風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

久しぶりの台湾

2011-02-26 00:26:28 | 永遠の旅人
 出張で、今、香港からブログにアップしています。水曜日の夜に台湾に入り、丸一日いて、木曜日の夜に香港に入り、また丸一日いて、明日(土曜日)朝一番のフライトで日本に戻ります。
 台湾訪問は20年ぶりのことです。入社するまで海外に出たことがなく、入社して初めての出張が、私にとって初めての海外であり、それが台湾だったわけですが、以来、訪問回数は三十は下らず、私にとって、物理的にも心理的にも極めて近い存在です。久しぶりに訪れて、この20年の間に、一人当たりGDPは購買力平価ベースで1万ドルから3万5千ドルにまで上昇し、もはや先進国並みに豊かになって、さぞ変ったことだろうと予想していたら、確かに、変わったところ、変わらないところ、それぞれあるにしても、全体として余り変わったようには見えないところが、やっぱり台湾らしくて、それを確認出来て、なんとなく嬉しくなりました。
 何が変わらないかというと、先ず、空港に降り立ったときに吸う空気、その”香(こう)”の匂いにちょっと肉とか油が混ざったような独特の湿っぽさが全く変わらない。人間にとって視覚の記憶より嗅覚の記憶の方がよほど確かなので、この変わらないという思いの持つインパクトは強烈でした。
 そうなると、ちょっと変わった程度では、大して変わらないように思えてしまうのが不思議です。街並みだって、表通りにちょっと小奇麗な店が増えたのは事実ですが、よくよく見ると、まるでモックアップのように、裏通りには相変わらず薄汚い建物が残されていたりして、余り変ったように見えないのは、どこに行っても綺麗な日本とは明らかに違って、実際的・機能的な台湾人の面目躍如といったところでしょうか。街中を疾駆するタクシーは、かつてはドアが外れるのではないかとひやひやするようなオンボロで、時には遠回りされて高く請求されたこともありましたし、空港に向かうタクシーでガス欠にならないかとヒヤヒヤするのをよそに、最後までダイジョーブと言い放ちながらやっぱりガス欠になって、別のタクシーを拾ってくれたりしましたが、今では、外見こそ随分きれいになりましたが、怪しげな雰囲気はやはり変りません。ただ、バイクの数は減ったようですし、かつてはバイク1台に家族4人や5人で乗る姿をよく見かけたものですが、今ではそんな家族移動は見かけませんし、街を行く若い女性も、かつてはスッピンが多くてお構いなしだったのが、ちょっとは化粧が上手になってファッショナブルにも見えますが、それでもそんな変化は誤差の内、といった感じです。
 もう一つ、変らないという意味では、日本また日本人への親しさであり優しさでしょうか。かつて街で見かけた日本語は、日本食レストランか、怪しげな土産物やマッサージの勧誘の類いでしたが、今では、ダイソー、モスバーガー、吉野家、牛角、洋服の青山まであって、正真正銘の日本があちこちに見られ、20年の時を経て、益々、日本に近い存在になったように感じます。泊まったホテルは決して最上級ではありませんでしたが、必要最低限の日本語は通じるので、英語はとても話せそうにない老夫婦やおば様たちばかりのグループ客でも安心です。夕食は、かつてよく連れて行ってもらった台湾料理の店「梅子」が健在なのを見つけて、変わらない美味しさに舌鼓を打ちましたが、中華料理の中で、台湾料理は一番日本人の舌に合うように思います。
 そして何よりも日本人に向ける眼差しが優しい。お金持ちで、お金を落としてくれるお得意様と見ている面もなくはありませんが、かつての植民地統治が抑圧的ではなく、かつ台湾の近代化に多少なりとも貢献したであろうことが、今に続く良い関係に繋がっていることは間違いありません。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ある熱狂(下) | トップ | 久しぶりの香港 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

永遠の旅人」カテゴリの最新記事