」 第二回

2015-12-16 07:49:40 | ヤンシナ落選作「ドブネズミはしたたかに生
ただの落選作、もったいぶってもしょうがないので←もったいぶってるのではなく小分けにするのは、その方が読む人にとっては読みやすいかな・・・

との、まぁ、自分なりの配慮かな

落選作に読みやすいも、読めるもないんだけどね

出社前に、


第二回


〇同・管理課作業場
蓑山、作業場に平静を装い入り、自分の場所で梱包作業をはじめる。
原田、パソコンでスポーツのHPを見ている。
原田「次の日本代表の監督、誰かな?」
蓑山「(平静を装い)モウリーニョなんか来てくれるといいですよね」
原田「バーカ。来るわけねぇーだろ」
蓑山「(おどけて)そうですか」
蓑山、梱包作業をしながらチラッと原田を見る。
憎しみの籠もった目。
蓑山M「こいつが全ての元凶であることに間違いないんだ! こいつだけは絶対許せない。仕事に対しても。それだけじゃない。こいつは去年、亡くなった俺の母までバカにしたんだ!」

〇回想・管理課(ある日)
  作業台で、原田と蓑山、深野が作業している。
蓑山M「俺の母は俺が19才のとき、精神が破綻してしまい、重度の精神障害者になった。そして、26年の闘病生活の末、去年亡くなった。原田には、最近、痴呆症に成りつつある母がいるとのこと。その会話のやりとりのでことは起こった」
蓑山「二十六年、病気していた母がいて、ほんと大変だったんですよ!」
原田「何いってんだよ! お前の母親、施設にいたんだろ。俺なんて痴呆症の母が家にいるから大変だよ。施設にいたお前の母親は幸せ者だよ」
  原田、素知らぬ顔をして部品を袋にいれて、はかりにかけて袋詰めしている。
 蓑山、怒りが込み上げ、目つきが変わり、唇を噛みしめる。
蓑山M「幸せ!? 一体どこが幸せなんだ! 母は生きる気力をなくし、歯も全て抜け落ち、食べるものも流動食しか食べられなかったんだ。二十六年間、何も喜びがなかったんだ! そのことで家族はみんな泣いたんだ! 泣いて生きてきたんだ! 施設にいたのだって十年ぐらいで施設に入る前は実家で父が母の看病をしていたんだ。それが心労になって父は不整脈を患い、よく一人で救急車を呼び病院に担ぎ込まれていたんだ! それが幸せだっていうのか? 確かに痴呆症の母がいるのは大変だと思う。そんなことは病気の母がいた俺には容易にわかる。しかし、お前は痴呆症の母がいるとはいうものの常に遊ぶことしか考えて無いじゃないか! 好きなものを好きなだけ食い、毎日、好き放題、勝手放題やってるじゃねぇか! そのお前のどこが不幸なんだ! ふざけるな! 俺はこいつを絶対許さない!」
            (回想、終わり)

〇同・管理課作業場
  蓑山、原田、矢島、深野、作業台で梱包している。
矢島「原田さん。こないだ久しぶりにソープ行ったよ」
原田「矢島さんもほんとよく行くね」
矢島「いや、久しぶりだよ」
原田、苦笑い。
矢島「そしたら、また土偶のような女が出てきてさ。俺は遺跡調査かって(高笑い)」
原田「(つられ笑いで)掘るね。発掘させたら日本一だね」
矢島「(笑いながら)そんなのなりたくないよ」
  原田と矢島、下品に笑う。
蓑山「……」

〇駅前(夜)

〇居酒屋店内
  蓑山、石嶺、深野の三人がテーブル席に座っている。
  壁には、冬服のアウターが衣紋掛けでかけてある。
  三人、ビールをもっている。
蓑山「とりあえず、お互いの日々の苦労にお疲れしましょう」
石嶺「お疲れ様です」
蓑山・深野「お疲れ様です」
    ×    ×    ×
  店員がいかげその唐揚げをもってくる。
深野、いかげその唐揚げに箸を出す。
蓑山「それにしてもいつまで、原田と一緒にいなくちゃいけないんだ」
石嶺「そうだなぁ」
蓑山「原田は、社長が取引先から引っ張ってきたんでしょ」
石嶺「そうなんだよね」
蓑山「なんで、あんな奴引っ張ってくるかな」
石嶺「原田さんは、ほんとごますりだから。引き抜かれる前まで、社長と常務にお歳暮やお中元送ってたらしいから」
蓑山「ほんと! ただの取引先のドライバーでしょ。普通、そんなことするか?」
石嶺「そこがごますりなんだよ」
蓑山「ごますりにもほどがある」
深野「でも、社長や常務が管理課に来ると真っ先に相手している」
石嶺「確かに」
蓑山「常務も常務だよ。バイク通勤禁止のはずなのに、原田は暖かくなるとバイクで来る」

〇回想・会社の脇
  自転車が数台御いてある中、バイクが一台置いてある。
  蓑山、バイクの傍に自転車を置く。
  作業着姿の常務が会社の入り口から出てきて、止めてあるバイクを見てしかめっ面をする。
蓑山の声「俺が、朝、自転車で出勤すると、常務、散歩に出かけるのかよく合うんだ。そんとき常務、バイクを見てしかめっ面するんですよ」
             (回想、終わり)

〇元に戻る・居酒屋店内
石嶺「そうなの」
蓑山「でも、常務、原田に何も言わないでしょ。あれ、メチャクチャごますって、蜜月関係にあるから、何も言わないんだよ」
石嶺「そうだね。それに社長に引き抜かれてきたというのも関係してるね」
蓑山「でも、それって全部、ごますりの賜物だからね」
石嶺「ほんと、あのごますりは凄いね」
蓑山「立ち悪いだけ。そのせいで奴は増長し、こっちが酷い目にあってるんだから。深野さんだって例外じゃないよ」
石嶺「そうなの?」
蓑山「そうでしょ。深野さんの娘の話が出ると、すぐ俺の女にするから、とか、ほんと深野さんが入ったときから、今の今までしつこく絡んでくる」
深野「……」
石嶺「そうだね。確かにしつこい」
蓑山「もう、聞いてていい加減にしろって言いたくなるよ」
深野「……(苦笑い)」
蓑山「それに、のぞき魔だろ」
石嶺「……」
蓑山「俺の引っ越した住所だって、番地も何も言ってないのに町名だけでアパート、探し当てたからね。それに母の葬儀の時も、グーグルアースで勝手に斎場のぞき込んだから。普通、そんなことする?」
石嶺「それを仕事中にやってるから問題だよ」
蓑山「でも、何も言えない。言ったらシカトされるし」
石嶺「そうなんだよね」
蓑山「シカトでグズルなんて、ただのガキだ」
石嶺「まぁ、確かに」
蓑山「でも、ガキのくせに、社長のバタ犬だから高給取りだろ」
石嶺「税金、俺より高いからね」
蓑山「主任の原田がなんで課長の石嶺さんより高いんだよ。それがおかしいだよ」
石嶺「それもごますりの賜物なんでしょ」
蓑山「ほんと、あいつが強気に出れるのってうちら三人だけだからね。あとはほんと相づちうったり、外面いいんだよな」
石嶺「ほんと。俺なんか傀儡だからな。実権は原田さんが握ってる」
深野「……」
蓑山「ほんとあいつ、いなくなんねぇーかな。大体、課で最年少が45才の俺っていうのがおかしいんだよ。会社全体でも三十代は婿養子の専務だけだろ」
石嶺「専務も38だからね」
蓑山「そんな……ここ東京だよ。どこぞの田舎の限界集落じゃないんだよ。若い人がいないからおかしいんだよ。みんな五十過ぎなのに精神年齢が未成年。大人げない大人しかいない。原田なんてほんとただのバカだからね」
石嶺「……」
蓑山「心頭滅却すれば火も又涼しい、って言葉あるでしょ。あれ原田、なんていったと思う?」
石嶺「……」
蓑山「心頭滅却すれば火も冷たくなる、って言ったからね。火が冷たくなるわけないだろ。精神のことを言ってるのに何もわかんねぇんだよ、あいつは」
  石嶺、苦笑い。
蓑山「それに、あいつに何か話すとすぐ否定するでしょ」
深野「するする」
蓑山「あいつ、ただ単に俺たちより上にいたいだけなんだよ。だから、否定の根拠が浅い浅い。もう思慮が浅いって言うのはああいう奴をいうんだね。ほんとそんなの相手にしなくちゃいけないから大変だよ」
石嶺「ご苦労様です」
蓑山「でも、兎に角、原田は社長のお気に入りだからいつまでいるかわからないけど、矢島だけは定年迎えたら、去ってもらわないと」
深野「矢島なんて常識ないし、あれは犯罪者だよ」
蓑山「深野さん。矢島には特に厳しいよね」
深野「あいつ、おかしいよ!」
蓑山「ここは石嶺さんにがんばってもらわないと」
深野「お願いしますよ」
    ×    ×    ×
  蓑山、石嶺、深野、相当酔ってきている。
蓑山「でも、今思えば、井村さんがいたときはこんなんじゃなかったなぁ」
深野「井村さんって」
蓑山「管理課の事務員で、仕事に厳しい真面目な人」
石嶺「そう。特に俺には厳しかった」
蓑山「そうなの?」
石嶺「俺が課長になる前、ちょっと間違えるとすぐ怒って、ほんと大変だったよ」
蓑山「それは、石嶺さんに次期課長になる人として自覚して欲しかったんじゃないの?」
石嶺「でも、課長になっても、二人っきりになるとよく怒ってたなぁ。あの怒り方は度が過ぎてたね。そのこと常務に話すと、慰められるぐらいだったから」
蓑山「そうなの」
石嶺「それで、俺が井村さんが定年迎えたとき、再雇用しないように常務にいったんだ」
  蓑山、唖然とする。
蓑山「それだよ! それがいけなかったんだよ!」
石嶺「何が?」
蓑山「管理課に口うるさいのがいなくなって、誰も厳しく注意する人がいないから、仕事中、タバコを吸うは、HPは見るは、原田が好き勝って振る舞うようになっただよ。全てはそれが原因だったんだよ」

〇フラッシュバック・一階製造(五年前)
  井村、定年で花束をもらう。
蓑山の声「井村さんは残しておくべき人だったんだよ」

〇元に戻る・居酒屋店内
石嶺「でも、ほんと厳しかったんだよ。もうイヤになるぐらい」
蓑山「でも、今が良いの? 会社としての秩序と規律もなく、原田と矢島が好き勝手やる職場が良いの? 俺はそのお陰で道化になって、精神すり減らしてるんだよ。正直、イジメだよ! 誰も助けてくれやしない!」
石嶺「……」
深野「……」
蓑山「石嶺さんは自分が楽になるために井村さんが切った。でも、その引き替えがこれだ! 管理課は原田に乗っ取られ、秩序も規律も潰され、原田は自分が好き勝手振る舞える課に作り替えてしまったんだ。それを石嶺さんは原田と揉めるのがイヤで権力まで原田に譲渡したんだ。そのおかげで俺は、バカを装い道化になって奴らに弄られているんだからな」
  石嶺、怒りだし、
石嶺「じゃ、どうすればいいって言うんだ!  俺が原田さんにシカトされても、しつこく注意すればいいっていうのか!」
蓑山「……」
深野「石嶺さんも蓑山くんも、今日はケンカをしにきたわけじゃないんだから」
蓑山「……」
石嶺「……」
蓑山「そうだね。普段、奴らに面と向かって言えないことを愚痴りに慰めに来たんだ」
  蓑山、虚しく笑う。
石嶺「……」
深野「……」
蓑山「でも、石嶺さん。矢島は去ってもらわないと困ります。二人の課の癌のうち、矢島が消えれば一緒にはしゃぐ相手がいなくなって原田も少しはマシになるはず」
石嶺「……」
蓑山「そうすれば、管理課に秩序と規律を取り戻すことが出来る。会社なんだから当然のことなんだけどね」
石嶺「……」
蓑山「兎に角、あの二人を引き裂くことです」


つづく


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第27回フジテレビヤングシナリオ大賞落選作「ドブネズミはしたたかに生きている」 第一回

2015-12-15 23:13:06 | ヤンシナ落選作「ドブネズミはしたたかに生
第27回フジテレビヤングシナリオ大賞、受賞作はここです

そして、その落選作をこれからのせようと思います。

落選作は他にもありますが、これは正直、小説にもしたくないし、エンターティメント性が弱いので

それに・・・

まぁ、暇つぶしに、お口直しは受賞作を見てください


第27回フジテレビヤングシナリオ大賞落選作「ドブネズミはしたたかに生きている」(全五回)


第一回


〇石神井川の風景
  冬でサクラの木も葉もなく枝だけ。
  自転車にのっている学生もコートを着て、帽子に手袋をしている。

〇開進電機の外観
  古びた二階建て。

〇同・管理課作業場
  誰もいない。
  作業場は、中央に作業台があり、六人が作業出来る大きさである。
  壁に向かってパソコンが乗っている机が二つ並んでいる。
  パソコン画面が見える。
  机の上も仕事のものしかなく、整頓されている。

〇同・一階製造
  プレス機が四台並んでいる。
  その作業場のスペースに紺色の作業着を着た社員一同、二列に並んでいる。
  そこには製造課の五名の社員の他に、管理課の六名の社員も並んでいる。
  社員たちは、ネックウォーマーを巻いたり、寒さで足を揺すったり、手をこすったりしている。
  蓑山智(40)も並んで、手を揉んでいる。
  ほとんどが年配の男たちである。
  列の一番前に整列している社員の方を向いて梅崎淳一(62)社長と井村芳子(60)が傍にいる。
社長「本日、井村さんが定年を迎え、開進電機を退職することになりました。井村さんには管理課の事務員としてだけでなく、縁の下の力持ちとして、幅広くフォローしていただき、真面目な人だけに時には厳しく、よくお世話になった人も多いでしょう。ほんと今までありがとう」
  営業事務の野上加代(48)が、芳子に花束を渡す。
  社員一同、拍手。
  有村真澄(59)常務が封筒を差し出して、
常務「これ、社員からささやかだけど」
芳子「ありがとうございます」
  芳子、受け取る。
社長「井村さんから、みなに一言、いいかな」
芳子、みなの前に出て、
芳子「私が開進電機に入って15年、ほんとありがとうございました。特に管理課の人には、事務員でありながらきつくあたることもあり、石嶺課長には、ほんと厳しくあたって、時には口論になることもありました。でも、それもひとえに石嶺課長に良い課長に成って欲しくてのことでほんと他意はありません。この場をかりて色々ごめんなさいね」
  石嶺博之(47)、軽く会釈する。
芳子「これからの時代、中々厳しいとは思いますが、皆様のご多幸と益々のご発展を心より願っております」
  芳子、深々とお辞儀をする。
  社員一同、拍手。
  画面が白黒になる。
蓑山M「こうして井村芳子は定年を迎え、退職した。それから五年が経過した……」

タイトル「ドブネズミはしたたかに生きている」

〇開進電機の外観
  「ドシンドシン!」と鉄板を貫くプレス機の音が聞こえる。

〇同・管理課作業場
  管理課は二階にあり、階段付近に江成祐司(49)が、一人立ちながら、テーブル台の上に指示書を広げている。
  そして、入り口を入って荷物を置くスペースがある。
すのこが敷いてありその上に通い箱や段ボールと梱包した商品が積み上げられている。
  その隣のスペースが管理課作業場である。
そこに、蓑山智(45)、深野治(52)、矢島二郎(59)が、作業台で、製品を梱包している。
  壁の方にパソコン席が向かい合わせに並んでいて、井村がいたころの壁に沿って並んでいるレイアウトとは違っている。
  故に、石嶺課長(52)席のパソコン画面はみんなに見えるが、原田晃(56)主任のパソコン席はパソコン画面が作業場に見えないようになって、四隅のところに椅子があり、壁に囲われている。
  その椅子の隣にはヒーターが置いてあり、原田だけを暖かくしている。
  原田の席は、まるで自分の家の机のように私物とスマホ、バイク雑誌、スポーツ紙でちらかっている。
  原田、手を止めてパソコンを見ている。
  蓑山が梱包しているところに、石嶺課長がやってくる。
  蓑山の場所にはセロテープと小さな紙が置いてある。
石嶺「蓑山さん。ちょっといいかな」
蓑山「……」
  矢島、深野が蓑山を見る。
  石嶺と一緒に蓑山が出て行く。
  原田、それをチラッと見て、パソコン画面を見る。

〇同・食堂
  誰もいない食堂に石嶺と蓑山が入って、パイプ椅子に座る。
  食堂は、18人が座れるぐらいの大きさである。
石嶺「どうです。調子は?」
蓑山「まぁまぁです。で、何です?」
石嶺は言いづらそうに、
石嶺「蓑山さん。申し訳ないんだけど、仕事中にメモを書くの、やめてもらえませんか?」
蓑山「……誰が言ってきたんです?」
石嶺「……」
蓑山「原田?」
石嶺「まぁ……」
蓑山「どうして、いつも俺ばっかり言われなくちゃいけないんですか! 前も製造の人は五分前になるとあがるのに、俺がそれをやったらクレームつけてくるわ、どうしていつも原田のいうことばかり聞くんですか!?」
石嶺「……」
蓑山「原田は、仕事中にパソコンがうちらの死角になっているのをいいことに仕事とは関係ないHPみてるじゃないですか! それだけじゃない。社内禁煙のはずが休み時間にはタバコは吸うわ、仕事中も勝手に一人、バルコニーでタバコ吸ってるじゃないですか! どうしてそれは注意されないんですか! おかしいでしょ! おかしいのは原田だけじゃない。矢島だって、仕事中に江成と立ち話してるじゃないですか! なんであいつらは注意されず俺ばっかり注意されるんですか! 俺がメモするのは、そういう腹の立つことから、平静を保つためにメモして、あいつらと関わらないようにしてるだけですよ! なのにどうして!?」
石嶺「いやぁ、確かにそうなんだよね。俺も原田さんに仕事中にタバコ吸うの注意したことあるんだ。そしたら、シカトされてさ、仕事にならないんだよ」
蓑山「……」
石嶺「原田さんには、輸出を任せてるから、シカトされると何も出来なくなって、なんとか話してくれるように世間話したり、機嫌取ったり、もう大変だったよ」
蓑山「俺だって、原田と入社して毎年シカトされてますよ。奴のいうことがあまりにも身勝手でつじつまが合わないことばかりいうから。それだけじゃない。競馬で何が出走するか聞かれて、知らないと答えただけでシカトされたり、暑いから窓を開けただけでシカトされるわ。窓開ける権利もないんですから。それに同じテレビ番組見てなくて、面白さを共有出来なかったのが原因でシカトされたこともありますよ。もうあげればきりがありませんよ。何に気をつけて良いのかさっぱりわからない(苦笑い)」
石嶺「そうなんだよね」
蓑山「そして一度、シカトされると十ヶ月は軽くシカトされつづけて、毎年仕事がやりづらい思いしましたよ。だから、もう奴のいうことには逆らわないように、ご機嫌を損ねないように気をつけるようにしてますよ。じゃないと仕事にならないから」
石嶺「そうなんだよね」
蓑山「でも、石嶺さんは課長だからそれだけですんでるけど、俺は奴のご機嫌を取るために道化になってバカを装わなくちゃいけないんですよ! それだけじゃない。言葉の暴力だって毎日ある。昨日もそうだ」

〇回想・管理課作業場(昨日)
  蓑山、矢島、深野が作業台で梱包している。
  原田、パソコン席から作業台へ移り、自分の席の蓑山の正面に座り、部品を袋に入れて、はかりにかける。
原田「……どう、婚活は?」
蓑山「そううまくはいかないでしょ。給料も安いし」
原田「ここにいたって女なんかいないんだから、出会いなんてねぇーよ?」
蓑山「そうですね。ここにいたらないですね……」
原田「もう45だろ?」
蓑山「はい」
原田「45なんておっさんだよ、おっさん。こんな金のねぇ、おっさんに女なんか来ねぇよ」
蓑山「そうですね。でも、まだ諦めてません。一応、活動してますから」
原田、鼻で笑い、
原田「どんな活動だよ」
蓑山「(冗談交じりに)それは言えない」
原田「どうせムリだよ! いっそちんちん切ってお前が女になれ! どうせションベンする以外使わねぇだろ?」
蓑山「……」
  蓑山、顔には出ないが腹を立てる。
原田「あ、蓑じゃ、女になってもダメだな」
  傍で聞いていた矢島が笑う。
蓑山「そうですね……」
  蓑山、顔で笑っているが腸煮えくりかえっている。
            (回想、終わり)

〇元に戻る・食堂
蓑山「しかも俺が相手にするのは原田だけじゃない。矢島まで調子にのって、恫喝するように俺に原田と一緒になって絡んでくるじゃないせすか? 俺は、あの二人のおもちゃにならなくちゃいけないんですよ。石嶺さんもわかってますよね」
石嶺「まぁ……」
蓑山「だから、俺は腹が立つから、メモの中に自分の居場所を作って、平静を保つようにしてるんですよ。一種の精神安定剤ですよ。それをやめろっていうんですか?」
石嶺「……」
蓑山「原田と矢島は野放しですか?」
石嶺「……(言葉が出ない顔)」
  蓑山、諦め気味に顔を小刻みに揺らし、
蓑山「わかりました。メモはやめます」
石嶺「そういってくれると助かる」
蓑山「でも、俺の置かれた立場は何も変わりませんよ。少なくとも原田と矢島がいる限り、あいつらの天下ですよ」
石嶺「そうなんだよね」
蓑山「いっちゃわるいけど、石嶺さんは原田の傀儡ですよ」
石嶺「(苦笑いしながら)傀儡か」
蓑山「管理課で権力をふるってるのは原田で、専務に怒られるのは石嶺さんに押しつけてる」
石嶺「……」
蓑山「兎に角、あの二人を何とかしないと石嶺さんが管理課を掌握することは出来ませんよ」
石嶺「そうなんだよね」
蓑山「でも、原田は兎も角、矢島はそろそろ定年を迎えるじゃないですか! 矢島は定年でやめてもらえば、石嶺さんより年上は、原田だけになるし、少なくとも調子づいてる二人のうちの一人を削ることが出来れば、少しは変わるはずです。矢島を定年で終わりにするようにしてくださいよ。嘱託で再雇用されないようにしてくださいよ」
石嶺「そうだね」
蓑山「大体、矢島は、あれは犯罪者ですよ!」
石嶺「……」
蓑山「石嶺さんも知ってるでしょ。岡田さんに助けを求められたでしょ」
石嶺「まぁ」

〇フラッシュバック・食堂
  男子社員が食べている。
  みんなが食べはじめた時、矢島は食べ終える。
  矢島、食堂を出る。

〇フラッシュバック・管理課の作業台
  管理課には、一人、岡田愛子(63)が弁当を広げて食べている。
  そこへ、矢島が早足でやってきて、愛子の後ろに立ち、耳打ちしながら愛子の体をまさぐりはじめる。
蓑山の声「あいつは、去年、辞めた岡田さんの体をまさぐったんですよ。ただの変質者じゃないですか!」

〇元に戻る・食堂
蓑山「それだけじゃない。前にも女子社員が帰りのタクシーで酔った勢いで矢島にキスされたらしいじゃないですか! どうしてそんなゲス野郎と一緒に働かなくちゃいけないんですか! 普通なら懲戒解雇ですよ!」
石嶺「そうだね」
蓑山「管理課に女性がいなから、今じゃ、朝からエロ話ばっかりじゃないですか。そうじゃなくてもあいつのせいで管理課は品がないって言われてるのに」
石嶺「矢島さんに関しては常務に必要ないとはいってるんだけど、決めるのは社長だって言われたんだ」
蓑山「冗談じゃない。あんな変質者にこれ以上、バカにされたくないわ! わかります? 原田と矢島が一緒になって絡んでくる辛さ? もう肉弾戦ですよ。どんだけ精神的に疲弊するか。気が変になりますよ」
石嶺「蓑山さんには、ほんと、迷惑かけるね」
蓑山「……兎に角、もうメモはしません。でも、今度、呼び出すときは、社長と専務同席の中で呼び出してください。勿論、自分の素行の問題でかまいません。それをエサに原田の振る舞いを全て暴露します。そのとき管理課がどうなるかはわかりませんがお願いします」
石嶺「……」
蓑山「いいですね。もうこれ以上、俺は引くつもりはありませんから」
石嶺「わかった」
蓑山「じゃ、行きましょうか」
石嶺「ほんと、蓑山さんには、色々迷惑かけるね」
  蓑山の表情が歪む。
  二人は、食堂を出て行く。


              つづく


って、これ、つづけるのかぁ~

ほんとスケールは超小さいです。

ほんと、お見せできるものが毎回一次落選作で

まぁ、マイナーはHPですから

一応、全五回で公開します。



でも、これからは面白いの、書くよ。



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