風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

バンクーバー・オリンピック(補遺)

2010-03-02 00:07:57 | スポーツ・芸能好き
 スピードスケート女子団体パシュート(追い抜き)のことに触れないわけには行きません。小平奈緒、穂積雅子、田畑真紀の三人娘が健闘し、ドイツに0.02秒の僅差で惜敗しましたが、日本に今大会三個目の銀メダルをもたらしました。日本女子スピードスケート史上で初めてのメダルです。残り一周を残して1.14秒の差をつけて先行した時には、これなら逃げ切れたかと、恐らく日本中の誰もがぬか喜びしたことと思います。残念ながら噂通りだったドイツの猛烈な追い上げにあい、目視はもとより、ゴールの瞬間の写真で見て辛うじて一足分の差が分かる程度のきわどい勝負で、涙を飲みました。折りしも昨晩の「エチカの鏡」で、北島康介選手を指導した脳科学者が、脳は、あと残り僅かだと認識すると手を抜いて最後の追い込みが鈍ってしまうものだから、北島選手には、壁にタッチした時ではなく、振返ってスコアボードを仰ぎ見た時がゴールだと教え込み、最後の最後まで手を抜かせない作戦で、見事に金メダルを獲得したのだと自慢していました。三人娘が、最後の一瞬で手を抜いたとは言いませんが、ゴールをゴールと思わずに走り抜けていればと思いたくなるようなきわどさでした。
 そうは言っても、この週末は、やはりフィギュア・スケート女子フリーの演技をこれでもかと何度も見せつけられ、見るたびに見入りました。そして滑り終わった直後の浅田真央選手の言葉にならない30秒インタビューも、何度も見せつけられているにも関わらず、見るたびに涙を誘われました。そのたびに浅田選手の曲が荘厳と言えば聞こえは良いですが要は暗いことに、見るたびに落ち込みましたが(笑)、やはり選曲が悪かったと言わざるを得ません。その証拠に、ショートプログラムやエキシビションで見せた浅田真央選手の明るい笑顔は最高でしたね。パワフルに明るく軽やかに弾け飛べば、つい審査員も乗せられたのではなかったでしょうか。
 どうもあの曲は、浅田選手のためではなく、タラソワ・コーチが元々ミシェル・クワン選手のために用意していたものだったと言われています。勝算あってのこととは思いますが、タラソワ・コーチは、ただ明るいだけの曲では物足りないと思い、プログラムも曲も敢えて難しいものを選びました。食事制限でエンピツのように細く、童顔で愛らしい笑顔の浅田選手には重厚過ぎて、持ち味が存分に生かせなかったのではないかと思うのは私だけではないでしょう。タラソワ・コーチは、今頃になってどうやら構成も古かったと批判されていますが、ロシアの風土を体現していたかのようです。服装もなんとなく古めかしかったですね。口紅を引き、無理やり踊らされている人形のように見え、不憫でした。
 その点、キムヨナ選手は、エキシビションでも優雅に舞っていました。技術よりも演技に傾斜する採点基準を先取りしていたかのようです。・・・たら・・・れば、は許されませんから、今回は完敗を認めざるを得ません。ただ、直前に母親を亡くし、それでもなお銅メダルを勝ち取った地元のロシェット選手は、「(浅田)マオに感謝したい」と言ってくれたことは聞き逃せません。「果敢にトリプルアクセルに挑んだ彼女の姿を見て、悲しみを忘れ、燃えることが出来た」のだそうです。浅田選手は、エキシビションでトリプルアクセルの女王と呼ばれたように、フィギュア・スケートの歴史の一頁を飾ったことで、良しとしようではありませんか。
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