鳩山由紀夫首相は演説のテーマを「いのち」と位置づけた
鳩山由紀夫首相は、衆参両院の本会議で施政方針演説を行った。持論の「友愛社会」実現に向け、市民やNPOに活動の場を提供する「新しい公共」に道筋をつける考えを前面に掲げる理念先行型の内容だ。首相は演説のテーマを「いのち」と位置づけた。2010年度予算案は公共事業費を削って社会保障費や文教科学費を増額したとして「『いのちを守る予算』に転換した」と主張した。「目指すべき日本」の項目では、インド独立の父、マハトマ・ガンジーの「七つの社会的大罪」を引用し、「労働なき富」や「道徳なき商業」などを制御していくとした。「これまで『官』が独占してきた領域を『公』に開く」として、「新しい公共」実現に向け、NPOなどが活動しやすい環境整備のため寄付税制の拡充などを検討すると表明。「地域主権の確立」では「ひも付き補助金の一括交付金化や出先機関の抜本的な改革などを含めた地域主権戦略大綱を策定する」と表明。夏以降に抜本的な省庁再編に取り組むことも表明した。議員定数削減や歳費見直しなどにも踏み込むとし、「改革を行う上でまず国会議員が範を垂れる必要がある」と指摘した。ただ、企業・団体献金については「開かれた議論を行っていく」として、全面禁止の方針は示さなかった。 経済財政政策では、「景気の二番底に陥らせない」として過去最大規模の当初予算を組んだことに理解を求めた。デフレ克服に向け「日銀と一体になって」経済政策を進める方針を打ち出した。外交では、東アジア共同体について、「揺るぎない日米同盟」が構想実現の前提条件だとの認識を強調。今年、日米安保条約改定50周年を迎えたのを機に「重層的な同盟関係」を目指す考えを示した。また、沖縄の普天間飛行場の具体的移設先を5月末までに決める方針を表明した。(アサヒコム)
市民やNPOに活動の場を提供する「新しい公共」の実現、国民一人ひとりの「いのち」を大切にする政策、「孤立させてはならない」など言葉に温かさを感ずることができた。これまでの「施政方針演説」とは、あきらかに違う響きをわたしたちは感じ取ったと思います。「政治の未来」に明るい兆しのようなものを抱いたとしても不思議ではないのですが、漠とした「一抹の不安」を感じたのも事実です。この「一抹の不安」が、どこから湧いてくるのか、何故なのか。鳩山由紀夫首相にないもの、奇しくもマハトマ・ガンジーにあるもの、『信念』が姿となるものが欠けているからかもしれない。それにしても、野党のすさまじい「ヤジ」、その智慧の無さには呆れました。