ダメでもともと!

面白いドラマを書いて、「一声」かけていただく。だめでもともと。

第19回テレビ朝日新人シナリオ大賞テレビドラマ部門「あの頃の僕を探してくれ」 第七回(全七回)

2019-03-11 07:52:23 | テレ朝落選作「あの頃の僕を探してくれ」

「最終回」

 

〇レストランの外観(夜)

 

〇同・店内

  食事も終わり、テーブルにはデザートと珈琲がある。

  亜希、デザートに手を付けず、神妙な面持ちで、

亜希「深見君」

  学、顔を上げて亜希を見る。

学「……」

亜希「私、やめた方がいいと思うの。そしてもう会わない方が良いと思うの」

学、動揺し、間髪入れずに、

学「なんで!? どうして!? そんな、大塚さんがやめる必要なんてないよ!」

亜希「でも、私、関係ない深見君に迷惑をかけてる。これ以上迷惑かけたくないわ」

  学、焦りながら、

学「そんなことない! 大塚さんがいるだけで俺は助かってる! 迷惑だなんてそんなこと言わないでくれ! お願いだからこのまま傍にいてください! いいでしょ!?」

亜希「でも」

学「俺は迷惑だなんて全く思ってないし、大塚さんを困らせるてることは俺が必ず解決するから! だから、このままいてください! やめるなんて言わないでください!」

亜希「……」

  亜希、伏し目がち。

 

〇小林家の外観(夜)

  正雄の怒号が聞こえる。

正雄の声「いいから連絡しろ!」

 

〇同・居間

  正雄と小林大輔(35)が立って話をしている。

正雄「お前が学に働きたいって言いさえすれば、すべてことが済むんだ!」

  大輔、立ち尽くしている。

正雄「もう司法試験を受けるのはやめろ。お前には受からないよ。もうあきらめろ」

大輔、下唇を噛みしめる。

正雄「いい加減、俺に心配させないでくれ。親の苦労も少しは考えろ。わかったな」

大輔「……」

正雄「いいな。必ず連絡するんだぞ」

  正雄、居間から出ていく。

  大輔、下唇を噛み、微かに震えている。

 

〇ファミレスの外観

 

〇同・ファミレス店内

  学と浩司が向かい合って座っている。

  浩司の前に、いかげそとビールが置いてある。

  浩司、笑みがこぼれる。

浩司「そうですか! お支払い頂けますか!」

学「それで奥さんと正式に離婚していただけますね」

浩司「勿論、私の提案をすべて受け入れて頂けるのですから。いや、よかった。やっぱ話せる人に話すと物事はすんなり進むものですな」

  浩司、笑い喜び、ビールを飲む。

  学、冷めた表情で浩司を見る。

学(心の声)「汚いな、俺は。彼女の知らないところで勝手に彼女の人生を決めようとしている」

  学、微かに口元が微笑んでいる。

 

〇オフィスビルの外観(夜)

 

〇同・オフィスフロア

  学、カバンにタブレットを入れて席を立つ。

  亜希、学を見る。

 

〇同・地下駐車場

  学、エレベーターを降りて、地下駐車場にやってくる。

学(心の声)「あとは大輔だけだ」

  学、自分の車(セダン)に行き、ドアを開けようとする。

  すると車の陰から人が飛び出してきて学にぶつかってくる。

  学と謎の人がその場で固まる。

  学、手で腹を触るとナイフが刺さっている。

  学、血のついた手を見る。

  そして、その手で謎の人がかぶっている帽子を取る。

  謎の人は大輔。

学「大輔!?」

  大輔、憎悪の眼差しで学を見て、

大輔「どいつもこいつも俺をバカにしやがって!」

学「大輔!?」

  大輔、ナイフを引き抜く。

  そして、ナイフを落とす。

  ナイフが地面に落ちた金属音がする。

  大輔、その場から立ち去る。

 

〇同・学の車の車中

  駐車場に駐車してある学の車の運転席に学は座っている。

  シャツは血に染まっている。

  学、体ごとシートにもたれている。

学「報い、かな……」

  学、微笑み、目を閉じる。

  学、頭の中で学を呼ぶ声が聞こえてくる。

亜希の声「深見君」

  十四歳の亜希の声。

 

〇(回想)中学校の教室内

卒業式を終えたクラス。

学生たちはところどころに固まっている。

学(14)、一人、窓側の自分の席に頬杖をして座っている。

気持ちが沈んでいる。

机には卒業証書の入った筒が置いてある。

そこへ亜希(14)が声をかける。

亜希「深見君」

  学、振り返って亜希を見る。

亜希「どうしたの? なんか元気ないね」

学(心の声)「君と離れるのが辛いんだ」

  学、心を悟られぬように、

学「そんなことないよ」

亜希「うそうそ」

  亜希、微笑みながら、離れていく。

  学、亜希を目で追う。

  学を呼ぶ声が聞こえる。

亜希の声「深見君!」

  三十四歳の亜希の声。

 

〇(元に戻る)学の車の車中

  学、うっすらと目を開ける。

亜希「深見君!」

  学、亜希がぼやけて見える。

亜希、ドアの傍にしゃがみこんでいる。

亜希「深見君! しっかりして」

  学、ピントが合い、亜希が見える。

学「亜希……」

亜希「深見君!」

  学、亜希の手を掴み、小さな声で呟く。

学「亜希。あの頃の僕を探してくれ。ただ君のことだけを考えていれば幸せだったあの頃の僕を」

  学、ゆっくり落ちていくように目を閉じる。

亜希「深見君! 何?」

  学、小さな声で呟く。

学「そして、もし、あの頃に戻ることが出来るのなら、好きだと言えなかった思いを、僕は」

  亜希、両手で学の手を握り返す。

  学、目をつぶっている。

 

〇中学校の教室内

  亜希(14)が教室で女生徒とはしゃいでいる。

  学(14)、亜希の後ろに立ち、

学「大塚さん」

  亜希、学の方を振り向き、無邪気に微笑んで、

亜希「ん? 何?」

  学、モジモジして、

学「いや、あの……」

亜希「ん?」

  学、深呼吸して、意を決して、

学「大塚亜希さん!」

  と大きな声。

  生徒たちが静まり、学と亜希を見る。

亜希「はい」

亜希、真顔。

女生徒が告白を察して口に手を当てる。

立ち尽くす学と亜希。

学の顔。

亜希の顔。

学と亜希から、少し離れて生徒たちが囲っている。

  遠目からの学と亜希の姿。

 

             〈終わり〉

 

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第19回テレビ朝日新人シナリオ大賞テレビドラマ部門「あの頃の僕を探してくれ」 第六回(全七回)

2019-03-10 09:46:09 | テレ朝落選作「あの頃の僕を探してくれ」

「第六回」

 

〇喫茶店

  江藤と小林正雄(60)が向かい合って座っている。

  江藤、正雄にスマホの画像を見せている。

  画像には亜希が映っている。

江藤「可愛いでしょ」

正雄「……」

江藤「うちの会社に入社した大塚亜希さん」

正雄、江藤を見る。

江藤「社長の同級生です。勿論、社長の一存で雇われました」

正雄「あいつ! コネとかツテとかでは雇わないって言ってたくせに!」

江藤「僕が社長なら、ご子息を雇うんですがね。従弟を雇わず、同級生の女を雇うなんて、社長は一体何を考えてるのか?」

正雄「あいつは俺の息子をはなから雇う気なんてないんだ!」

江藤「(苦笑いして)もしかして、嫌われてるのかな?」

正雄「……」

  正雄、凄い形相。

  江藤、たじろぎ、

江藤「冗談ですよ」

 

〇タワーマンションの外観(夜)

 

〇同・玄関前

  学が帰ってくる。

  待ち伏せしていた正雄が学の前に現れる。

正雄「学君」

  正雄、低姿勢で学に接する。

学「おじさん。どうしたんですか?」

正雄「あの、例の話なんだが」

学「大輔のことですか?」

正雄「んん」

学「大輔からは、何も連絡、来てませんよ」

正雄「いや、俺が勝手に進めてることなんだが」

学「……」

正雄「大輔を学君のところで雇ってほしいんだ」

学「でも、大輔は今も司法試験を目指しているんですよね」

  正雄、学の言葉を遮るように、

正雄「あいつは受からん! もう十年もやって受からないんだ! 見てられないんだよ、俺は! 大輔を楽にしてやりたいんだ!」

学「それはわかるんですけど、肝心の大輔から何の連絡もないんです。おじさん。大輔にうちで働く気があるなら連絡しろって言ってください」

  正雄、学に強く訴える。

正雄「それが言えないんだよ! 学君と同い年の大輔にもプライドがある。意地がある。だから親の俺がやってやらないとあいつも動けないんだ!」

学「おじさんの言うこともわかります。でも、やはり本人が働く意思を示してくれないと、どうにも出来ないんです」

  正雄、キレ気味に、

正雄「だから言ってるだろ! そんなことは出来ないって!」

  マンションに帰ってきた若い女性が驚いた顔をして正雄を見る。

  学、正雄の腕を掴み、

学「おじさん。もう一度、大輔に言ってください。僕は待ってますから」

  学、正雄をなだめる様に言う。

  正雄、項垂れている。

学「お願いします」

  学、玄関に入っていく。

  正雄、項垂れ、震えている。

 

〇オフィスビルの外観

 

〇同・オフィスフロア

  社員が社員証を機械にかざしてドアを解除して入ってくる。

  その後ろからどさくさに正雄が入る。

  社員は怪訝そうな顔をするが、見て見ぬふりをする。

  正雄、フロアを見渡し人を探す。

  すると郵便物をもって出しに行こうとする亜希が入り口にやってくる。

  正雄、亜希に歩み寄り、真顔で、

正雄「あんたか! 学の同級生でここに入ったっていう女は!」

亜希「……」

  亜希、面食らった顔。

  社員一同、正雄と亜希を見る。

  正雄、亜希に八つ当たり、

正雄「どうしてだ! どうしてお前はここで働けるんだ!」

亜希「え!?」

正雄「なんでお前が雇われて、俺の息子が雇われないんだ!」

  応接室から学が顔を出す。

  正雄、亜希の胸倉を掴み上げている。

  亜希の持っていた封筒が床に落ちる。

  亜希、怯える。

  学、慌てて正雄と亜希の間に割って入り、

学「おじさん! やめてください!」

正雄、学に食って掛かり、

正雄「どうしてその女を雇って、うちの大輔を雇わないんだ!」

学「おじさん!」

  学、正雄を連れて、入り口からオフィスフロアを出ていく。

  ざわつく社員。

  亜希、不安な顔をし、床に落とした封筒を拾い始める。

 

 

             つづく

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第19回テレビ朝日新人シナリオ大賞テレビドラマ部門「あの頃の僕を探してくれ」 第五回(全七回)

2019-03-09 07:38:14 | テレ朝落選作「あの頃の僕を探してくれ」

「第五回」

 

〇喫茶店内(昼)

女性Aの声「社長。社長に会いたいという方から電話です。なんでも亜希さんのご家族の方とか」

  学、喫茶店に入っていき、席に向かう。

  浩司、一人、テーブル席に座り珈琲を飲んでいる。

  浩司、学を見るなり手で合図する。

学「中島さんですか? 初めまして、深見学です」

  浩司、愛想よく、

浩司「いやいや。さ、どうぞ、どうぞ」

  学、腰かける。

浩司「うちの女房が大変お世話になってるみたいで。一体どんな人なのか、ぜひ、お会いしたいと思いまして」

  浩司、鋭い目で学を見てにやける。

学「……」

浩司「はぁ、その若さで社長ですか! 凄いですね。……でも、あまり馴れ馴れしく人の女房に手を出すのはいかがなものか? 別居してても俺の女だから」

  浩司、にやける。

学「……」

浩司「でも、話次第では、やぶさかではない」

学「……」

浩司「いろいろ俺のことも調べがついてるんでしょ?」

学「……」

浩司「俺もネットで多少はあんたのこと、調べたんだ」

  浩司、ニヤつく。

学「……」

浩司「どうだ。今後のことについて二人で話さないか?」

学「……」

浩司「五百万で亜希と別れる。そして、もう五百万上乗せで娘の親権も亜希にやる。それともあんたにやるといった方がいいのかな。合わせて一千万。悪い話じゃないだろ。それで亜希はあんたのものになるんだから。後はあんたが好きなようにすればいい。抱きたきゃいくらでも抱けばいい」

  浩司、にやつく。

学「……」

浩司「先日、あんたと女房と美咲が一緒にいるの、見たよ。仲のいい家族に見えたよ。実に微笑ましいい」

  浩司、微笑む。

学「いや、あれは」

  浩司、学の言葉を遮るように右手を上げて、

浩司「いや、いいんだ。ともてよかった。今日は亜希と美咲の今後のことについてあんたと相談したかっただけだ。まぁ、もろもろ前向きに考えといてくれないか?」

  浩司、ニヤつく。

学「……」

 

〇オフィスビルの外観

  浩司、一人、ビルを見上げて、

浩司「離婚していなかったことが金をもたらすのか。人間、何が金になるかわからんな」

  浩司、ほくそ笑む。

 

〇ファミレス店内(夜)

  亜希、神妙な面持ち。

 

〇(回想)オフィスフロア

  女性Aと亜希が立ち話をしている。

女性A「社長なら、さきほど亜希さんのご家族の方に会いに行きましたよ」

 

〇(元に戻る)ファミレス店内

  亜希と浩司がいるテーブルの横を二人組の女子高生が通る。

  一人の女子高生が、ふと振り返って亜希を見る。

  浩司、イカゲソをつまみにビールを飲んでいる。

浩司「……だから、離婚がうまく進むように話しただけだよ。俺と別れたいんだろ?」

亜希「深見君は関係ないでしょ!」

浩司「そんなことはない。そんなこといっちゃ、彼に失礼だよ」

  浩司、にやける。

亜希「あなたが判を押してくれればそれでいいのよ!」

浩司「いや、そんな簡単なことじゃない。俺とお前の間には色々と話し合わなければいけないことが多々ある。こうやって何度、会っていても結局堂々巡りだ」

亜希「私とあなたの間に問題なんて何もないわ!」

浩司「ほら。それじゃ何一つ、話なんて進みはしない。しかし、今、それを一気に解決してくれそうな奴が現れたんだ。俺はただそいつに俺たちの仲介役になってもらいたいだけだ」

亜希「仲介って何よ! どうせよからぬこと、考えてるんでしょ!」

  浩司、苦笑を浮かべ、

浩司「そんなことはないぞ。お前にとっても有意義なことだぞ」

亜希「何が有意義よ!」

 

〇同・ファミレスの外(夜)

  美咲、自転車でファミレスにやってくる。

スマホの女子高生の声

女子高生の声「美咲のママ、男の人とファミレスにいたよ」

  美咲、自転車を止める。

美咲(心の声)「社長さんがママに会いに来ているのかな」

  美咲、微笑みながらファミレスの中に入ってくる。

 

〇同・ファミレス店内

  美咲、店内に入り、亜希を探す。

  すると亜希が浩司といるところを目撃して動きが止まる。

  美咲、二人の雰囲気が険悪なことを悟り、隠れるように空いてる席に座る。

美咲の表情が曇る。

 

〇オフィスビルの外観

 

〇同・オフィスフロア

  亜希、学を見る。

  学、デスクに座っている。

  亜希、オフィスフロアを出る。

 

〇同・オフィスフロア

  学のスマホに電話がかかってくる。

学「はい、もしもし、深見です」

亜希の声「深見君。今大丈夫?」

学「大丈夫ですよ」

亜希の声「私の夫が深見君に会いに来たと思うんだけど、あの人の言うことに耳を貸さないで!」

学「……」

亜希の声「ほんといいの! これ以上、深見君に迷惑かけられないから! ほんとお願い! あの人の言うこと、無視して! お願い!」

 

〇同・オフィスの通路

  亜希、人の来ない通路の奥にいる。

そして、スマホの電話を切る。

 

〇同・オフィスフロア

  学、立ち上がって亜希を探すようにフロアを見渡す。

  しばらくすると亜希がフロアに入ってくる。

  亜希、学と目が合うも目を逸らす。

  学、亜希のもとへ行こうとすると菊池綾子(33)が傍に来る。

綾子「社長。ちょっといいですか?」

学「……」

  離れた席から江藤晃(33)が学と綾子を見ている。

 

〇同・応接室

綾子「ほんとに私を新会社の社長にするつもりですか?」

学「そうだよ。菊池さんに社長になってもらうために引き抜いたんだから」

綾子「しかし、それを面白くないと思っている方もいると思います」

学「江藤さんのこと?」

綾子「はい」

学「あの人はダメだ」

 

〇(回想)オフィスフロア

学の声「あの人は自分の好き嫌いで物事の良し悪しを決める。だから、自分に媚びうる人しか集まらない。そんな人が社長になったら社員の士気は下がり、労働意欲を損なうだけだ。いくら会社立ち上げ当初からいるからといってあの人を社長にするつもりはないよ」

  江藤が雨で濡れたコートを着てフロアに現れる。

  それを見た男性社員二人が江藤の傍に行き、低姿勢で濡れたコートとカバンを受け取っている。

 

〇(元に戻る)応接室

  学、江藤と目が合う。

  江藤、目を逸らす。

綾子「……」

学「菊池さんは、そのまま誰とでも分け隔てなく社員と接し、今まで通りいい仕事をしてくれればそれでいい。それに新会社立ち上げはまだ先だし、そのときが来たら僕も全力でサポートする。だからあの人のことは気にしないで」

綾子「わかりました」

 

               つづく

 

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第19回テレビ朝日新人シナリオ大賞テレビドラマ部門「あの頃の僕を探してくれ」 第四回(全七回)

2019-03-07 08:02:06 | テレ朝落選作「あの頃の僕を探してくれ」

「第四回」

 

〇オフィスビルの外観(夜)

 

〇同・エントランス

  亜希、エントランスの隅でスマホを弄っている。

  すると突然、制服姿の美咲に声をかけられる。

美咲「ママ」

  亜希、驚いた顔をして、

亜希「美咲! どうしたの?」

美咲「ママがどんな会社で働いているか見てみたかったの」

亜希「……」

  亜希、ソワソワする。

  すると、学に声をかけられる。

学「大塚さん」

亜希「あ、深見君」

  学、美咲を見て、

学「もしかして、娘さん」

    亜希、落ち着きなく、

亜希「ええ」

美咲「もしかして、社長さんですか?」

学「はい」

美咲「初めまして。亜希の娘の美咲です」

  学、微笑み、

学「初めまして。亜希さんの同級生の深見です」

亜希「……」

  美咲、学をジーと見て、

美咲「若いですね」

学「(苦笑し)お母さんと同い年ですよ」

美咲「そうでした」

学「お母さんに会いに来たの?」

美咲「母がどういう会社で働いているか見に来たんです」

学「これから君のお母さんと食事に行くんだけど良かったら君も一緒に行きませんか?」

美咲「いいんですか?」

学「いいですよ。ね、お母さん」

亜希「(不意を突かれたように)え、ええ」

学「じゃ、行こう」

  三人はエントランスを出る。

 

〇オフィスビルの外(夜)

  学、美咲、亜希の三人が歩いている。

  学と美咲が談笑しながら歩いている。

  その姿を遠くから浩司が見ている。

浩司「……」

 

〇レストランの外観(夜)

 

〇同・店内

  四人掛けのテーブルに学、亜希、美咲が食事をしている。

  学と美咲は楽しく談笑しながら食べているも亜希は静かに食べている。

美咲「本当はママに会いに来たというより、ママの同級生の社長さんがどんな人か見てみたかったの。それで今夜、ママが晩御飯いらないっていうから、もしやと思ってきてみたの」

  美咲、微笑む。

学「美咲ちゃんは勘がいいんだね」

美咲「じゃ、勘いいついでにいいですか?」

学「何?」

美咲「単刀直入に聞きます。ママのこと好きですか?」

  亜希、ビックリして、

亜希「美咲!?」

学「……」

  学、苦笑いをする。

美咲「じゃぁ、もしママが離婚したらどうしますか?」

亜希「ちょっと美咲!?」

学「どうしようかな。どうしたらいい?」

美咲「何、それ」

  学、微笑む。

学「美咲ちゃんは何歳?」

美咲「十四」

学「好きな人はいるの?」

  美咲、焦って、

美咲「唐突に何よ」

学「僕はちょうど美咲ちゃんの年に初めて人を好きになったなぁ」

亜希「……」

美咲「……」

学「めちゃくちゃ好きになった。それがとっても幸せだった。嬉しかった。結局、その想いは相手に伝えることは出来なかったけど……。でも、最近、あの頃のことをよく思い出す」

  学、目をつぶる。

亜希「……」

  学、静かに呟く。

学「もし、あの頃に戻れるのなら」

亜希「……」

  学、微笑み、

学「いや、なんでもない」

  学、美咲を見て、

学「美咲ちゃん」

美咲「?」

学「きっと誰かが君のことを好きなっていると思うよ」

美咲「な!?」

  学、微笑む。

 

             つづく

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第19回テレビ朝日新人シナリオ大賞テレビドラマ部門「あの頃の僕を探してくれ」 第三回(全七回)

2019-03-06 08:07:21 | テレ朝落選作「あの頃の僕を探してくれ」

「第三回」

 

〇亜希の実家(夜)

  二階建ての一軒家。

  ドアが開く音。

 

〇同・台所

  時計は十時を回ったところ。

  亜希、洗い物をしている。

  そこへ、美咲(14)が制服姿で帰ってくる。

美咲「ただいま」

亜希「随分遅いのね。遅いと補導されるわよ」

美咲「そんなことないよ。塾に行ってる子なんてこんなもんよ」

亜希「美咲はいってないでしょ。ごはんは?」

美咲「友達と食べたから」

美咲「そう」

  亜希、お米を研ぎ始める。

  亜希、どこか楽しそう。

  美咲、亜希の後姿を見て、

美咲「ママ、会社楽しい?」

亜希「なんで?」

美咲「楽しそうに見えるから」

亜希「楽しいわよ」

美咲「ママ?」

亜希「んん」

美咲「ママの友達の社長って、もしかして昔の彼氏?」

  亜希、振り返って、冷静に穏やかな口調であしらうように、

亜希「違うわよ、そんなわけないでしょ。ただの同級生よ」

美咲「でも、あっちはそう思ってないかもしれないよ」

亜希「どうしてそうおもうの?」

美咲「女の直感」

亜希「中学生のくせに?」

美咲「中学でも女よ」

 

〇オフィスフロア

  社員がデスクワークしている。

 

〇同・応接室

  学と牛島純子(28)がいる。

純子「それとこれが、例のものです」

純子、報告書の入った封筒を学に渡す。

学「悪い。私的なことまで頼んで」

純子「構いません。なんか楽しかったです」

学「どうして?」

純子「社長にも可愛い一面があるんだな、と思って」

学「そうかな」

  純子、微笑みながら、

純子「良い方向に進むといいですね。では」

  純子、応接室を出ていく。

  学、封筒から報告書を出して見る。

 

〇同・オフィスフロア

  学、封筒をもって応接室を出る。

すると、コピー機でコピーを取ろうとしている亜希の後姿が見える。

学(N)「大塚亜希。本名、中島亜希。三十四歳。十九歳のとき四歳年上の会社員、中島浩司と結婚。同年、美咲を出産。一年前、夫の浩司は会社からリストラされる。その後、二人は別居。亜希は娘の美咲を連れて実家に戻り、年金暮らしの両親と美咲の四人で暮らす。浩司は、ガールバーで働く南由衣、二十一歳と同居している」

  学、コピーをしている亜希を見ている。

  亜希、コピーが終わる。

  学、自分の席に行く。

 

〇ファミレスの外観(夕方)

  奥のテーブルに美咲と父、中島浩司(38)が座っている。

  浩司、唐揚げを食べながらビールを飲み、

浩司「一緒に暮らしたいと思ってるよ」

美咲「思ってるだけで何もしてないでしょ!いい加減仕事見つけた?」

浩司「なかなか、俺の才能を生かす仕事がなくてね」

美咲、呆れ、そして言い放つ。

美咲「ママはお仕事見つけたよ」

浩司「(驚き)ほ~、何かいいバイトでも見つかったのか?」

美咲「違うわ。正社員よ、正社員。ちゃんと就職したのよ」

浩司「そりゃ凄いな! 働いたことのないあいつがよく就職なんか出来たもんだ」

美咲「ママの中学の同級生が社長なのよ。それで就職出来たの」

浩司「ほ~。社長の同級生がいたのか。なら俺もその同級生の夫ということで雇ってもらおうかな」

美咲「雇うわけないじゃない!」

浩司「雇ってもらえば、また一緒に暮らすことが出来るぞ」

美咲「ちゃんと自分で探しなよ! これ以上、ママを困らせないで! こうやって会ってることだってママに内緒で会ってるんだからね!」

  美咲、浩司を突っぱねる。

浩司「随分、嫌われてるんだな~ 俺だってべつに好きでこうなったわけじゃない。人生っていうのは波があるんだ。いいときもあれば、悪いときもある。俺は今、その谷間にいるんだ」

美咲「じゃぁ、いつ、いい波が来るの?」

浩司「さぁ、いつだろ」

  浩司、ビールを飲む。

  美咲、呆れ気味に、

美咲「自分から動かないといい波なんて来ないよ」

浩司、感心して、

浩司「美咲、随分大人になったな」

美咲「パパが子供なのよ」

浩司、卑屈に笑い、

浩司「たまにしか会わないんだから、もう少し楽しい会話がしたいな。美咲に会うことが唯一の楽しみなんだから」

美咲「パパがちゃんと仕事についたら楽しく会えるようになるよ」

  浩司、微笑みながらビールを飲む。

 

            つづく

 

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第19回テレビ朝日新人シナリオ大賞テレビドラマ部門「あの頃の僕を探してくれ」 第二回(全七回)

2019-03-05 08:09:25 | テレ朝落選作「あの頃の僕を探してくれ」

「第二回」

 

〇高層ビルの外観(夜)

 

〇同・喫茶店

  高層ビル内にある店舗。

  落ち着いた感じの喫茶店。

  亜希、一人座っている。

  そこへ、学がやってくる。

学「待った?」

亜希「いえ」

学「ごはん、まだだよね」

亜希「ええ」

学「じゃ、これから夕食食べながら、ゆっくり話そうか」

学、テーブルに置いてあるオーダー表を持ってレジに向かう。

 

〇同・割烹料理店内の個室

学と亜希の二人きり。

学「個室の方がゆっくり話が出来る。それに大塚さんが聞きたいことは、僕と大塚さんだけの内緒にして欲しいから」

亜希「……」

    ×    ×    ×

  学と亜希、料理を食べている。

  亜希、どこか上の空。

  学、箸を止め、

学「やっぱり気になる。お給料のこと?」

亜希、顔をあげて、学を見て、

亜希「ええ」

学「僕も気になってたんだ。大塚さんに雑用全般やらせて。ほんとは嫌なんじゃないかって」

亜希「そんなことない。みんな良くしてくれるし、わからないことあれば丁寧に教えてくれる。それに私、中学のとき、水泳部のマネージャーだったから雑用は私にあってる。だから今の仕事で十分満足」

学「なら、いいんだけど」

亜希「へんに気遣わないで。お給料も給与明細に書かれた額で十分やっていけるから。住まいは実家でタダ同然みたいなもんだから」

亜希、微笑む。

学「あれは、僕が勝手にそうさせてもらってるんだ」

亜希「なんで?」

学「(困惑気味に)なんでと言われると、何とも答えにくいんだけど、一つは、昔のよしみということもある。それに生活もいろいろ大変なんじゃないかっていう思いもある。けど、何より自分がそうしたいんだ。それじゃダメかな?」

亜希、どこか合点がいかない表情。

亜希「でも、他の人と同じように働いて、私だけ特別扱いされるのはちょっと。しかも新米だし」

学「だから、このことは内緒にして欲しいんだ。僕と大塚さん、二人だけの秘密。構わないでしょ」

  亜希、学の真意がわからない顔をする。

  学、手を合わせて懇願し、

学「お願い、俺の好きなようにさせて。せめてそうすることで俺は満足感が得られるんだ。俺も安心して働ける。お願い」

亜希、わけがわからない顔をしている。

亜希「……いいの?」

学「いいんだ。それでいいんだ」

亜希「なんか、他のみんなには悪いけど……。でも、私もちょっと助かるかな。私って案外げんきん」

亜希、微笑む。

学「げんきんでいいよ。何かあったら、大塚さんには俺を頼って欲しい」

亜希「いや、もう頼ってるから。ほんと助かってる」

学「……」

亜希、学から目を逸らし下を向く。

学、亜希の姿を見る。

学「ね、これからも、こうやって、たまに二人で食事しよう」

亜希、顔をあげる

学「まずい?」

亜希「そんなことないけど。深見君の方こそ、仕事、忙しくない」

学「夕食ぐらいゆっくり食べさせてよ。それにこうして大塚さんと一緒にいるとどこか和むんだよね。仕事のことも忘れて、何かあの頃の童心に返れるような気がして。だからいいでしょ?」

  亜希、一瞬躊躇して、

亜希「童心って……。ほんと、私でいいの?」

学「大塚さんがいいんだ」

亜希、クスッと笑い、

亜希「こんな子持ちのおばさんと」

学「同い年だよ」

亜希、微笑む。

学「じゃぁ、いいんだね」

亜希、微笑みながら小さく頷く。

学「ありがとう。ほんと、嬉しいよ」

亜希「でも、やっぱり人って、変わるものね。だって、あの頃の深見君は、こんな積極的な人じゃなかったような気がする」

学「あの頃と比べたら、俺は変わったと思う」

亜希「それは、社長になったから?」

学「いや、もっと昔かな」

亜希「もっと昔?」

学「人には何か変わらなくちゃいけないきっかけみたいなものがある」

亜希「どんなきっかけ?」

学、亜希をチラリと見る。

亜希、学を見ている。

学「それは言えないな」

亜希「何それ。どうして言えないの?」

学「(照れながら)恥ずかしいよ」

亜希「そう聞くと余計聞きたいな」

学「いくら大塚さんでも言えないな」

亜希「へぇ、なんなのか知りたい」

  亜希、料理に箸をつける。

  学、亜希を見て、

学(心の声)「俺を積極的にしたのは君なんだ。君のことが好きになって、そして、好きだと言えなかったあの苦い思いが俺を変えたんだ」

 

 

               つづく

 

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第19回テレビ朝日新人シナリオ大賞テレビドラマ部門「あの頃の僕を探してくれ」 第一回(全七回)

2019-03-04 08:06:47 | テレ朝落選作「あの頃の僕を探してくれ」

「第一回」(全七回)

 

〇駅前(夕暮れ)

  大塚亜希(34)、仕事帰り、駅前にあるATM店に入る。

 

〇同・ATM店内

  亜希、ATMから四万円をおろし、記帳された通帳を見る。

亜希「(悲鳴)え!?」

  亜希、驚きの表情を浮かべ通帳を見たまま立ち尽くす。

亜希(心の声)「何かの間違いだ! きっと誰かと私を間違えてる!」

  亜希、カバンからスマホを取り出し電話をかける。

 

〇オフィスフロア

  デスクワークをしている社員たち。

  その一番奥の社長席に深見学(34)がいる。

  学、書類に目を通している。

  デスクの上にあるスマホが振動する。

  学、スマホを手に取る。

  画面に、大塚亜希の表示。

学「もしもし、深見です」

 

〇ATM店の外(夕暮れ)

  亜希、慌てている口調で、

亜希「もしもし、深見君!」

 

〇オフィスフロア

学「どうしました?」

  学、亜希の慌てている口調から、席を立ち応接室へ向かう。

 

〇ATM店の外(夕暮れ)

  亜希、片手に通帳を持って、慌てている口調で、

亜希「ごめんなさい。忙しいところ。でも、早く言っておかないと、と思って! あの、違うんです! 間違ってるんです! お給料が! 振り込まれている金額が明細書に書いてある金額と違うんです! 十八万円の筈が三十万円も振り込まれてるんです! きっと誰かと間違えたんだわ!」

  亜希、通帳を持ったまま立ち尽くす。

 

〇同・応接室

  学、微笑み、優しい口調で、

学「別に間違っていませんよ」

 

〇ATMの外

亜希「でも、給与明細書には!?」

 

〇応接室

学、亜希の言葉を遮りように、

学「間違っていません。それが大塚さんがもらうお給料です」

亜希の声「でも!?」

学「明細書に書いてある金額は間違っていません。ただそれ以上の分は僕の指示でそうさせたのです」

 

〇ATMの外

亜希「え!? それはどういうことですか?」

  亜希、混乱している。

 

〇応接室

学「そのことについて、今度、会って話しましょう。その方がいいし、僕もそうしたい。構わないでしょ?」

亜希の声「ええ……」

学「じゃぁ、あとで連絡します」

 

〇ATMの外

亜希、電話を切り、しばらく呆然として立ち尽くす。

そして、ゆっくりと歩きだす。

 

〇応接室

  学、ソファにもたれ、少し考え事をして呟く。

学「ちょっと、唐突すぎたかな……。俺は浮かれていたのかもしれない」

  学、スマホの画像を見る。

  ほろ酔い気味の亜希が微笑んでいる。

 

〇オフィスビルの外観

 

〇同・オフィスフロアの入り口

  開閉式の扉に「創造空間」と書いてある。

学(N)「七年前に空間プロデュースの会社を起業した」

 

〇駅前の商店街の風景

  学、商店街の図面をもって、店の配置転換を書き込んでいる。

学(N)「特にデッドスペース、有効活用されてない場所の再生に特化した業務内容でデパートから商店街の店の配置までプロデュースし、デパートの売り上げ、商店街の活性化に一役買った」

×    ×    ×

  学と顧客がタブレットの商店街の画像を見ながら話をしている。

学(N)「更に業績を伸ばそうと、空間プロデュースする前と後とをSNSで発信したところ仕事の依頼は殺到し、会社は短期間で爆発的に成長した」

  商店街の店の配置の変更前と変更後の賑わいをSNSに乗せてる画像。

 

〇オフィスビルの地下駐車場(夜)

  学、エレベータを降りて、自分の車(セダン)に行く。

  そして、車を走らせる手順を踏む。

学(N)「一年前にSNSを通じて中学時代の同級生の矢島ひとみと繋がった。懐かしかった、と同時に僕は一人の女性のことが気になった。大塚亜希。僕が中学三年のときはじめて好きになった同級生。しかし、僕から大塚さんのことについて触れることはなかった。それから三か月前、ひとみから電話が来た」

  学の車が駐車場を出る。

 

〇高速道路(夜)

  学、高速に乗る。

ひとみの声「担任だった吉田先生の還暦のお祝いをしようと急遽、同窓会することになったの。深見君も来るでしょ?」

学の声「なんとか行けるようするよ」

ひとみの声「待ってるから」

学(N)「内心、嬉しかった。もしかしたら、亜希も来るかもしれない。好きだ、と言えなかった初恋の人に会えるかもしれない」

  学、上機嫌で車を飛ばす。

 

〇レストランの外観(夜)

  お洒落な佇まいのこじんまりしたレストラン。

  入り口には貸し切りの札がぶら下がっている。

 

〇同・店内

  学、花束を持って店のドアをゆっくりあけて入る。

  学をみた同級生の男性が囃し立てる。

男性A「おいおい、遅刻か!」

男性B「なんだ、ここでも社長出勤か?」

  一同、笑う。

  学、吉田先生(60)に挨拶に行き、

学「先生、ご無沙汰しております」

  学、花束を渡す。

吉田「ありがとう。深見君は無遅刻無欠勤だったのに珍しいわね。お仕事忙しい?」

学「おかげさまで」

吉田「そう、よかったわ」

  奥の席にいるひとみが学に声をかける。

ひとみ「深見君、こっち、こっち」

  学、ひとみを見る。

  ひとみの隣に亜希がいる。

  学、ひとみと亜希がいる席に行く。

ひとみ「深見君、みんなのことわかる?」

学「一応、卒業アルバム見てきたからなんとか」

ひとみ「じゃ、この人、誰だかわかる?」

  ひとみ、亜希に腕組をして尋ねる。

学「わかるよ。大塚さんだろ」

ひとみ「あれ、よくわかったね」

学「大塚さん、優しかったから」

亜希「……」

ひとみ「え、そうなの?」

学、亜希を見て、

学「それより、大塚さんこそ俺のことわかる?」

亜希「わかるわ。よく宿題見させてもらったから」

学(心の声)「ああ、久しぶりに聞く大塚さんの声だ」

  学、微笑む。

ひとみ「何、笑ってるの?」

学「いや、べつに。それよりひとみが一番わからなかったよ」

ひとみ「なんで?」

学「ちょっと三十パーセントぐらい増量してない?」

ひとみ「あ! レディにそういうこと言うわけ?」

学「これでも控えめに言ったんだけどな」

  亜希、隣で微笑んでる。

ひとみ「優しくないなぁ~。優しくない! それとも社長になって天狗になってるの?」

学「冗談だよ。明るいところは、昔のままだ」

ひとみ「フォローになってない!」

  学、亜希を見て、

学「でも、大塚さんはあんまり変わってないね」

亜希「……」

ひとみ「そう思う?」

学「……」

ひとみ「でも亜希が一番変わったのよ」

亜希「ひとみ!」

  亜希、ひとみを制しようとする。

  ひとみ、構わずに、

ひとみ「こう見えて中三の娘がいるのよ」

学「え、そうなの。じゃ結婚してるってこと!?」

ひとみ「結婚してるけど現在別居中」

亜希「ひとみ!」

ひとみ「いいじゃない! 今は娘と実家にいるのよね」

亜希「……」

ひとみ「亜希もいろいろ大変なのよ。だから深見君、何か亜希にいい仕事紹介してよ」

亜希「ひとみ!」

学「……」

ひとみ「いいのよ! 深見君、社長なんだから。仕事の一つや二つ、亜希に紹介できるでしょ」

亜希「いや、でも、私、就職したことないし、ずっと専業主婦だったからなにも出来ないわよ」

ひとみ「そんなことないわ。何か亜希にも出来る仕事、あるわよね。ね、深見君」

学「んん」

ひとみ「何その煮え切らない返事。昔のよしみで雇ってやるぐらいの気概はないの?」

学「(苦笑)」

亜希「深見君、ほんとひとみの言ったこと気にしないで。仕事なら自分で探してるし、ほんと気にしないで」

学「……」

ひとみ「何言ってるの!」

亜希「もう、ひとみ。いい加減にしてよ」

学「いや、大塚さんさえよければうちで働いてくれる?」

亜希「(驚く)え!?」

ひとみ「お、そうだ! それでこそ旧知の仲!」

学(心の声)「いや違う。彼女は僕の初恋の人だ」

亜希「……そう言ってくれるのはありがたいんだけど。でも、ほんと、深見君の会社で役に立てることなんて一つもないから」

学「そんなこと気にしなくていいよ」

亜希「でも」

学「頼ってよ。頼ってくれていいよ」

亜希「……」

ひとみ「お、深見! いい男になったなぁ~」

学「(苦笑)」

ひとみ「じゃぁ、亜希の就職祝いに乾杯するか!」

亜希「え~」

  亜希、戸惑っている。

ひとみ「いいからいいから」

  ひとみ、グラスを亜希に持たせる。

学(N)「それが三か月前のことだった」

 

          つづく。

 

 

 

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第19回テレビ朝日新人シナリオ大賞テレビドラマ部門「あの頃の僕を探してくれ」 人物表

2019-03-03 13:56:55 | テレ朝落選作「あの頃の僕を探してくれ」

人物表

 

深見学(34)(14)創造空間社長。

大塚亜希(34)(14)学の初恋の人。

 

大塚美咲(14)亜希の娘。

中島浩司(38)亜希の夫。別居中。

 

菊池綾子(33)

江藤晃(33)小柄な男。

牛島純子(28)学の部下。

 

小林正雄(60)学の叔父。

小林大輔(35)学の従弟。

 

矢島ひとみ(34)(14)学の同級生。

吉田恵(60)学の中学の担任の先生。

 

 

テレビドラマ部門に応募し、一次落選した。

調べたら2013年8月に小説を書いていて、つまらなかったので途中でやめた未完作を、2018年8月に、テレ朝に向けてシナリオにした。

第19回、今回からテレ朝はテーマ「初恋」「最後の恋」また、両方で、

【作品テーマ】
A)「初恋」 B) 「最後の恋」 C)「初恋&最後の恋」

*上記テーマを1つ選択の上、そのテーマに沿ったドラマ作品にてご応募ください。テーマの解釈は自由です。

という文言があった。(テレ朝HPからコピペ)

 

初恋は、初めの恋やし、最後の恋だと、死んでしまうという思いがあったので、結構、想定内だな、という思いがあってそこで飽きてしまうのでかなり難しかった。

前にも書いたが、考えていた当時考えたのが、概要だけ書くと、

久しぶりに主人公は初恋の人に会う。しかし、初恋の人は不遇だった。それは主人公にとってショックだった。

彼女なら幸せな人生を、王道を歩むと思っていたから。

そして、彼女を不幸せにした男が、学生時代のイケメンだった。

「あのとき、自分が告白していたら、彼女に辛い思いは!」という思いが芽生えた。

主人公は、タイムマシーンを扱う特殊な職業←たとえば、CMの大泉さんが出ているような仕事。

で、主人公は私的にタイムマシーンを使って、まだ、ヒロインがイケメンと出会う前の時代に生き、ヒロインに付きまとうが、それが結果、イケメンとヒロインを結びつけるはめになったことを主人公は知らずに帰ってくる。

タイムマシーンに、3日しかその場所にとどまれないという制約をつけて、その三日付きまとった結果、ヒロインはイケメンと出来てしまった。

そのことを主人公は知らない。

というような概要のドラマを考えたが、悪くはないが、どうも・・・

今考えると、いろいろなアプローチがあるなぁ~

たとえば、主人公にとっては初恋であり、ヒロインにとっては最後の恋であった。とか

でも、そこから考えると、どうにも置きに行く感が強くて、なんか燃えなかった・・・

戸田恵梨香さん、ムロツヨシさん主演の「大恋愛」も最後の恋とか、

ラストだけ見たら、戸田さんは死んでしまっていた・・・

中身は見てないけど、おそらく、戸田さんは、自分がアルツハイマーで全てを失う。

「失う前に!」と生き急ぎ始める。

それに気が付いたムロさんが、戸田さんの変化を知り、病気を知って、

「そんなに生き急がなくても、僕はそばにいるよ」

的な感じで、穏やかに生きるも、戸田さんの中で葛藤があり、行方をくらませてしまう。

そこでラストがムロさんが戸田さんを探すドラマだったのかな、

と想像補填したけど、

どんなドラマか見てないから、俺にはわからんが、まぁ、そんな感じのドラマじゃなかったんじゃないのかな?

やっぱ、「初恋」「最後の恋」だと、もう相当こすられすぎているネタだけに、燃えてこなかったなぁ~

 

とりあえず、未完の小説を、脚色した「あの頃の僕を探してくれ」を公開します。

公開というかデトックスかな。

全七回です。

 

 

追伸、

「いいね」が一つ、ついてる。

ありがとうございます

なんか、読んでもらえたというか、陽の目は見ることが出来たのかな。

いい供養になりました

 

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