天才の嫉妬と欲望の対象は

夏日の予想になりそうな「寒露」、島岡美延です。
上野の国立西洋美術館が世界文化遺産に登録され、近代建築の巨匠ル・コルビュジエの名前がより広く知れ渡ったのが昨年でした。
映画『ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ（14日公開）』をご紹介します。
彼が生涯で唯一、その才能を羨んだと言われる女性、アイリーン・グレイ。
2009年のオークションで、約28億円で落札された椅子を手掛けたことで知られるデザイナー、建築家です。
南仏の海辺に立つ彼女の別荘（作品名、E.1027）は、モダニズム建築史上に残る傑作とされながら、長くル・コルビュジエの作とされ、アイリーンの存在は歴史の影に覆い隠されていたそう。
1920年代、アイリーンが恋人の建築家ジャン・バドヴィッチと組んで手がけたヴィラ、E.1027をコルビュジエは絶賛する。
しかし、称賛は嫉妬へと変化し、彼は“壁画事件”を起こす…。
実際の建築や家具など用いた美しい本作ですが、天才の“影”の部分に踏み込んでいます。