中川輝光の眼

アトリエから見えてくる情景
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金沢21世紀美術館の街中ギャラリー計画

2007-09-09 | 金沢を歩く
金沢21世紀美術館の街中ギャラリー計画
来秋、空き店舗や民家などでアートプロジェクトが展開される金沢21世紀美術館周辺
来秋、空き店舗や民家などでアートプロジェクトが展開される金沢21世紀美術館周辺
 
金沢21世紀美術館は来年度から、金沢市のまちなか全体を芸術作品で彩るアートプロジェクトに着手する。市が「アートアベニュー」と位置付ける金沢駅東広場―21世紀美術館間の都心軸に加え、小路沿いの空き店舗や民家で作品展示をしたり、芸術家が商店そのものを作品化して市内のあらゆる場所にアート空間をつくり出す。第一弾として、来秋に美術館がある広坂周辺の商店や民家をギャラリーに変える。 身近な場所に作品を置き、市民と芸術の垣根をなくすことが狙い。北陸新幹線金沢開業の「2014年」対策として、「芸術に彩られる街」(秋元雄史館長)をアピールし、集客力が高まる効果も期待する。

金沢で行うアートプロジェクトは、秋元館長が前任地の香川県直島で始めた常設アート企画「家プロジェクト」を参考にする。直島では1998年から芸術家が島東部の民家や商店、神社などを改修、現代アート作品を公開し、大勢の観光客が訪れるようになった。 一方、歴史や規模など金沢と直島では都市の事情が大きく異なる。このため、21世紀美術館ではプレイベントの開催などを通じ、伝統の息づく金沢に合った独自のスタイルを探る。来秋の広坂周辺での取り組みでは、空き店舗や商店、民家など数カ所を選び、所有者の協力を得ながら改装や芸術作品の展示を行う。

21世紀美術館によると、まちなかを芸術で彩る取り組みは、世界ではイタリア・ベネチアの「ヴェネツィア・ビエンナーレ」、ドイツ・カッセルの「ドクメンタ」、ドイツ・ミュンスターの彫刻プロジェクトなどが有名。「ドクメンタ」では6~9月の開催中、人口約10万人のカッセルに60万人の観客が訪れ、町おこしにつながっている。 秋元館長は1日から欧州を訪れ、このイベントを視察しており、金沢に出展する芸術家の発掘も進めている。秋元館長は「50年以上の歴史を持つドクメンタのように、将来は旧市街地全体に事業を拡大させ、世界から大勢の観客が訪れる国際美術展に育てたい」としている。