緑陰茶話   - みどりさんのシニアライフ -

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ブロック塀だけが悪いのですか?

2018年06月24日 | 話題
今回の地震で違法なブロック塀が倒れ、9歳の少女が亡くなったこと、大人たちの対応にいまだに釈然としない思いです。

防災の専門家の指摘を受けながら教育委員会がそのブロック塀の違法性を見抜けなかったこと。
テレビニュースによれば、ひび割れや傾きが無かったので安全と判断したとか。

ブロック塀については、ド素人のわたしでさへ、内部に鉄骨を通すことや高さ制限など、震災に備えて厳しい基準が加えられたことを知っていました。
ブロック塀を継ぎ足したプロの施工業者がそれを知らなかったとは考えられないし、検査した専門家が知らなかったとも考えられないのです。(毎年、検査していたのだそうですが。)

テレビ報道を見る限り、関係者はいまだに何か根本的な勘違いをしているのではないかとも思えるのです。
今になって学校のブロック塀を検査し直すのはよいのですが、ひび割れや傾きのあるブロック塀を撤去したなどというニュースを目にすると「問題はそこじゃないだろ」とテレビの前でツッコミたくなります。
そんな検査なら事故を起こした寿永小学校でもしていたではないですか。
ひび割れや傾きが無ければ違法なブロック塀をそのままにしておくのですかと。

こと地震に関していうならば、建造物の問題は劣化以上に構造にあるように思えます。
(もちろん劣化も問題ですが)
阪神淡路大震災の時、近所のマンションが随分倒れました。
1年前に建ったマンションさへ倒壊したので、いわゆる劣化はなかったと思います。
1階部分に駐車場を作っていたという構造上の問題で座屈し、全壊したのです。
だから全壊といってもバラバラに崩れたのではなかったのです。
ブロック塀の場合も、構造がどうなっているかも判断するべきところではないですか。

かと思えば箕面市、適法で安全基準を満たしたブロック塀まで「子供たちが恐がるから」と全部撤去するとか。
「ほんまかいな」と言いたくなります。
その理屈だと、耐震基準を満たさない違法なマンションが倒れて人が亡くなったら、きちんと耐震基準を満たしたマンションも「子供たちが恐がるから」と、壊して撤去しなくてはなりません。

仮にも教育関係者なら、子供の恐怖心にいたずらに同調するのではなく、今回の事故がなぜ起こったか、違法な施工やいい加減な検査がされていたことを子供達に説明し、法律を守ることの大切さや、いい加減な検査をしないことの重要性をこの機会に教えればどうなのですか。
劣化もなく、構造上も特に問題の無いブロック塀まで危険なもののように扱う非科学的な態度はとるべきではないでしょう。

そもそもブロック塀は学校だけにあるのではなく、街中に普通にあります。
学校の安全なブロック塀を撤去するくらいなら、通学路にある危険なブロック塀を調べ、撤去する方がよほど合理的でしょう。

今回の事故は、ブロック塀にすべての責任を押し付けるのではなく、そこで人がどう間違った関与をしたかということこそ反省し、今後に生かしていくことではないでしょうか。

今回の事故を見聞きしていて、何より「劣化」しているのは日本人の資質ではないかとすら思えました。

     

阪神淡路大震災の時、実は我が家のブロック塀も倒壊しました。
我が家の場合、道路に面した部分は生け垣で、それ以外の3面がブロック塀でした。
倒れたのはその内の1面、地震の時はすでに人が住んでいましたが、地震から30年くらい前に、まだ空き地だった隣家との境界に我が家が建てたブロック塀でした。

ブロック塀はバタンと倒れていたのではなく、グニャリと捻じれるように倒れていました。
鉄骨は入れてあったけれど弱かったようです。
そんな倒れ方だったので「早く撤去しないと崩れたら恐い」と私が言うと、当時まだ生きていた私の父は「いや、これはこれでそんなに簡単に動くものじゃない」と言いました。
父の言う通り、捻じれて倒れたブロック塀は少しの力ではビクともするものではありませんでした。
たぶん、大人が2、30人乗っても崩れないし、動かなかったと思います。

当時、倒れたブロック塀は道路側に倒れたならば交通の邪魔になるので行政が無料で撤去してくれましたが、自宅内で倒れた場合、撤去費用は自前でした。
それで、隣家の了解のもと、全額費用を負担して我が家が撤去し、新しい塀を作りました。
これです。

下4段がブロック塀、上がアルミフェンスです。

阪神淡路大震災では、早朝ウォーキングで外にいた年配の方々がブロック塀の下敷きになり、たくさん亡くなられました。
家の外だったので、身元の判明に手間取ったそうです。

地震で恐いのはブロック塀だけでなく、石でできた灯篭や鳥居、狛犬、石柱、墓石なんかも危険です。
神戸に保久良神社という神社があり、私は子供の頃、近場に住んでいて、何度か行っているのですが、阪神淡路大震災では、やはり早朝参拝の人達が地震で石の灯篭等の下敷きになり亡くなっています。
石でできた丈夫なものだと思って逆に傍に寄ってしまい、倒壊した時に下敷きになって亡くなるパターンです。
幼い頃の思い出の場所だけに、そのニュースは記憶に焼き付きました。

ちなみに我が家では庭に置いてあった庭石も倒れました。
これです。

左手前部分が底面だったのですが、当時、二人がかりで起こそうと随分頑張ったのですがビクともせず、いまだに倒れたままです。
要するに、ブロック塀や石の場合、一度下敷きになったら、人が助け出そうにも重くて助け出せないのです。
地震のチカラって、そういうものだと認識しておかなければならないようです。

今回の地震で我が家の残り2面のブロック塀もチェックしました。
するとこんな割れ目が・・・・。

たぶん、阪神淡路大震災の時にできた割れ目のようです。
このブロック塀、こんな風になっています。

ブロック塀を境に右が我が家で左が隣家。隣家はすでに空き家になっています。
塀は隣家が建て、隣家の所有物。
この通路は波板で簡単な壁と屋根を作り、雨が防げます。
洗濯機が置いてあるのですが、ここにいる時地震が来たら、躊躇わず即座に逃げなくてはならないみたいです。