ウィリアム・ブレイクの絵と詩 | ||
「薔薇よおまえは病んでいる」とでも訳できるだろうか…。わたしたち創造の世界に住み続けていると、一種の『病』に犯されているのではないかと想う時がある。ウィリアム・ブレイクは言う、「表れるのはヴィジョンである」と・・・。神でも人間でもない「象徴としての形」が紙の上に表れるのである、彼はそのイメージを丁寧にひとつひとつ定着しているにすぎない。ウィリアム・ブレイクは明確な線にこだわる、線を描くのは「素描以上の意味(哲学)」がなければならないと考えた。だからこそ、手続きの多い油彩を嫌い、淡白な水彩や銅版にこだわる。晩年(60歳後半)ウィリアム・ブレイクの挿絵(ダンテの神曲)は、幻想の物語以上の境地すら見せるのである。小さな虫に食いつくされていく「薔薇」、ウィリアム・ブレイクその人の姿だろうと、容易に想像できる。 |