天燈茶房 TENDANCAFE

さあ、皆さん どうぞこちらへ!いろんなタバコが取り揃えてあります。
どれからなりとおためしください

エジプトでパスポートを失ってから、帰国するまで 3日目

2009-08-22 | 旅行
エジプトでパスポートを失ってから、帰国するまで 2日目からの続きです

2009年8月16日日曜日

今日は日曜日だが、イスラーム圏のエジプトでは金曜土曜日が週末のお休みなので今日から新しい週のビジネスアワーが始まることになる。いよいよ待望の、在エジプト日本大使館が開く日だ。
何とも言えない気分で2日間を過ごしたNOVOTELカイロエアポートホテルをチェックアウトして、空港のバスターミナルからカイロ市内行き冷房バスに乗車。一昨日の朝、このバスでピラミッドに向かったことからこの波乱万丈が始まったんだと思うと、腹立たしいやら情けないやら。
ラムセス・ヒルトン前のバスターミナルからタクシーをつかまえて日本大使館へ向かおうとするが、どのタクシーの運ちゃんも「シファーラアルヤバーニー(日本大使館)?場所がわからん」と乗車拒否。
仕方がないので一計を案じ、目の前のラムセス・ヒルトンへ。
宿泊客のふりをしてフロントに「I want to go to JAPAN-EMBASSY」と声をかけると笑顔で即座にコンシェルジュに取り次いで日本大使館の住所を調べ、タクシーを呼んで運転手に行先を説明してくれた。
チップも受け取ろうとしなかったし、素晴らしい手際に感心。ラムセス・ヒルトンはいいホテルです。いつになるか分からないけど次回カイロに来た時は泊まらせてもらいます。

カイロの在エジプト日本大使館は、郊外のナイル河に面した場所にあった。
美術館か高級料亭のようなモダンな建物に日の丸が翻っているのを見た時は、心底ホッとした。
「ああ、日本が近付いてきた…!」
通用口にはエジプト人警備員が詰めていたが、僕の顔を見ると日本語で「こんにちは。どうぞお入り下さい」と愛想が良い。
入り口のセキュリティでパスポート盗難届けを見せて、「パスポート盗まれちゃって…再交付してもらいに来ました」と言うと、すぐに入れてくれた。
但し、国際線の飛行機の搭乗ゲート並みの厳重な手荷物検査が行われる。

僕は大使館という場所に立ち入るのは生まれて初めてだが、そこは日本のどこかのお役所と殆ど同じ雰囲気だった。
大使館内には日本文化を紹介するセンターも入っているらしく、日本語のテレビドラマか映画の音声が聞こえてくる。
久々の「純日本風雰囲気」だ。
大使館は治外法権だし本当に「小さな日本領土」なのだなぁとか感じながら、日本の市役所そっくりの領事部窓口に盗難届けを提出すると、対応してくれた女性大使館員はテキパキとした口調で
「帰国のための渡航書もパスポートの再発行も同じ日時で出来ますが、どうされますか?」
「現金の持ち合わせがあまり無いもので…手数料の支払いにクレジットカードとか使えないんですよね?だったらやっぱり渡航書でいいです。」(※手数料はエジプトポンドの現金支払いのみ、渡航書は150ポンド、パスポートは800ポンドでした)
「それではこの書類に記入して、料金と証明写真を添えて提出して下さい。帰国便の予約をもう取られているなら、Eチケットの控えもお願いします。それから戸籍謄本のコピーはお持ちですか?」
「ああ、そうか写真がいるんですね。しまったな、写真は無いんですよ。この近くに写真スタジオとかありますかね?それに…戸籍謄本はさすがに持ち合わせてないですよ」
「では、この隣のショッピングセンターにコダックがあるからそこで写真撮ってきて下さい。戸籍謄本は…日本のご家族からFAXで送ってもらって下さい。」

早速、大使館の並びにあるショッピングセンターのコダックへ行くと
「すまない、カメラが壊れちゃって、今ちょっと写真撮れないんだ。この近くにうちの支店があるから、そっちへ行ってくれないか」
ああ~大使館を一歩出ると途端にエジプトらしい対応!
コダックの店員がくれたチラシに書かれた住所を頼りにタクシーで「近くにある支店」とやらへ向かうが、初老の運ちゃんは道がよく解からないらしく、しょっちゅう停車して道端の人に「○○××ストリートってどっちだ!?」と聞いている。
仕舞には僕も一緒になって窓越しに「ミンファドラック(すみません)!ムサウワラーティー(写真屋)!コダック!シュクラン(ありがとう)!」と叫びまわりながら、走り回ること約30分。
ようやく見つけたコダックの写真館に飛び込んで「フォト、フォト!」と叫ぶと、えらく豪華なスタジオに招き入れられて、職人気質っぽいカメラマン氏から顔の向きや髪型まで整えられながら丁寧至極に写真撮影。
そこまで気を遣ってもらったのだが、僕はヒゲソリを空港に留め置かれた機内預け荷物に入れてしまっていたので髭も剃らず無精髭で、精神的にもかなり参っていたので荒んでやつれきった悲惨な表情が撮れたのだが。
しかも代金(20ポンド少々、結構高額)を支払うと店員の女性が満面の笑みで「サービス!フリー!」と差し出してくれたのは、その情けない顔写真を大判に引き伸ばしてスタンドに入れたポートレートだった。
まぁこれはこれで、多分一生忘れられない日の記念になったな…もう思わず笑ってしまった。

ともあれ、証明写真は用意できた。待ってもらっていたタクシーに乗って、また通行人に道を聞きながら日本大使館に戻る。
散々苦労して用意した写真を添えて、書類を記入して窓口の女性大使館員に提出するとまたテキパキと
「では、明日までに処理しておきますので、明日またお越し下さい。戸籍謄本のFAXをお忘れなく」

さて、大変だったがやるべき事はやった。
またタクシーでバスターミナルまで戻り、バスに乗って空港へ帰る。
今夜もNOVOTELに泊まろうと思ったが、生憎満室とのことなので隣のIberotelに行くと、「チェックイン出来る?」と聞いてるのに「ハァ?チキンがどうしたってぇ~?」という感じで異常にフロントの態度が悪い。客を相手に舐めきっているとしか思えないので、頭にきてそのまま飛び出し、今夜は空港のターミナル3のロビーで夜明かしする。
明日までの辛抱だ、明日はいよいよ帰国の準備が整う。日本がだんだん近付いて来る、ような気がする。

エジプトでパスポートを失ってから、帰国するまで 4日目に続きます

エジプトでパスポートを失ってから、帰国するまで 2日目

2009-08-22 | 旅行
エジプトでパスポートを失ってから、帰国するまで 1日目からの続きです

2009年8月15日土曜日

ピラミッドを見たらさっさと後にする筈だったカイロでの、2日目の朝が来た。
枕元の携帯電話を見ると、寝ている間に妹mogmogから着信があったようだ。かけなおしてみると、18日のカイロから東京までのエジプト航空片道チケットの手配を済ませたとのこと。さすが、元事務系OLだけあって手際がいい。
「航空券の代金の振り込み期限ギリギリだったんで大変だったんだよー!
銀行じゃ間に合わないんで、どうすればいいか旅行代理店のお姉さんと相談したんだけど、結局こういう場合はコンビニで払うのが一番確実だって勧められたんで、もう振り込んだよ。
ミーちゃんには今回随分貸しが出来たねぇー、フッフッフ」
わかってる、わかってるぜ妹よ。この借りは帰国後に利子を付けて返してやるから。
それから貸しついでに、航空券のEチケットを今滞在してるNOVOTELカイロエアポートまでメールで送ってくれんかな。

さて今日はまだ土曜日なので日本大使館は休みなのだが、昨日空港のバスターミナルの警察で作成してもらったパスポートの盗難届けに警察本庁で判子を押してもらわないと。
でも、よく考えたらどこに本庁があるのか僕は知らない。仕方がないので、またバスターミナルの派出所に出向く。
昨日来て大騒ぎしたばかりなので警官も僕の僕の顔を憶えていて、「また来たな」と顔パス。勝手知ったる所長室に招き入れられると署長はコワモテの警官を集めて何かの会議中だったのだが僕の顔を見るなり「おお、ミツビシ(彼が僕につけた愛称)!今日は何の用だ?」
「昨日作ってもらった盗難届けですけど、どこで判子押してもらえばいいんですか?」と聞くと、タクシーを呼んでくれて運転手に事情を説明してくれた。
タクシーで本庁に行き、運転手に「ちょっと待っててね」と言うと「俺が案内してやる」とのこと。こういう場合は間違いなくぼったくられるので、普段は断るんだが、今回はどこで判子をもらうのか聞くのが面倒臭そうだったし、それにあの署長が呼んでくれた運転手なので、まぁいいかと案内を頼む。
但し事前に
「じゃあ、今回は案内込みで往復で20ポンドでヨロシクね」
「ミスター、それは安すぎる50ポンドだ」
「いや、そんなに出せん。エジプトポンドの手持ちがあんまり無いんだ、30ポンドでどう?」と値段交渉は忘れない。
結局、35ポンドで交渉成立。
運ちゃんは署長の知り合いだけあって警察内部に通じているようで、署員と親しげに挨拶しながらドンドン本庁の建屋の奥に入っていく。
そのまま何かの部署の偉い人の部屋まで運ちゃんに連れて行かれて、何故か1.5ポンド取られて印紙のような物を盗難届けに添付されたが、判子も無事に押してもらえた。
これで、本日の手続きは終了。

空港のホテルに戻る途中、運ちゃんはしきりに「どうだ!俺のおかげでスンナリ終わったぞ!俺はGood Driverだろ!?」と自慢する。
「ああ、あんたは確かにGood Driverだよ!ところでGood Driver、僕今小銭の持ち合わせがあんまり無いんだけど、タクシー代の35ポンドを32.5ポンドに負けてくれないか?」
「………」
彼は確かに正真正銘のGood Driverだった。ホントに負けてくれたのだ。

ホテルの自室に戻ると、mogmogの送ってくれた帰国便のEチケット控えがプリントアウトされて届けられていた。18日カイロ空港発、東京成田行き。上手くいけば、明々後日には日本への帰国の途に着くことが出来る。
しかし今日はもうやる事がないし何もやる気力がない。
日が暮れるまで風呂に入ったりテレビでBBCワールドニュースを見たりして、そのまま就寝。
明日はいよいよ日本大使館が開く。

エジプトでパスポートを失ってから、帰国するまで 3日目に続きます

エジプトでパスポートを失ってから、帰国するまで 1日目

2009-08-22 | 旅行
僕は2000(平成12)年2月にパスポートを取得して以来、10年近くに渡って世界各国を旅行してきました。
パスポートは使い込まれ、多数のページが入出国スタンプで埋まって期限もあと半年ほどとなり、これが更新前の最後の旅になるなと思いながら臨んだ今年の夏休みのエジプト・シリア旅行の最終日に、エジプト・カイロ市内でパスポートを盗まれました。

正直、これまで僕は「海外で命の次に大事なパスポートを失くしたり盗まれたりする人がいるなんて信じられない。余程うっかりした人が世の中にはいるんだな。」などと思っていました。
で、何のことはない。自分自身がまさにその「うっかりしたおバカさん」だったのです。
そして、実は「パスポートは確かに大切だけど、命と違ってパスポートを失っても頑張って対処すれば何とか生きて帰国することは出来る」ということも学びました。

以下に、僕がエジプトでパスポートを失ってからどうやって帰国したかを書きます。
自分自身への戒めとして、
そして僕の体験談が、世界を旅する人たちの危機管理のお役に立てれば…。

2009年8月14日金曜日(トラブル発生当日)

エジプトのカイロを経由してシリアのダマスカスまでの今回の旅も、いよいよ最終日となった。
出発前、知り合いからは散々「シリアって旅行に行っても大丈夫なの?テロ支援国家だし、危険じゃないの~?」とか言われていたのだが、ダマスカスに行ってみたら何ということはない、実に平和でのんびりしたところだったのだ。
今までのところ何の問題も無く、後は今朝早くに到着したカイロで飛行機の乗り継ぎ待ちで1日時間を潰して、夕方発の東京成田行きエジプト航空に乗れば旅も無事終了となる。

乗り継ぎ待ちの間、せっかくだからエジプトに入国してギザまでピラミッドを見に行こう。これも当初からの予定。
入国審査前の銀行窓口で15USドルでビザシールを購入し、パスポートの空きページに貼り付け、イミグレで消印のようにシールにスタンプを押してもらえば入国OK。
カイロ国際空港ターミナル1の前にあるバスターミナルから、市内行き冷房バスに乗り込めば、1時間もかからずカイロ中心部ラムセス・ヒルトン前のバス広場まで行ける。料金はたったの2エジプトポンド。
ここでギザ行き冷房バスに乗り換えて、やっぱり1時間もかからず2エジプトポンドで有名なギザの三大ピラミッドの下に到着。

ギザのピラミッドに来るのは2回目だが、やはり圧倒される。
大きさのスケールも凄いが、石材の崩壊が現在進行形で現れた表層部の退廃的な美しさと、その崩壊部からチラリと覗く精密機械のように整然と積み上げられた構造物の対比の妖しさ。神秘的としか言い様がない。
ぼったくり前提の物売りや「ラクダに乗れよ」としつこいラクダ屋、怪しげな自称ガイドにはうんざりだが、今回もピラミッドに感動し満足した。
後は空港に戻ってチェックインすればいい。十数時間後には清潔な都市東京の心地良い冷房と冷えたビールが待っている筈だ。
その筈だったのだ。

再び冷房バスを乗り継いで空港に戻り、東京成田便の出るターミナル3行きの連絡バスに乗る前にEチケットの控えとパスポートを確認しようとしたところ、パスポートを入れておいたズボンのポケットのボタンが空いているのに気が付いた。
慌ててポケットの中に手を突っ込む。
ポケットは空だった。

一瞬、僕は「あれ?パスポートはショルダーに移したんだっけ?」などと呑気に考えたが、「そんな筈はない!何しろ、さっきピラミッドのトイレでポケットにパスポートが入ってるのを確認したばかりじゃないか!」と思い当たると一瞬目の前がホワイトアウトした。
瞬時に、シリアの入国ビザ申請の為に在職証明書を書いてもらった勤め先のSさんの顔と
「本当に気をつけてね。」
「大丈夫ですよ!ご安心を」と大見得を切っている自分の姿を思い出した。
シリアは大丈夫でしたけど、エジプトでやっちゃいましたよ…
呼吸が荒くなり、そのまま気が遠くなりそうな感じがしたが、次の瞬間
「こうなったら後の事だけ考えろ!今成すべき事は、何とか日本に帰れるように動くことだろーが!!」
と冷静に叱咤する自分自身の声がした(気がした)。
僕は個人旅行で来ているので、誰も助けてはくれない。自分を救えるのは、自分自身だけである。そうだ、こうなったら仕方がない、自分で何とかしなくては!

先ずは、さっきバスを降りたバスターミナルまで歩いて戻ってみる。ひょっとしたら、道すがら落としたのかも知れない。
下を見ながら歩いていくが、ケースに入っていたパスポートはどこにも落ちていない。
次に、バスターミナルの事務所?みたいな小屋に行って、そこにいたおっちゃん達に事情を話す。
「アイ、ロスト、マイぱすぽーと!!」
気が動転してるので英語がスムーズに出て来ず酷い英会話だが、気合いで通じる。
おっちゃんから「そこにあるポリスのオフィスに行け」とアドバイスされ、バスターミナル横の派出所みたいなところへ。
ここでも「トラブル!アイ、ロスト、マイぱすぽーと!!」とやると、立番の若い警官から署長室に通される。
髭を蓄えたいかにもアラブのおっちゃんという雰囲気の署長は、「先ずは冷静になれ」と言わんばかりに僕を応接用ソファに座らせてから、分かりやすい英語で丁寧に事情を聞き始めた。
「どうしたんだって?パスポートを失くした?そうか、どこでだ?ピラミッドからここに来る途中?…そうか、時間は何時頃だ?」
「ちょ、ちょっと待って…スミマセンが、水か何か飲ませてもらえませんか?」
署長が自分用に持ってきたと思しき魔法瓶から注いでくれた冷たい水を飲ませてもらい、落ち着いた声で事情を聞かれているうちに、僕も段々冷静を取り戻してきた。
「ポケットにはボタンをかけていたから、落とすことは有り得ないな。ということは、やっぱり盗られたのか…しかし、一体いつの間に?凄腕のスリ師だな…」

署長はどこかに電話連絡しているが、「つながらん、困ったな」というような顔をしている。僕に受話器を渡すので聞いてみると、「こちらは在エジプト日本大使館です。毎週金曜日と土曜日は休日となっていますので、命にかかわるような緊急事態には以下の番号に電話を…」と日本語の留守番電話音声が聞こえてくる。
命にかかわるような急用以外は、日曜日に出直して来いということか。
結局、署長に洗いざらい状況を説明して、盗難届けを作成してもらった。僕の本名はアラビア語では非常に発音し難いらしく、途中から僕の名前のつづりと微妙に似ている?ミツビシ(三菱)が僕のニックネームになってしまったが。まぁ何はともあれ、誠実に対応してもらえたので良かった。
それに、万一に備えて手帳にパスポートの番号を書きとめておいたのも良かったようだ。番号がわかっているおかげで調書がスンナリ作成できたらしい(パスポートのコピーがあれば尚良かったでしょうが。僕も以前は旅行の度にコピーを作成していたんだが、最近は横着してコピーを持って行かなくなったからなぁ…要反省)。

それから若い警官に付き添われて空港ターミナルの中にある事務所に出頭する。
若いおまわりさんは僕に「君の名前は何ていうんだい?僕の名前はシャーム(そう聞こえた)だ。ヨロシク!」とか色々話しかけてくれる。きっと励まそうとしてくれてるんだろうな。非常時に感じる人情に思わずほろりとくる。
空港の事務所では盗難届けに何かのサインをしてもらって(何のサインなのかは結局よく分からなかったが)、これでとりあえず空港の警察での処理は完了。
あとは、警察の本庁?で盗難届けに判子を押してもらってから、日曜日になったら日本大使館に行くようにと指示された。

おまわりさん達と別れてから、携帯電話で勤め先に連絡。
生憎、既に日本は夜中になっているので守衛さんにしかつながらなかったので、事の次第を説明して総務課への緊急伝達をお願いする。
それから実家に電話。
電話に出た母に
「あのね、落ち着いて冷静に聞いて欲しいんだけど。今エジプトのカイロにいるんだけど、パスポートを盗まれて当分帰れなくなっちゃった」と伝えると
「あら、そう。頑張って帰って来なさいね。お勤め先に謝っておかなきゃ駄目よ。じゃあね」え?それだけ?

気を取り直して、空港の近くにあるNOVOTELホテルにチェックイン。日曜日まではここで待たないといけない。それにしても、貴重品は分散して持つようにしていたので現金とクレジットカードが無事だったのは不幸中の幸いだった。当座の滞在費はこれで賄える。
部屋に落ち着いてから、母はあてにならんと判ったので京都の妹mogmogに電話。事情を説明し、帰国の為に日曜日以降のカイロから日本までの航空券の手配を頼む。
それからターミナル3にあるエジプト航空オフィスに出向き、パスポートを失ったので今日の予約していたフライトには乗れなくなったことと、シリアのダマスカスから東京成田まで直行で荷物を預けているので今ここでピックアップできないかと伝える。
しかし、荷物はパスポートがないと引き渡せないとのこと。仕方がないので、日曜日以降に再発行してもらったパスポートを持ってまた来るので、それまで荷物を留め置いてくれるように頼む。やれやれ、せっかく高級ホテルに泊まってるのに日曜日まで着たきりか~

ホテルの部屋に戻って、再度勤め先に連絡。Sさんにパスポートを失った経過と帰国がまだ先になりそうだという状況を説明し、平謝りする。僕に今出来る事は謝ることだけである。
「ケガとかがなくて良かった。気をつけて帰って来なさい。」と優しく言って下さったSさんの優しさに、思わず涙が出そうになる。

ホッとするのと同時に疲れが一気に押し寄せてきた。
明日以降も大変な作業が続きそうだから、鋭気を養っておかないといけない。バスタブにたっぷりお湯を張ってゆっくり浸かり、そのままベッドに潜り込んで寝てしまった。

エジプトでパスポートを失ってから、帰国するまで 2日目に続きます

トラブル発生、何とか帰国…

2009-08-19 | 告知
今日、帰国しました。
…実は、帰国予定日の前日に飛行機の乗り継ぎ待ちで立ち寄ったエジプトで重大トラブルが発生し、帰国が遅れていたのです。

エジプトのカイロ市内で、パスポートを盗まれました。

現地時間の14日、ギザのピラミッドを見た後、路線バスで空港に戻り、チェックインをしようとしたところでパスポートがホルダーごと抜かれているのに気が付きました。
その後は直ちに警察に盗難届けを出し、日本大使館に連絡を取ったのですが、間の悪いことにイスラーム圏では金曜土曜が官公庁の休日。
そのままカイロで2日間、大使館がオープンするのを待ち、事務手続きを行い、帰国便の予約を取り直し…
先程、ようやく日本に帰ってきました。

大失敗です。
詳しい事の次第は明日以降、追って書きます。先ずは帰国の御報告まで。
天燈茶房亭主mitsuto1976 拝

はやぶさの神

2009-08-09 | 実況
関西空港にいます。もうすぐ、カイロ行きエジプト航空で出発。
エジプト航空のエアバス機の垂直尾翼に描かれているのは、空と太陽を司るエジプトの神ホルス。
はやぶさの姿をした神が空の旅の安全を護ります。

それでは、行ってきます!
中東では携帯電話のパケット通信料金がとんでもなく高額なので、今回は旅先からの天燈茶房の更新は行いません。1週間のご無沙汰となります。
また来週、お会いしましょう。

国際線の機内に酒を持ち込む方法について

2009-08-05 | 旅行
さて、今週末にエジプト航空に乗ってカイロ、そしてダマスカスへと飛ぶ訳ですが、
ここで僕にとって非常に困った問題が…

エジプトは世界で初めてワインやビールを醸造したといわれるメソポタミアのシュメール人からその製法を伝えられたと言われる歴史ある酒飲みの国であるが、現在エジプトは敬虔なイスラーム教徒(ムスリム)の国となっている。
ムスリムの掟では(宗派にも拠るらしいが)、理性を失わせるとして飲酒は御法度となっている。
で、そんなエジプトのフラッグキャリアであるエジプト航空もまた、アッラーの教えに基づいて機内でのアルコール類のサービスは不要と見なされてるのか、一切行われていない。

…僕はイスラームの教えには非常に共感しているところがあり、その深遠な宇宙観に魅力を感じて、自分もムスリムになろうかと真剣に考えたこともある程だが、思い留まった理由の一つがこの「理性を失わぬ為、飲酒を慎むべし」の教えだ。
何を隠そう(隠しませんが)、僕は「大酒をかっ喰らって理性を吹っ飛ばしてヘベレケに酔い潰れる」のが大好きなんですよ!
「…酒を飲めなくなるなんて、そんなのとても耐えられない!」と断念しました。残念。

そんなお酒大好き人間にとって、海外旅行で国際線の飛行機に搭乗するのは
「機内サービスの酒がタダで飲み放題になる」
という至福のひと時だ。
タダ酒を飲むために海外旅行に行ってるといっても過言ではない(…それは言い過ぎ)。
しかし、エジプト航空では例えファーストクラスに正規料金を払って乗っていても、超豪華なメニューの機内食は食べられてもアルコール飲料は一切出してくれないんですよ!
「そ、そんなぁ~!」(←路面ライダーさん@伊予鉄道風にガックシしてみました)

でも、エジプト航空は何も「うちは敬虔なムスリム専用のキャリアだから、乗客は機内での飲酒などもってのほか!エジプト航空機内に一歩足を踏み入れたら最後、何人たりとも降りるまで酒を飲むことはこれ絶対にまかりならん!!」と大見得を切っている訳ではない。
エジプト航空のホームページにもちゃんと
「宗教上の理由から、肉料理には豚肉は使われおりません。アルコールサービスもございませんが、機内への持ち込みは可能となっております。」
との記載があります。
但し、「液体持込チェック後の空港内売店等でお求め下さい」とのこと。
機内への液体持込はテロ対策で制限が厳しくなったからなぁ~
でも、空港の売店で酒を買うと結構高いんだよなぁ~
ぼったくりの酒を買わされるのは腹が立つな~

という訳で、空港で無闇に高価な酒を買わずに、何とかして安くて庶民的な酒を機内に持ち込めないか挑戦してみることにしました。
(出発4日前に何やってるんだ我ながら…まだ荷物の整理とパッキングの準備も終わってないのに…)

先ずは、勤め帰りにジャ○コに寄ってワインコーナーで「おススメお徳用チリワイン・ボトル1本八百円也」を購入。
おいしそうな赤ワインです。


このボトルをそのまま機内持ち込み出来れば問題ないのだが、怪しからんことにテロ対策で機内への液体持込がやたらと厳しく制限されるようになっている。
具体的には
○あらゆる液体物は、100ml以下の容器に入れる。
○それらの容器を再封可能な容量1L以下の透明プラスチック製袋に余裕をもって入れる。
○旅客一人当たりの袋の数は一つのみ。
(→国土交通省:国際線の航空機内への液体物持込制限の導入について

お達しに従って、先ずはチリワインをボトルから100円ショップで買った100mlのプラスチック製ボトルに移す。

…なんか不味そうに見えるが、仕方がない。

次に、これを「透明プラスチック製袋(台所にあったジッ○゜ロック)」に余裕をもって入れる。

……なんか、凄く不味そうに見えるんだが、仕方がない。

で、これを
手荷物検査を効率的に実施するため、上記プラスチック袋及びラップトップコンピューター等電子機器はバックから取り出し、上着類は脱いで別々に検査員に提示。
しないといけないんだが、関西空港の手荷物検査で「これ何?」て聞かれたら何て答えればいいのかな?
「はい、見ての通り赤ワインです。ちなみにチリ産の特売品です」
…ものすごく不審物扱いされそうだ。

もし、面倒なことになったらどうするか。
「その時は、もちろんその場で開けて全部飲んじゃうさ!」
どうなりますことやら。

夏旅支度

2009-08-03 | 旅行
今週末から、また旅に出ます。
今度の行先は、シリアのダマスカスとエジプトのカイロ。
憧れのアラビア、そしてオリエントです。

ネットの天気予報でダマスカス市の天候をチェックしたら、明日は最高気温が摂氏38度で湿度36%だってさ。
…水だけ飲んでると身体からミネラルがどんどん流れ出てそのままくたばるシチュエーションですね。生理食塩水飲まんと。
「塩」持って行こう。

そろそろ荷造りの下準備を…と思い、押入れから引っ張り出した愛用のトランクRIMOWA SALSA(実は居候させて貰ってる家主の伯母の持ち物なんだけど、一度借りてあんまり使い勝手が良いので、そのまま借りっ放しになってるwステッカーとか勝手に貼りまくってるし)と、今回持って行くつもりの本。
今回は旅程の関係でやたらと「待ち時間」があるので、思う存分これまで積んだままになってた本が読めるぞ。
ミーハーだけどアラビアらしく「千一夜物語」の岩波文庫も古書店の店晒し百円均一本の中から見つけて買ってあるし。

でも、本は重いんだよなぁ…
今回搭乗するエジプト航空はムスリムの国のエアラインらしく機内でのアルコールサービスは一切無いから、お酒も持って乗らないといけないし…

こんな事をあれこれ考えて過ごす出発前の1週間が、実は本当の旅の珠玉の時間だったりするのです。

はやぶさ君がアニメ映画に出演!?「サマーウォーズ」を観てきました

2009-08-01 | 映画・演劇・コンサートを観る
全天周映像「はやぶさ」公式ブログでも紹介されていた“もうひとつの「はやぶさ」映画”、
この夏公開の新作アニメ映画サマーウォーズを観てきました。
僕が応援している日本の小惑星探査機「はやぶさ」をモチーフにした、その名も「小惑星探査機 あらわし」なる宇宙機が劇中に登場するらしいのです。
これは「はやぶさファン」の端くれとして見逃せない!







今日8月1日は「毎月1日は映画の日ファースト割引」とかでチケット代千円で観れました。
公開初日なのに、ラッキー!

で、まぁ肝腎の内容は「現代らしいシチュエーションで描く爽やかな青春映画」というか「ひと夏の少年の成長物語、そして彼は世界を救う」というか…
まぁその辺は劇場で実際に映画を見ていただくとして、かいつまんでちょっとだけ感想を述べると、
主人公の気弱な理系オタク少年と仲間たちのスリリングな仮想現実中での戦いと、信州の田舎の旧家でのマターリとした現実世界が交錯して妙な面白味があり、
ストーリーも爽快で結構引き込まれて楽しめました。
夏休みにピッタリの素敵な映画でした。僕も久し振りに盂蘭盆会には実家に帰って親戚連中に囲まれて過ごしてみたくなったよ…

ただ…
「小惑星探査機 あらわし」の、あの扱いはちょっと許せんな、悪役の手駒にするなんて!
それに、「はやぶさ」は惑星間軌道から直接地球大気圏に回収カプセルを投入するタイトな運用なのに、
「あらわし」は一旦地球周回軌道に入ってから調整後に回収カプセルを投入する余裕のある運用なんだね。
カプセル投入方法も高精度なGPS制御方式らしいし、これはJAXA宇宙研の中の人にとってはちょっとうらやましいかも(笑)

ついでに、せっかく舞台が信州の上田市なんだから、すぐ近所の佐久市にあって「はやぶさ」と通信運用を行っている“臼田さん”こと臼田宇宙空間観測所の64mパラボラアンテナも登場させて欲しかったよ。

もし僕が脚本を書いたら、
「追い詰められた主人公たち、無限に増殖する敵に最早、手も足も出ない。
しかしその時、はやぶさ…じゃなかった『あらわし』が立ち上がった!
幾多の困難を乗り越え地球に帰って来た宇宙船は、ついに自我に目覚めたのだ!
今、奇跡の宇宙船が巨悪に立ち向かい、地球を救う!!」
みたいな話しにするところだ(笑)

とまぁ何だかんだと難癖つけてますが、とても楽しい映画でしたよ、「サマーウォーズ」。
夏休みの思い出作りに、劇場に足を運んでみられては如何でしょうか。

「あぁ~僕も高校時代に所属していた書道部や図書委員会の女子生徒の先輩とあんな素敵な夏休みを過ごしたかったなぁ~!」
などと僕も少々センチな気分になってしまった夏の1日なのでした。