ダメでもともと!

面白いドラマを書いて、「一声」かけていただく。だめでもともと。

第23回ヤンシナ落選作 「異世界奇譚」 第七回(ラスト)

2011-08-02 07:52:04 | 第23回ヤンシナ「異世界奇譚」


第七回(ラスト)



〇バシュワース岩窟群・岩窟の前
  佐那たちが出てきた岩窟の前に、佐那と
  力丸、千草が赤ん坊を抱いている。
  アリーダとミロが見送りに来ている。
アリーダ「帰るのね」
佐那「ええ。姉上も元気な赤ん坊を産みまし
 たし…帰ります」
アリーダ「そう」
佐那「(微笑む)色々ありがとう」
アリーダ「短い間だったけど、なんか寂しく
 なるわね」
佐那「アリーダのことも、ミロのことも、み
 んなのことも忘れない。それにマルコのこ
 とも」
アリーダ「(頷く)」
佐那「でもここは、大丈夫なの?」
アリーダ「(微笑み)心配しないで。この国
 の問題は、この国の人たちで解決すること
 だから、佐那は心配しないでいいのよ。そ
 れより自分たちのことを考えて」
佐那「わかった」
千草「アリーダ」
アリーダ「千草」
千草「ほんとにありがとう」
アリーダ「体に気をつけてね。強い子に育て
 てね」
千草「(頷く)」
力丸「ミロ。色々世話になったな」
ミロ「元気でやれよ」
佐那「それじゃいくね」
ミロ「元気でやれよ。佐那」
佐那「(頷く)」
  佐那と力丸に千草は岩窟の中に入ってい
  く。
佐那・力丸「さよなら」
アリーダ・ミロ「さよなら」
  佐那たちとアリーダたちは見えなくなる
  まで、呼び合い、手を振った。
  佐那たちは岩窟の中に消えていく。

〇正親の本陣(夜)
  松明がたかれている。
  岩城正親の軍勢は、岩城城を睨む処にあ
  る。
  正親(33)の前に佐那と千草と赤ん坊を
  抱きかかえた力丸がやってくる。
佐那「兄上」
正親「(立ち上がり)佐那!それに千草!」
千草「殿!」
正親「生きておったか」
佐那「ただいま戻りました」
正親「やはり入ったのか?御神道に」
佐那「はい」
正親「(笑いながら)佐那ならきっと神聖不
 可侵であっても入るのではないかと思って
 いたが、まさか本当に入っていったとはな」
佐那「申し訳ありません」
正親「いや致し方あるまい。そうしなければ
 今頃依親に捕らえられていただろう」
千草「(後ろにいる力丸から赤ん坊を受け取
 り、正親に見せる)殿」
正親「おお、生まれたんだな(赤ん坊を抱く」
千草「男の子でございます」
正親「(赤ん坊をあやす)」
佐那「兄上。依親兄からは?」
正親「このままずっと睨み合ったままだ」
佐那「どうなさるおつもりですか?」
  正親は赤ん坊を千草に渡す。
家臣「戦しかない!たとえ殿の弟君であって
 も謀反人だ!」
  そばにいる家臣たちも「そうだ!」と同
  意の声を上げる。
佐那「(佐那は家臣たちを見てから)兄上」
正親「(目を瞑る)……」
佐那(N)「もしマルコがここにいたら。マ
 ルコならどうする?」

〇回想・バシュワース岩窟群・広場
マルコ「そんなに敵意を剥き出しにして、相
 手を倒すことしか考えてないというのは、
 さぞ相手も辛いだろうな」

〇回想・防空壕内
マルコ「話し合いの中で国を良き方向へ導け
 ばいい」

〇元に戻る・正親の本陣
佐那「兄上。ぜひ、依親兄と話し合ってくだ
 さい」
正親「(目を開ける)」
家臣「馬鹿な!そんなことしたら奴等の思う
 壺だ!今度はどんな汚い手を使ってくるか
 わからんぞ!」
  他の家臣から同意の声が上がる。
佐那「兄上。私たちは依親兄が何を思ってい
 るか、何を考えているのか知りません。今
 はただ互いに恐れ、憶測や推測でしかもの
 を見ることが出来ません。そして、悪い方
 悪い方へと物事を考えているのではないで
 しょうか?」
正親「(興味深く聞く)」
家臣「そんなことはない!我々はあんな奴等、
 恐れてはいない!」
佐那「(正親だけを見て)私は今こそ、兄上
 と依親兄に話し合いをして頂きたいのです」
正親「(佐那をジッと見つめる)」
家臣「(注意するように)佐那様!」
佐那「恐らく依親兄もそれを望んでいるのか
 も知れません。だから、何も動かないのか
 も知れません」
家臣「そんなことはない。奴等は殿の出兵を
 見計らって城を占領した卑怯者だ!」
佐那「(懇願)兄上!私たち三人、兄弟では
 ありませんか!私たちは今、互いを恐れ、
 憶測で勝手に怯え、そして、身構えている
 だけです!今こそ話し合いを!」
家臣「なりませんぞ、殿!」
佐那「これ以上、争いを広げる前にぜひ話し
 合いを!」
家臣「佐那様!たとえ殿の妹君であってもそ
 れ以上の物言い、許されませんぞ!」
佐那「兄上!」
家臣「(怒号)佐那様!」
正親「(家臣を片手で制して、佐那に微笑み)
 佐那、もういい。お前の気持はわかった。
 私も依親と話しがしたいと思っていた」
家臣「殿!」
正親「争う前に依親と話し合おうじゃないか」
家臣一同「殿!」
正親「戦うことはいつでも出来る。しかし、
 話し合うなら今が良い。お互いが傷つく前
 にな」
家臣一同「…」
佐那「(微笑み)兄上」
正親「さて、話し合いをするというのは決め
 たはいいが、誰がそれを依親に伝えるか?
 誰に仲介役に入ってもらうかだ」
佐那「その役目。私にやらせてください。妹
 の私がやるのが一番かと。依親兄も私なら
 わかってくださるはず」
正親「(考え込む)」
家臣「成りませんぞ!それこそ、奴等の思う
 壺です。奴等は佐那様を人質に取ろうとし
 ていたのですから」
佐那「いえ、私が行きます。ぜひ私に行かせ
 てください!」
力丸「殿。佐那様は私がお守りいたします。
 ぜひ私を佐那様の護衛に(深々とお辞儀を
 する)」
正親「(一息ついてから、微笑み)力丸。佐
 那を頼む。しっかり守ってくれよ」
力丸「はっ!」
佐那「(笑顔で)兄上」
正親「二人で行ってこい。そして、俺が依親
 と二人で話しがしたいと、そう伝えてこい
 (微笑む)」
佐那・力丸「(笑顔で)はっ!(お辞儀をす
 る)」

〇岩城城への山中(夜)
  佐那と力丸は月明かりを頼りに歩いてい
  る。
力丸「依親様は、話し合いに応じてくれるか
 な?」
佐那「わからない。わからないけど、私は兄
 上たちが争う前に話し合って欲しいの。そ
 れが争うことなく物事を穏便に解決する策
 だと思うし、みんなの幸せに繋がると思う
 の」
力丸「(笑い)それはマルコの影響か?」
佐那「(惚けてみせる)そうかな?」
力丸「そうだよ。マルコの影響だよ」
佐那「(笑い)でも、御神道を通って来た私
 たちの遠い祖先って、きっとマルコのよう
 な人たちよ。マルコたちが私たちの祖先な
 のよ。そう思わない?」
力丸「そう思う。きっと御神道を通って来た
 のはマルコだよ」
  月明かりが岩城城へ向かう二人の後ろ姿
  を照らす。

〇正親の本陣(夜)
  満天の星明かりの下、正親と赤ん坊を抱
  いている千草がいる。
  赤ん坊は眠っている。
正親「まさか、あの佐那があんなことを言う
 とはな。相手のことを考えるようになった
 か。御神道の中には一体何があるというの
 だ?」
千草「色々なことがありました。とても一晩
 では話せません(微笑む)」
正親「(微笑む)そうか」
千草「(赤ん坊を見る)」
正親「この子に名前をつけなくては」
千草「この子の名前はもう決めております」
正親「ほぉ、もう既に名があるのか」
千草「ええ」
正親「して、名は」
千草「マルコです」
正親「まるこ?」
千草「私たちを救い、そして、佐那を成長さ
 せた人の名です(微笑む)」


              〈終わり〉




以上です。

これが2010年12月作品です。
武井咲さんにヒロインを演じて欲しかったなぁ

このあと年明けに、チェ二ジアで起こったジャスミン革命(民主化運動)、そして、その火はエジプト、リビアへ、そして、パキスタンではウサマビンラディン暗殺、なんかあれだなぁ~
とは思ったかな。
応募したあとだったかなぁ
一応、シルクロードあたりを想像していたから、
岩窟群は、トルコのカッパドキアをイメージしていたかな、

でも、これを書いたのが2010年12月、「異世界奇譚」を書いたときは、まぁ、これだけ展開もさせたし、ある程度、自由にやってやったと思ったから、それに自分の中では「小さな手」よりもいいんじゃないか?
と思ったので、これで応募作を書くのは終わりでいいかな
と思ったけど、

ヤンシナの〆切は2011年2月末、

「まだ時間があるなぁ~」

そこで書いたのが、2011年1月作品、

「寂しがりやのドール」

です。

これを書いたとき、
「あ、素朴だけど、もしかしたら、これが一番かも知れない」
と思った。

語りにも演出を施した作品です

イメージヒロインは、新井恵理那さんです


とうとう、ヤンシナ落選作というか、ある意味、シナリオ公開もこれがラスト作品になります

なんとか訪問者も170人さまを保てたということは、正直、良かったのかな

まぁ、全部終わったら、なんかコメントくださいな!
ヤンシナ受賞作より面白いゾ
と豪語している、

まぁ負け犬の遠吠えですけど

明日からラスト作品で、自分の中ではNO1だと思っています

通勤、通学、行列の待ち時間、待ち合わせ、ご飯が出てくるまでの時間つぶしに読んで楽しんでいただけたら幸いです


コメント (6)

第23回ヤンシナ落選作 「異世界奇譚」 第六回

2011-08-01 06:49:00 | 第23回ヤンシナ「異世界奇譚」


第六回


〇バシュワース岩窟群・岩室(昼)
  ラムジンを前にゲリラAが話しをしてい
  る。
ゲリラA「ゲリラの負傷兵は診れないってい
 うのか?」
ラムジン「診れないんじゃない。ゲリラのア
 ジトにはいけないと言っている。患者をこ
 こに連れてこい。そうすれば診る」
  マルコと佐那とミロが来る。
ゲリラA「負傷兵は市街地のアジトにいて、
 これないから言っている!」
ラムジン「なら、市街地の医師に診せればい
 い」
ゲリラA「そんなこと出来るか!政府軍にア
 ジトがばれるだろ!」
マルコ「……」
ゲリラA「それとも何か?このまま見殺しに
 しろとでもいうのか?差別なき医師団とい
 うのはウソか?」
ラムジン「ウソじゃない。しかし、あそこは
 政府軍がウヨウヨしている市街地だ。とて
 も行けない」
マルコ「なら、僕が行こう」
ラムジン「マルコ!」
ゲリラA「(マルコを見る)」

〇市街地
  ゲリラAに連れられてマルコ、ミロ、佐
  那が目立たないように歩いている。

〇ジャフミール高原・愛国戦線アジト
幹部A「あいつは逃げるんじゃないか?」
ロモ「(確信をもって)いや、やつは逃げな
 い。やつは決して患者を見捨てはしない。
 それが自分の命を落とすことになるとして
 も」
幹部A「そう、うまくいくか?」
ロモ「うまくいくさ(微笑む)」

〇市街地・ビルの外観

〇同・地下1階
  薄暗い地下に降りていくゲリラAとマル
  コにミロと佐那。

〇同・部屋
  部屋は暗く、奥に一つだけベッドがある。
  マルコはベッドの方に歩いていく。
  ベッドには頭から毛布を被った人の形が
  見える。
  マルコは、静かに毛布を剥いでいく。
  ジョアン(15)がパジャマ姿で両腕を胸
  の前にして体を丸めて震えている。
  ジョアンは怯えた目でマルコを見上げる。
マルコ「怖がることはないよ。君のためにや
 って来たんだ」
ジョアン「(震えて怯えている)」
  一瞬、鉄の音が聞こえる。
  マルコは、毛布を全部剥いでみる。  
  ジョアンの足には鉄で出来た足枷とそれ
  が鎖でベッドの端で繋がっている。
マルコ「(唖然とする)」
ミロ「なんだ!」
  マルコは何かを察知してジョアンに触ろ
  うとする。
  ジョアンはマルコを避けるように、怯え
  ながら体を起こして両腕で胸の前を隠す。
マルコ「(諭すように)大丈夫だよ」
  マルコはジョアンの両腕をそっとどけて
  パジャマのボタンを外しにかかる。
ミロ「(尋ねるように)マルコ!?」
  ゲリラAは、気づかれないように部屋か
  ら出て行く。
  マルコはジョアンのパジャマのボタンを
  外している。

〇ジャフミール高原・愛国戦線アジト
ロモ「(不敵に笑い)マルコ・アズマイル。
 お前が天才医師であっても、あれは決して
 治せやしない。誰にも止めることは出来は
 しない(高笑いする)」

〇元に戻る・部屋
  マルコはジョアンのパジャマを開ける。
  ジョアンの体には時限爆弾が巻き付けて
  あり、作動している。
マルコ「(驚愕する)」
佐那「何?」
ミロ「爆弾じゃないか!」
  ジョアンは胸の前を隠して怯える。
ミロ「(憎悪)畜生、あいつら!」
マルコ「(悲しみに顔を歪めて)これがこの
 国の惨状だ。ゲリラに売られた少年は、自
 爆テロの道具に使われるのさ」
ミロ「(怒りのまま)こんなことをするのは
 愛国戦線のルルドの双子だ!あいつらがや
 ったんだ!」
佐那「……」
マルコ「(ジョアンの体に巻かれた時限爆弾
 を見る)」
  時限爆弾がついている金属の胴巻きは溶
  接されていて外せないように出来ている。
ミロ・佐那「(心配そうに見る)」
マルコ「(険しい表情をする)」
ミロ「(不安げに)マルコ!?」
マルコ「(落ち着き払って)ミロ。早くこの
 街の人たちを避難させろ。遠くへ逃げるん
 だ」
ミロ「マルコは?マルコは逃げないのか?」
マルコ「(穏やかに)怖くて怯えている少年
 を置いていくわけにはいかないだろう」
ミロ「(首を激しくふり)奴等はマルコを殺
 すために、仕組んだんだ!一緒に逃げよう!
 マルコ」
マルコ「(穏やかに、首をふり)逃げてもま
 た同じ事が起こる。彼は僕のために犠牲に
 なったんだよ。僕がここで逃げれば、また
 誰かが僕のために犠牲になる。その繰り返
 しだ」
ミロ「(泣きそうな声で)マルコ」
マルコ「いつかこういうときが来ると思って
 いたよ。ミロもそうだろ?だから、僕のボ
 ディガードをしてくれたんだろ」
ミロ「(泣きそうな声で)マルコ」
マルコ「ミロ。これからはミロが人を救うん
 だ。ミロがこの街の人たちを救うんだ」
ミロ「(嘆き)マルコ」
マルコ「早く」
ミロ「マルコ!」
マルコ「いいから、早く」
ミロ「マルコ!」
マルコ「ミロ。ありがとう」
ミロ「(悲しみに顔を歪め)マルコ」
  ミロは佐那の手を取り、部屋を出て行く。
  マルコの耳に階段を登っていくミロと佐
  那の足音が聞こえるもやがて聞こえなく
  なる。
  マルコは、ジョアンのベッドに上がる。
  傍に座り、ジョアンの肩を抱いて抱き寄
  せる。
マルコ「もう大丈夫だ。君は一人じゃない。
 怖がらなくていい。僕も一緒だ」
ジョアン「(怯えた目でマルコを見る)」
マルコ「君と一緒だ。君とここにいるよ(と
 いって更に抱き寄せる)」
ジョアン「(マルコにしがみつく)」
マルコ「(ジョアンの頭を撫でながら)大丈
 夫。大丈夫だよ」

〇市街地
  商店街の通りにいる人々の前でミロが叫
  ぶ。
ミロ「(必死な形相で)早くここから逃げろ!
 ゲリラが爆弾を仕掛けた!早く逃げるんだ!
 逃げろ!」
  人々はそれを聞いて、ミロのいるところ
  から離れていく。
ミロ「早くここから離れろ!」
  ミロも躊躇している人を小突いたり、身
  振り手振りで、離れるように指示しなが
  ら離れていく。
佐那「逃げて!」
  佐那も叫ぶ。
  マルコのいるビルが閃光を放って爆発す
  る。
  ミロも佐那も、振り返ってビルを見る。
ミロ「マルコ!」
佐那「…」
  ビルは崩れていく。
  ミロは、その場に膝から倒れ、泣き崩れ
  る。
ミロ「マルコ!」

〇ジャフミール高原・愛国戦線アジト
幹部A「たった今、連絡がありました。マル
 コはジョアンと共に爆死したそうです」
ロモ「(鼻で笑い)はじめから協力していれ
 ばこんなことにはならなかったものを。独
 裁者と対話など、バカバカしい。そんなや
 り方よりも我々はもっと即効性のあるやり
 方を好む」
幹部A「…」
ロモ「マルコは、バシル・ファジに殺された
 と触れ回れ。そして、民衆の怒りを、バシ
 ルに向けさせろ!人々を扇動するんだ」

〇バシュワース岩窟群・広場(夜)
  バシュワースにいる医師たちの前で、ミ
  ロは泣きながら言う。
ミロ「マルコは、マルコは最後まで医師でし
 た」
  医師たちも泣く。
  アリーダの目に涙が見える。
  アリーダの傍に、女医が来る。
女医「アリーダ。生まれたわ」
  アリーダは佐那に寄って行き
アリーダ「佐那。赤ん坊が生まれたわよ」
佐那「…」

〇同・千草のいる岩室
  千草が、ベッドの上で寝ている。
  傍には赤ん坊がいる。
  佐那と力丸とアリーダがやってくる。
佐那「姉上」
千草「佐那。男の子よ」
佐那「(赤ん坊を見る)」

〇バシュワース岩窟群・広場(朝)
  医師たちが集まっている。
  佐那は遠巻きに見ている。
ラムジン「では、満場一致ということで、差
 別なき医師団のリーダーをアリーダにやっ
 てもらう」
一同「(拍手)」
ラムジン「アリーダ。新しきリーダーとして、
 何か一言いってくれ」
アリーダ「(立ち上がって、お辞儀をする)」
一同「(拍手)」
アリーダ「(ゆっくりと穏やかに語りかける)
 差別なき医師団は今までと同じ、何も変わ
 りはしない。人に上も下もなければ、体制
 も反体制もない、人は人だ。差別なき医師
 団は決してどの体制にも属さない。ただ傷
 ついた人を治すことだけに専念する。その
 信念に変わりはない。(一呼吸置いて力強
 く)私は、マルコ・アズマイルの意志を継
 ぐ」
一同「(歓声とアリーダコールで湧く)」
佐那「……」

〇バシュワース岩窟群・佐那のいる岩室
  力丸が佐那に集めて自動小銃の山を見せ
  る。
力丸「(笑顔で)お前に言われたとおり小判
 を売って、集めるだけ集めたよ。小判も金
 で出来てるから使えたよ。結構高値で売れ
 るんだな(笑う)」
佐那「(真顔で呟く)置いていこう」
力丸「え、何?今なんていった?」
佐那「(声を張って)これは置いていこう。
 向こうには持って行かない」
力丸「持って行かないって、こんなに集めた
 のにか?」
佐那「やめよう。この武器は、私たちにはい
 らない」
力丸「どうしたんだよ?あんなに喜んでたの
 に…」
佐那「……」
力丸「じゃ、せめて一つぐらい持っていくか
 ?」
佐那「(首を振る)」
力丸「(佐那の顔を見て、ため息をついて)
 佐那がそういうのなら、俺は従うだけだ(微
 笑む)」


      第七回(ラスト)へつづく。


  
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第23回ヤンシナ落選作 「異世界奇譚」 第五回

2011-07-31 07:19:08 | 第23回ヤンシナ「異世界奇譚」


第五回


〇バシュワース岩窟群・広場
  佐那が自動小銃で大きな岩に向かって発
  砲している。
  佐那はその破壊力に満足げな顔をする。
力丸「佐那」
佐那「(興奮気味に)力丸!これは凄いよ!
 凄い武器だよ!弓なんかとは大違いだ!ま
 るで比べものにならない!これさえあれば
 私とお前だけで十分敵を倒すことが出来る。
 力丸、この武器を調達するんだ。そして、
 国に持って帰ろう」
力丸「わかった」
  力丸は立ち去る。
  佐那は岩に向かって発砲する。
  マルコがやってくる。
マルコ「そんなに敵意を剥き出しにして、相
 手を倒すことしか考えてないというのは、
 さぞ相手も辛いだろうな」
佐那「マルコ」
マルコ「そんなに素晴らしいかい。人を殺す
 道具が」
佐那「……」
マルコ「そんなの持ち帰ってどうする?」
佐那「この武器さえあれば、あっという間に
 敵を殲滅できる」
マルコ「だが、沢山の人の血が流れる。(佐
 那の手から自動小銃を手に取り構えて見せ
 て)人を殺して、平和は手に入るのかい?」
佐那「……」
マルコ「人の死の上に平和はあるのかな?(自
 動小銃を佐那に返す)」
佐那「……」
マルコ「こんなのを持ち帰ったら、医者も大
 変だろうな(と苦笑い)」
佐那「マルコは武器を否定するのか?この武
 器はマルコの国の武器だぞ」
マルコ「だから、困る。争いや流血が絶えな
 い」
佐那「じゃ、どうすればいいというのです?」
マルコ「さぁ、どうしたものかなぁ(と、は
 ぐらかす)」
佐那「…」

〇夜

〇バシュワース岩窟群・マルコの岩室
  マルコはランプの明かりのもとでカルテ
  を見ている。
  マルコは人の気配に気付き振り返る。
  レオン・アズマイル(33)が入ってきた。
レオン「まさか、ここが攻撃されるとはな」
マルコ「(冷ややかな目で)兄さん…」
レオン「そうイヤな顔するな(笑う)」
マルコ「ここには来て欲しくないな」
レオン「用がなければ来ない。バシル・ファ
 ジに会ったそうだな」
マルコ「……」
レオン「お前の行動は独裁体制を容認するも
 のとしてみられてもおかしくない。それは
 我々、バシル打倒を掲げる反政府勢力にと
 っては面白くないことだ。特にお前は民衆
 に人気があるからな。それだけでもお前に
 嫉妬するものは多い」
マルコ「小言を言いに来たのですか?」
レオン「今度の反政府勢力の会議で、ここバ
 シュワースと差別なき医師団の処遇につい
 て話し合いがある。それに来い。当事者が
 いなければ話しにならないからな」
マルコ「かねてより噂は聞います。それに昨
 夜の攻撃からもね(レオンを睨む)」
レオン「そうか」
マルコ「わかりました。行きますよ。(マル
 コは奥の物陰の方に向かって叫ぶ)佐那!」
  佐那は物陰から立ち聞きをしていた。
佐那「(ばつ悪そうに)マルコ、私は別に立
 ち聞きするつもりではなく昼間のことで」
マルコ「(遮り)佐那も会議に来なさい。何
 かの役に立つかもしれないよ」
佐那「……」
レオン「(佐那を見て)誰だ?」
佐那「ただの客人だよ」

〇ジャフミール高原(夜)
  所々に破壊された施設や爆撃の後、戦車
  の残骸がある。

〇同・防空壕内
  防空壕の中は広く、輪になっている机が
  置かれている。
  そこにマルコと佐那とミロが座っている。
  他にも反政府勢力の救国革命軍のレオン
  や愛国戦線のルルドの双子や北部同盟の
  幹部が座っている。
  ロメ・ルルド(27)が輪の中で歩き回り
  ながら、演説している。
ロメ「ここジャフミールも連日政府軍の空爆
 にあい、多くのアジトが破壊され同志を失
 った。そこでだ。改めて我々の勢力を結集
 すべく、バシュワース岩窟群を我々の新し
 いアジトにしたい。あそこなら、地盤も固
 く、政府軍の空爆にもロケット攻撃にも耐
 えられる」
マルコ「……」
ロメ「(マルコに近づき)そして、差別なき
 医師団にも、ぜひ我々、反政府同盟に参加
 してもらいたい。差別なき医師団が我々に
 協力すれば民衆も進んで協力するはず。そ
 うすれば、独裁打倒に向かって機運も高ま
 るはずだ(マルコの前に立ち、マルコを見
 る)」
マルコ「(一呼吸置いて)私たち、差別なき
 医師団はどちらにも荷担しない。それにた
 とえ私たちがあなた方の味方をしても、民
 衆は決して味方しない。人々を巻き込むゲ
 リラに協力するものなど、誰一人としてい
 やしない。もういい加減、そのことに気づ
 いてもいいのではないか?あなた方が戦う
 姿勢を見せている限り、政府軍はどこまで
 も攻撃してくる。そろそろ武器を捨てても
 いいのでは?それともその勇気がないのか
 ?」
ロメ「(苦々しい表情で)我々にお説教か?」
マルコ「私はバシル・ファジ総統にお会いし
 た」

〇回想・バシル・ファジの寝室
  生気に満ちていた頃のバシル総統の自画
  像が飾られている。
  バシル・ファジ(55)は、病床に伏して
  いる。
  バシルはやつれ、余命幾ばくもない姿。
マルコ(語り)「あの屈強な方も病には勝て
 ず、随分変わり果てていた。私は病床に伏
 しているバシル様を見たとき、一つの時代
 が終わりを向かえようとしているのを確信
 した。そんなに急がなくとも確実に時代は
 終わる。時代が終われば新しい時代が来る。
 エジル様が私をバシル様に会わせたのはそ
 のことを伝えたかったのではないだろうか」
〇元に戻る・防空壕内
マルコ「この不毛な戦いを終わらせるために
 も、あなたたちも変わらなくてはいけない。
 変わる準備をしなくてはいけない。武器を
 捨て、政府と話し合う用意をしなければい
 けない」
  ロモ・ルルド(27)が席から立ち上がる。
ロモ「独裁政府と話しあえっていうのか!」
マルコ「(ロモに向かって)話し合いの中で
 国を良き方向へ導けばいい」
ロモ「バカな」
マルコ「あなた方が武器を棄て、対話を望む
 のなら、仲介役をかってでても良い。喜ん
 で協力する」
ロモ「そんな妄想に付き合うとでも思ってい
 るのか!」
マルコ「私たち差別なき医師団は決してゲリ
 ラに協力しない。バシュワースも渡さない。
 あそこは戦いに巻き込まれた人々を治療す
 る病院だ」
  マルコとロモ、しばし睨み合う。
ロモ「(マルコを睨んだまま)ロメ、行くぞ」
  ロモとロメの双子は出て行く。
  他のゲリラの幹部も出て行く。
  マルコと佐那とレオンとその部下が残る。
佐那「(マルコを見る)」
マルコ「(ため息をつく)」
レオン「(マルコに近づき)甘いぞマルコ。
 ルルドの双子に、お前の対話論は通用しな
 い。耳を貸すと思ったら大間違いだ。あい
 つらは血に飢えた狼だ。ファジ一族を血祭
 りにしたいだけだ」
マルコ「殺し合いからは何も生まれない。憎
 しみは憎しみを生む」
佐那「マルコは話し合いで争いが終わると思
 っているの?」
マルコ「争いからは憎しみしか生まれないよ。
 だからこそ、話し合うんだ。お互いに歩み
 寄って話し合うことが、物事を平和りに、
 解決に向けて進めることが出来る最良の手
 だてだと私は信じている」
佐那「…」
マルコ「あのように、戦いありきでは、たと
 え独裁者が死んでも争いは終わることはな
 い」
レオン「しかし、マルコ」
マルコ「(レオンを見る)」
レオン「ルルドの双子には気をつけろよ。奴
 等は邪魔者であれば同胞でも殺す。まさに
 悪魔の双子だからな」

〇ジープ車内(夜)
  ロモとロメが乗っているジープが荒野を
  走る。
ロモ「独裁者との対話など甘い。甘すぎる。
 あいつは早いうちに殺さなければいけない。
 あいつを生かしておくと、周りに悪影響を
 与えかねない」
ロメ「確かに、同志の中にもマルコを信奉す
 る者もいるからな。でも、どうやって?露
 骨にバシュワースを襲うわけにはいかない
 だろ?」
ロモ「俺に良い考えがある。ジョアンを使お
 う」
ロメ「あの臆病者をか?また逃げ帰ってくる
 だけではないのか?」
ロモ「大丈夫だ。今度は失敗しない(ニヤリ
 と笑う)」
  ジープは闇に消えていく。


        第六回へつづく。



昨日は、創作メモは出来るも小説まで弄ることが出来ず、二連敗
今日は、エアロビにボディコンバットとあるが、夜、二十分でいいから、1行でもいいから進みたいな

いや、進むんだ


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第23回ヤンシナ落選作 「異世界奇譚」 第四回

2011-07-30 10:41:50 | 第23回ヤンシナ「異世界奇譚」
1日20分はやるをはじめて以来、時間が20分と低めに設定しているので、寝る前にひと弄りとかしてなんとかやっているが、週二回から三回は何も出来ないときがある

昨日もそうだった

突然、メールが受信できなくなり、それで深夜三時まで悶々としていた

どうも、機械音痴だからパソコンとか携帯とか、なんかわけわからんようになると、

イィィ~


ってなる


そして、早速、プロバイダーに電話したら、昨日からメールに障害が出たとのこと

全くもってムダな時間と精神を費やしてしまった

プロバイダーのHPにアクセスしても障害でそれも見れなかったから、ダメだったんだけど、パソコンがないと何をやるにしてもアカンのでほんと生命線

しかし、その生命線もハードディスクが熱をもつので、そろそろ寿命が来ている

いろいろなんとかせんといかん

でも、創作の方は、昨日、会社で、けっこう創作メモ的にはいいものを得たので、今日はその整理と、そして、20分で良いから小説を弄ろう!

王様のブランチにこないだ直木賞受賞した作家さん、48才の方が出ていたが、直しに凄い時間をとっている
原稿を直すと赤ペンが一本なくなるといっていた
俺も、今書いているのはほんと出すとしたら来年の文藝春秋のオール読み物か100枚ぐらいいけば文学界新人賞に出すが、直しというのをこまめにやろう!
まぁ、作品は俺は自分の半身的な存在に見えるから、なんか愛おしい
決して評価されるものではないかも知れんが、けっこう勉強にはなっていると思う。


さて、前置きはこの辺で、
といっても、これもたいした売りにはなってないが

まぁ、小説家になるための儀式だから



第四回


〇ファジ大宮殿
  白亜の宮殿である。
  宮殿前には大広場があり大理石が敷き詰
  められある。

〇同・正門前
  二人の警備兵が立っている。
  マルコは、ミロと力丸を連れて、警備兵
  に話しかける。
マルコ「国防総司令官のエジル・ファジにお
 会いしたい」
警備兵「面会の予定は聞いてないぞ」
マルコ「マルコ・アズマイルが来た、と言っ
 てくれれば、エジル様は会ってくれると思
 う」
警備兵「(困惑する)」
  警備兵が駐留所に行く。
  そして、連絡を取っている姿が見える。
力丸「(建物に圧倒されて)この中に、この
 国の支配者がいるのか!?」
ミロ「(吐き捨てるように)支配者といって
 も独裁者だ」
力丸「(建物に圧倒されたまま)凄いな!」
マルコ「(微笑む)」
  警備兵がそばに寄って来る。
警備兵「マルコ・アズマイル。エジル様がお
 会いするそうだ。他の者はここで待て」
ミロ「マルコ!」
マルコ「大丈夫だ。心配するな。勝手知った
 る場所だ(微笑む)」
  マルコは正門前で二人の警備兵から身体
  検査を受ける。
マルコ「武器なんてないよ」
警備兵「入れ!」
  マルコは宮殿の敷地に入っていく。
  見送る力丸とミロ。

〇同・広間
  マルコは大広間にあるソファに座ってい
  る。
  扉が開く。
  マルコは立ち上がる。
  エジル・ファジ(22)が入ってくる。
エジル「先生。お久しぶりです」
マルコ「エジル様もお元気そうで」
  マルコとエジルは握手をして、ソファに
  座る。
エジル「先生がわざわざここに来たというの
 は、昨夜の事についてですか?」
マルコ「(穏やかに)なぜ、攻撃したのです?
 あそこは、今まで一度も攻撃されたことは
 なかった。一体、病院施設を攻撃するなん
 て正気の沙汰じゃない」
エジル「(穏やかに)そんなつもりはない。
 バシュワースを攻撃することは民衆の反感
 を買いかねない。あそこは我々政府にとっ
 てもデリケートな場所だ。しかし、今回は
 情報が入った。バシュワースがゲリラ共の
 隠れ家になっていると」
マルコ「まさか」
エジル「先日、ラムジ難民救済キャンプがゲ
 リラの武器庫になっているという情報が入
 った。調べたところ大量の武器弾薬が見つ
 かった。ゲリラ共は逃げた後だったがね。
 そして、そのゲリラが潜んでいる場所がバ
 シュワースという情報が入った。だから攻
 撃した」
マルコ「信じたのですか?」
エジル「私としては信じたくないが、疑念は
 ある。先生の兄、レオン・アズマイルは反
 政府ゲリラ、救国革命軍の指導者だ。弟が
 兄を匿っていてもおかしくないだろう」
マルコ「(呆れて)差別なき医師団は同じ志
 を持った医師たちが集まって成り立ってい
 る。私がそれを私物化するとでも思ってい
 るのですか?」
エジル「(穏やかに)思ってはいない。だか
 ら、威嚇のつもりで手加減した。差別なき
 医師団は民衆に支持されている。特に先生
 は民衆に人気がある。私個人としても先生
 には尊敬の念を抱いている」
マルコ「……」
エジル「先生の要求通り医療品の援助には応
 じましょう。十分な医療品をお渡しします。
 しかし、バシュワースを中立地として認め
 ることは出来ない。それはわかってくださ
 い」
マルコ「……」
エジル「もっとも、今回のような疑わしき情
 報がなければ、バシュワースを攻撃をする
 ようなことはない。それでは不服か?」
マルコ「わかりました。疑いをもたれないよ
 うにします」
エジル「良い心がけです」
マルコ「……」
エジル「それはさておき、父に会って行きま
 せんか?」
マルコ「(驚き)よろしいのですか?お体が
 優れず、身内の者以外、面会できないとい
 う噂を耳にしております」
エジル「ここに、我が国一の天才医師、マル
 コ・アズマイルが来ているのに、診てもら
 わないというのは実に勿体ない話しだ。そ
 れとも独裁者の体を診ることは出来ません
 か(微笑む)」
マルコ「そんなことはありませんが、(念を
 押すように)よろしいのですか?」
エジル「ぜひ、父を診ていって欲しい」

〇同・宮殿前・広場
  ベンチに腰掛けている力丸とミロ。
力丸「随分、時間が経つけど、マルコは大丈
 夫かな」
ミロ「(笑って)大丈夫だよ。たとえ独裁者
 であってもマルコには手を出さない」
力丸「なぜ?」
ミロ「マルコは、独裁者バシル・ファジの息
 子、エジル・ファジの命の恩人だからさ。
 エジル・ファジは生まれながらにして心臓
 に病気をもっていたんだ。それを移植手術
 で治したのがマルコなんだ」
力丸「(意味が分からず)移植手術?」
ミロ「移植手術っていうのは、他人の心臓を
 ほかの人に移すってこと。たとえば俺の心
 臓を力丸の体に移すってことだよ」
力丸「(驚き)え、そんなことが出来るのか
 ?」
ミロ「出来る。マルコなら出来る。マルコは
 この国一の天才医師だからね」
力丸「凄いな。マルコもこの国も、何もかも
 が俺のいるところとは大違いだ」
ミロ「(笑い)でも、この国だって、一見平
 和に見えるがそうじゃない。昨夜の攻撃は
 全く予期せぬ攻撃だったが、ジャフミール
 高原は毎日が戦場だ。ファジ独裁政府と反
 政府ゲリラが戦っている。その戦いは無関
 係な民衆が住む市街地にまで及ぶこともあ
 る」
力丸「…」
ミロ「全くいつまで続くのやら…」
力丸「(感慨深げに)言い伝えでは、御神道
 の先には理想郷があると言われていた」
ミロ「(笑い)理想郷か。そりゃいい。ここ
 は一人の独裁者が支配する国だ。理想郷と
 はほど遠い国だよ」
力丸「(ミロを見る)」
  宮殿正門からマルコが出てくる。
ミロ「(立ち上がり、手を振る)マルコ!」
  マルコも手を挙げて答える。
  力丸も立ち上がる。


    第五回につづく。


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第23回ヤンシナ落選作 「異世界奇譚」 第三回

2011-07-29 07:42:45 | 第23回ヤンシナ「異世界奇譚」


第三回


〇同・佐那のいる岩室(朝)
  佐那と力丸がベッドでスヤスヤ寝ている。
  岩窟の外から自動小銃の発砲音が聞こえ
  る。
力丸「(飛び起きて)な、なんだこの音は!?」
佐那「(起き上がる)」
  力丸と佐那は岩窟の入り口に行く。

〇同・岩室の外
  マルコの仲間の医師、ラムジン(32)が
  大きな岩に向かって自動小銃の試し打ち
  をしている。
  マルコも岩室から見ている。

〇同・岩室・大広間
  マルコたちと一緒に佐那と力丸は朝食を
  食べている。
  力丸は、はじめて見る食べ物を恐る恐る
  食べている。
ラムジン「やはり我々も武器を持つべきだ!
 一方的にやられるわけにはいかない」
医師A「そうだ!ラムジンの言う通りだ。自
 分たちの命は自分たちで守らなければいけ
 ない。非武装なんて、そんなことに拘って
 いたら命がいくつあっても足りないぞ」
医師B「医者を見る医者が必要になる」
一同「(笑い声)」
マルコ「(静かに食事をしている)」  
ラムジン「マルコ。我々は中立な立場が保証
 されているわけではない」
アリーダ「(マルコを見る)」
  マルコは珈琲を飲み干し食事を済ませて
  立ち上がる。
  佐那と力丸もマルコを見る。
ラムジン「マルコ!」
マルコ「宮殿に行ってくる」
ラムジン「(驚き)何しに行く?中立を認め
 させる気か?」
マルコ「まさか」
医師B「(皮肉混じりに)じゃ、いっそ退陣
 要求でもするか?」
マルコ「(微笑み)そりゃいい」
ラムジン「マルコ!」
マルコ「医療品の援助を掛け合ってくる」
ラムジン「一方的に攻撃してきた連中にか?」
医師A「昨日の今日だぞ!」
マルコ「政府軍施設から略奪するわけにはい
 かないだろう。そんなことをしたら昨夜の
 攻撃ではすまないぞ」
ラムジン「しかしだなぁ」
マルコ「兎に角、宮殿に行くよ」
アリーダ「じゃ、私も行くわ」
マルコ「アリーダはここに残ってくれ。俺一
 人で行く」
  ミロ(17)が口を挟む。
ミロ「マルコ、俺はついて行くぞ。マルコの
 ボディガードだからな」
力丸「(急に立ち上がって)俺も行って良い
 か?」
  一同、力丸を見る。
力丸「(佐那を見て)佐那、俺もマルコと一
 緒に行きたい。この国を見てみたいんだ!
 いいだろう?」
佐那「別に構わないけど」
力丸「佐那も行くか?」
佐那「いや、私は姉上のこともあるし、それ
 に、(小声で)あの武器のことが気になる
 (ラムジンたちの前に置いてある自動小銃
 に目がいく)。力丸一人で行くと良い」
力丸「そうか。(マルコに向かって)じゃ、
 俺も連れて行ってくれ」


        第四回につづく。


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第23回ヤンシナ落選作 「異世界奇譚」 第二回

2011-07-28 07:39:16 | 第23回ヤンシナ「異世界奇譚」
眠い
いくら二十分でも、早めにやらんと


第二回


〇御神道の外観
  鳥居の後ろに洞窟があるも蔦が生い茂っ
  ていて塞がり中は見えない。
佐那(語り)「御神道とは、遠い昔、戦に明
 け暮れるこの国に平安をもたらし、飢えた
 民をも救った祖先が通ってきた道。それが
 御神道である。そして、その道は神聖にし
 て不可侵な道として何人たりと立ち入るこ
 とを禁じられていた」

〇元に戻る・茂み
力丸「(驚き)大それたことを言うな」
佐那「それしかない。躊躇している猶予はな
 い!」
力丸「あそこは神聖不可侵な神の道だぞ!」
佐那「(強い決意で)罰なら私が受ける」

〇御神道(深夜)
  鳥居の奥の生い茂る蔦を、力丸がかきわ
  けている。
  佐那は身重の千草を支え、その様子を見
  ている。
  力丸は蔦をかき分けると人が通れるぐら
  いの大きさの穴が出来る。
力丸「良し、入れるぞ(佐那を見る)」
  力丸が洞窟の中に入り、佐那を手招きす
  る。
  その後に佐那が身重の千草を支えながら
  入っていく。
  力丸は、洞窟から顔を出して、外を見て、
  かき分けた蔦を元に戻して穴を塞ぐ。

〇同・御神道内
  力丸が持つ松明が洞窟内を照らす。
  洞窟内も蔦と苔が生い茂っている。
力丸「これが御神道か。なんか、気味が悪い
 な」
佐那「……」
  すると突然、蔦から生い茂る大葉に、第
  二次大戦の映像、ヒトラーや戦争の映像
  が映り、人々の悲鳴やうめき声が御神道
  内に木霊する。
  三人は大葉に映る映像を見て
力丸「(動揺)な、なんだ?」
佐那「(唖然としている)」
  三人は無数の大葉に映る映像を見入って
  しまう。
  戦争の悲惨さと悲鳴。
佐那「早く行きましょう」
  三人の足取りは早くなる。
  「助けてくれ」という悲鳴が沢山聞こえ、
  洞窟内に木霊する。
  大葉が妖しい光を放っている。
力丸「(身震いし)うう、寒気がする」
佐那「(顔を歪める)」
  やがて、「助けてくれ」という叫びが聞
  こえなくなるも段々爆音が聞こえてくる。
  聞いたことのない音である。
力丸「なんだ?この音は」
佐那「……」
力丸「このまま行っていいのか?」
佐那「ここまで来て何いってんの。怖じ気づ
 いたか、力丸」
力丸「そんなわけないだろ(と強がる)」
  三人の先に強い明かりがチラチラと見え
  隠れする。
力丸「明かりだ!今、明かりが見えたぞ、佐
 那!」
佐那「ええ」
力丸「急ごう」
  三人は急いで明かりが見え隠れする方へ
  進む。

〇異世界・バシュワース岩窟群(夜)
  三人は洞窟を出ると、強い風と轟音を耳
  にする。
力丸「(上を見ながら)な、なんだ!」
佐那「(上を見る)」
  上空には三機の戦闘ヘリがバシュワース
  岩窟群をサーチライトで照らしながら留
  まっている。
  三人は戦闘ヘリの旋風にさらされる。
  サーチライトが三人を照らす。
  別の岩窟の中から戦闘ヘリを見ているマ
  ルコ・アズマイル(31)がサーチライト
  にさらされている佐那たちに驚く。
マルコ「(三人に向かって)何やってんだ!
 早くそこから逃げろ!(三人に向かって走
 る)」
  マルコがサーチライトの中に入り、佐那
  と千草を抱えて、力丸に叫ぶ。
マルコ「(叫ぶ)早く逃げろ!」
  戦闘ヘリから銃撃を受けるも、マルコと
  三人はサーチライトから逃げ、間一髪逃
  れる。
  マルコと佐那たちは岩窟の中に入る。
マルコ「(三人に向かって)死にたいのか!」
  マルコは岩窟から戦闘ヘリを見る。
  戦闘ヘリは岩窟群を照らしている。
  岩窟の中に隠れているマルコの仲間が佐
  那たちを囲んで見ている。
  アリーダ(27)が千草に近づく。
アリーダ「あなた、妊婦ね。こっちに来て楽
 にして(千草に肩を貸す)」
佐那「(心配して)姉上!」
アリーダ「(佐那に向かって)大丈夫よ。心
 配しないで(微笑む)」
千草「(疲労しきって、アリーダに言われる
 ままに動く)」  
マルコ「(マルコが寄ってきて)帰投したよ」
佐那「(マルコを見る)」
マルコ「(佐那をマジマジと見て)……見か
 けない顔だな…それにそのカッコ。どうや
 らこの国の者ではないな」
力丸「(虚栄を張って)岩城城から来た」
マルコ「イワキジョウ?(微笑み)聞いたこ
 とがないな。そんな砦は?」
佐那「砦ではない。国だ」
力丸「(気勢を張って)そっちこそ、なんだ
 !?」
マルコ「ここはバシュワース。我々、差別な
 き医師団のベースキャンプだ」
力丸「(意味がわからない)???」
佐那「(マルコに向かって)私たちは御神道
 を通って来たました。そしたらここに出た
 のです」
マルコ「御神道?」
佐那「知りませんか?」
マルコ「知らないな。聞いたこともない(と
 言って微笑む)」
佐那「(マルコたちを見て)…力丸」
力丸「(佐那を見る)」
佐那「どうやら私たち、私たちの知らない処
 に来たみたいよ」
力丸「知らない処ってどこだ?ずっと西か?」
佐那「いや、そんなんじゃない。もっと違う
 処よ」
力丸「違うって何だよ?」
  アリーダが現れ、マルコに話しかける。
アリーダ「あの妊婦。臨月だわ。もういつ生
 まれてもおかしくないわ」
マルコ「そうか。(跪いて佐那と力丸を見て)
 異国の方、君たちも疲れているだろう。休
 んでいってくれ。それに妊婦の彼女はいつ
 赤ん坊が生まれてもおかしくないとのこと。
 幸いここは病院だ。そして、我々は医者だ。
 もし良かったら赤ん坊が生まれるまでここ
 に留まっていけばいい。そちらさえ良けれ
 ば我々は一向に構わない」
佐那「……」
マルコ「豪華なおもてなしは出来ないが、我々
 は君たちを客人として迎えよう。と言って
 も、今ではここもあまり安全な場所とは言
 えないのかな(笑う)」
力丸「(佐那を見て)どうする?戻るか?(弱
 気)」
佐那「戻ってどうするの?捕まるだけよ」
力丸「(戸惑い)いや、でもちょっと」
佐那「姉上のこともあるし、今はここにいま
 しょう」
力丸「でも、奴等が来るんじゃないか?」
佐那「来たら来たで、そのとき考えましょう」
マルコ「(話し合う二人を見て)どうした?」
佐那「いえ、では、お言葉に甘えさせて頂き
 ます」
マルコ「(微笑み)そうしなさい。それに何
 か疲れているみたいだ。夜も遅い。奥にベ
 ッドがあるから、そこで寝るといい」
力丸「(意味がわからず)ベッド?」
佐那「ありがとう」
力丸「(佐那を見て)わかるのか!?」
佐那「(マルコを見る)」
マルコ「(微笑む)」


        第三回につづく。


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第23回ヤンシナ落選作 「異世界奇譚」 第一回

2011-07-27 07:52:23 | 第23回ヤンシナ「異世界奇譚」
やっぱ、訪問者数が落ち込んできてる

まぁ、しょうがないか
落選作だしなぁ、中々素人の落選作なんて読めるもんではない

さて、今日から全七回で2010年12月作品、「異世界奇譚」をのせます。

思い出すと、
この作品は、2010年9月に「小さな手」を書いて、リアルドキュメント「文明は何処へ」でネズミ騒動引っ越し戦争があって、文藝春秋に向けての小説は書いていたが、

「小説はムリだ!」

と思い、テレ朝「恋愛抑止力」←ブログにのってるよ
を書いて、まだ時間がある

と思い、「異世界奇譚」を書きました。

この「異世界奇譚」の作るきっかけは、去年落選したとき、それを知ったときだったんだね、夢を見て、その中で16才のヤンシナ大賞受賞者、いわゆる神童があらわれ、俺はその人の作品が見たくて、見せてもらって、驚いたんだ

なにものにも囚われない自由は発想、
そして、大胆なドラマ展開力に、

俺はただただ、その発想とドラマ展開力に、

「ああ、俺のドラマは一本調子だ!」

と思ったんだ。

その凄さに貼りつけになったように寝ていて、起きたときは何も覚えてなかったんだけど、その大胆なドラマ展開力に、自分の一本調子の作品ではダメだ
と思い、
「俺だって、出来るぞ!やってやる!」
と思って、兎に角、展開力の凄いの、もう、はじけちゃったようなのを書こうと思って書いたのがこれかな

ヒロインの佐那(さな)を、若手女優の武井咲さんに演じてもらえたらいいなぁ
イメージとして、武井さんがあってると思った。
あの目力はいい

では、前置きはこれぐらいに、


第一回


〇岩城城・見張り台(深夜)
  見張り台に一人武士がいる。
  突然、矢に討たれて見張り台から落ちる。

〇同・佐那の部屋~廊下
  敵襲を知らせる笛の音。
  岩城佐那(16)は起き上がり、「敵襲!
  敵襲!」という叫び声を聞く。
  佐那は羽織を羽織って、襖を開け廊下に
  出て、戸を開け外を見る。
  城壁の外には松明を持った大勢の敵兵が
  いる。
  城内に侵入した敵を味方の武士が食い止
  めようと戦うも負けている。
  佐那は眉間に皺をよせ鋭い目で見る。
  侍女たちが佐那に駆け寄ってくる。
侍女「(動揺し)姫様!早くここからお逃げ
 ください!」
佐那「(険しい表情で)なんなのこれは?」
  力丸(16)が慌ててやって来る。
力丸「佐那!」
佐那「力丸、敵って誰?まさか郡津の軍勢が
 ここまで攻め入ってきたっていうの?」
力丸「違う佐那!謀反だ!依親様が謀反を起
 こした!」
佐那「(驚く)依親兄が!?なぜ兄がこの大事  ←依親兄は「よりちかにい」と読む。
 に!?」
力丸「そんなの知るか!けど、依親様が兵を
 率いて城を囲んでいるんだ!」
佐那「兵って!?一体何処の兵を率いるってい
 うの?兵はみな正親兄と共に郡津鎮圧に向
 かっているのよ!」
力丸「依親様に荷担しているのは昆野の軍勢
 だ!昆野実頼の軍勢を率いているんだ!」
佐那「(呆然と)どうして?どうして依親兄
 が昆野の軍勢を!?」
力丸「わからないよ!でも兎に角ここを出よ
 う!俺たちは不意を突かれた!多勢に無勢
 だ!ここも時期占領される。さぁ、佐那(佐
 那の腕を引っ張る)」
佐那「(城を取り囲む松明を見ながら呟く)
 なぜ、なぜなの?兄上」

〇同・岩城城・正門前
  城門が開かれる。
  岩城依親(28)が馬上から号令。
依親「いいか、兵士たち!千草姫と佐那を捕
 らえよ!傷一つつけてはならぬ!そして、
 降伏する者も決して殺してはならぬ!刃向
 かう者だけ殺せ!いいか!」
兵たち「(気勢をあげる)おう!」
  歩兵が城内へなだれ込んでいく。
  依親は城を見上げる。
依親「(独り言)許せ佐那。私のわがままを」

〇回想・野山の狩猟場(昼)
  依親が弓矢でイノシシを仕留める。
  依親は仕留めたイノシシの傍に行き、弓
  でイノシシの体を突くも反応はない。
  そこに昆野実頼(46)が来る。
実頼「依親殿、お見事。この大イノシシを一
 矢で仕留めるとはさすがですな」    
依親「恐れ入ります」
実頼「時に依親殿。実は姫に縁談が舞い込ん
 できてな」
依親「(依親の顔が険しくなる)」
実頼「鵜鎧城の城主、鵜鎧勝重殿が嫡男勝正
 殿の嫁にとおっしゃっていてな、どうした
 ものかと返答に苦慮しておるのだ。依親殿
 と姫のことはよく知っているからな(笑う」
依親「(伏し目がちになる)」
実頼「しかし、依親殿。私は姫を嫁がせるの
 は、一国一城の主であって、家臣ではない。
 それがたとえ主の弟であっても家臣は家臣
 だ。主ではない」
依親「(表情が険しくなる)」
実頼「(弓で死んでいるイノシシの突きなが
 ら)姫が欲しくば主になるのだな(といっ
 て依親を見てニヤリと微笑む)。そなたに
 その気があるのなら、手を回してやっても
 いい。たとえば、郡津に反乱を起こさせる。
 さすれば、それを抑えるために正親殿は出
 陣するだろう。そなたは国に留まり気を見
 計らって城を攻め、奥方様を捕らえて占拠
 すればいい。その後のことは、兄弟同士だ
 と何かと躊躇いや、やりづらいこともある
 だろう。それを変わりに、私がやってもい
 いぞ(と真剣な眼差しを向ける)」
依親「(神妙な面持ちになる)」
実頼「(はぐらかすように笑いながら)これ
 はあくまでも一つのたとえだ。しかし、ど
 うしたものかな。姫の幸せを願う親として
 は、中々苦労する(笑う)」
依親「(神妙な顔している)」

〇元に戻る・岩城城・正門前(深夜)
  馬上の依親。
依親「(独り言)許してください、兄上」
  依親に近寄ってきた兵士。
依親「奥方様と佐那は見つかったか?」
兵「いえ、それがまだ」
依親「佐那は兎も角、奥方様は身重だ。そう
 遠くへは逃げられない」

〇城外・茂み(深夜)
  佐那と身重の千草(21)は月明かりを頼
  りに茂みの中に隠れている。
佐那「(千草の額の汗を拭きながら)姉上、
 大丈夫ですか?」
千草「(気丈に)大丈夫」
  力丸が偵察から帰ってくる。
力丸「(困り果てた顔をして)どうする佐那。
 辺りは敵ばかりだ。このまま逃げても捕ま
 るだけだ。隠れる場所も無いぞ」
佐那「……」
千草「(佐那の手を握り)私に構わずお逃げ
 なさい。佐那と力丸の二人なら殿の処まで
 行けるわ」
佐那「そんなこと出来ません!そんなことを
 したら兄上に合わせる顔がない!」
千草「(微笑み)大丈夫」
佐那「駄目です!そんなの絶対駄目です!」
力丸「なら、いっそのこと降伏するか?依親
 様もまさか降伏する奥方様と妹を殺すよう
 なことはしないだろう」
佐那「(力丸を睨み)人質になれっていうの
 !」
千草「なら、私を差し出しなさい」
佐那「(大きく首を振り)駄目だ駄目だ駄目
 だ!」
力丸「(佐那の口を手で塞いで)佐那、声が
 大きい」
佐那「…」
力丸「なら、行けるところまで行くか」
佐那「(少し考えてから)御神道に入ろう」
力丸「(驚く)御神道に!?」


        第二回につづく。

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