風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

大阪

2010-09-27 00:08:03 | 永遠の旅人
 私の父は、昭和40年に故郷の鹿児島を離れて上阪(ジョウハンと読みますが、Wordで漢字変換されなかったので、念のため、地方から東京に出るのが「上京」であり、大阪に出るのが「上阪」)し、大阪で勤め上げ、今は埼玉で老後の生活を送っています。父の男兄弟は皆、同じように大阪に働きに出て、今も大阪に暮らしています。この週末は、父方の祖父の50回忌の法要で、父の兄弟が大阪で集まるというので、私も父母に付き添って(何しろすきだらけで田舎モンの老夫婦ですから心配でなりません)一泊二日で久しぶりの大阪に行って来ました。そこで、いくつか感じたこと。
 一つは、いくつになっても兄弟は兄弟やなあと感じ入りました。父は6人兄弟の二番目、男4人の内の長男で、その4人を見ていると、年を取るごとに見た目がなんだか互いに似て来るのが不思議でした。若さでギラギラしたところや職業柄などの角が取れてつるんと丸みを帯びると、実は土台は同じだった、といったところでしょうか。勿論、職業柄は異なり、父は公務員で堅実タイプ、次男坊は商都・大阪で自営業をやっていただけあって兄弟で一番さばけて見え、三男・四男はサラリーマンでこちらも堅実ですが、同じサラリーマンの私にとっては感覚が一番近いように感じました。そんな中で、長男と三・四男はちょっと無骨で不器用な薩摩人らしさが今もなかなか抜け切れないのに対し、次男は二番目の跳ねっかえりという一般的な傾向に加え、自営業故の「大阪のおっちゃん」らしく才気ばしって奔放に見えるのが印象的でした。かつて私が、東京生まれの家内を、結婚前に初めて大阪に連れて行った時、新幹線の京都駅を降りてローカルのJR京都-大阪線に乗り換えた車内で見た若者たちのどの会話も漫才に見えると、家内が感嘆していたのを今も思い出しますが、まさに次男のおっちゃんは、「大阪のおっちゃん」らしく、他の三兄弟のちょっと真面目くさった話にも茶々を入れる間合いと合いの手が実に大阪らしく、軽やかで笑いを誘う洗練されたところが見事でした。TVで見かける、出たがりで低俗な大阪芸人と違って、相手を一方的にけなすのとはわけが違う、謂わば神の第三者目線で相手のことも自分のことも笑いを取る生活感溢れる庶民の大阪らしさの妙に感動したのが二つ目です。
 そして三つ目が、父の兄弟たちの思い出話を聞くとはなしに聞いていると、日本の高度成長の縮図を見る思いだったことでした。住み慣れた田舎を離れ、都会で逞しく生きて来たおっちゃんたちが、日本経済の高度成長を支え、いわば国内移民二世の私たちが、それを受け継いで呻吟している・・・ほぼ三十年の世代差を肌で感じたひとときでもありました。
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