←エジプトでパスポートを失ってから、帰国するまで 2日目からの続きです
2009年8月16日日曜日
今日は日曜日だが、イスラーム圏のエジプトでは金曜土曜日が週末のお休みなので今日から新しい週のビジネスアワーが始まることになる。いよいよ待望の、在エジプト日本大使館が開く日だ。
何とも言えない気分で2日間を過ごしたNOVOTELカイロエアポートホテルをチェックアウトして、空港のバスターミナルからカイロ市内行き冷房バスに乗車。一昨日の朝、このバスでピラミッドに向かったことからこの波乱万丈が始まったんだと思うと、腹立たしいやら情けないやら。
ラムセス・ヒルトン前のバスターミナルからタクシーをつかまえて日本大使館へ向かおうとするが、どのタクシーの運ちゃんも「シファーラアルヤバーニー(日本大使館)?場所がわからん」と乗車拒否。
仕方がないので一計を案じ、目の前のラムセス・ヒルトンへ。
宿泊客のふりをしてフロントに「I want to go to JAPAN-EMBASSY」と声をかけると笑顔で即座にコンシェルジュに取り次いで日本大使館の住所を調べ、タクシーを呼んで運転手に行先を説明してくれた。
チップも受け取ろうとしなかったし、素晴らしい手際に感心。ラムセス・ヒルトンはいいホテルです。いつになるか分からないけど次回カイロに来た時は泊まらせてもらいます。
カイロの在エジプト日本大使館は、郊外のナイル河に面した場所にあった。
美術館か高級料亭のようなモダンな建物に日の丸が翻っているのを見た時は、心底ホッとした。
「ああ、日本が近付いてきた…!」
通用口にはエジプト人警備員が詰めていたが、僕の顔を見ると日本語で「こんにちは。どうぞお入り下さい」と愛想が良い。
入り口のセキュリティでパスポート盗難届けを見せて、「パスポート盗まれちゃって…再交付してもらいに来ました」と言うと、すぐに入れてくれた。
但し、国際線の飛行機の搭乗ゲート並みの厳重な手荷物検査が行われる。
僕は大使館という場所に立ち入るのは生まれて初めてだが、そこは日本のどこかのお役所と殆ど同じ雰囲気だった。
大使館内には日本文化を紹介するセンターも入っているらしく、日本語のテレビドラマか映画の音声が聞こえてくる。
久々の「純日本風雰囲気」だ。
大使館は治外法権だし本当に「小さな日本領土」なのだなぁとか感じながら、日本の市役所そっくりの領事部窓口に盗難届けを提出すると、対応してくれた女性大使館員はテキパキとした口調で
「帰国のための渡航書もパスポートの再発行も同じ日時で出来ますが、どうされますか?」
「現金の持ち合わせがあまり無いもので…手数料の支払いにクレジットカードとか使えないんですよね?だったらやっぱり渡航書でいいです。」(※手数料はエジプトポンドの現金支払いのみ、渡航書は150ポンド、パスポートは800ポンドでした)
「それではこの書類に記入して、料金と証明写真を添えて提出して下さい。帰国便の予約をもう取られているなら、Eチケットの控えもお願いします。それから戸籍謄本のコピーはお持ちですか?」
「ああ、そうか写真がいるんですね。しまったな、写真は無いんですよ。この近くに写真スタジオとかありますかね?それに…戸籍謄本はさすがに持ち合わせてないですよ」
「では、この隣のショッピングセンターにコダックがあるからそこで写真撮ってきて下さい。戸籍謄本は…日本のご家族からFAXで送ってもらって下さい。」
早速、大使館の並びにあるショッピングセンターのコダックへ行くと
「すまない、カメラが壊れちゃって、今ちょっと写真撮れないんだ。この近くにうちの支店があるから、そっちへ行ってくれないか」
ああ~大使館を一歩出ると途端にエジプトらしい対応!
コダックの店員がくれたチラシに書かれた住所を頼りにタクシーで「近くにある支店」とやらへ向かうが、初老の運ちゃんは道がよく解からないらしく、しょっちゅう停車して道端の人に「○○××ストリートってどっちだ!?」と聞いている。
仕舞には僕も一緒になって窓越しに「ミンファドラック(すみません)!ムサウワラーティー(写真屋)!コダック!シュクラン(ありがとう)!」と叫びまわりながら、走り回ること約30分。
ようやく見つけたコダックの写真館に飛び込んで「フォト、フォト!」と叫ぶと、えらく豪華なスタジオに招き入れられて、職人気質っぽいカメラマン氏から顔の向きや髪型まで整えられながら丁寧至極に写真撮影。
そこまで気を遣ってもらったのだが、僕はヒゲソリを空港に留め置かれた機内預け荷物に入れてしまっていたので髭も剃らず無精髭で、精神的にもかなり参っていたので荒んでやつれきった悲惨な表情が撮れたのだが。
しかも代金(20ポンド少々、結構高額)を支払うと店員の女性が満面の笑みで「サービス!フリー!」と差し出してくれたのは、その情けない顔写真を大判に引き伸ばしてスタンドに入れたポートレートだった。
まぁこれはこれで、多分一生忘れられない日の記念になったな…もう思わず笑ってしまった。
ともあれ、証明写真は用意できた。待ってもらっていたタクシーに乗って、また通行人に道を聞きながら日本大使館に戻る。
散々苦労して用意した写真を添えて、書類を記入して窓口の女性大使館員に提出するとまたテキパキと
「では、明日までに処理しておきますので、明日またお越し下さい。戸籍謄本のFAXをお忘れなく」
さて、大変だったがやるべき事はやった。
またタクシーでバスターミナルまで戻り、バスに乗って空港へ帰る。
今夜もNOVOTELに泊まろうと思ったが、生憎満室とのことなので隣のIberotelに行くと、「チェックイン出来る?」と聞いてるのに「ハァ?チキンがどうしたってぇ~?」という感じで異常にフロントの態度が悪い。客を相手に舐めきっているとしか思えないので、頭にきてそのまま飛び出し、今夜は空港のターミナル3のロビーで夜明かしする。
明日までの辛抱だ、明日はいよいよ帰国の準備が整う。日本がだんだん近付いて来る、ような気がする。
→エジプトでパスポートを失ってから、帰国するまで 4日目に続きます
2009年8月16日日曜日
今日は日曜日だが、イスラーム圏のエジプトでは金曜土曜日が週末のお休みなので今日から新しい週のビジネスアワーが始まることになる。いよいよ待望の、在エジプト日本大使館が開く日だ。
何とも言えない気分で2日間を過ごしたNOVOTELカイロエアポートホテルをチェックアウトして、空港のバスターミナルからカイロ市内行き冷房バスに乗車。一昨日の朝、このバスでピラミッドに向かったことからこの波乱万丈が始まったんだと思うと、腹立たしいやら情けないやら。
ラムセス・ヒルトン前のバスターミナルからタクシーをつかまえて日本大使館へ向かおうとするが、どのタクシーの運ちゃんも「シファーラアルヤバーニー(日本大使館)?場所がわからん」と乗車拒否。
仕方がないので一計を案じ、目の前のラムセス・ヒルトンへ。
宿泊客のふりをしてフロントに「I want to go to JAPAN-EMBASSY」と声をかけると笑顔で即座にコンシェルジュに取り次いで日本大使館の住所を調べ、タクシーを呼んで運転手に行先を説明してくれた。
チップも受け取ろうとしなかったし、素晴らしい手際に感心。ラムセス・ヒルトンはいいホテルです。いつになるか分からないけど次回カイロに来た時は泊まらせてもらいます。
カイロの在エジプト日本大使館は、郊外のナイル河に面した場所にあった。
美術館か高級料亭のようなモダンな建物に日の丸が翻っているのを見た時は、心底ホッとした。
「ああ、日本が近付いてきた…!」
通用口にはエジプト人警備員が詰めていたが、僕の顔を見ると日本語で「こんにちは。どうぞお入り下さい」と愛想が良い。
入り口のセキュリティでパスポート盗難届けを見せて、「パスポート盗まれちゃって…再交付してもらいに来ました」と言うと、すぐに入れてくれた。
但し、国際線の飛行機の搭乗ゲート並みの厳重な手荷物検査が行われる。
僕は大使館という場所に立ち入るのは生まれて初めてだが、そこは日本のどこかのお役所と殆ど同じ雰囲気だった。
大使館内には日本文化を紹介するセンターも入っているらしく、日本語のテレビドラマか映画の音声が聞こえてくる。
久々の「純日本風雰囲気」だ。
大使館は治外法権だし本当に「小さな日本領土」なのだなぁとか感じながら、日本の市役所そっくりの領事部窓口に盗難届けを提出すると、対応してくれた女性大使館員はテキパキとした口調で
「帰国のための渡航書もパスポートの再発行も同じ日時で出来ますが、どうされますか?」
「現金の持ち合わせがあまり無いもので…手数料の支払いにクレジットカードとか使えないんですよね?だったらやっぱり渡航書でいいです。」(※手数料はエジプトポンドの現金支払いのみ、渡航書は150ポンド、パスポートは800ポンドでした)
「それではこの書類に記入して、料金と証明写真を添えて提出して下さい。帰国便の予約をもう取られているなら、Eチケットの控えもお願いします。それから戸籍謄本のコピーはお持ちですか?」
「ああ、そうか写真がいるんですね。しまったな、写真は無いんですよ。この近くに写真スタジオとかありますかね?それに…戸籍謄本はさすがに持ち合わせてないですよ」
「では、この隣のショッピングセンターにコダックがあるからそこで写真撮ってきて下さい。戸籍謄本は…日本のご家族からFAXで送ってもらって下さい。」
早速、大使館の並びにあるショッピングセンターのコダックへ行くと
「すまない、カメラが壊れちゃって、今ちょっと写真撮れないんだ。この近くにうちの支店があるから、そっちへ行ってくれないか」
ああ~大使館を一歩出ると途端にエジプトらしい対応!
コダックの店員がくれたチラシに書かれた住所を頼りにタクシーで「近くにある支店」とやらへ向かうが、初老の運ちゃんは道がよく解からないらしく、しょっちゅう停車して道端の人に「○○××ストリートってどっちだ!?」と聞いている。
仕舞には僕も一緒になって窓越しに「ミンファドラック(すみません)!ムサウワラーティー(写真屋)!コダック!シュクラン(ありがとう)!」と叫びまわりながら、走り回ること約30分。
ようやく見つけたコダックの写真館に飛び込んで「フォト、フォト!」と叫ぶと、えらく豪華なスタジオに招き入れられて、職人気質っぽいカメラマン氏から顔の向きや髪型まで整えられながら丁寧至極に写真撮影。
そこまで気を遣ってもらったのだが、僕はヒゲソリを空港に留め置かれた機内預け荷物に入れてしまっていたので髭も剃らず無精髭で、精神的にもかなり参っていたので荒んでやつれきった悲惨な表情が撮れたのだが。
しかも代金(20ポンド少々、結構高額)を支払うと店員の女性が満面の笑みで「サービス!フリー!」と差し出してくれたのは、その情けない顔写真を大判に引き伸ばしてスタンドに入れたポートレートだった。
まぁこれはこれで、多分一生忘れられない日の記念になったな…もう思わず笑ってしまった。
ともあれ、証明写真は用意できた。待ってもらっていたタクシーに乗って、また通行人に道を聞きながら日本大使館に戻る。
散々苦労して用意した写真を添えて、書類を記入して窓口の女性大使館員に提出するとまたテキパキと
「では、明日までに処理しておきますので、明日またお越し下さい。戸籍謄本のFAXをお忘れなく」
さて、大変だったがやるべき事はやった。
またタクシーでバスターミナルまで戻り、バスに乗って空港へ帰る。
今夜もNOVOTELに泊まろうと思ったが、生憎満室とのことなので隣のIberotelに行くと、「チェックイン出来る?」と聞いてるのに「ハァ?チキンがどうしたってぇ~?」という感じで異常にフロントの態度が悪い。客を相手に舐めきっているとしか思えないので、頭にきてそのまま飛び出し、今夜は空港のターミナル3のロビーで夜明かしする。
明日までの辛抱だ、明日はいよいよ帰国の準備が整う。日本がだんだん近付いて来る、ような気がする。
→エジプトでパスポートを失ってから、帰国するまで 4日目に続きます