◎ 三十一文字のレシピ ◎

     自作短歌の解説や製作秘話?などを紹介しています。

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『きみの魔法で永劫流転』

2006-12-10 23:34:03 | Weblog
この短歌は私の親友chicaちゃんに贈るために詠んだものです。
私たちは中学の同級生で、以来ずっと一緒にいます。
全然違うタイプで、興味のあることも違うものがたくさんあります。
それなのに、喧嘩もしたことなく、我慢もほとんどしたことなく
ずっと仲が良いのです。
それなのに私はchicaちゃんにいつも迷惑をかけてばかりで
「ありがとう」も「ごめんなさい」も言えなくて、
だからその代わりに短歌を詠みました。
いつも言えないぶん、世界に向けて堂々と発信するので許してください。

ただ短歌を詠むだけでは、誰に向けたものかはっきりしないので
(いつも元ネタはありますが、その人だけというわけではないので)
今回は「chicaちゃんだけのために!」と制約をつけました。

それが、私とchicaちゃんの名前をローマ字にし、それを足して
作れる英単語を調べ、その単語から連想した歌を詠むということです。

例えば、私の名前は T/A/N/A/K/A/E/I/K/O なので
『NOT』『NET』……が作れる、という感じです。
同じ字を複数回使うのはOKにしました。

私はフランス語を専攻しており、フランス語の方が得意なのですが
chicaちゃんは英語しか履修していないので
わかりやすく英語でやってみることにしました。

軽い気持ちではじめたこの作業、思ったよりも大変でした。
いくつあるかははっきり覚えていませんが、なぐり書きのメモは
10枚ほどあるのでかなりの数だと思います。
やりはじめると止まらなくなり、学校の近くのスターバックスで
5時間以上かけて全ての単語を電子辞書から抜き出しました。
基本的に外国語は嫌いではないので、楽しかったです。

他人から見ると、バカみたいな作業だと思います。
それでも私にとってはとても意味のある作業でした。
そして、そんなことしかできない私のつたない感謝の表し方を
chicaちゃんならわかってくれる、という確信があったので
やめようとは思いませんでした。
私とchicaちゃんは10年以上の付き合いですが、それでも私が
ほぼ完璧に心を開けたのは最近のことだったりします。
もちろん、常に一番仲のよい親友だったのですが、臆病な私は
それでも自分が嫌われたり見捨てられるのが怖かったのです。
私は人が好きで、誰とでもすぐ意気投合して、初対面の人にでも
かなり深いところまでオープンに話すようなタイプなのですが、
そう見えて実は「自分を理解してもらえるわけない」といつも
思っているところがあって、最後の一歩だけが踏み入れられないのです。
その最後の一歩を踏み入れられたのは10年間ずっと待っていてくれた
chicaちゃんのおかげであり、だからこそ、自分のこういう部分も
見せられると思ったのです。

そんな想いを込めて、詠みました。


+++++++++++++++++++++++++++++++++



■組み立ててバラバラにして組み立ててこうして二人の名前ができてく

【作り方】

 例えば、私の名前は T/A/N/A/K/A/E/I/K/O なので
 『NOT』『NET』……が作れる、という感じです。
 同じ字を複数回使うのはOKにしました。

 使える文字は  
  母音 ⇒ A/E/I/O
  子音 ⇒ C/H/K/N/T/W/Z


■「寂しい」と言うくらいなら「会いたい」と言わせてみせる策略家『E』
  (策略家/tacticien)

私は誰かに会いたいとき、「寂しい」と言うのは好きではありません。
もちろん誰かが恋しい気持ちや、寂しい気持ちは
程度の差はあれど、人間として当たり前の感情であると思います。

でも、いくら好きな相手だからといって、「寂しい」と丸投げしてしまうのは
私にとってすごくわがままだと思うのです。
わがままが悪いわけではないし、わがままでも可愛いタイプなら
むしろ良いと思いますので、批判だとは思わないでください。
昔のように、本当に連絡をとるのが大変だった時代ならばまだしも、
戦争で死ぬこともなく、携帯やインターネットがある現代で、
(携帯やインターネットがあるからこそ、それに慣れてしまい
「寂しい」が増長するのかもしれませんが……。)
連絡が少しなかったくらいで不安になって相手に「寂しい」を丸投げ
してしまうことは私にとって絶対にできないことなのです。

でも、今無性に連絡がほしい、遊んでほしい、というときは
やっぱりあります。
私は短歌を詠もうかどうか迷ったとき、真っ先にchicaちゃんに話を
聞いてほしいと思いました。
でもchicaちゃんは学校の課題で忙しいし、毎週遊んでいるので
わざわざそれを邪魔して「遊んでよ!」とは言えません。
そこで私は迷ってるなら……と思いきって短歌を詠みました。
こっそり、mixiに載せておくのです。
これなら暇のあるときに見るだろうから、負担にもなりません。
「遊んでくれなくて寂しい」とか書いてるわけじゃないから
chicaちゃんがその気がないなら、ピンと来ないだろうし
押し付けがましくないだろう、と思って載せました。

見事、レポートが終わったであろう数日後に返歌と共に
「遊ぼう!」のお誘いが。

【みつき作】
君知らぬたとえ話にうつし出す解ってくれる君がだいすき

【chicaちゃん作】
うつってる タトエバナシの 水の中 くんで伝える ワタシのこころ

返歌がついているなんて思った以上の収穫でした。
これは、そんな策略家の『Eiko』(本名)ですよ!という歌です。

毎日会いたければ、毎日会いたいと思わせればいいのです。
返事がほしければ、返事を書かずにはいられない
文章を書けばいいのです。
そして、それでも効かない相手なら、そういう人だからこそ
好きなんだ、とやさしく諦めてしまうのがいいと思います。
会ってても、会わなくても、本当に大事な人たちはずっとずっと
側にいてくれるものですから……。


■ぎゅっとなる、きみのアンテナみつめてる「説明するのとくいじゃないんだ」
  (アンテナ/antenna)

私は自分の感情的な部分を説明するのが苦手で、
いつもゴチャゴチャしたたとえ話をしたり、言葉が遠まわしすぎたり
するのですが、機転の利くchicaちゃんはいつもそれを分かってくれます。
私が直接的に言いたくないのを分かっていて、たとえ話の中で
話をすすめてくれたりと、私の電波を受信しているかのように
鋭かったりします。
そんな私が話したいことがあるときの気持ちを表してみました。


■抑揚のない声ヒントは与えないそれでも秘密しってるあなた
  (抑揚/intonation ヒント/hint 秘密を知る人/initiate)

これも上の歌と同じように、話がわかりにくいだけでなく
すごく重い内容でも淡々と話すし、表情もあまり変えない、
目も合わさないのです。
実は必死になると自分の頭の中で言葉を探すのに必死で
目線が変な方向にいくのは癖なんですが、あまり良い印象を
持たれないようです。(それでも直せないのですが……)
それなのに、ちゃんと秘密は全部わかっているのです。
いつもわかってくれてありがとう。


■きみとぼく壊して足して探しても無政府主義者(アナーキスト)にRが足りない
 (無政府主義者/anarchist ではSとRが足りず、
  本来の単語は 無政府主義者の/anarchic です)

これは単語を調べていて思ったことです。
私たちっていつもめちゃくちゃで、何でもアリだけれど
こう見えてけっこう常識人だよ!と主張してみました。
それにアナーキストっていうより、chicaちゃんはメルヘン、
私は理想主義者ですね。


■それでもね八方ふさがりそんなときSをふたりで押し出しちゃうよ
 (a no-win situation 八方ふさがりの状態)

私たちは思春期を一緒にすごした仲なので、その間にはお互い
たくさんの困難がありました。
それでも今までずっと一緒にいて、お互い病めるときも健やかなときも
いろんなものを乗り越えてきました。
やっぱりそれはchicaちゃんがいてくれたからだなあ、と思います。

ちなみに私たちは慰め合いません。
「そりゃ辛いなあ」など共感の言葉はかけるけれど、
あくまで解決法を探るための議論のような感じなのです。
悪いところは悪いと言うし、逆に私の考えがぐるぐると同じところを
回ってしまっていても、慰めの言葉で話を終わらせたりしません。
「これ以上考えても仕方ないよ!」ときちんと話を打ち切ってくれます。
だから、ふたりならいつでも『S』を押し出していけると思うのです。


■駆けつける911(ナイン・ワン・ワン)だでもそれは十中八九「それがいいのさ」
 (nine-one-one/警察・消防・救急の電話番号 nine-thenth/10分の9・ほとんど全部)

これも上の状況と似ているのですが、chicaちゃんは
私が悩んでいるとき、いつも話を聞いてくれて、
真剣に向き合ってくれますが、無理しすぎず「十中八九」でいてくれる
ところが心地いいのです。
私のことは私がどうにかするしかない、と分かってくれているのです。
私は他人に感情移入しすぎてつぶれてしまうタイプなので
そういうところはすごく尊敬します。

一時期すごい人間不信と自己嫌悪で「死にたい」とまで言っていた時期、
友達がどれだけ優しい言葉をかけてくれても耳に入りませんでした。
(申し訳ないと思っていますし、回復してから思い出しては
感謝しているので全く聞いてないわけではないのです)
そんな私にchicaちゃんは言いました。
「そんな考え方してるんやったら死んだ方が楽やろなー。
まあうちは友達やから死んで欲しくないけど。」
受け取り方によってはひどいのかもしれませんが、そのときの私には
私がどれだけ苦しいか分かってくれていることを実感できたし
生きなきゃダメ、じゃないのに生きてほしい、と言ってくれる人がいるなら
もう少し生きてみようと思ったのです。
あのときの私にとって、chicaちゃんは救急車でした。ありがとう。
これからも助けてください。そしてこれからも突き放してください。


■悲しみや隠したものは透き通るいたずらっ子なきみの魔法で
 (隠したもの/cache いたずら好きの/wanton 魔法をかける【古】/enchant)

chicaちゃんはメルヘンな人間です。
上手く説明できないけれど、おとぎ話から抜け出てきたような子です。
私にいつも鋭い意見を言いながら、実はすごい楽観主義者で
人生を思うままに楽しむ妖精さんのような子です。
私は理想主義者で、だからこそ現実との間で葛藤が生まれるのですが
chicaちゃんはそんな私にいつもいろいろなアドバイスをくれます。
現実的な解決策を挙げたり、もう少し楽に考えるように、とも
言ってくれます。
そして、それでもダメだったらいきなり突飛なことを言ってくれます。
あまり覚えていないのが残念ですが「寺にこもれ!」とか
「携帯も財布も持たず外に出て1日過ごせ!」とか、
「何たら(名前は忘れたけどインドかどこかのバカバカしいスポーツ)の
選手になるために修行して来い!」とかもっとずっとすごいものも
あった気がします。
そういうのを聞いていると、魔法にかかったようにすーっと
肩の力が抜けていくのです。
なんだかしてやられたような、理不尽な気持ちになりますが
そんなのも悪くはないな、と思うのでした。


■ワインとか想いを水で割らないでストレートでも飲み干せるから
 (ワイン/wine 水で割らない/neat)

chicaちゃんは私に悩みを話しません。
私が常に悩んでいるのでその話だけでいっぱいいっぱいなのか、
私では頼りないので相談相手にはならないのか、
そもそも悩みなんてないのかは分かりませんが……。
だけど、もし本当に何かあったら、一番に呼べばいい。
お酒に弱い?私ですが、それくらいの気合は
いつだって持ち合わせておりますので。


■響いてく知らない街に行ったってふたりで歌う三十一文字が
 (反響する/echo 詠唱する/intone 汽車が給水のため止まる小さな街/tank town)

最近、chicaちゃんが私の短歌から連想歌を詠んでくれるように
なりました。純粋に、嬉しいです。
私は劣等感が強く、私より才能のあるchicaちゃんがはじめるのなら
自分がやってもなあ……と思うはず、なんですが。
ちっともそんなこと思いませんでした。
下手でも何でも、こうやってお互いに詠み合えたりすることに
意義がある!と自信をもって言えるのです。
上達することや、人に認められたりすることも大切ではあるのですが
短歌の真髄である「自分の思いを残したい、誰かに思いを伝えたい」と
いうものをちゃんと分かって詠んでいるからなのかなあ、と
へろへろ歌人の私は思うのでした。

ところで、chicaちゃんは『歌人』というより『詩人』な気がします。
もちろん自由詩も投稿しているというのもあるのですが、
響きとしてなんとなく、そう思うのです。
『短歌も含めた、詩人』なのかな?


■君とならどこにいたって大笑いヒッチハイクで永劫流転
 (ばか笑いする cachinate/ヒッチハイク Hitch-hike/永劫 eaon)

私たちは旅行が好きです。
2人で行った国はまだフランスに2週間(留学中来てくれました!)
ベトナム、タイだけですが、お互い10カ国ずつくらい行ってます。
ちなみに恋と友、旅と酒は詩歌と切っても切れない関係だと思います。

『ヒッチハイク』というのは経験がないのですが、この単語を使おうと
思ったのは、高校生のときの家出を思い出したからです。
私たちは高校3年生になる前の春休み、学校や家でうまくいかなくて
家出したい!という話をしていました。

家出自体は思春期の高校生によくあることで、 そこまで珍しくは
ないと思うのですが、私たちは「国内で家出しても
まだ17歳で仕事もないし、家も借りられないからすぐお金に困ると思うし、
それなら物価の安いタイで1年間くらいゆっくりしよう!
日本で行き詰って自殺とか考えちゃうくらいなら
向こうで殺された方がいいやん!」と思い立って即実行したのです。
計画期間、5日。本当に思い立ったら即行動です。
自分の名義で貯金してある学費を200万くらい勝手におろして
航空券を買って、荷物をまとめ、空港に行ったまではいいけれど、
そこで親につかまって連れ戻された、といういきさつです。

親にバレたのは私が前日から空港に行っちゃおう!と言って
早く家を出てしまったのと(その日親と喧嘩して
一刻も早く出たかったのです)
chicaちゃんが航空券を買うときに本当に実家の電話番号を
書いてしまい実家に電話がかかってきたからで、
もし電話がかかってこないか、私たちが当日ギリギリに
家を出ていれば無事(?)タイに逃亡できていたという、
今考えれば恐ろしい計画です。

もちろん親には思いっきり怒られたけど、楽しかったし、
当時高校生で 自分では何もできないと思っていたけれど
その気になれば どこにだって行ける!というう変な自信が
ついたので、今思えばそれはそれで良かったんだと思います。
あのままタイに行っていたら……と考えると、それはそれで
面白いですけどね。

そんな私たちなので、どこに行ってもきっと楽しい、と言い切れます。
次の夢は、ふたりで世界一周、行けるといいなと思っています!

ちなみに『永劫流転』は『永劫』の単語から何にしようかな?と
思っていたとき『Aeon Flux(イーオン・フラックス)』という映画を
思い出してそこから付けました。
直訳すると、『永劫流転』になるのです。


■流れゆく空虚な世界包み込みCとHが私を高める
 (空虚/inanition enhance/〈可能性・価値など〉を高める)

アルファベットから単語をつくるという作業をしていて気付いたことです。
昔、自分の名前だけやったときには、そんなに多くできなかったのに
chicaちゃんの名前にある『C/H/Z/W』などが入ると
一気に単語が増えるのです。
このchicaちゃんの名前の文字が入るとできる単語が
一気に増える、というのがミソでして。
これがまた私たちの関係をよく表しているのです。
けっこう万能で何でもできちゃうchicaちゃんと、
ダメダメなのに、chicaちゃんと一緒だといつの間にか
いろんなことに挑戦していて、助けてもらってる私。
いつも追いつけなくて、背中ばっかり見てるけど
chicaちゃんはそんな私を、リレーのバトンパスをするときのように
ときたま振り返りながら走ってくれるのです。
ただのアルファベットなのに、こんなに真実をうつし出してるんですね。
名前って、本当に哲学的です。


+++++++++++++++++++++++++++++++++


こんなに長く書いたけれど、それでも10年分の「ありがとう」を言うには
まだまだ足りないくらいです。
これからも、ずっとずっと友達でいてください。

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