◎ 三十一文字のレシピ ◎

     自作短歌の解説や製作秘話?などを紹介しています。

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

『師走の日常<その一>』

2006-12-10 23:28:37 | Weblog

詠んだ短歌についての解説です。
あくまで私がネタにしたものの覚え書きなので、
これが正しい読み方だ!というものではないです。
読者さまの想像におまかせするために広がりのある言葉を
選んでいる場合もありますし、その想像の方がずっと素敵な情景だと
いうことも多いと思いますので、基本的にはみなさまの感じたままを
味わっていただけると幸いです。
ただ、やっぱり初心者ですし、私の書き方の問題でわからなくて
「何コレ?理解不能でもやもやする~!」と思ってしまう方も
いらっしゃるはずなので、よろしければ参考にどうぞ。
「まだここがわからん!」「こっちの方がいいんじゃない?」
「私はこんな風に解釈しました」などの
質問・アドバイス・コメントがあれば遠慮なく書き込んでください。


+++++++++++++++++++++++++++++++


実はこの歌たちはバラバラの日にテーマも決めず詠ったものです。
(とはいっても3日の間です。思ったより短くてびっくり。)
できた順にmixiの日記に並べてたんですが、統一感がなさすぎて
先に『アルファベ遊び』などを投稿しました。



■PM11:00(じゅういちじ)帰りを待つの右の手とマーブルチョコの黄色除いて

都心のJRなんかを使っていらっしゃる方はピンと来ないかもし
れませんが私の使う大阪市営地下鉄は11時台が終電なのです。
「帰ってくるならもうちょっとやんなー
でももう帰ってこーへん(こない)のかなー」
ってやきもきしはじめる時間でもあるはず。
私は実家暮らしで同棲経験もないし、あまり心配性でもないので
あくまでイメージです。だから『PM11:00』なのです。
100%実体験ならば『PM11:09』とか、『深夜15分前』とか
何でもいいですがもっと具体的ですよね。
もちろん語数が合うというのもありますが。

そしてこの句は下手なので『右の手と』がどこにかかっているかは
自分でも微妙なのですが「右の手と、待つ」なのです。
一緒に待つのです。[with] right hand です。
「右の手&黄色のチョコを除く」のも怖くて良いかもしれませんが。
わざわざ「『右の手』と一緒に待つ」という表現で
孤独が引き立ったり一人で寂しいとムダに誰かに話しかけるような
独り言を言ったりする感覚がするかなぁと思って
この「右の手」を採用。
猫とか、鏡とか、キッチンのシンクなんかじゃあダメなんです。
人間ではないにせよ「他者」の存在を感じさせてしまうから。
同じ理由で「右手は笑う」とかもやめました。
あ、でもそれはそれで面白いのかな?
意思を持つ右手がマーブルチョコの黄色を除きながら笑ってたら。
もうその時点で彼なんて待たないだろうから、別の歌ならいいかな。

「待つ」と「待とう」は迷ったのですが語感的に「待つの」に。
こういう女の子って、そんな言葉遣いをするイメージです。
「待とう」って積極的に決められるような子はこんなことでここまで
不安にはならない気がしません?理由があるなら別ですが。
というわけでここは「待つの」でいきました。

そしてマーブルチョコ。語感の問題でM&M'sは却下しました。
実は私はM&M's派なのでマーブルチョコの色構成はイマイチ
思い出せないのですが、おそらく茶色・赤・青・緑・黄色……
そんな感じだったと思います。
よく「この色から食べていく」みたいな遊び食いをするので
そこから思いついた表現だったりします。
黄色ってチョコの中で一番明るい色ですよね?
で、黄色を全部取っちゃうと、一気に彩度が落ちてとたんに暗くて
毒々しい色になるんですよ。
黄色を取ることで暗くなったチョコと自分の落ち込んでく
気分を重ねる……というのを最初に思い浮かべたのですが
明るい色ばっかり食べる=自分の中に入れる
ということでカラ元気というか、きっと大丈夫さ……と
いう心情も同時に表現できていればさらに良いかもしれませんね。

という歌なんですが、ある友人は「マーブルチョコの黄色を除く」は
帰ってくるはずの誰か(おそらく旦那や彼氏、家族、同居人)が
マーブルチョコの黄色が好きで、帰ってくるその人のために
黄色だけ分けて置いといてあげる、という情景を思い浮かべたそう。
可愛いなあ!優しい乙女なのですね。
私の思い浮かべたものとは大違いです。
可愛くないな、私。
でもこれでいいんです。にんまり。
その黄色をKちゃんみたいに取っておいてあげるのかもしれないし、
捨てちゃうのかもしれないし、おはじきみたいにもて遊んでるのかも
しれないし……そんな風に想像におまかせで
その人なりのストーリーになるかなと思ってあえて
「黄色だけ食べて」ではなく「黄色除いて」なわけなので。
私は批評というものがすごく苦手で、本当はどっちが適切かとか、
どっちが上手いかで考えると違うのかもしれないけど、
それが私の性格なんだろうなと思いました。



■ねえ聞いて抹茶まっちゃのチロルチョコ君の寝言で夜が明けてく

実は私には一卵性双生児の姉がいるのですが
その姉の寝言が元ネタです。
双子と言っても中身は全然似てないというか、
対な感じなんですけどね。
それはさておき、この歌の目玉である
『抹茶まっちゃのチロルチョコ』は朝4時くらいに生まれました。
私は眠りが浅い性質で朝方に起きることはよくあるのですが、
そのとき同じベッドで寝ている姉は微妙に起こされたのか、
寝ぼけた声でよく話しかけてきます。
姉いわく面白い夢を見たから覚えておきたい、らしい。

寝起きのよくわからないふにゃふにゃとした声で、
必死に語りだしました。
「チロルチョコに『抹茶まっちゃ』って
漢字と平仮名で書いてあるねんけどな、
それが同じ抹茶ってゆう意味やってわからんねんなー。
で、それを4人くらいで取り合いするねんけど
うちはチロルチョコ争奪戦の司会者やねん」
……らしいですよ?

『抹茶まっちゃのチロルチョコ』
聞いたとたん「これだぁーーー!」と思いました。
普段だったら忘れていたかもしれません。
けれど、ちょうど短歌をつくりはじめて2日目の朝だったので
「これは詠まなきゃ!」とスイッチ・オン状態でした。

とりあえず詠んだのがこの歌なのですが、
ひねりがなさすぎるなぁ……と思って
ふたつくらい改作をつくったのですが、姉が最初のがいい!
と言ったのでかなり迷ったのですが、これにしました。
著作権もありますし。
私はほぼ一発で決めてしまうので、途中で4句と結句を
入れ替えたりはあっても、改作といえるような候補が
できるなんてとても珍しいです。
それなのにもうはっきり覚えてないのが残念。
書いておけばよかった……!
ひとつめは「寝言としあわせ似合う土曜日」と、恋愛風味、
ふたつめは「ちいちゃな」とかを使ったリズム重視の
ものだったと思います。
『抹茶まっちゃのチロルチョコ』の語感がすごく気に入ってるので
その味が引き立つよう他は地味なくらいでいいのかもしれません。

ちなみに『アルファベあそび』はこのあと姉が起きてきたあたりで
つくったものです。両方リズム重視な感じが似てる気がします。



■転がって笑ってさらに転がって言葉に狂気取られたよもぎ

これは曹植の『吁嗟篇』が元ネタになっております。
一番好きな詩人の本歌取り(?)をするのは大変勇気がいりますが
あえてやってしまいました。
理由は、周りに曹植の詩を知っている人が少なかったから。
せっかくいい詩なのに知名度が低いのはもったいない!と
ひとりで布教活動をしているのです。

私は漢文は読めませんのでWikipediaと
伊藤正文さん注の『曹植』(岩波書店)を参考にしています。


 ああ、この転がってゆく蓬よ。
 この世で、どうしておまえ独りだけがこのようであるのだろう。
 もとの根から遥かに離され
 朝から晩まで、休む暇さえない。
 東西に7つの道を飛びすぎたかと思うと
 南北に9つの道を飛び越える。
 そのうちいきなり、つむじ風に巻き込まれ
 雲の間に吹き上げられる。
 このまま天の路の終わりまで行けるかと思ったら
 たちまち沈淵まで急降下。
 今度は激しく吹き上げる風が連れ出してくれた。
 もといた田んぼに帰れるのかと思いつつ
 当然これなら南に行くと思えば、どんどん北に向かい
 東に行くのかと思いきや、あべこべにに西に行ってしまう。
 この広漠たる空間のいったいどこに身を寄せたらいいのだろうか。
 ふっと消えうせたと思っても、またあいかわらず生きのびている。
 ふわふわ飛びつつ八沢をまわり
 ひらひら飛びつつ五山を巡ってきた。
 こんな風に流転を続け、定住の場所を持たない。
 この私の苦しみ、誰がわかってくれようか。
 できるなら林の中の草となって
 秋に、野を焼く火で焼かれてみたい
 焼けただれて滅びることは、苦痛でないことはないが
 かつての株や根と運命を共にするのが、私の願いなのである。

こんな詩です。
ここでのよもぎは、私たちの想像する日本のよもぎではなく、
タンブル・ウィード (ロシアアザミ、回転草)というもので
株がボール状に成長していき、秋に果実が成熟すると風によって
茎が折れてしまい、丸まって原野の上を転がるそうです。

兄・曹丕との跡継ぎ争いに敗れ、親戚づきあいもできなくされ、
毎年のように左遷される流転の人生を送った
曹植ならではの詩だと思います。
私は三国志から入ったので、歴史的背景や曹家の事情を
ふまえて(もちろん本で仕入れた憶測の知識ではありますが)
考えると彼の人生の大変さは痛いほどにわかるのですが……。

それでも私はなぜかこの詩に悲壮感というよりも
「冒険もの」のような壮大さを感じて少しわくわくしてしまいます。
豊かで躍動感あふれる表現がそうさせるのでしょう。
そしてこの転蓬というのも写真を見る限りでは
でっかいマリモのようで愛嬌のある可愛い植物だったりします。
『当来日大難』や『公讌』などを読むと曹植は元は人付き合いを
楽しむ明るいタイプなんだろうなあというのが伝わってきました。
すごく暗い部分ではあるのに、綺麗な闇の言葉をつかって
全体をダークな色に染めるのでなく、あえて冒険記か何かのように
一見楽しそうな単語でつくってしまえるひとなんですよね。
そして私はそんな蓬と曹植を、いいなあと思ってしまうのです。
私は基本的にダークな話をするとき悲しそうな顔をしたり
辛そうな声色で話したりしないしないタイプなので、
すごく共感できます。
そのあたりが「転がって笑ってさらに転がって」に
表現できているといいのですが……。

そしてさらには自分の歌も、詩的で綺麗な言葉をつかうのではなく
ありふれた言葉をリズムや表現で活かして自分だけの歌を
つくることができるようになればいいなと思うのです。

そして「言葉に狂気取られたよもぎ」。
一見物騒な字面ですが、狂気は言葉が持っていってしまったので
もう怖くはありませんよ。
不遇な人生を送った曹植ですが、気が狂ったとか
そういう話は聞かないし(アル中ではあったみたいですが)
イメージとしては詩をつくるということで
いろんなものを消化して、昇華してたのでしょうね。
ちなみに下の歌で「保つ正気」、こちらでは「狂気取られた」で
あるのは、少し極端に言ってしまうと「狂気があるべき状態」
だったのではないかと。
それでも生涯詩を書き続けられるほどの正気であったのは
詩が狂気を持って行っちゃったんです。
狂気から生まれる詩を否定はしませんが、少なくとも曹植の詩は
正常の範囲内であると思います。

……好きな詩人さんについて書くのは難しいです!
とりあえず、このつたない詩で少しでも興味を持っていただけると
作者の私が大喜びします。


■ウーロン茶ウーロン茶とかウーロン茶託して保つ正気もあるだろ

これは友達とクラブに行ったときに飲みながらつくったものです。
夕飯に赤ワイン1杯、白ワイン1杯とクラブでスミノフアイス2本と
ウォッカのショットを飲んだのに時間かけて飲んだからか
あまり酔ってなくて自分でもびっくりしました。
別にみなさまから見ればこれでもそう強くもないのでしょうが
元はカクテル半分も飲めなくて、今年の夏まではカクテル2杯が
限度だったくらいなので、すごい成長です。
そろそろ酒飲みキャラが板についてきて、それにしたがって
お腹の贅肉もたくさんついてきました。

……ではなくて、短歌の解説ですね!
けっこう酔ってた友達とウーロン茶を飲んでるときに
クラブでナンパしてきたお兄さんたちがいて、そのときに
「自分がもし男の人やったらどうなんやろねー」と思って
作ってみたお遊びものです。

こういう問題に対しての男女論を真面目に語るといろんな意見は
あると思いますが、あくまでお遊びとして。
とりあえず私の想像した男の子は優しいし女の子とお話はするけど
シャイで問題なんて絶対起こせないタイプの子でした。
でも下心全く無しじゃあステレオタイプの『男』としては
面白くないなと思ってがんばってちゅーしたいのを
我慢させてみました。


■ねえ見てよあの人の服黒づくめだから消せるよこの消しゴムで

これもクラブにいった同じ日の歌です。
上下+靴が全部黒の男性がいて「あの人全身黒づくめやー」と
言ったときに友達が「消しゴムで消えそう」と答えたので、
素敵だなあと思って使わせていただきました。
あとの言葉は一瞬で出てきました。
やっぱりもとの言葉がいいと違いますね!
私にはこんな素敵な言葉は出せないのが悲しいところです……。
自分と違う感性に触れるって素晴らしい!と思ったいちにちでした。


■つぶやいて指でかぞえて歩き出せ師走の日常<その一>持って

テーマがある『アルファベ遊び』などを投稿してしまい、
その残りの日常ネタをどうまとめようか考えて書いたものです。
要するにタイトルにしたかったのです。

「つぶやいて指でかぞえて」は短歌をはじめて以来、
外でも思いつけばつい指で字数を数えてるなぁ……と思って、
1ヶ月短歌を続ける宣言、このまま続けるぞ!という決意で
「歩き出せ」と命令形、<その一>は投稿したとき
まだ12月3日だったので師走まだまだあるし……と
気づいてつけました。
「この歌を持って、12月をがんばりきろう!」と思います。


+++++++++++++++++++++++++++++++

コメント   この記事についてブログを書く
« 『アルファベあそび』 | トップ |  『三十一文字のお菓子』(... »

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事